寂れた商店街復活
空き店舗率13.59%でも賃貸意思のない地権者が8割の商店街があります。
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寂れた商店街の現状と空き店舗問題
中小企業庁の令和3年度商店街実態調査によると、全国4,536の商店街を対象とした調査で、平均空き店舗率は13.59%に達しています。さらに深刻なのは、空き店舗の今後の見通しについて、49.9%の商店街が「増加する」と回答している点です。
空き店舗は減少傾向にありません。
参考)https://www.chusho.meti.go.jp/shogyo/shogyo/2022/220408shoutengai.html
商店街が抱える最大の問題は、経営者の高齢化による後継者問題で72.7%を占め、次いで店舗等の老朽化が36.4%となっています。新型コロナウイルス感染症まん延の影響も大きく、9割の商店街で売上高に影響が出ており、8割の商店街で来街者数に影響、5割の商店街で空き店舗に影響が出ています。
不動産従事者として注目すべきは、空き店舗の地権者で賃貸等の意思がないものがどの程度あるかという点です。約2割の商店街では、賃貸等の意思がない空き店舗地権者が80%以上となっています。
つまり賃貸意思がない地権者が大半です。
参考)https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2020/shokibo/b2_2_1.html
商店街の新規参入が難しい要因は、地価問題にあります。地価が利用価値に見合わないほどに上昇し資産価値としての評価が高くなったこと、そしてその資産が若い後継者に引き継がれる際の負担が大きいことが挙げられます。不動産を所有と利用が分離して一元的なテナント・マネジメントが行われる大型ショッピングセンターと比べ、商店街は店主が各々不動産を所有し自ら商業を経営することから、魅力が低下しているのです。
参考)https://www.lij.jp/html/jli/jli_2009/2009autumn_p011.pdf
寂れた商店街復活の成功事例に学ぶ
空き店舗を活用した商店街復活の成功事例が全国に存在します。京都府京都市の古川町商店街では、空き店舗と出店希望者のマッチングを推進し、焙煎珈琲、熟成肉、ラーメンなど多様な業種の店舗が出店しました。地元民と観光客の両方が過ごせる商店街へ変身したのです。
参考)空き店舗活用の成功事例5選!始め方の手順や成功のポイントも解…
京都府福知山市の福知山駅正面通り商店街では、テナントミックス事業を実施した結果、空き店舗が減り、駅前には飲食店やヨガスタジオなど多様な業種の店舗が出店しました。パチンコ店が入っていたビルも複合商業施設に作り替え、徐々にエリア価値が向上しています。
エリア価値向上が基本です。
大分県豊後高田市の商店街は、古びた建物の並ぶ商店街を昭和のノスタルジーを楽しめる「観光地」へ変えるという逆転の発想で賑わいを取り戻しました。バブル末期の1990年代に大手広告代理店と組んで大型商業施設を建設する計画は、バブル崩壊のあおりを受け頓挫しましたが、計画の頓挫が後に若い店主を中心に活性化を考える契機となりました。
参考)古びた商店街が県の観光を“活性化”させた理由とは|法人のお客…
鳥取県鳥取市の若桜街道商店街では、空き店舗を半年で10万人が訪れるパン屋兼コミュニティスペースにした例があります。愛知県豊橋市の大豊商店街では、梅雨の時期に行う「雨の日商店街」というユニークな施策で商店街に再び活気を取り戻しました。
ユニークな施策が鍵です。
岐阜市の美殿町商店街では、岐阜市にぎわいまち公社と合同で創業促進チームを結成し、空きビルのリノベーションを行い「まちでつくるビル」としてクリエイターを誘致して「ものづくり」の街を復活させました。多くの専門職人が集結していた美殿町商店街らしさを、現代にマッチする形で呼び戻したのです。
参考)さびれた商店街がよみがえった!活性化に必要な3つの視点と成功…
滋賀県長浜市の黒壁スクエアでは、空き店舗を「チャレンジショップ」として提供し、若手起業家が低コストで店を始められるよう支援されました。町の商業活動が活発化し、不動産の空室率が低下し、地域全体の価値が上昇しました。
参考)まちづくりが不動産価値を変える!事例で学ぶ成功のポイント不動…
寂れた商店街の不動産投資リスクを回避する視点
商店街のテナント物件を借りる場合、テナント料の他に商店街費などの費用がかかることが一般的です。席数が10席以下・面積が10~15坪ほどの飲食店を出店する場合、合計1,025万円程度の初期費用がかかります。飲食店出店の相場は約1,000万円とされており、そこに組合加入手数料や商店街費などが加算されるイメージです。
初期費用は高額です。
参考)商店街のテナント物件の賃貸したい!物件選びのポイントなどを解…
不動産従事者として商店街物件を扱う際に注意すべきは、商店街を構成する店舗に偏りがあること、不動産価格が高騰し新規参入する店舗への参入障壁が高いことです。空き店舗の増加、大型店との競合、駐車場・駐輪場の不足、業種構成に問題があること、商圏人口の減少、店舗等の老朽化、集客力が高い・話題性のある店舗・業種が不足していることが課題として挙げられます。
参考)https://www.u-hyogo.ac.jp/mba/pdf/SBR/7-1/209.pdf
商店街の来客・売り上げの減少が更なる空き店舗を生むという悪循環を引き起こしてしまう点に注意が必要です。店主が各々不動産を所有し自ら商業等を経営することから、不動産の所有と利用が分離されて一元的なテナント・マネージメントが行われる大型ショッピングセンターなどと比べ、商店街の魅力が低下しているのです。
悪循環が原則です。
丸亀町商店街のように、商店街・地権者が主体的に事業を行うことによって、商店街の合意形成の難しさを克服し、合理的な事業スキームを組み立てる例もあります。できあがった施設と商店街が総合的にマネージメントできるようにし、再開発ビルとともに商店街全体のマネージメントを可能にする体制と財政基盤を確立することが重要です。
資産価値の上昇は、コミュニティ内の投資家である地主・不動産業者にとって適切な資産価値の形成にほかなりません。商店街の合意形成を前提として、まちづくりと不動産投資を連携させる視点が求められます。
寂れた商店街を回遊型イベントで復活させる戦略
商店街主催で回遊イベントを開催すれば、さまざまな店舗でのついで買いが促せます。回遊イベントの具体例は、スタンプラリーや街バル、謎解き、宝探しなどです。イベントを集客の核にすることで、店舗間の連携を強め、商店街全体の賑わいを意図的に作り出せる施策となっています。
参考)商店街を活性化するには?成功例・失敗例から学ぶ効果的な取り組…
商店街の活性化は「商店街の繁盛店を増やすこと」に尽きます。商店街は個店の集合体であり、それぞれのお店が集客力・販売力を高めていくことで商店街は活性化します。イベント・プロジェクトはあくまで一過性のもので、個店に魅力がなければ持続的な集客にはつながりません。
個店の魅力が条件です。
店主が地域住民に専門知識を提供するワークショップ「まちゼミ」の開催や、個店の活性化に向けた研修など、個店が繁盛するための取り組みが重要です。北海道帯広市では、新たなコミュニティの場をつくり集客に成功した例があります。
商店街の活性化は、いかにして若者世代を取り込めるかがポイントになります。若者の集客は、コラボ企画で「自分ごと化」させるのがコツです。若者のリアルな声を商店街づくりに取り入れることで、商店街の存在が強く印象付けられ、将来的な顧客化につながります。
街全体が「100均化」するイベントでは、通常は100円以上の価値がある商品を気軽に購入できるため、多くの客で賑わいます。売る物によっては難しい100円というくくりが、各店の工夫によってクリアされているのも注目ポイントです。
つまり各店の工夫です。
寂れた商店街の空き店舗に補助金を活用する方法
空き店舗を活用した新規出店の際の賃借料や改装工事費等を助成し、他地域からの新規出店や商店街の活性化を目指す自治体が増加しています。東京都・公益財団法人東京都中小企業振興公社による商店街起業・承継支援事業では、内装工事費や広告宣伝費など事業所整備費に関わる費用の3分の2以内(上限150万円)、賃料の3分の2以内(1年目月額12万円、2年目月額10万円まで)の助成を行っています。
参考)https://www.inshokuten.com/bukken/media/249
東京都文京区は、チャレンジショップ支援事業として、店舗の月額賃借料の2分の1(上限月額5万円)を12カ月間助成するほか、中小企業診断士を3年間無料で派遣するプログラムを毎年提供しています。昨年はカフェや惣菜店など6店舗が支援対象となりました。
新潟県三条市では、マルシェ出店後、三条市の空き家改修事業等補助金(新規出店事業)を利用して、2013年からの2年間で他地域から6店舗が新規開業しました。食品販売や飲食など出店料は4000円からとなっています。2017年はすでに5回実施し、のべ110,800人が参加しました。
兵庫県は、事業所移転に要する経費と移住に要する経費を各100万円以内、合計で200万円以内、さらに空き家を活用する場合は空き家活用に要する経費100万円以内を補助しています。この助成金とは別に、300万円を上限とする無利子の貸付制度「ひょうごチャレンジ起業支援貸付」も活用できます。
助かります。
東京都八王子市では、地元商店街関係者により立ち上げられた株式会社まちワイが、チャレンジショップの「はちチャレ」を運営しています。1日3,000円から、スイーツ販売店などのテストショップを出店することができます。
補助金の多くは新規事業者や起業家を支援する目的で提供されており、家賃や内装工事費などの初期投資を大幅に軽減してくれます。これにより、資金的な負担が軽減されるため、不動産従事者としてテナント誘致時に補助金情報を提供することで、成約率向上につながります。
参考)空き店舗を賢く活用!地域活性化の成功事例と対策法 – 流山市…
寂れた商店街の不動産証券化による活性化スキーム
中心商店街区域の商業施設等に適した不動産証券化スキームとして、プライベートな小規模で機動的な資金調達を行う方法があります。不動産を証券化すると、原資産の保有者はオフバランス効果を得られ、投資家がロットの小さい不動産へ投資しやすい環境となり、不動産の流動性が向上します。
商店街・地権者が主体的に事業を行うことによって、商店街の合意形成の難しさを克服し、合理的な事業スキームを組み立てることが可能です。市街地再開発事業と組み合わせることで、商店街全体のマネージメントを可能にする体制と財政基盤を確立できます。
オフバランス効果が狙いです。
資産価値の上昇は、コミュニティ内の投資家である丸亀町商店街の地主・不動産業者にとってまさに適切な資産価値の形成にほかなりません。できあがった施設と商店街が総合的にマネージメントできるようにすることで、再開発ビルとともに商店街全体の価値を高めることができます。
不動産従事者として、商店街物件を扱う際には、個別の物件評価だけでなく、商店街全体のマネージメント体制や財政基盤を評価する視点が必要です。商店街の合意形成を前提として、まちづくりと不動産投資を連携させることで、持続可能な商店街再生が実現します。
中小企業庁の商店街実態調査では、空き店舗率や経営課題の統計データが公表されています
中小企業庁の商店街活性化事例集では、全国の成功事例が紹介されています

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