警戒区域 重要事項説明 記載
警戒区域の重要事項説明で記載が必要な範囲
土砂災害防止法の「土砂災害警戒区域」は、急傾斜地の崩壊・土石流・地すべり等により、住民の生命または身体に危害が生じるおそれがある区域として、都道府県知事が指定するものです。
この警戒区域(いわゆるイエローゾーン)に該当する宅地・建物の取引では、「警戒区域内である旨」を重要事項説明として説明することが位置づけられています。
実務で迷いやすいのは「敷地の一部がかかる」「接道や擁壁だけがかかる」ケースですが、トラブル予防の観点では、境界と重なりの状況(全部・一部)を資料で示し、書面の記載も“部分該当”が分かる表現に寄せるのが安全です(買主・借主が“区域内と知らなかった”状態を避けるため)。
- 確認する対象:宅地(敷地)だけでなく、建物の所在地も含めて照合する。
- 該当判断:自治体公開の指定図で、地番図・公図・住宅地図と突合する。
- 記載の粒度:全面該当/一部該当、該当する災害種別(急傾斜・土石流・地すべり)も分かると説明が短く済む。
参考:土砂災害警戒区域・特別警戒区域(イエロー/レッド)の定義や、警戒区域での「宅地建物取引における措置」の根拠がまとまっています。
警戒区域の重要事項説明で記載する文言と資料の整え方
重説は「説明した」だけでは足りず、後日の紛争では“どう説明したか”が争点になりやすいので、第三者が読んで再現できる資料の形にしておくのが肝です。
土砂災害警戒区域については、国交省資料でも「警戒区域内である旨について重要事項の説明を行うことが義務づけられている」と整理されており、記載(書面化)とセットで考えるのが自然です。
また、同じ「ハザード情報」でも、水害は“ハザードマップ上の物件所在地を提示して示す”という運用が国交省の改正説明で明確化されているため、土砂災害でも同様に「地図を提示して位置を示す」型に寄せると、説明の品質が揃います。
- 書面(35条書面)側:土砂災害警戒区域内(全部/一部)である旨を明記する。
- 添付・提示資料:自治体の指定図(最新版)を印刷し、物件位置にマーキングする(保存用も作る)。
- 口頭説明の骨子:①区域の意味(避難体制の整備対象)②区域種別(黄/赤)③買主・借主が取れる行動(避難所確認等)だけに絞る。
警戒区域と特別警戒区域の重要事項説明での違い
土砂災害防止法では、警戒区域(イエローゾーン)に加えて、建築物に損壊が生じ住民に著しい危害が生じるおそれがある区域として「土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)」が定義され、より強い規制がかかります。
特別警戒区域では、特定開発行為に対する許可制や、建築物の構造規制(都市計画区域外でも建築確認の対象になり得る)などが整理されており、単に「区域内です」で終えると、重要な制限の説明不足になりやすい点が要注意です。
国交省資料でも、特別警戒区域については宅地建物取引における措置(広告・契約の前提や、許可を受けた開発に関する説明)が別立てで書かれているため、イエローと同じテンプレ文言の使い回しは避け、該当する“規制の筋”を短く添える設計が実務向きです。
- イエロー:危険の周知・警戒避難体制の整備が中心(ただし取引では「区域内である旨」の説明が必要)。
- レッド:開発許可・構造規制など「建築・開発に直結する制限」が前面に出る。
- 記載の工夫:レッドは“特別警戒区域”と明示し、買主の意思決定に影響する追加情報(例:建築確認・構造基準の話題)へ自然につなぐ。
警戒区域の重要事項説明で多いミスとクレーム火種
現場で多い失敗は、「指定図の確認が古い」「口頭で触れたが書面に残っていない」「区域外だから安全と誤認させる説明」など、後から検証できない説明に寄ることです。
水害リスク情報について国交省は、浸水想定区域に該当しないことをもって“水害リスクがないと誤認”させないよう配慮する点を明示しており、災害リスク説明の共通原則として非常に示唆的です。
土砂災害でも同じで、「警戒区域=必ず災害が起きる」でも「区域外=安全」でもないため、断定を避けつつ“区域指定の意味(避難体制・周知)”に着地させると、説明が過不足なくまとまります。
- ミス例:最新図面の未確認(指定が更新されていた、境界が動いていた)。
- ミス例:重要事項説明書に未記載(口頭説明のみで記録が残らない)。
- 火種:買主がローン審査・保険・将来売却で不利と感じ「聞いていない」となる。
- 火種:レッドゾーンの規制を“生活上の注意”程度に矮小化してしまう。
警戒区域の重要事項説明を強くする独自視点:地図の「同定手順」を残す
検索上位の解説は「区域内なら説明」までで止まりがちですが、実務で強いのは“どうやって区域該当を判定したか”という同定手順のログ化です(監査・事故対応で効きます)。
土砂災害防止法の運用は都道府県の基礎調査と指定に基づくため、同じ市内でも公開方法(PDF図、GIS、窓口閲覧)や更新頻度が異なり、担当者交代や後日の問合せで再現できないと痛手になります。
そこで、重要事項説明書そのものに長文を足すのではなく、「調査日」「参照した資料名(版)」「URLまたは窓口名」「物件特定に用いた地番・住居表示」を社内控えとして統一様式で保存すると、説明の信頼性が一段上がります。
- 同定の基本セット:地番(登記)+住居表示(現地)+地図上の座標(GISがあれば)を揃える。
- 保存物:指定図の該当ページ、物件位置マーキング、凡例、発行元と更新日が写る部分。
- 運用:媒介・売主・管理のどの立場でも「説明責任の所在」がぶれないよう、社内チェック項目化する。

