自治体空き家バンク活用で仲介手数料ゼロと思い込むと損失

自治体空き家バンク活用

空き家バンクは個人間取引だから仲介手数料はかかりません。

この記事の3ポイント要約
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成約率は2割程度

全国版空き家バンクでは延べ9,000件の登録に対して成約は1,900件で、約8割は売却に至っていない

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仲介手数料が発生するケースも

個人間取引では手数料不要だが、不動産会社に仲介依頼すると物件価格の3%+6万円が上限として発生

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自治体の対応に差がある

予算や人員の制約により、自治体によって空き家バンクの運営体制やサポート内容に大きな違いがある


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自治体空き家バンクの基本的な仕組み

自治体空き家バンクとは、地方自治体が空き家や空き地の売却情報・賃貸情報をウェブサイトなどで提供し、移住希望者とマッチングを図る取り組みです。全国の約7割の自治体がこの制度を導入しており、空き家問題の解決と移住・定住促進による地域活性化を目的としています。

参考)空き家バンクとは? 基本情報や自治体の最新動向を簡単に説明し…

基本的な流れとしては、自治体が空き物件所有者から物件情報の提供を受け、その情報をホームページ上に掲載し、新たな利用希望者とマッチングする仕組みです。これは移住・定住促進を最大の目的としているため、地域外からの移住者を呼び込むという活用手法を採用している自治体が大多数です。

参考)https://www.hues.kyushu-u.ac.jp/–2022renewal-backups/education/student/pdf/2014/2HE13071T.pdf

2017年10月には国土交通省のモデル事業として「全国版空き家・空き地バンク」が開設され、自治体ごとに設置された空き家バンクの情報を自治体横断で簡単に検索できるようになりました。2020年12月末時点で521自治体が参画しており、全国1,700以上の自治体のうち約3割が参画しています。

参考)https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000098.000051123.html

登録や掲載は基本的に無料です。これは自治体が非営利で運営している仕組みだからであり、不動産会社に依頼するよりも費用を抑えて登録・掲載が可能です。また、補助金やリフォーム支援、移住支援などの制度が用意されているケースもあります。

参考)空き家バンクってどんな仕組みなの?メリットやデメリットも紹介…

空き家バンク登録物件の成約率と現実

空き家バンクに登録すれば簡単に売却できると考えるのは危険です。全国版空き家・空き地バンクのデータによると、延べ9,000件の空き家登録数に対して成約数は1,900件で、つまり全体の約8割は成約していないという計算になります。

参考)空き家バンクに登録しても売れない物件の特徴5選・確実に売却す…

成約に至らない理由は複数あります。まず、地方の物件は需要が限られており、そもそも問い合わせ自体が少ないという現実があります。問い合わせがあっても価格や条件面で折り合いがつかず、売却に至らないケースが多いのです。

参考)空き家バンクで失敗する7つの理由と確実に売却する方法【202…

特に相場を無視した高すぎる売り出し価格が、売れない原因の一つとなっています。「相続した家だから高く売りたい」と考える所有者も多いですが、買い手は再販売価格やリフォーム費用を含めて検討するため、相場より高い価格の物件は敬遠されがちです。地方や田舎の物件は需要が限られるため、売主の希望価格ではなく「市場価格」での設定が重要になります。

参考)空き家バンクに登録しても売れない理由は?失敗の原因と解決策を…

また、築年数が古く老朽化している物件、掲載写真が魅力的でない物件、エリアに需要がない物件などは特に売れにくい傾向があります。2014年の調査資料では、賃料・売値の交渉停滞が約9%、入居後の設備に関するトラブルが約5%で起きています。

参考)空き家バンクで失敗しない!後悔しないための活用術と注意点

自治体空き家バンクと仲介手数料の関係

「空き家バンクは無料だから仲介手数料はかからない」という認識は正確ではありません。確かに個人間取引の場合は仲介手数料は不要ですが、実際には不動産会社に仲介を依頼するケースも多く、その際には仲介手数料が発生します。

参考)空き家バンクで仲介手数料はかかる?空き家バンクの仕組みも解説

仲介手数料の上限は、売買の場合(売買価格が400万円以上)は売買金額×3%+6万円+消費税となります。例えば、空き家を1,000万円で売却した場合、36万円(税抜)が仲介手数料の上限となり、売主様・買主様それぞれが媒介契約を締結した不動産会社に支払います。なお、売買価格が800万円以下の場合、不動産会社は一律30万円(税抜)で請求可能です。

参考)空き家バンクとは?メリット・デメリットや利用方法について解説…

空き家バンクが一般的な不動産取引と大きく異なるのは、不動産会社(仲介会社)を通さずに個人間で取引ができることです。また、自治体も契約に際して関与することはありません。したがって、所有者様と利用希望者の交渉や契約はすべて個人間の取引となり、この場合は仲介手数料はかかりません。

ただし、個人間取引では不安だという場合は不動産会社に仲介を依頼することができます。すべてのケースで仲介手数料が不要というわけではないことに注意が必要です。特に契約トラブルを避けたい場合や、専門的な知識が必要な場合は、費用がかかっても不動産会社の仲介を依頼する方が安全です。

自治体による運営体制の違いと課題

空き家バンクの運営体制は自治体によって大きく異なります。福岡県内の調査によると、「自治体主導型」として自治体が空き家バンク業務のほとんどを担当するケースがあります。一方で、不動産会社やNPO、地域協力員などと連携して積極的に物件を調査する体制を整えている自治体もあります。

参考)空き家バンクとは?メリット・デメリットと自治体の取り組みを紹…

自治体運営の限界として、予算の制約があります。自治体の予算は限られており、空き家バンクの運営に十分な資源を投入できない現実があります。また、専任の担当者がおらず、他の業務との兼務で空き家バンクの対応が後回しにされることもあります。

不動産業者との連携不足も課題です。自治体と地元の不動産業者の連携が十分でなく、スムーズに仲介が進まないケースがあります。建物診断や建物の状態を専門家が診断するサービスが提供されていなかったり、必要なリフォームの内容や費用について専門家の助言が得られなかったり、住宅ローンの利用が難しい物件も多く融資に関するサポートがないといった専門的なサポートの不足も指摘されています。

一方で、成功している自治体の事例もあります。栃木市は市独自の「あったか住まいるバンク」を運営し、リフォーム工事には最大50万円の補助金、家財処分には最大10万円を交付しています。長野県伊那市は空き家改修のための補助金や、Uターン・Iターン希望者への就職支援制度も用意しており、移住希望者にとって非常に手厚い環境を整えています。

参考)空き家活用の成功事例15選!テーマ別自治体の取り組みや使える…

不動産業者が知るべき空き家バンク活用のポイント

不動産業者として空き家バンクを活用する際には、自治体との連携が重要です。最近では自治体と不動産会社が空き家対策の推進に関する連携協定を締結するケースも増えています。空き家等の流通促進、利活用、所有者との相談、マッチング、情報の共有及び発信などが連携協力事項となります。

参考)空き家対策「株式会社AlbaLink(アルバリンク)」との連…

補助金制度の存在を顧客に伝えることも重要です。空き家バンクに登録した空き家のリフォームや家財の処分などを行う際、自治体によっては補助金を支給してくれるところがあります。しかし制度の存在を知らずにリフォームや家財の処分を行ってしまい、無駄な費用をかけることになった失敗事例も少なくありません。

価格設定についても適切なアドバイスが必要です。空き家バンクに登録される物件の多くは地方や過疎地域にある築年数が古い物件で、買い手は安い物件を求めているため、価格設定は強気になりすぎない方が良いのです。市場価格を踏まえた現実的な価格設定を提案することが成約への近道となります。

契約トラブル対策として、売買契約や賃貸契約の際は信頼できる不動産業者として契約内容を十分に確認することが重要です。自治体は物件情報を提供するシステムであり、売買や賃貸契約後のトラブルに関与するわけではありません。そのため、登録者自身がリスクや手続きにしっかり対応することが求められ、信頼できる不動産業者の協力や物件の状態確認と適切な価格設定がスムーズな活用のポイントです。

参考)【空き家バンクの活用法】物件を登録する側のメリットと注意点を…

また、空き家バンクに登録中も物件の管理を適切に行う必要があります。空き家の放置はリスクが大きいため、掲載期間中の管理体制についても顧客にアドバイスすることが大切です。全国197社の不動産・住宅関連企業と連携して提供される空き家管理サービスなども存在するため、こうしたサービスの紹介も有効です。

参考)https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000020.000066340.html

不動産業者として空き家バンクを活用する際は、自治体の運営体制や補助金制度を把握し、顧客に適切な情報提供とサポートを行うことが求められます。

<参考リンク>
空き家バンクとは? 基本情報や自治体の最新動向を簡単に – ハロー!RENOVATION

空き家バンクの基本情報や全国版空き家バンクの詳細について解説されています。

空き家バンクの6つの失敗例|成功例やメリットとデメリットも紹介 – 訳あり物件買取プロ

空き家バンクの失敗事例と対策について、実践的な内容が紹介されています。

空き家バンクで仲介手数料はかかる?空き家バンクの仕組みも解説 – 空き家サポート

空き家バンクにおける仲介手数料の発生条件について詳しく解説されています。