令和4年 宅建 問32 解説について
令和4年の宅建試験問32は、宅地建物取引業法第37条の規定により交付すべき書面(37条書面)に関する問題でした。この問題は、37条書面の交付義務や記載事項について、宅建業者や宅地建物取引士の役割を理解しているかを問うものです。
令和4年 宅建 問32 概要と重要ポイント
問32では、37条書面に関する4つの記述が提示され、その中から誤っているものを選ぶ形式でした。重要なポイントは以下の通りです:
- 複数の宅建業者が関与する場合の記名義務
- 宅地建物取引士証の提示義務
- 手付金の保全措置に関する記載義務
- 建物の品質に関する特約の記載義務
特に注目すべきは、複数の宅建業者が関与する場合、すべての宅建業者の宅地建物取引士が37条書面に記名する必要があるという点です。これは多くの受験者が間違いやすいポイントでした。
37条書面の交付義務についての詳細な解説:
宅建業法の37条書面の交付義務とは?弁護士がわかりやすく解説
令和4年 宅建 問32 37条書面の記載事項
37条書面には、必要的記載事項と任意的記載事項があります。主な記載事項は以下の通りです:
必要的記載事項:
- 当事者の氏名・住所
- 物件を特定するための情報
- 代金・交換差金・賃料の額、支払時期、支払方法
- 物件の引渡し時期
- 所有権移転登記の申請時期(売買・交換の場合)
任意的記載事項:
- 契約の解除に関する定め
- 損害賠償額の予定または違約金に関する定め
- 代金以外の金銭の授受に関する定め
注目すべき点として、既存建物の売買の場合、建物の構造耐力上主要な部分等の状況について当事者双方が確認した事項を記載する必要があります。これは平成30年4月の宅建業法改正により追加された項目です。
37条書面の記載事項についての詳細:
37条書面(契約書)とは?記載事項や35条書面との違いを解説
令和4年 宅建 問32 間違いやすいポイント
この問題で特に注意が必要なのは以下の点です:
- 37条書面と35条書面(重要事項説明書)の違い
- 37条書面は契約締結後に交付
- 35条書面は契約締結前に交付・説明
- 宅建業者間の取引でも37条書面の交付義務がある
- 37条書面と契約書の関係
- 契約書に37条書面の記載事項が網羅されていれば、別途37条書面を作成する必要はない
- 電子的方法による交付
- 相手方の承諾を得れば、電子的方法による交付も可能
間違いやすいポイントの詳細解説:
令和4年(2022年)問32/宅建過去問
令和4年 宅建 問32 宅地建物取引士の役割
宅地建物取引士は37条書面に関して重要な役割を担っています:
- 37条書面への記名義務
- 取引に関与したすべての宅建業者の宅建士が記名する必要がある
- 宅建士証の提示
- 37条書面交付時に取引の関係者から請求があれば提示する義務がある
- 37条書面の作成・確認
- 法令に基づいた正確な内容であることを確認する責任がある
- 35条書面との連携
- 35条書面で説明した内容と37条書面の内容に齟齬がないか確認する
宅建士の重要な役割として、37条書面の内容が適切であることを確認し、取引の安全性を担保することが挙げられます。これは単なる形式的な手続きではなく、取引の公正さを保証する重要な責務です。
宅建士の役割についての詳細:
37条書面の必要的・任意的記載事項 – 幸せに宅建に合格する方法
令和4年 宅建 問32 契約書面の作成方法
37条書面の作成方法について、以下のポイントに注意が必要です:
- 記載事項の網羅
- 法定の必要的記載事項をすべて含める
- 明確かつ分かりやすい表現
- 専門用語は避け、一般の人にも理解しやすい文言を使用
- 契約書との一体化
- 多くの場合、契約書に37条書面の内容を盛り込む形で作成
- 宅建士による確認と記名
- 内容の正確性を宅建士が確認し、記名する
- 適切な保管
- 交付後も一定期間保管することが望ましい
特に注目すべき点として、インスペクション(建物状況調査)に関する事項が平成30年4月1日の法改正により追加されたことが挙げられます。既存建物の売買の場合、この点に関する記載が必要となります。
契約書面作成の詳細ガイド:
37条書面とは?|わかりやすく宅建・宅地建物取引士の解説
以上の内容を踏まえ、37条書面の作成と交付は単なる法的義務の履行ではなく、取引の安全性と透明性を確保するための重要な手続きであることを理解することが大切です。宅建業者と宅地建物取引士は、この責務を適切に果たすことで、不動産取引の信頼性向上に貢献しています。