暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律 宅建業 適用 暴力団排除条項 欠格要件 取消事由

暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律 宅建業 適用

暴力団排除を宅建業の実務に落とす要点

免許の入口は欠格要件

宅建業免許では「暴力団員等」「役員・政令使用人」「支配」などが欠格要件として整理され、該当すると免許が受けられません。

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免許の途中は取消事由

免許後に欠格要件該当が判明すると、取消「できる」ではなく取消「しなければならない」場面がある点が実務の重大ポイントです。

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取引現場は暴排条項+相談連携

不当要求・名義貸し・圧力の芽を早期に摘むには、契約条項の整備だけでなく、警察・暴追センター等の連携動線を平時から作る必要があります。

暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律 宅建業 適用の条文と定義

 

宅建業の「暴力団排除」を語るとき、まず押さえるべき土台が「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(以下、暴対法)」です。暴対法は、暴力団員の行う暴力的要求行為等を規制し、市民生活の安全と平穏の確保を目的とする法律で、単なる刑罰法規というより“行政的な規制・命令”も含むのが特徴です。参考として、暴対法は「暴力団」「暴力団員」などの定義を置き、都道府県公安委員会による「指定暴力団」制度を前提に規制を組み立てています。

宅建業の現場で重要になるのは、暴対法が「宅地建物取引業者に対し…宅地等の売買・媒介を要求すること」を、指定暴力団員が威力を示して行う“暴力的要求行為”の一類型として明示している点です。つまり、取引をねじ込む・媒介させる・拒否させない、といった圧力は、単に「困った顧客対応」ではなく、暴対法上の典型類型に接続し得ます。

参考)https://www.semanticscholar.org/paper/c853f5a57ab76e5675437d56dfcb1c9acd0c6e98

また、暴対法は「事業者の責務」にも触れ、不当要求被害防止のための責任者選任や対応方法の指導など、事業者が講ずべき措置の方向性を示しています。宅建業のコンプライアンスでは、宅建業法だけでなく、暴対法が想定する“不当要求対応の型”を社内規程・教育・記録化に落とすことが、結果としてトラブル時の説明可能性(なぜ断ったか、どうエスカレーションしたか)を高めます。

参考:暴対法の目的・定義・暴力的要求行為(宅建業者への要求を含む)の根拠条文を確認

暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)

暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律 宅建業 適用と欠格要件

宅建業法側の実務論点は、免許の「欠格要件」に暴力団排除条項が整備されていることです。警察庁の通達では、宅建業法改正により、免許に係る欠格要件に暴力団排除条項が追加され、平成27年4月1日に施行された旨が整理されています。

欠格要件として典型的に問題になるのは、申請者本人が暴力団員等(暴力団員、または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者)に該当するケースです。加えて、法人の場合は「役員」や「政令で定める使用人(事務所代表者)」に暴力団員等が含まれる場合も欠格になり得ます。

参考)https://www.semanticscholar.org/paper/952e15e1b10b34066285e00b519376fdd87f280d

実務で見落とされやすいのが、「暴力団員等がその事業活動を支配する者」という類型です。形式上の役員名簿がクリーンでも、実質的支配(資金提供、実質的指揮命令、名義貸しの背後関係)が認定されると欠格へ接続します。

現場では、採用・役員就任・事務所代表者の選任のタイミングが“後から燃えるポイント”になりがちです。特に支配類型は、契約相手の属性チェックではなく「自社側のガバナンス不備」として表面化するため、反社チェックの対象を顧客だけに限定しないことが重要です。

参考:宅建業免許の欠格要件(暴力団員等、役員、政令使用人、支配)を通達で確認

https://www.npa.go.jp/laws/notification/keiji/bouryokudan/takuchitatemonotorihikigyousai.pdf

暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律 宅建業 適用と取消事由

免許の“入口”だけでなく、“途中”の管理として重要なのが取消事由です。警察庁通達では、従来は不誠実条項の解釈で暴排を試みていたが、免許後に該当事由が判明しても取り消せない場面があったところ、改正により欠格要件該当が免許後に判明した場合には免許を取り消さなければならないことになった、と整理されています。

この「取り消さなければならない」というニュアンスは、現場の危機管理を一段引き上げます。つまり、社内で“疑わしい情報”を把握したのに、放置・先送りをすると、行政対応(報告、改善、免許維持の説明)が後手に回り、結果として営業継続リスクへ直結します。

さらに通達は、都道府県警察が、免許を受けている事業者の欠格要件該当を把握したときに都道府県へ積極的に通知する運用にも触れています。ここから逆算すると、宅建業者側は「いつ・どの情報を・どう記録し・誰が判断したか」を残せる体制がないと、防衛が難しくなります。

実務の工夫としては、次のような“取消事由を踏まえた運用”が有効です。

  • 📝 役員・事務所代表者・重要ポジション変更時に、反社チェックと誓約書(自己申告)を必須化する
  • 📂 苦情・不当要求・名義利用の疑い情報を「案件フォルダ」ではなく「リスク台帳」で横断管理する
  • ☎️ 相談窓口(顧問弁護士・暴追センター・警察)への連絡基準を、金額や態様でルール化する

暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律 宅建業 適用と宅地建物取引士

宅建業者の暴排は「会社(免許)」だけの話ではありません。警察庁通達では、宅地建物取引主任者が「宅地建物取引士」に改称された改正の流れの中で、取引士の登録に係る欠格要件に暴力団員等が盛り込まれ、該当すると登録できない点が示されています。

さらに、取引士が暴力団員等に該当するときは、登録を消除しなければならない(消除事由)とされます。現場の感覚としては「個人の問題」になりがちですが、取引士は重要事項説明や契約実務の要ですから、登録消除はそのまま店舗運営・人員配置・コンプライアンスの問題に直結します。

ここでの盲点は、反社排除を“採用時の一回限り”で終わらせると運用が破綻する点です。暴対法の文脈では「暴力団員でなくなった日から5年」も規律対象に入るため、退職・復職・外部委託・紹介業者経由の人材など、変動点ごとに確認ポイントを設けないと取りこぼします。

実務対応としては、例えば以下が現実的です。

  • 👤 取引士の登録番号・更新・講習履歴を台帳化し、人事の異動とセットで点検する
  • 🔒 重要事項説明書や契約書の最終承認者を固定せず、複数名で牽制できるワークフローにする
  • 📚 暴対法の「暴力的要求行為」類型を、ロールプレイで定期研修(断り方・通報基準)に落とす

暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律 宅建業 適用の独自視点:取引拒否より「記録設計」

検索上位の記事は「暴力団排除条項を入れよう」「反社チェックしよう」に寄りがちですが、現場で差が出るのは“記録設計”です。暴対法は、公安委員会による命令や援助、事業者への助言など、行政的な介入・支援が想定された仕組みである以上、相談・通報・社内判断が「後から追える」形になっているかが重要になります。

例えば、暴力団側の典型手口として「名義は一般人、実質は暴力団」という迂回があります。宅建業法側の欠格要件には「暴力団員等がその事業活動を支配する者」という“実質”を拾う概念があるため、現場メモ(誰が主導していたか、意思決定者は誰か、資金の出所の違和感、同席者、言動のパターン)が、のちに説明力を持ちます。

記録設計のポイントは、“証拠化”ではなく“業務メモの標準化”です。裁判を前提に難しい文章を書くより、社内で共通フォーマットを持つほうが継続し、結果として会社を守ります。

  • 🧾 面談記録テンプレ:日時/場所/同席者/要望/断り文句/相手反応/次アクション
  • 📞 受電記録テンプレ:名乗り/用件/要求の具体性/威力の示し方(団体名・関係誇示等)/録音有無
  • 🧩 兆候チェック:第三者が常に前面に立つ、契約内容を急がせる、解除条項を嫌がる、支払い経路が不自然

そして、いざ“不当要求”に近い態様が出たとき、暴対法の枠組みでは公安委員会による措置・命令という選択肢が存在します。ここで会社側が「いつから・どんな要求が・どんな言動で」継続していたかを説明できると、外部機関への相談も進めやすく、現場の孤立を防げます。

参考:暴対法の「事業者への援助」「事業者の責務」など、平時の体制整備に使える条文を確認

https://elaws.jp/view/403AC0000000077

元暴力団員が語る-裏社会の真実