事故物件購入注意点
売買契約では告知義務に期間制限がありません。
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事故物件の告知義務基準と期間
事故物件の告知義務は、2021年に国土交通省が策定したガイドライン「宅地建物取引業者による人の死に関する心理的瑕疵の取扱いについて」で明確化されました。
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売買契約の場合、告知義務に期間制限はありません。賃貸契約では事案発生から概ね3年間が目安ですが、売買では何年経過しても告知が必要です。
つまり売買は無期限です。
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ただし事件性が高い場合や社会的関心が長く続く事案では、賃貸でも3年を過ぎて説明が求められることがあります。報道された事件や近隣住民の記憶に深く刻まれる重大事案は、3年経過後も告知義務が生じる可能性を考慮すべきです。
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告知すべき内容は「発生時期」「場所」「死因」「特殊清掃の有無」の4項目です。氏名や家族構成などプライバシーに関わる情報は不要ですが、これら4項目は書面で明示する必要があります。口頭のみの説明はトラブルの原因になるため避けましょう。
事故物件の告知義務違反によるリスク
告知義務違反が発覚した場合、不動産業者だけでなく売主・貸主自身も大きな責任を負います。宅建業法は仲介会社の法律ですが、売主が事実を伝えなければ仲介会社も告知義務を果たせません。その意味で売主や貸主にも重大な責任があります。
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契約解除と損害賠償請求のリスクが最も深刻です。東京地裁平成20年4月28日判決では、飛び降り自殺を告知しなかった売主に対し、買主が7000万円の損害賠償を請求した事例があります。これは契約不適合責任を根拠とし、物件購入代金の減額請求や補修請求も含まれます。
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民法第562条の買主の追完請求権により、入居後に事故物件と判明した場合、契約内容に適合しない部分の補償を請求できます。民法第564条では、買主の損害賠償請求および解除権の行使が認められており、告知すべき事実を隠していた場合、買主は契約の取り消しを請求可能です。
宅建業法違反として行政処分の対象になる可能性もあります。仲介会社が事実を知りながら告知しなかった場合、業務停止や免許取消などの重い処分を受けるリスクがあります。仲介業者に事実を伝えなかった売主も、民法上の責任を問われます。
事故物件の価格相場と値引き幅
事故物件の売却価格は、死因によって値引き幅が大きく変動します。
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自然死(孤独死を含む)の場合、市場価格の1〜2割程度の値引きが相場です。老衰や病死など日常生活における自然死は、ガイドライン上は原則として告知義務の対象外ですが、発見が遅れて特殊清掃が必要になった孤独死は告知対象となります。
自殺の場合は2〜3割程度の値引きとなります。他殺の場合は心理的瑕疵が最も大きく、4〜5割程度の値引きが一般的です。例えば売却相場が5000万円のマンションが他殺の事故物件の場合、2500〜3000万円程度の売却金額が想定されます。
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立地条件によっては例外もあります。東京23区内のような利便性の高いエリアでは、事故物件でも一定の需要が期待できるため、価格の下落幅が抑えられます。駅近や生活施設が充実している場所であれば、一般的な事故物件の相場より高い価値を維持できる可能性があります。
賃貸の値引き相場は、市場価格の2割〜5割引きです。売却と同様、死因や発見状況により変動します。賃貸需要の高いエリアでは、割安な家賃設定により事故物件でも借り手が見つかる可能性が高まります。
参考)不動産投資用に事故物件を購入!メリットやデメリットについても…
事故物件購入前の確認方法
事故物件かどうかを確認する最も確実な方法は、不動産会社の担当者へ直接質問することです。宅地建物取引業法では、仲介業者は事故物件であることを契約前に伝える義務があり、質問された場合に虚偽の説明をすることは許されていません。「告知事項はありませんか?」とストレートに聞いてみましょう。
物件パンフレットや重要事項説明書に「告知事項あり」の記載があるか確認します。賃貸サイトでは、事故物件を掲載する際、備考欄に記載されることが多いため、条件検索で「告知」「瑕疵」と入れて検索する方法も有効です。
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周辺の類似物件の売出し相場と比べて著しく安価でないか確認しましょう。相場より2割以上安い場合は、事故物件の可能性を疑う必要があります。家賃が相場より安い理由を調査することも重要です。
内見時には異臭や違和感のある修繕箇所がないか確認します。部屋の一部のみリフォームされている場合や、不自然に新しい壁紙・床材がある場合は注意が必要です。
近隣住民への聞き込みも有効な手段です。
物件名が変更されていないか確認することも重要です。Googleマップなどのサービスで過去のストリートビューを確認し、建物名の変更履歴をチェックしましょう。担当者が答えを濁すなど不自然な反応をした場合は、少し注意が必要です。
事故物件掲載サイトを活用する方法もあります。全国の事故物件を確認できる総合検索サイトでは、地図上で確認できるものや住所一覧形式で確認できるものがあります。
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事故物件購入のメリットと活用方法
事故物件を購入する最大の利点は、初期投資を抑えられる点です。相場価格よりも20%〜50%程度安く購入できるため、リフォームして転売したり賃貸として貸し出したりすれば大きな利益を出せる可能性があります。
参考)事故物件を購入する際のメリットデメリットを調査!売却する場合…
賃貸物件として活用すれば高い利回りが期待できます。安く購入できるため、賃料を下げたとしても高い利回りを維持できます。都市部など賃貸需要のあるエリアであれば、事故物件を気にしない人も一定数いるため、相場よりも多少賃料を下げれば入居者は決まりやすくなります。駅前の好立地物件だと家賃をほとんど下げる必要がないケースもあります。
不動産投資でもっとも懸念されるのが借り手の確保です。しかし駅周辺など賃貸需要の高いエリアでは、割安な家賃設定により事故物件でも借り手が見つかる可能性が増します。資産に余力がある場合に購入し、リフォームで価値を高めて転売する戦略も有効です。
特殊清掃費用の相場を把握しておくことも重要です。体液・汚物撤去が2万円〜25万円、害虫駆除が1万5千円〜10万円、消臭消毒が2万円〜15万円、死臭消臭・特殊清掃と遺品整理を合わせて9万5千円〜140万円が目安となります。
参考)特殊清掃~業者の料金相場、求人採用・開業で必要な資格・免許、…
事故物件の売却時に必要な対応
売却時の告知義務に関しては、国土交通省のガイドラインに基づき、「発生時期」「場所」「死因」「特殊清掃の有無」を記載する必要があります。氏名や家族構成などプライバシーに関わる情報までは不要ですが、これら4項目は明確に伝えましょう。
告知は口頭ではなく書面で行った方がトラブル防止につながります。重要事項説明書に明記し、買主に署名捺印してもらうことで、後日のトラブルを回避できます。口頭のみの説明では「聞いていない」と主張されるリスクがあるためです。
購入後に売却を検討する場合、再び事故物件として扱われ売却が困難になることも考慮すべきです。事故物件を購入した後、自分が売却する際にも同じ告知義務が発生するため、購入時点で将来の出口戦略を考えておく必要があります。
特殊清掃が完了していることを証明する書類を保管しておくと、買主への説明材料になります。清掃業者の領収書や作業報告書は、物件の状態を客観的に示す重要な資料です。これらの書類があれば、買主の不安を軽減し、交渉をスムーズに進められます。
参考)事故物件の特殊清掃費用|相場と費用負担ゼロの秘策を解説
このガイドラインには、告知義務の具体的な基準や判断フローが詳細に記載されています。不動産取引の実務において必須の参考資料です。
