建物固定資産税評価額 計算方法 基本構造
経年減点補正率は最低20%で止まるため、築30年超でも評価額が下がり続けるわけではありません。
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建物固定資産税評価額の基本計算式
建物の固定資産税評価額は、「再建築価格方式」によって算出されます。これは、評価対象の建物と同じものを評価時点で新築した場合の建築費を基準にする方法です。
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基本的な計算式は以下の通りです。
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評価額 = 評点数 × 評点1点あたりの価額
評点数 = 再建築費評点数 × 経年減点補正率
評点1点あたりの価額 = 1円 × 物価水準による補正率 × 設計管理費等による補正率
つまり評価額の計算が基本です。
評点1点あたりの価額は、木造家屋の場合1.05、木造家屋以外は1.10という補正率が適用されます(令和3年基準年度の場合)。この補正率は、工事原価に含まれていない設計管理費や一般管理費等を考慮したものです。
建物の評価額は一般的に再建築価格の50~70%程度が目安となります。土地の固定資産税評価額が公示価格の70%程度であるのに対し、建物は償却資産として毎年評価替えが行われるため、築年数によって大きく変動します。
参考)意外と見落としがちな固定資産税 建物評価額の算出方法を解説
再建築費評点数の算定プロセス
再建築費評点数とは、同一の家屋を評価時点において再び新築・増築した場合に必要となる建築費を、基準となる再建築費評点基準表を用いて算出した評点数です。
新築家屋の場合、屋根、基礎、外壁、天井、内壁、床、設備等の各部分に使われた建築資材の種類、施工量、程度等を実地調査します。この調査結果を構造別に定められた固定資産評価基準に照らし合わせ、部分別に評点数を算出し合計します。
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新築家屋以外(在来分家屋)の場合は、計算方法が異なります。
再建築費評点数 = 基準年度の前年度における再建築費評点数 × 再建築費評点補正率
この方式により、3年ごとの評価替えで建築物価の変動を反映させます。
参考)家屋は年々古くなるのに、なぜ固定資産税が下がらないのですか?…
具体的には、家屋ごとに現地調査により得られた資料を用いて、平方メートルあたりの再建築費評点数を算出し、これをもとに再建築価格を計算します。再建築費評点基準表は、3年に1度総務大臣が決定する固定資産評価基準により定められます。
評価の透明性を確保するため、市町村役場の固定資産税を取り扱っている係に「固定資産税評価情報開示請求書」を提出すれば、再建築費評点基準表を取得できます。
経年減点補正率による建物評価額の下限値
建物は時間の経過とともに損耗し、資産価値が低下するため、その実態を課税上にも反映する必要があります。そこで再建築価格に対し、評価対象となる家屋の築年数に応じた「経年減点補正率」を乗じることで、建物評価額を減額する措置が講じられています。
参考)経年劣化によって固定資産税は下がる?建物評価額の算定方法を解…
建物評価額 = 再建築価格 × 経年減点補正率
経年減点補正率は家屋の構造や種類などによって補正率が区分されており、最大で80%相当が損耗したものとして評価額を圧縮することが可能です。経年減点補正率は必ず1.0未満で設定されるため、建物評価額を引き下げる効果があります。
ここで重要な点があります。
経年減点補正率は20%未満となることはないため、経過年数に伴って補正率が最小の20%に達した場合、それ以降は何年経っても経年減点補正率によって評価額が下がることはありません。つまり、築30年を超えるような古い家屋でも、評価額がゼロになることはなく、再建築価格の20%を下限として一定額を維持し続けるということです。
これは不動産従事者にとって、長期保有物件の税負担を予測する上で極めて重要な知識となります。古い建物であっても固定資産税が完全にはなくならないため、ランニングコストとして継続的に計上する必要があるからです。
参考)古い家屋の評価額が下がらないのはなぜですか|東京都小平市公式…
建物固定資産税評価額の計算ミスと確認ポイント
固定資産税の評価ミスや課税ミスが発覚し、過大徴収された固定資産税の還付が認められる事例が多発しています。実際、不動産所有者に対する調査では、2割が課税ミスの経験があると報告されています。
参考)https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000027.000134198.html
なぜ間違いが起こるのでしょうか?
固定資産税評価額は、建物の構造・面積や土地の状況によって変わります。建物の構造や面積の誤認、土地の地目の誤登録(例:畑なのに宅地と評価)など、登録情報のミスにより評価額が上がっているケースがあります。不動産のプロではない市町村職員が業務を行うため、こうした人為的ミスが多発しているのです。
確認すべきポイントは以下の通りです。
- 📋 建物の構造が正確か:木造・鉄骨造・RC造などの構造種別の誤りは評価額に大きく影響
- 📐 床面積が合っているか:登記面積と実際の面積の相違を確認
- 🏗️ 築年数が正確か:経年減点補正率の適用に直結する重要項目
- 💰 減額特例が適用されているか:新築住宅の減額特例(床面積120㎡まで3年間1/2減額)などの適用漏れ
固定資産税は、評価ミスや減額特例の未適用が多く存在します。建物ならば構造、土地ならば地目・面積が合っているのか確認しましょう。
それにより評価額が決まります。
評価額の妥当性を確認するには、納税通知書に添付される課税明細書を詳細にチェックすることが重要です。もし評価に疑問がある場合は、固定資産課税台帳の閲覧や、評価額に対する審査申出(納税通知書の交付を受けた日から3か月以内)を行うことができます。
参考)固定資産税の評価ミス頻発!課税ミスを発見し、払い過ぎ防止を|…
評価基準の詳細や評価プロセスについて、総務省が公開している公式資料です。評価の仕組みを理解するための基礎知識として参考になります。
建物評価額と税額の具体的シミュレーション
実際の計算例を通じて、建物の固定資産税評価額がどのように税額に反映されるかを見ていきましょう。
【ケース1:新築木造住宅の場合】
- 再建築費評点数:800万点
- 経年減点補正率:1.0(新築のため減価なし)
- 評点1点あたりの価額:1.05円(木造家屋)
評価額 = 800万点 × 1.0 × 1.05円 = 840万円
新築住宅の減額特例を適用すると、床面積120㎡までの部分について3年間は税額が1/2に減額されます。
固定資産税 = 840万円 × 1.4% × 1/2 = 58,800円
特例期間終了後は、固定資産税 = 840万円 × 1.4% = 117,600円となります。
これが基本的な流れです。
- 再建築費評点数:1,500万点
- 経年減点補正率:0.6(築20年相当)
- 評点1点あたりの価額:1.10円(非木造家屋)
評価額 = 1,500万点 × 0.6 × 1.10円 = 990万円
固定資産税 = 990万円 × 1.4% = 138,600円
【ケース3:築35年の木造住宅の場合】
- 再建築費評点数:600万点
- 経年減点補正率:0.2(下限値20%)
- 評点1点あたりの価額:1.05円
評価額 = 600万点 × 0.2 × 1.05円 = 126万円
固定資産税 = 126万円 × 1.4% = 17,640円
意外ですね。
築35年を超えても、経年減点補正率が20%で下げ止まるため、評価額はゼロにならず一定の税負担が続きます。この点は、長期保有を前提とした投資物件のキャッシュフロー計算において、ランニングコストとして必ず織り込む必要があります。
なお、都市計画税が課される地域では、固定資産税に加えて0.3%の税率が適用されるため、実質的な税負担は1.7%程度になります。例えば評価額1,000万円の場合、固定資産税14万円+都市計画税3万円=合計17万円の年間負担となります。
新築住宅の減額特例やバリアフリー改修、耐震改修などの減額措置について詳細に解説されています。
減額要件や申請手続きの参考になります。

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