預り金の保管 義務 と 返還 保全 措置

預り金の保管 義務

預り金の保管 義務:実務で迷う点を先に整理
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まず「返還義務」が強い

申込みの撤回段階なら、宅建業者は受領した預り金を返還しなければならない(宅建業法47条の2第3項)ため、保管・移動・費消のルール設計が最重要。

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書面運用が事故を減らす

預り証・領収書の名目や文言がズレると、説明義務違反・公正阻害の指摘につながりやすいので、テンプレ整備が有効。

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保全措置は「説明」とセット

支払金・預り金の保全措置は重要事項説明(35条)で扱われ、必要な場面では「講ずるか・内容」を説明できる体制が必要。

預り金の保管 義務 と 宅建業法47条の2第3項の返還

 

不動産実務でいちばん致命傷になりやすいのは、「預り金を受け取ったのに返せない状態を作ってしまう」ことです。宅建業法では、相手方が申込みを撤回した場合、宅建業者は受領した預り金を返還しなければならないと規定されています(47条の2第3項)。

つまり、申込み段階(契約成立前)の金銭は、社内の感覚として“もう売上に近い”ではなく、“いつでも全額返せる資金”として扱うのが原則です。

実務で起きがちな事故パターンは次の通りです。

  • 申込金を受領後、広告費・交通費・人件費などの「実費」に充当してしまい、撤回時に返せなくなる。
  • 申込金をそのまま貸主・売主へ送金してしまい、撤回後に「戻ってこない」状態になる。
  • 返すべき主体(媒介業者・管理会社・貸主)を曖昧にしたまま預かり、責任の押し付け合いになる。

特に賃貸の申込みでは、重要事項説明前に敷金等を振り込ませる運用が残っている現場もありますが、少なくとも“申込み段階なら違約金は発生しない扱いになり得る”こと、そして“預かった金銭は全額返還が必要になり得る”ことを前提に、社内規程・トーク・帳票を統一しておくのが安全です。iqrafudosan+1​

参考:申込み撤回時の返還義務(宅建業法47条の2第3項)の根拠と考え方

不動産適正取引推進機構Q&A(契約成立前は預り金返還が必要)

預り金の保管 義務 と 重要事項説明 の 保全措置

「保管義務」という言葉だけで語ると、金庫・口座・分別管理の話に寄りがちです。ところが宅建実務では、資金の置き場以前に、“説明できる状態”の整備が事故を減らします。重要事項説明(35条)には、支払金または預り金について、保全措置を講ずるかどうか、講ずる場合の機関や内容を記載・説明する趣旨の整理がされています。

ここで重要なのは、保全措置の有無そのものよりも、顧客が「このお金はどこに行き、どんな条件で戻り、いつ返してもらえるのか」を理解できるかです。

参考)宅建業法35条の重要事項説明をわかりやすく解説|宅建試験対策…

現場の防衛線としては、少なくとも次を“口頭だけでなく書面で”揃えておくと強いです。

  • 預り金の名目(申込金/申込証拠金/預り金 等)
  • 充当の可否(賃料・敷金・手付金等へ充当するのか、しないのか)
  • 返還条件(申込み撤回/否決/期限経過/契約成立 等)
  • 返還期日と返還方法(銀行振込/現金、何営業日以内 等)

「保全措置=保険や保証の話」と決めつけず、説明責任と一体で設計するのが、現場での“保管義務の実装”です。

預り金の保管 義務 と 預り証・領収書 の 実務

預り金トラブルは、返還そのものより「名目のズレ」から炎上することがあります。たとえば契約前に授受した金銭なのに、領収書の名目を“手付金”“媒介手数料”のように強い既成事実を想起させる表記に寄せると、のちの紛争局面で説明整合性が崩れます(顧客は“もう契約が固い金”と受け取りやすい)。

預り証・領収書の運用で押さえるポイントは次です。

  • 「契約成立前の預り」であることを明記(申込み撤回時は返還する旨もセットにする)。retio+1​
  • 受領日・金額・受領者(会社名)・物件表示・授受目的を固定フォーマット化する。
  • 現金授受は二重チェック(担当+責任者)とし、入金当日に専用口座へ入れるルールにする。
  • クレームを生む表現(“キャンセル料として控除”など)をテンプレから排除する(申込み段階では特に危険)。iqrafudosan+1​

また「預り金は貸主に渡すべき金銭だから、預かったままは不適切」という行政側の注意喚起もあり、現場では“いつ誰に送金するか”より“撤回時に必ず返せるか”を優先して運用設計する必要があります。

参考)お金を払った後にキャンセルしたいが、お金は返金される?/大阪…

参考:申込み段階の返還・違約金の考え方(実務の争点が整理されている)

大阪府:預り金の返還拒否が47条の2第3項違反となり得る事例

預り金の保管 義務 と 返還 トラブル 事例

返還トラブルの典型は「撤回なのか、契約成立後の解約なのか」が曖昧なまま、金銭授受だけが先行するケースです。推進機構の整理でも、重要事項説明未実施なら“申込み段階”と考えられ、申込み撤回で違約金は発生せず、預かった敷金等は全額返還が必要という方向で説明されています。

現場での“火種”は、次の境界線に集まります。

  • 重要事項説明の実施有無(いつ、誰が、どの書面で説明したか)。

    参考)「支払金または預り金の保全措置の概要」とはなにか

  • 契約書への押印・承諾の有無(借主だけ押した、貸主の承諾が未了等)。​
  • 申込書・預り証に「撤回可能」「返還条件」が明記されているか。

さらに厄介なのは、担当者が善意で「貸主に渡した」「鍵交換を手配した」「募集を止めた」などの事情を述べても、申込み撤回段階では“返還が原則”として処理され得る点です。pref.osaka+1​

だからこそ、預り金は「返還の原資が社内に残る形」で保管し、送金や費消は“契約成立の確定後”に行う、という順番を徹底するのが実務的な防御になります。

預り金の保管 義務 と 分別管理 の 独自視点

検索上位の解説は「返還義務」や「保全措置」に集中しがちですが、現場の事故は“経理オペレーション”から起きます。そこで独自視点として、分別管理を「法令対応」ではなく「障害設計」として捉えると、社内運用が強くなります。

おすすめは、預り金を“勘定科目”で分けるだけでなく、“口座・承認・ログ”で分ける方法です。

  • 預り金専用口座を用意し、原則そこから動かさない(動かすなら責任者承認+理由をチケット化)。
  • 返還の標準SLA(例:撤回受付から2営業日以内振込)を社内ルールにし、遅延は自動でアラート。
  • 送金(貸主・売主への移動)は「契約成立の証跡(押印済契約書PDF+重要事項説明書PDF)」が揃って初めて実行できるようにする。
  • 現金預かりを極小化し、どうしても現金なら“当日入金・当日記帳・当日照合”を必須にする。

この設計のメリットは、担当者が不在でも「返還義務がある金銭」を組織として返せる点です。宅建業法47条の2第3項の趣旨(申込み撤回時は返還)に、業務プロセスで確実に追随できるため、顧客対応だけでなく監督リスクも下げられます。retio+1​

また、顧客説明の場面では「預り金は、契約成立前はいつでも返還できる形で保管し、撤回があれば返す」という一文を、預り証・申込書・メールの三点に同じ表現で載せると、後日の齟齬が劇的に減ります。


富士印 ゴム印 科目印 「源泉税預り金」 52-420