宅建試験の相続問題対策
宅建試験における相続の出題傾向
宅建試験では、相続に関する問題が毎年出題されています。主な出題傾向としては以下のようなものがあります：
• 法定相続人の範囲と順位
• 遺産分割の方法と効力
• 相続放棄と限定承認
• 遺言の種類と効力
• 相続税の計算方法
特に、法定相続人の範囲と順位に関する問題は頻出です。配偶者、子、父母、兄弟姉妹の順で相続権があることを押さえておく必要があります。
また、遺言の効力や遺留分に関する問題も重要です。自筆証書遺言と公正証書遺言の違いや、遺留分の計算方法などは、しっかりと理解しておきましょう。
相続税の計算問題も出題されることがあります。基礎控除額や税率表を覚えておくと、計算問題に対応しやすくなります。
相続に関する法改正にも注意が必要です。例えば、2018年7月に成立した「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律」により、相続法に大きな変更がありました。このような最新の法改正情報も押さえておくことが重要です。
相続法の改正について詳しく知りたい方は、以下のリンクが参考になります。
法務省：民法（相続関係）等の改正
宅建の相続計算問題の解き方
宅建試験の相続計算問題では、主に以下のような計算が求められます：
- 法定相続分の計算
- 遺留分の計算
- 相続税の計算
これらの計算問題を解くためのポイントを見ていきましょう。
- 法定相続分の計算
法定相続分は、相続人の続柄によって決まります。主なパターンは以下の通りです：
• 配偶者と子がいる場合：配偶者1/2、子1/2（子が複数いる場合は均等に分ける）
• 配偶者と父母がいる場合：配偶者2/3、父母1/3
• 配偶者と兄弟姉妹がいる場合：配偶者3/4、兄弟姉妹1/4
- 遺留分の計算
遺留分は、法定相続分の一定割合となります：
• 直系尊属のみが相続人の場合：法定相続分の1/3
• それ以外の法定相続人の場合：法定相続分の1/2
- 相続税の計算
相続税の計算は以下の手順で行います：
① 課税遺産総額の計算：（遺産総額 – 基礎控除額）
② 法定相続分に応じた各相続人の取得金額の計算
③ 各取得金額に税率を適用して税額を計算
④ 各相続人の算出税額の合計を求める
基礎控除額は「3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数」です。
相続税の速算表を使用すると、計算をスムーズに行えます。速算表は以下のリンクで確認できます。
国税庁：相続税の税率
相続の間違いやすいポイント
宅建試験の相続問題で間違いやすいポイントをいくつか紹介します：
- 相続人の範囲と順位
• 養子の相続権：特別養子縁組の場合は実の子と同じ相続権を持ちますが、普通養子の場合は実子がいる場合に相続権が制限されることがあります。
• 代襲相続：子が既に亡くなっている場合、孫が代わりに相続人となる「代襲相続」が適用されます。
- 遺言の効力
• 自筆証書遺言の要件：全文自筆、日付、氏名、押印が必要です。一部でもパソコンで作成すると無効になります。
• 公正証書遺言の証人：公正証書遺言には2人以上の証人が必要ですが、受遺者や相続人は証人になれません。
- 相続税の計算
• みなし相続財産：生命保険金や死亡退職金は、一定額まで非課税ですが、それを超える部分は相続財産とみなされます。
• 小規模宅地等の特例：居住用や事業用の小規模宅地には評価額の減額特例がありますが、適用には条件があります。
- 相続放棄と限定承認
• 期限：相続放棄や限定承認は、相続の開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申述する必要があります。
• 効力：相続放棄をすると、初めから相続人でなかったものとみなされます。一方、限定承認は相続財産の範囲内でのみ債務を負担します。
これらのポイントは、過去の宅建試験でも頻出の内容です。十分に理解を深めておくことが重要です。
相続に関する詳しい解説は、以下のリンクが参考になります。
法務省：相続に関する民法改正
宅建試験で押さえるべき相続の重要用語
宅建試験の相続問題を解くうえで、以下の用語は特に重要です。それぞれの意味と概要を押さえておきましょう。
-
法定相続分
法律で定められた相続分のこと。相続人の続柄によって決まります。 -
遺留分
遺言や生前贈与があっても、最低限保障される相続分のこと。 -
寄与分
被相続人の財産の維持や増加に特別に寄与した相続人が、遺産分割の際に考慮される額のこと。 -
特別受益
被相続人から生前に贈与を受けたり、遺贈を受けたりした財産のこと。 -
代襲相続
本来の相続人が相続開始以前に死亡している場合に、その者の子が代わって相続人となること。 -
相続放棄
相続の権利を放棄すること。相続開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申述する必要があります。 -
限定承認
相続財産の範囲内でのみ被相続人の債務を弁済する相続の方法。 -
遺産分割協議
相続人全員の合意によって遺産の分割方法を決めること。 -
遺言執行者
遺言の内容を実現するために指定された人のこと。 -
特別寄与料
相続人以外の親族が被相続人の療養看護等を行った場合に請求できる金銭のこと。
これらの用語の詳細な解説は、以下のリンクで確認できます。
裁判所：相続に関する用語解説