既存不適格建築物リフォーム注意点と緩和措置を徹底解説

既存不適格建築物リフォーム

軽微な内装リフォームなら現行基準に適合させなくてもできます。

この記事の3つのポイント
📋

既存不適格建築物の定義と実態

建築当時は適法だったが法改正で現行基準に不適合となった建物のこと。違法建築とは異なり一定の条件下でリフォーム可能

⚖️

建築確認申請の要否判断

大規模修繕や増築には原則として確認申請が必要だが、法86条の7による緩和措置で既存不適格部分を適合させずに工事できる場合がある

💰

予算とコストの考慮点

確認申請に15〜30万円、既存不適格部分の是正工事に予想外のコストが発生する可能性があるため事前調査が不可欠


<% index %>

既存不適格建築物の定義と違法建築との違い

 

既存不適格建築物とは、建築当時の法規には適合していたものの、その後の法改正や都市計画の変により現行の建築基準法に適合しなくなった建物を指します。

違法建築物とは明確に区別される概念です。

参考)https://www.homes.co.jp/cont/press/buy/buy_00220/

違法建築物は建築時から法令違反だった建物ですが、既存不適格建築物は当初は適法でした。建築基準法第3条第2項により、既存不適格建築物は一定の条件下で現行基準への適合が免除される特例を受けられます。

つまり適法な建物です。

参考)2025年建築基準法改正はリフォーム工事にどう影響するのか

具体例として、1981年以前の旧耐震基準で建てられた建物や、都市計画の変更で容積率・建ぺい率をオーバーしてしまった建物、防火地域の指定により防火設備が不足している建物などが該当します。道路用地として土地の一部が収用され、接道要件や容積率を満たさなくなったケースも既存不適格となります。

参考)2025年法改正後の既存不適格リフォーム【徹底解説】

木造建築物では外壁の材質や開口部の防火設備が義務化されており、これらを満たしていない場合も既存不適格に該当します。

現状維持なら問題ありません。

参考)https://www.ieuri.com/bible/kodate/21675/

既存不適格建築物にリフォームする際の基本原則

既存不適格建築物でもリフォームは可能です。壁紙の張り替え、床材の交換、設備の更新などの小規模な修繕や模様替えであれば、原則として建築基準法上の制限を受けません。建ぺい率や容積率の基準を超える部分がある場合も、そのまま利用できます。

参考)既存不適格建築物はリフォームできる?改修工事の種類や注意点な…

ただし、建築確認申請が必要な工事を行う場合は注意が必要です。大規模修繕、大規模模様替、増築、用途変更などを行う際には、原則として既存不適格部分も含めて現行の建築基準法に適合させることが求められます。

参考)既存不適格建築物は増築できる?基準の緩和や工事について紹介

確認申請が不要なリフォームなら、既存不適格のままで工事できます。

建築確認申請が必要かどうかの判断が、既存不適格建築物のリフォームにおける最重要ポイントとなります。2025年の建築基準法改正により、これまで確認申請が不要だった一部の木造建築物(新2号建築物)でも申請が必要になるケースが増加しています。法改正の影響を正確に把握しておく必要があります。

国土交通省「大規模の修繕・模様替を行う既存不適格建築物への緩和措置」

既存不適格建築物の大規模修繕時における緩和措置の詳細が解説されています。

建築確認申請が必要な既存不適格建築物リフォームの範囲

建築確認申請が必要となる工事は、主に以下の4つのカテゴリーに分類されます。

大規模修繕

建築物の主要構造部(壁、柱、床、梁、屋根、階段)の一種以上について、その過半の修繕を行う工事です。例えば、外壁の半分以上を張り替える場合や、屋根の葺き替えで面積の半分以上を工事する場合が該当します。

大規模模様替

建築物の主要構造部の一種以上について、その過半の模様替を行う工事を指します。構造に関わる部分の変更が伴うため、確認申請が必須です。

増築工事

床面積を増やす工事は原則として確認申請が必要です。既存不適格建築物の場合、増築面積が既存部分の床面積の20分の1かつ50㎡以下で、建物全体の構造的安全性が低下しない場合には緩和措置が適用される可能性があります。

それ以外は厳しいです。

用途変更

建物の用途を変更する場合も確認申請が求められるケースがあります。

特に特殊建築物への変更には注意が必要です。

確認申請の費用は床面積によって異なりますが、30㎡以下で約0.5〜1.2万円、30㎡超〜100㎡以内で約0.9〜3.2万円です。これに中間検査や完了検査の費用が加算されます。建築士への代行手数料は15〜30万円程度を見込む必要があります。

痛い出費です。

法86条の7による既存不適格建築物の緩和措置の実務

建築基準法第86条の7は「既存の建築物に対する制限の緩和」を定めており、既存不適格建築物を大規模修繕・模様替する際の重要な緩和規定です。この緩和措置により、建築主の過大な負担を軽減できます。

参考)https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/content/001881507.pdf

緩和措置の基本的な考え方は、既存不適格である規定について、一定の条件を満たす大規模修繕・模様替であれば、引き続き既存不適格のままとすることができるというものです。つまり現行基準に適合させなくてもよいということですね。

具体的な緩和の内容としては、以下のケースがあります。

構造耐力に関する緩和

大規模修繕・大規模模様替を行わない部分については、既存不適格のままで問題ありません。工事箇所以外は手を付けなくていいということです。

防火・避難関連の緩和

特定行政庁が通行・安全・防火・衛生上支障がないと認めれば、階段の新設等(構造耐力上主要な部分の増設のために必要なものを除く)を伴わない場合、既存不適格のままで工事できます。

ただし認定が条件です。

建築材料の緩和

基礎のコンクリートや鉄筋などについて、大規模修繕・大規模模様替を行わない部分は既存不適格のままで大丈夫です。

全面的な是正は不要ということですね。

緩和措置を活用するためには、特定行政庁との事前協議が重要です。工事の計画段階で、どの部分が緩和対象となるのか、どのような条件をクリアすべきかを確認する必要があります。この手続きを怠ると、後から大幅な追加工事が必要になるリスクがあります。


「2025年法改正後の既存不適格リフォーム【徹底解説】」

2025年法改正後の既存不適格建築物リフォームにおける緩和措置の具体的な適用例が詳しく解説されています。

既存不適格建築物リフォームの費用と工期の実態

既存不適格建築物のリフォーム費用は、工事内容と既存不適格部分の是正範囲によって大きく変動します。通常のリフォームに比べて予算の見積もりが難しいのが実情です。

スケルトンリフォームを行う場合、1㎡あたり約15万〜22万円が相場です。100㎡の住宅なら1,500万〜2,200万円となります。耐震改修工事は木造2階建てで100万〜150万円前後、壁内部の断熱材交換は1㎡あたり1,000円〜4,000円、配管更新は約20万〜60万円が目安です。

参考)再建築不可物件のリフォームはどこまでできる?2025年の法改…

確認申請関連の費用も忘れてはいけません。建築士への代行手数料が15〜30万円、確認申請手数料や中間検査・完了検査の費用を合わせると、申請だけで20万〜40万円程度が必要です。

参考)スマート修繕|マンション大規模修繕で建築確認申請が必要なケー…

既存不適格部分を現行基準に適合させる場合、予想外のコストが発生します。例えば、外壁の張り替えを計画したところ、耐力壁の基準や防火規制が現行法に適合しておらず、全面的な補強工事が必要となるケースがあります。

助かります。

参考)【2025年】既存不適格建築物とはどんな建物なのか?購入時に…

工期についても、通常のリフォームより長期化する傾向があります。確認申請には通常2週間〜1ヶ月程度かかり、構造計算が必要な場合はさらに時間を要します。特定行政庁との協議や追加調査が発生すると、計画段階だけで数ヶ月を要することもあります。

厳しいですね。

参考)「既存不適格の緩和措置」について理解しよう(リフォーム向け②…

不動産従事者が提案すべき既存不適格建築物の診断手順

既存不適格建築物のリフォームを成功させるには、工事前の詳細な法適合調査が不可欠です。不動産従事者として顧客に提案すべき診断手順を解説します。

ステップ1:建築確認済証と検査済証の確認

まず建築確認済証と検査済証の有無を確認します。検査済証がない場合、建築時の適法性を証明することが困難になり、リフォームの選択肢が限られます。

書類不備物件は要注意レベルです。

参考)【衝撃】あなたの家は大丈夫? リフォーム不可物件が急増中!…

ステップ2:現況調査と実測

図面が残っていない場合は実測と解体前調査を行い、耐震性能や劣化度を同時にチェックします。

専門家による現地調査が基本です。

参考)リフォーム業者選びで失敗しない方法と比較無料紹介サービスの穴…

ステップ3:法適合性の整理

セットバック、斜線制限、建ぺい率オーバーなど、既存不適格の有無を洗い出します。どの基準に不適合かを明確にすることが原則です。

ステップ4:リフォーム計画と緩和措置の検討

工事内容が建築確認申請を要するかを判断し、要する場合は法86条の7の緩和措置が適用できるか検討します。特定行政庁との事前協議を行い、既存不適格部分をどこまで是正すべきか確認します。

これが条件です。

参考)既存不適格建築物とは?(1)−法3条の2、法86条の7−|適…

ステップ5:構造補強計画の立案

必要に応じて構造計算を実施し、耐震補強や防火対策の計画を立てます。

この段階で予算の全体像が見えてきます。

この診断手順を踏むことで、リフォーム後に「実は既存不適格部分の是正が必要だった」という事態を防げます。顧客の信頼を守るためにも、事前調査への投資を提案しましょう。

「検査済証がない建築物の救済策? 国土交通省がまとめたガイドライン」

検査済証がない既存不適格建築物に対する国土交通省のガイドラインが解説されており、診断手順の参考になります。

既存不適格建築物リフォームの融資審査対策

既存不適格建築物のリフォームでは、住宅ローンやリフォームローンの審査が厳しくなる傾向があります。金融機関は建物の安全性や資産価値を重視するため、既存不適格の状態を融資リスクとして捉えるからです。

検査済証がない物件や、明らかな構造上の問題を抱える物件では、融資自体が受けられない可能性もあります。金融機関によっては、既存不適格部分を現行基準に適合させることを融資条件とするケースもあります。

融資審査を通すための対策として、以下の点を顧客に提案すべきです。

適合証明の取得

建築士による調査報告書や適合証明書を取得することで、建物の安全性を証明できます。国土交通省のガイドラインに沿った手続きを行えば、検査済証がなくても一定の救済措置が受けられます。

いいことづくめですね。

段階的なリフォーム計画

一度に全面的なリフォームを行うのではなく、まず既存不適格部分を是正してから追加のリフォームを行う段階的な計画を立てることで、融資審査が通りやすくなります。

複数の金融機関への相談

金融機関によって審査基準が異なるため、複数の選択肢を検討することが重要です。地方銀行や信用金庫の方が、大手銀行より柔軟な対応をしてくれる場合もあります。

リフォームローンの金利は住宅ローンより高めですが、既存不適格建築物の場合はさらに金利が上乗せされることもあります。顧客には早い段階で融資の可能性を確認するよう助言しましょう。

2025年建築基準法改正が既存不適格建築物リフォームに与える影響

2025年の建築基準法改正により、既存不適格建築物のリフォームに関する規制が一部変更されています。不動産従事者として押さえておくべき改正のポイントを解説します。

参考)ちゃんと知れば怖くない! 「2025年建築基準法改正」と既存…

4号特例の縮小

これまで建築確認申請が簡略化されていた木造2階建て住宅などの「4号建築物」について、確認申請の範囲が拡大されました。新2号建築物として分類される建物では、これまでできていたリフォームが新しい基準に適合しない限りできなくなる可能性があります。

改正前は確認申請が不要だった規模のリフォームでも、改正後は申請が必要となるケースが増えています。確認申請が必要な工事を行う際、既存不適格部分を含めて現行法への適合が求められるため、より厳格な審査が行われます。

意外ですね。

緩和措置の継続

一方で、既存不適格建築物に対する緩和措置自体は継続されています。法86条の7による緩和規定は引き続き適用されるため、条件を満たせば既存不適格のままでリフォームできます。

つまり適切に緩和措置を活用すれば問題ありません。

実務への影響

2025年改正により、リフォーム計画の初期段階で確認申請の要否を正確に判断することがより重要になりました。改正前の知識のまま提案すると、施工段階で申請が必要と判明し、大幅な計画変更やコスト増加につながるリスクがあります。どうなりますか?​

顧客には、改正後の基準に基づいた調査と計画立案の必要性を説明し、専門家への早期相談を勧めるべきです。法改正の影響を受けやすい木造2階建て住宅のリフォーム案件では、特に注意が必要です。


「既存不適格の緩和措置」について理解しよう(リフォーム向け②)」

2025年建築基準法改正後の緩和措置の適用について、実務的な視点から詳しく解説されています。

既存不適格建築物の資産価値とリフォームの関係

既存不適格建築物のリフォームを検討する際、資産価値への影響も重要な判断材料です。適切なリフォームにより資産価値を維持・向上させることができますが、方法を誤ると逆効果になることもあります。

リフォームによる資産価値向上のポイント

既存不適格部分を現行基準に適合させるリフォームを行うことで、建物の安全性が向上し、資産価値も上がります。特に耐震補強や防火性能の向上は、売却時の評価に大きく影響します。

検査済証がなかった物件でも、適合証明を取得することで売買やリフォームの際の障壁が低くなります。購入者にとっての安心材料となるため、市場での競争力が高まります。

不適切なリフォームのリスク

逆に、確認申請が必要な工事を無申請で行ったり、既存不適格部分を放置したまま表面的なリフォームだけを行ったりすると、後々のトラブルの原因になります。売却時に買主から指摘され、値引きや契約解除につながる可能性もあります。××はどうなりますか?

長期的な資産価値の視点

既存不適格建築物は、将来的に建て替えや大規模修繕を行う際に追加コストが発生します。短期的な費用節約のために既存不適格部分を放置すると、長期的には資産価値の目減りにつながります。大丈でしょうか?

不動産従事者としては、目先のリフォーム費用だけでなく、10年後、20年後の資産価値を見据えた提案が求められます。顧客の保有期間や将来的な売却予定も考慮に入れて、適切なリフォーム範囲を提案しましょう。

再建築不可物件における既存不適格建築物リフォームの特殊性

再建築不可物件は、接道要件を満たさないなどの理由で建て替えができない物件です。このような物件は既存不適格建築物であることが多く、リフォームに関して特有の制約があります。

参考)再建築不可の家のリフォームに立ちふさがる「3つの悪条件」とは…

再建築不可物件でも、建物を解体せずに骨組みの状態にして造り直すスケルトンリフォームは可能です。新築同然の家に生まれ変わりますが、あくまでもリフォームなので、建て替えではない点が重要です。

再建築不可物件リフォームの悪条件

再建築不可物件のリフォームを難しくする悪条件として、以下の3点が挙げられます。

  1. 接道義務を満たさないため、建築確認申請が必要な工事に制約がある
  2. 古い建物が多く、構造上の問題を抱えている可能性が高い
  3. 金融機関の融資が受けにくい

これらの制約により、通常の既存不適格建築物よりもさらに慎重な計画が必要です。2025年4月の法改正により、原則として建築確認申請が必要な大規模リフォームは難しくなっています。それで大丈夫でしょうか?​

再建築不可物件の活用戦略

再建築不可物件を扱う際は、リフォームの範囲を確認申請不要な工事に限定するか、隣地買収などで接道要件を満たす方法を検討する必要があります。スケルトンリフォームの費用は1㎡あたり15万〜22万円程度ですが、構造補強や設備更新を含めると総額が膨らみます。

不動産従事者としては、再建築不可物件の購入を検討している顧客に対して、リフォームの制約と費用について事前に十分な説明を行うことが重要です。

隠さずに伝えることが信頼につながります。

既存不適格建築物リフォームにおける専門家の活用法

既存不適格建築物のリフォームを成功させるには、適切な専門家の協力が不可欠です。不動産従事者として、顧客にどのような専門家を紹介すべきか解説します。

建築士の役割

既存不適格建築物の調査から設計、確認申請まで一貫して対応できる建築士が理想的です。特に構造計算が必要な案件では、構造設計の専門知識を持つ建築士が必要となります。確認申請の代行手数料は15〜30万円程度ですが、トラブル回避のための投資と考えるべきです。

特定行政庁との協議

法86条の7の緩和措置を活用する場合、特定行政庁との事前協議が重要です。建築士を通じて協議を進めることで、どの部分が緩和対象となるか、どのような条件をクリアすべきかが明確になります。

施工業者の選定

既存不適格建築物のリフォーム実績がある施工業者を選ぶことが重要です。通常のリフォーム業者では対応できない複雑な法規制や構造補強に関する知識が求められます。

必須です。

不動産鑑定士や金融機関との連携

資産価値や融資の可能性を判断する際には、不動産鑑定士や金融機関との連携も有効です。リフォーム計画の初期段階で融資の可能性を確認しておくことで、後から資金繰りに困る事態を避けられます。

複数の専門家が関わる既存不適格建築物のリフォームでは、不動産従事者がコーディネーター役として全体を統括することが求められます。顧客の利益を最優先に考え、適切な専門家チームを編成しましょう。


既存不適格建築物の「再生&コンバ-ジョン」実務資料集