家じまい手順
相続登記せずに家じまいを進めると10万円の過料が発生します。
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家じまいの基本的な流れと準備
家じまいとは、親が施設に入居したり亡くなったりした際に、実家を処分・整理することを指します。不動産従事者として、クライアントに適切なアドバイスをするには、全体の流れを把握しておくことが不可欠です。
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家じまいは大きく4つのステップで構成されます。
参考)実家じまいとは?今すぐ始めるべき「やることリスト」と手順を解…
- 家族・兄弟との方針共有:誰が主導するか、売却・賃貸・解体のどの方向性をとるかを話し合う
- 家の中の片づけ:家財道具の整理・処分を行う
- 不動産の現状確認:登記情報や境界、建物の状態をチェックする
- 処分や活用の手続き:売却・賃貸・解体いずれかの方法で実行する
家じまいは思った以上に時間がかかります。一般的に約3ヶ月~半年が平均的な期間ですが、荷物の量や処分方法によっては年単位の長期戦になるケースもあります。期間が長いほど管理コストが膨らむため、早期の計画立案が重要です。
参考)家じまい・墓じまい・実家じまいの手順とは?掛かる期間や費用は…
スケジュールを立てる際は、各手続きの期限を意識してください。いつまでに何をしなければならないのかを明確にし、計画的に進めることでトラブルを回避できます。
家じまいにおける相続登記の義務化と期限
2024年4月から相続登記が義務化されました。相続を知った日から3年以内に登記申請が必須となり、正当な理由なく期限を過ぎた場合は10万円以下の過料が科せられます。これは不動産従事者として、クライアントに必ず伝えるべき情報です。
参考)【フローチャート】相続した後の「実家じまい」の手順 名義変更…
過料が科せられる前に対応が必要ですね。
相続登記をしないまま放置すると、売却や活用ができず、建物の老朽化だけが進んでしまいます。また、賃貸活用や大規模リフォームの際にも、所有者であることを証明できないため支障をきたします。不動産の有効活用を考えるなら、相続登記は最優先事項です。
参考)相続した家の名義変更をしないとどうなる?近年の法改正を踏まえ…
遺産分割協議が難航している場合などは「相続人申告登記」という簡易な手続により、処罰を回避することも可能です。この制度を知っているかどうかで、クライアントの負担は大きく変わります。司法書士などの専門家と連携し、状況に応じた最適な方法を提案しましょう。
名義変更には、被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本などが必要です。手続きには時間がかかるため、早めの準備を促すことが大切です。登記申請書の作成から登記完了までは約2~3週間かかり、司法書士への報酬は10万円前後が相場となっています。
参考)実家じまいの手順完全ガイド|プロが教える段取りと費用相場
家じまいの費用相場と内訳
家じまいには様々な費用がかかります。事前に費用の全体像を把握しておくことで、クライアントに正確な見積もりを提示できます。
主な費用項目は以下の通りです。
参考)実家じまいとは?いつから始めるべき?費用・手続き・注意点のす…
| 項目 | 費用相場 | 備考 |
|---|---|---|
| 荷物整理(業者依頼) | 10~60万円 | 荷物の量により変動 |
| 引っ越し業者 | 約10万円 | 転居先への移動費用 |
| 解体作業(30坪木造) | 120~150万円 | 坪単価4~5万円 |
| 解体作業(30坪鉄骨) | 180万円~ | 坪単価6万円~
参考)空き家の“解体する or しない”で売却価格はどう変わる? … |
| 仲介手数料(400万円超) | 売却価格×3%+6万円 | 法律で上限が定められている |
| 測量 | 約20万円 | 境界確定が必要な場合 |
| 相続登記(司法書士) | 約10万円 | 登記申請書作成を含む |
解体費用は構造によって大きく異なりますね。
解体費用は建物以外にも塀や植栽、庭石などの処分費用がプラスされるケースがあります。30坪の木造住宅であれば、120~150万円程度が相場となりますが、立地条件や周辺環境によって変動することを説明しましょう。
参考)実家じまいの相談で失敗しない!相談先選び・処分方法・費用を解…
売却時の仲介手数料には特例があります。売買価格が800万円以下の空き家の場合、特例により仲介手数料の上限が最大33万円(税込)となる場合があります。この特例を活用することで、クライアントの負担を軽減できます。
解体せずに現状のまま売却すれば、100万円以上の出費を抑えられます。さらに「住宅用地の特例」による固定資産税の軽減措置も維持され、売却までのコストも抑えられるのがメリットです。解体するかしないかの判断は、買い手の需要と費用対効果を考慮して決めるべきです。
参考)家を解体する費用相場(30・40・50坪)と失敗しない業者選…
家じまいの売却・解体・賃貸の選択基準
家じまいの方法には売却、解体、賃貸の3つの選択肢があります。それぞれの特徴を理解し、クライアントの状況に合わせた提案をすることが不動産従事者の役割です。
参考)家じまいの際の片付けの手順・注意点も解説|空き家活用.net
売却は最も一般的な方法です。不動産会社に売却の仲介を依頼し、査定した後に売却金額を決定します。
売却までの流れは以下の通りです。
参考)「家じまい」ってどうやる?始める時期やかかる費用・方法や流れ…
- 不動産会社に査定依頼
- 媒介契約を結んで売却活動開始
- 買主と交渉して取引
査定は複数社に依頼するのが基本です。
不動産会社選びに失敗すると、損をしてしまう可能性があるため、優良の不動産会社に相談することが重要です。査定価格だけでなく、会社の実績や担当者の対応力も判断材料にしましょう。
解体を選ぶ場合、更地にすることで売却しやすくなる一方、デメリットもあります。解体費用が概ね百万円単位で発生し、税の優遇措置が外れるため、翌年の固定資産税等の負担が増えます。また、解体工事の期間が加わるため、売却までの期間が長くなって遅れることがあります。
賃貸は、家を保有したまま収入を得られる方法です。ただし、建物の維持管理費用や修繕費用が継続的にかかるため、収支計算をしっかり行う必要があります。賃貸需要が見込めるエリアかどうかの判断も欠かせません。
老朽化が進み倒壊の恐れがある家は、行政から「特定空家」に指定され、例外的に解体できる場合があります。「空家等対策特別措置法」に基づき、特定空家に該当すると判断されれば、相続登記前でも解体が認められるケースがあります。
参考)【2025年最新】相続せずに解体はできる?実家の解体費用・名…
家じまいにおける業者選びのポイント
家じまいには、遺品整理業者、不用品回収業者、解体業者など、様々な業者が関わります。信頼できる業者を選ぶことが、トラブル回避の鍵となります。
参考)実家じまいで後悔しない業者の選び方とは?料金相場・トラブル回…
遺品整理業者と不用品回収業者の使い分けが重要です。仏壇や写真など思い出の品が多いなら、供養や仕分けに慣れた遺品整理業者がおすすめです。一方、家具や家電の処分がメインで、処理量が多い場合は不用品回収業者が効率的です。
優良業者を見極める7つのチェックポイントは以下の通りです。
- ✅ 業者の実績と対応件数
- ✅ 遺品整理士などの有資格者が在籍しているか
- ✅ 一般廃棄物収集運搬許可を保有しているか
- ✅ 口コミ・評判・紹介実績の有無
- ✅ 見積もり内容が明確か(内訳・追加料金)
- ✅ 契約書の内容が丁寧に説明されるか
- ✅ 買取・リサイクル対応やアフターフォローの充実度
一般廃棄物収集運搬許可は必須です。
許可を持たない業者に依頼すると、不法投棄などのトラブルに巻き込まれる可能性があります。業者のホームページで許可証が開示されているか、会社の所在地がしっかりしているかを確認しましょう。
悪徳業者の特徴も知っておく必要があります。「業界最安値」といった謳い文句や、極端に安い見積もりを提示してくる業者には要注意です。作業後に「想定外の費用」と称して高額な追加料金を請求されたり、回収した家財を不法投棄されたりするケースが後を絶ちません。
解体業者を選ぶ際も同様の注意が必要です。契約書を交わさずに口約束だけで依頼を引き受けた後、途中で姿を消してしまう業者や、さまざまな理由をつけて見積もり金額よりも高い料金を解体後に請求してくる業者もいます。
見積もりは複数社から取り、内訳を比較することが基本です。明確な見積り金額を出してくれるか、追加料金の発生条件が明記されているかを確認してください。ホームページ上で顔出ししている業者や、Googleの口コミが良い業者を選ぶと安心です。
特定空き家指定のリスクと対処法
家じまいを先延ばしにすると、特定空き家に指定されるリスクがあります。特定空き家とは、以下の4つの状態に該当する空き家のことです。
参考)特定空き家とは?判断基準やリスク、対処方法まで詳しく解説
- 倒壊など保安上危険となる恐れのある状態
- 衛生上有害となる恐れのある状態(ごみ・害虫・害獣・悪臭など)
- 適切な管理が行われず、景観を損なっている状態
- 周辺の生活環境を保全するために空き家の放置が不適切である状態
特定空き家に指定されると、固定資産税が最大6倍になります。さらに市町村から改善の助言・指導・勧告・命令を受け、所有者が従わない場合は、50万円以下の過料や行政による強制撤去(行政代執行)もあり得ます。
厳しい措置ですね。
手入れされず老朽化した指定空き家は、不動産市場での評価が低いため売却が非常に困難になります。特定空き家のごみの不法投棄や害虫、悪臭などはイメージが悪く、買い手にとって魅力的な物件とはいえません。
特定空き家指定を避けるには、定期的な管理が不可欠です。建物の老朽化を防ぐための点検や、庭の草刈り、ごみの撤去などを定期的に行うことで、近隣住民の生活に悪影響を与えない状態を保てます。
すでに特定空き家に指定された場合の対処法は3つあります。
- 改善工事を実施する:倒壊の危険性を取り除く修繕や、ごみの撤去を行う
- 速やかに売却する:市場価値が下がる前に、現状のまま売却する
- 解体する:建物を取り壊し、更地にして売却または活用する
クライアントには、放置するリスクと早期対応のメリットを明確に伝えましょう。特定空き家に指定される前に行動することで、固定資産税の増加や過料を回避できます。
家じまいにおける税金と特例措置
家じまいで不動産を売却する際には、税金の知識が欠かせません。不動産従事者として、クライアントに適切な税務アドバイスができるよう、主要な税金と特例措置を把握しておきましょう。
譲渡所得税は、不動産を売却して利益が出た場合にかかる税金です。
所有期間によって税率が異なります。
参考)実家じまいとは?かかる費用や進め方、よくあるトラブル事例をご…
| 所有期間 | 税率(所得税+住民税) | 分類 |
|---|---|---|
| 5年以内 | 39%(所得税30%+住民税9%) | 短期譲渡所得 |
| 5年以上 | 20%(所得税15%+住民税5%) | 長期譲渡所得 |
購入時の契約書がないと譲渡所得税が高額になるケースがあります。契約書がない場合、取得費を売却価格の5%しか認めてもらえないため、譲渡所得が大きくなり、税負担が重くなります。クライアントには、契約書の保管状況を確認するよう促しましょう。
空き家の場合は3,000万円控除の特例が設けられています。被相続人が住んでいた家を相続人が売却した場合に適用され、解体後に土地のみを売却しても特例の対象になります。
適用条件は以下の通りです。
- 相続開始から3年以内に売却
- 相続人自身が居住していない
- 昭和56年5月31日以前に建築された家屋(旧耐震基準)
控除額が大きいため活用したいですね。
印紙税は、不動産売買契約書に貼る印紙代です。
契約金額に応じて税額が決まります。
例えば、売買価格が1,000万円超5,000万円以下の場合、印紙税は1万円です。
固定資産税の負担増にも注意が必要です。建物を解体して更地にすると、「住宅用地の特例」が外れ、固定資産税が最大6倍になります。売却までの期間が長引くと、その分だけ税負担が増えるため、解体のタイミングは慎重に判断しましょう。
相続税が高額になるケースもあります。不動産の評価額が高い場合や、相続人が複数いる場合は、税理士などの専門家に相談することを勧めてください。税務の専門知識がないまま進めると、後で予想外の税負担が発生することがあります。

