割賦販売 宅建業法 適用
割賦販売 宅建業法 適用の定義(引渡し後1年以上・2回以上)
割賦販売(宅建業法上)は、代金の全部または一部を「目的物の引渡し後1年以上の期間にわたり、かつ、2回以上に分割して受領することを条件として販売すること」と定義されています。
実務では「分割払い=割賦」と短絡しがちですが、引渡し“後”に1年以上の分割受領という要件が核で、引渡し前の中間金分割とは整理が変わります。
この定義に当てはまると、重要事項説明(35条2項の追加説明)だけでなく、自ら売主で買主が非業者のときには42条・43条の規制が連動するため、契約書の雛形を現金販売の延長で扱うのは危険です。
・実務で起きやすい誤認例(チェック用)
✅ 引渡し前に6回分割で受領:割賦販売“ではない”可能性が高い(ただし35条1項の一般説明義務は当然残る)
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/fed636e4e4568485e965f3505cda616a63a0d8ab
✅ 引渡し後に2年で12回分割:割賦販売に該当しやすく、割賦販売に関する事項の説明・条項設計が必須
割賦販売 宅建業法 適用の重要事項説明(現金販売価格・割賦販売価格)
割賦販売に該当する場合、宅建業者は契約成立までに、35条1項の通常の重要事項に加えて、現金販売価格と割賦販売価格を説明し、その内容を記載した書面を交付して説明する必要があります。
さらに、引渡しまでに支払う金銭の額、賦払金(引渡し後の各回支払分)の額、支払時期・方法も追加で説明対象に含まれます。
ここでの「現金販売価格」は“値引き前の参考価格”ではなく、条文上は「引渡しまでに代金全額を受領する場合の価格」という意味なので、割賦販売価格との差がある場合は、その差の合理性(利息相当・事務手数料相当等)を社内で説明できる状態にしておくと説明の質が上がります。
・重要事項説明書(割賦販売に関する事項)で、実務的に揉めやすいポイント
📌 「割賦販売価格」とは“総額”なのか、“本体+分割手数料を含む総支払額”なのか、社内定義を統一して記載する(記載ブレはクレーム温床)
📌 「引渡しまでに支払う金銭」と「賦払金」を混同しない(引渡し“後”が賦払金)
割賦販売 宅建業法 適用の解除等の制限(42条の30日以上・書面催告)
宅建業者が自ら売主となる宅地・建物の割賦販売で、買主(宅建業者でない者)が賦払金の支払義務を履行しない場合、売主は「30日以上の相当の期間」を定めて「書面で催告」し、その期間内に履行がないときでなければ、支払遅滞を理由とする契約解除や、期限未到来分の賦払金の請求ができません。
この「できない」は、単に“手続を踏まないと違法になる”という意味にとどまらず、要件を欠く解除等は効力が発生しない(解除できたことにならない)という説明で理解されるのが実務感覚です。
さらに重要なのが、42条の趣旨は買主保護であり、これに反する特約(催告不要、催告期間20日、失権約款的に自動解除、など)は無効と整理される点で、雛形に紛れ込んだ“強い条項”がそのまま使えない局面が起きます。
・現場運用での落とし穴(意外と見落とされやすい)
⚠️ 電話・口頭で「払わないなら解除」は、42条が求める“書面催告”の要件を満たしません(段取りとして口頭連絡はしても、最後は書面で残す発想が必須)。
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/106ae46bb49b4f735765d3241e8f3d9354d168fe
⚠️ 「期限の利益喪失→残額一括請求」を短い猶予で回収する設計は、42条の“期限未到来分の請求制限”と正面衝突し得ます。
参考:42条の「30日以上」「書面催告」の趣旨と、反する特約が無効になる点(解除・期限未到来の賦払金請求まで含む)がまとまっています。
割賦販売 宅建業法 適用の所有権留保(43条)と登記・引渡しの実務
割賦販売は「代金が完済するまで名義は売主のまま(所有権留保)」という発想と相性が良く見えますが、宅建業法は自ら売主の割賦販売について、所有権留保等を問題にする規律を置いているため、安易に“名義は最後に”と設計すると事故が起きます。
少なくとも、割賦販売では引渡し・登記・担保設定(実務上は抵当や譲渡担保的スキーム)をどう整理するかが、代金回収とコンプライアンスの両面でクリティカルになります。
現場では「登記を先に移す=回収リスクが上がる」「登記を移さない=法令・説明義務・買主保護に抵触し得る」という綱引きが起きるため、営業トークではなく、法務・審査・保証(保証会社等)まで含めた運用設計が必要です。
・実務的な整理(社内で合意しておくと強い観点)
🧩 割賦販売=金融ではない:ローン斡旋や金銭消費貸借と混同しない(説明書面・与信審査・反社/本人確認など周辺実務がズレる)。
🧩 「所有権留保っぽい」条項は、名称ではなく実質で評価される前提でレビューする(売主の担保確保のつもりが、買主保護規律に引っかかることがある)。
参考)宅建業法(第43条)所有権留保の禁止をわかりやすく解説 | …
割賦販売 宅建業法 適用の独自視点:35条の説明設計を「回収リスクの見える化」に使う
検索上位の解説は「35条は追加で何を説明するか」「42条は30日・書面」「43条は所有権留保禁止」と、条文要件の暗記事項に寄りがちですが、実務で差が出るのは“説明の順番と見せ方”です。
割賦販売に関する事項(現金販売価格・割賦販売価格・支払時期等)は、単なる法定記載ではなく、「買主が将来どのタイミングでいくら払うのか」「支払が遅れた場合に契約解除が即時にはできない(30日以上・書面が必要)」という“取引の時間軸”を一枚で理解させる材料になります。
つまり、35条の説明を丁寧に作るほど、42条の手続が必要になる場面(延滞発生)でも、買主が驚きにくく、クレームやトラブルの初動が軽くなるため、コンプライアンス対応がそのまま回収実務の安定につながる、という逆転の発想が有効です。
・現場で効く「見える化」アイデア(意味のある改善)
📊 支払スケジュール表(例:引渡しまで/引渡し後の賦払金を分けて表示)を作り、重要事項説明と同じ数字で運用する(営業資料と35条書面の不一致を無くす)。
📝 催告テンプレ(42条要件:30日以上・書面)を“契約締結時から”社内で用意し、延滞時に場当たりで文面を作らない。
🔍 「割賦販売に当たるか」の社内判定チェック(引渡し後1年以上・2回以上)を案件受付の段階に組み込み、重要事項説明の漏れを構造的に防ぐ。

