s造耐用年数の基礎
鉄骨厚を間違えると年間160万円も償却費が減ります。
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s造の法定耐用年数は鉄骨厚で決まる
s造(鉄骨造)の法定耐用年数は、骨格材となる鉄骨の厚さによって3つに分類されます。この区分は減価償却費の計算に直結するため、不動産業務では必須の知識です。
参考)鉄骨造の耐用年数は?減価償却の計算方法や法定耐用年数との違い…
具体的な区分は以下の通りです。
| 鉄骨の厚さ | 法定耐用年数(住宅用) |
|---|---|
| 3mm以下 | 19年 |
| 3mm超4mm以下 | 27年 |
| 4mm超 | 34年 |
鉄骨の厚さ1mmの違いで、耐用年数が8年も変わるということですね。
参考)鉄骨造の耐用年数って?超えてしまった場合の対策や注意点につい…
この法定耐用年数は、固定資産の減価償却費を計算するために国が定めた年数です。建物の取得価格を、この年数で割って毎年経費計上していきます。例えば取得価格5000万円の重量鉄骨造(4mm超)賃貸住宅の場合、耐用年数34年で償却率0.03となり、年間150万円を減価償却費として計上できます。
参考)鉄骨造の耐用年数はどれくらい?課税額と資産価値の視点で見る建…
注意すべき点は、鉄骨造を軽量鉄骨造と重量鉄骨造に分ける基準(6mm)と、法定耐用年数を決める基準(3mm、4mm)が異なることです。軽量鉄骨造でも鉄骨厚4mm超なら耐用年数は34年になります。
参考)LIFE BATON
s造の用途別耐用年数の違い
同じs造でも、建物の用途によって法定耐用年数は変わります。住宅用だけでなく、事務所用や店舗用など、不動産の使われ方で税務上の扱いが異なるのです。
主な用途別の耐用年数は以下の通りです。
| 構造 | 事務所用 | 住宅用 | 店舗用 | 飲食店用 |
|---|---|---|---|---|
| 鉄骨厚3mm以下 | 22年 | 19年 | 19年 | 19年 |
| 鉄骨厚3mm超4mm以下 | 30年 | 27年 | 25年 | 24年 |
| 鉄骨厚4mm超 | 38年 | 34年 | 31年 | 31年 |
事務所用は住宅用より4~6年長く設定されています。
参考)鉄骨造の耐用年数とは?実際の寿命と法定耐用年数の違いを解説│…
これは、同じ建物でも用途転用した場合、適用する耐用年数を変更する必要があることを意味します。例えば、住宅用として27年で償却していた軽量鉄骨造(3mm超4mm以下)を事務所に転用した場合、残存期間の計算に30年の耐用年数を使うべきか確認が必要です。
建物を購入・賃貸する際は、図面や建築確認申請書で鉄骨の厚さと用途を確認し、正しい耐用年数を把握することが重要です。構造が「鉄骨造」とだけ記載されていても、厚さが不明では正確な償却計算ができません。
s造の中古物件における耐用年数計算方法
中古のs造物件を取得した場合、新築時の法定耐用年数をそのまま使うわけではありません。経過年数に応じて、残存耐用年数を計算し直す必要があります。
参考)不動産投資シミュレーションに必要な減価償却計算の基本。中古物…
中古物件の耐用年数は2つの方法で算出します。
簡便法による計算式
- 法定耐用年数の一部経過:(耐用年数 – 経過年数)+ 経過年数 × 20%
- 法定耐用年数を全部経過:法定耐用年数 × 20%
具体例で見てみましょう。
鉄骨厚3mm超4mm以下(法定耐用年数27年)の住宅用建物を、築15年で取得した場合の計算は次の通りです。
(27年 – 15年)+ 15年 × 20% = 12年 + 3年 = 15年
つまり、この中古物件の耐用年数は15年になります。
法定耐用年数を全部経過した物件の場合、さらに短くなります。例えば鉄骨厚3mm以下(法定耐用年数19年)の事務所を築25年で取得した場合、19年 × 20% = 3.8年となり、端数切り捨てで3年が耐用年数です。
中古物件では、築年数が古いほど短期間で減価償却できるため、初期の節税効果が大きくなるメリットがあります。ただし、物件の実際の使用可能期間とは別問題です。
s造の法定耐用年数と物理的耐用年数の違い
法定耐用年数と建物が実際に使える期間(物理的耐用年数)は全く別の概念です。この違いを理解していないと、顧客への説明で誤解を招きます。
法定耐用年数は税務上の減価償却計算のための年数で、国が一律に定めたものです。
建物が使えなくなる年数ではありません。
参考)鉄骨造(S造)とは?耐用年数や建物構造の種類による違いを解説…
物理的耐用年数は建物が実際に使用できる期間を指します。s造の物理的耐用年数は50~60年程度が目安とされており、適切なメンテナンスを行えば法定耐用年数を大きく超えて使用可能です。
参考)鉄骨造(S造)とは? 耐用年数や防音性は? 軽量鉄骨造・重量…
比較表で見ると違いは明確です。
| 構造 | 法定耐用年数(住宅用) | 物理的耐用年数の目安 |
|---|---|---|
| 木造 | 22年 | 40~50年 |
| s造(軽量鉄骨) | 27年 | 60~70年 |
| s造(重量鉄骨) | 34年 | 60~70年 |
| RC造・SRC造 | 47年 | 100年以上 |
実は、RC造の法定耐用年数は平成10年の税制改正で60年から47年に13年も短縮されています。これは建物の寿命が変わったのではなく、税制上の都合による変更です。
つまり、法定耐用年数34年のs造でも、適切に管理すれば60年以上使えるということですね。
参考)鉄骨造の耐用年数は34年?60年?経営に活かせる基礎知識を解…
顧客に「耐用年数が過ぎたら建物は使えなくなる」と誤解されないよう、この2つの違いを明確に説明することが不動産従事者の役割です。特に中古物件の販売・仲介では、法定耐用年数超過物件でも減価償却は可能で、建物としても十分使用できることを伝える必要があります。
s造の鉄骨厚判別方法と確認の重要性
s造の正確な耐用年数を知るには、鉄骨の厚さを確認することが不可欠です。しかし、完成した建物から鉄骨厚を判別するのは容易ではありません。
参考)https://canaris.jp/post-921/
最も確実な方法は、建築時の図面や構造計算書を確認することです。これらの書類には使用された鋼材の仕様が記載されています。売買契約時や物件調査時に、以下の書類を入手しましょう。
📄 確認すべき書類
- 建築確認申請書(構造図を含む)
- 構造計算書
- 施工図面
- 建築時の仕様書
書類が残っていない場合、目視で確認できる鉄骨部分の厚みを実測する方法もあります。ただし、税務調査で問題になる可能性があるため、不確実な場合は専門家に相談すべきです。
大手ハウスメーカーの物件であれば、メーカーに問い合わせることで鉄骨厚の情報を得られる場合があります。例えば積水ハウスなどの軽量鉄骨造住宅は、メーカーが使用している標準的な鉄骨厚の情報を保有しています。
参考)税理士ドットコム – [減価償却]償却計算(耐用年数の誤り)…
耐用年数を間違えると重大な影響があります。
例えば取得価格1億円の建物で、本来は軽量鉄骨27年なのに誤って鉄筋コンクリート47年で計算した場合、年間の償却費は以下のようになります。
- 正しい償却費(27年):年間380万円
- 誤った償却費(47年):年間220万円
- 差額:年間160万円
個人の場合、償却は強制償却のため、誤った金額で計上した差額は後から取り戻せません。法人なら限度額以内なので後で調整可能ですが、個人事業主や個人の不動産所得では致命的な損失になります。
物件取得時に鉄骨厚を確認し、正確な耐用年数で減価償却を開始することが不動産従事者の重要な役割です。不明な場合は、税理士や建築士に確認してから申告することをお勧めします。
上記の国税庁公式資料では、建物の構造別・用途別の法定耐用年数が一覧表で確認できます。s造の耐用年数判断の際、鉄骨厚と用途の組み合わせを確認する公式参考資料として活用できます。

