かしとは瑕疵の意味と種類
買主も宅建業者なら瑕疵担保責任を免責できます
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かしの意味と不動産取引での使われ方
「かし」とは漢字で「瑕疵」と書き、不動産における欠陥や不具合を意味する法律用語です。土地や建物が本来あるべき性質(品質)を欠いている状態を指します。
参考)瑕疵とは?不動産売買の責任について|暮らしガイド|長谷工の住…
不動産取引では、雨漏り、シロアリ被害、給排水管の故障といった物理的な問題から、過去の事件・事故による心理的な問題まで、幅広い欠陥が瑕疵に該当します。2020年4月の民法改正以降、法律上は「瑕疵」という文言は使われなくなり、「契約の内容に適合しないもの」という表現に変わりましたが、現場では今も「瑕疵」という言葉が広く使われています。
参考)不動産でよく聞く「瑕疵」(かし)とはなにか、その対処法とは …
つまり瑕疵は不動産の価値や使用に影響する欠陥の総称です。
参考)【ホームズ】瑕疵とは?瑕疵の意味を調べる|不動産用語集
かしの4つの種類と具体例
不動産の瑕疵は大きく4種類に分類されます。
参考)https://www.otc.or.jp/page/mmg/m1105_s51.html
物理的瑕疵
建物や土地そのものに存在する物理的な欠陥です。雨漏り、シロアリ被害、基礎部分のひび割れ、給排水管の故障、耐震強度の不足、土壌汚染、地中障害物の存在などが該当します。
心理的瑕疵
物件内で発生した自殺、殺人、一定期間放置された孤独死、火災など、住む人に心理的抵抗や嫌悪感を与える出来事です。
一般的に「事故物件」と呼ばれます。
参考)賃貸物件における「瑕疵物件」とは?物理的瑕疵と心理的瑕疵の違…
法律的瑕疵
法令により物件の自由な使用収益が阻害されている状態です。建築制限が課されている土地、登記簿上の所有者と実際の売主が異なる、抵当権が抹消されていない、相続登記が未了で複数の相続人が権利を主張しているなどのケースが挙げられます。
環境瑕疵
物件自体には問題がないものの、近隣からの騒音・振動・異臭・日照障害、近くに暴力団事務所があるなど、周辺環境に問題がある場合です。
これら4種類が基本です。
かしと契約不適合責任との違い
2020年4月の民法改正により、「瑕疵担保責任」は「契約不適合責任」に変わりました。
参考)瑕疵担保責任はどう変わった?契約不適合責任に基づく請求に帰責…
改正前の瑕疵担保責任では、売主は「隠れた瑕疵」についてのみ責任を負い、買主は損害賠償請求と契約解除しかできませんでした。また特定物(その物の個性に着目して指定した物)に限定され、瑕疵は契約締結時までに生じたものに限られていました。
契約不適合責任では、「契約の内容に適合しないもの」であれば対象となり、特定物・不特定物を問わず適用されます。買主は追完請求権(瑕疵の修補を求める権利)、代金減額請求権、損害賠償請求権、契約解除権の4つの権利を行使できるようになりました。
参考)瑕疵担保責任から契約不適合責任へ! 民法改正の影響とポイント…
売主の責任範囲も変わりました。改正前は売主が無過失でも責任を負いましたが、改正後は「債務者の責めに帰することができない事由」が存在すれば責任を免れることができます。
参考)民法改正~瑕疵担保責任と契約不適合責任の違い~|コラム|国際…
結論は買主の保護が強化されたということです。
かしを知らないと起こるトラブル事例
瑕疵に関するトラブルは引渡し後に発覚することが多く、契約解除や損害賠償に発展するケースが少なくありません。
参考)不動産の瑕疵とは?主な種類やトラブル事例・契約不適合責任につ…
実際の裁判例では、睡眠薬自殺があった事業用賃貸不動産について、心理的瑕疵として認められたものの極めて軽微な瑕疵とされ、売買代金額の1パーセントの損害賠償が認められた事例があります。このように心理的瑕疵の判断に明確な基準はなく、状況に応じて判断されます。
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/b1fc2b4026fdcfc5afb5ae2deb760449aa9560d9
物理的瑕疵では、雨漏りやシロアリ被害を告知せずに売却し、買主から修補費用や損害賠償を請求されるケースが典型的です。新築住宅の場合、構造耐力上主要な部分や雨水の浸入を防止する部分については、住宅品質確保法により引渡しから10年間の瑕疵担保責任を売主が負います。
参考)瑕疵担保責任とは?不動産売買前に知りたい情報を解説|三井のリ…
法律的瑕疵では、抵当権が抹消されていないまま売買が進められ、後から第三者が権利を主張してトラブルになる事例もあります。
厳しいですね。
かし担保責任の期間と免責特約の注意点
瑕疵担保責任を請求できる期間は、民法上は買主が瑕疵を知った時から1年が原則です。ただし宅地建物取引業法40条1項により、業者が売主の場合は物件の引渡しから2年以上とすることが義務付けられており、実際の売買契約書では引渡しから2年となっている場合が多いです。
新築住宅の場合は特別な保護があります。住宅品質確保法により、構造耐力上主要な部分(基礎、壁、柱など)と雨水の浸入を防止する部分(屋根、外壁など)については、引渡しから10年間の瑕疵担保責任が義務付けられています。この期間は売主と買主の特約により20年以内まで延長できます。
免責特約についても注意が必要です。売主が宅建業者で買主が一般消費者の場合、宅建業法により買主に不利な特約は無効となります。ただし売主も買主も宅建業者である場合は、この規定の適用が除外され、契約不適合責任を免責したり制限したりする特約は有効となります。
10年間は長い期間です。
国土交通省の公式資料「瑕疵担保責任について」では、民法改正前後の瑕疵担保責任と契約不適合責任の詳細な比較表が掲載されており、実務での適用範囲を理解する参考になります
大阪府宅地建物取引業協会の「不動産取引における瑕疵担保責任③-物理的瑕疵-」では、弁護士による実務的な解説と裁判例の分析が詳しく紹介されています
| 種類 | 具体例 | 告知義務 |
|---|---|---|
| 物理的瑕疵 | 雨漏り、シロアリ被害、給排水管故障、土壌汚染、地中障害物 | あり |
| 心理的瑕疵 | 自殺、他殺、孤独死、火災 | ケースに応じて判断 |
| 法律的瑕疵 | 建築制限、抵当権未抹消、相続登記未了、第三者の利用権 | あり |
| 環境瑕疵 | 騒音、振動、異臭、日照障害、暴力団事務所 | 重大なものはあり |
不動産取引において瑕疵の理解は不可欠です。売主は事前の調査と適切な告知、買主は契約前の十分な確認が、トラブル回避の鍵となります。

