住宅解体補助金の申請条件と活用方法
交付決定前に着工すると補助金はもらえません。
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住宅解体補助金の基本制度と対象物件
住宅解体補助金は、国土交通省の「空き家再生等推進事業」を基盤とした自治体の制度です。空家等対策特別措置法が2026年度も改正され、自治体による指導や支援制度が強化されています。
参考)【2026年版】実家の解体で使える補助金まとめ|空き家対策補…
対象となる建物は主に以下の条件を満たすものです。昭和56年5月31日以前に建築された旧耐震基準の木造住宅、長年使用されていない空き家、倒壊の恐れがある老朽化住宅が該当します。特定空き家と認定され周囲に悪影響を及ぼす可能性が高い建物は、補助金を受け取れる可能性が高まります。
補助金額は自治体により大きく異なります。例えば北海道札幌市は工事費用の1/3で上限50万円、群馬県高崎市は工事費用の4/5で上限100万円、愛知県名古屋市は工事費用の1/2で上限60万円です。木造住宅40坪の解体費用はおおむね200万円前後なので、補助金を利用すれば約半額で解体できるケースもあります。
補助対象者は空き家の所有者または相続人(個人)です。相続人が他地域に住んでいる場合でも、相続関連書類を提出すれば補助金を受け取れることがあります。ただし自治体によっては所有者の所得制限を設けており、一定以上の所得がある場合は自己資金で解体可能と判断され、補助金が認められないことがあります。
つまり経済的支援が必要な方向けの制度です。
住宅解体補助金申請の注意点と失格条件
補助金申請で最も多い失敗が、交付決定前の着工です。補助金制度は「これから行う工事を支援する」性質を持つため、申請は原則として解体工事の着工前に行う必要があります。交付決定通知が届く前に着工すると、どれだけ条件を満たしていても補助対象外となるのが一般的です。
見積もりも取れて日程も合うからと早めに解体してしまうと、その時点で補助は受けられなくなります。交付決定通知が手元に届くまでは工事を始めることができません。申請後に交付決定通知を受けてからでないと、補助の対象とはなりません。
早まった着工による補助金不交付は非常に多いため注意が必要です。
税金の滞納も失格条件の一つです。申請者が固定資産税や住民税などを滞納していると、補助金は受けられません。納税証明書の提出が必須となっているのはこのためです。市区町村の住民税・固定資産税を滞納していない、同じ補助金を受け取っていない、暴力団関係者ではないといった条件もあります。
参考)【2026年】空き家解体補助金|最大100万円|申請方法と対…
自治体によっては市内の解体業者に工事を依頼すること、自治体の空き家バンクに登録済みの家であること、公共事業の移転の保障を受けていないこと、抵当権が設定されていないことなど、細かい条件が設定されています。補助金を申請する場合は、詳細まで条件を確認し、後から自己負担が増えることがないように注意する必要があります。
未登記の住宅を解体した場合は対象外です。
参考)https://kosodate-green.mlit.go.jp/assets/doc/kosodate_faq_ricchi.pdf
住宅解体補助金の申請手順と必要書類
補助金申請の基本的な流れは以下の通りです。
まず自治体の窓口で事前相談を行います。
この段階で対象物件かどうか、必要書類は何かを確認します。解体工事の審査には一般的に数週間から1か月ほどの時間がかかるため、解体の計画は余裕を持って立てることが重要です。
事前相談後、交付申請を行います。申請書類には登記事項証明書、納税証明書、工事見積書、現場写真などが含まれます。自治体の担当者は物件の状況確認や現地調査などを行う必要があるため、審査には2~4週間ほどかかります。書類の追加や中間検査が必要になることもあります。
交付決定通知を受け取ってから、初めて解体工事を開始できます。工事完了後は完了報告書類を作成・提出します。この段階で領収書や証明書などを提出してから補助金が支給されるのが一般的です。
補助金の交付は、解体工事が終了し申請者が解体工事費用を解体業者へ支払った後です。
参考)https://www.city.yatsushiro.lg.jp/kiji00321633/3_21633_144233_up_qotymqzt.pdf
申請後すぐに補助金を受け取れるわけではない点に注意が必要です。資金繰りを考慮し、一時的に自己資金で費用を立て替える準備をしておくと安心です。不動産取引で解体が必要な場合は、買主や売主にこのタイムラインを事前に説明し、スケジュールに余裕を持たせることが重要です。
住宅解体補助金と建て替え・売却の関係
解体後の土地利用によっては、補助金の種類が変わります。建て替え工事助成金は建て替えが前提条件つき、空き家対策補助金は空き家であるという前提条件つきです。解体予定の物件がどの補助金に該当するのかを確認することで、安心して解体費用の検討ができます。
2026年度の住宅補助金では、解体を伴う新築の場合に追加の補助が受けられます。長期優良住宅とZEH水準住宅では解体を伴う場合に20万円が加算されます。みらいエコ住宅2026事業として実施予定で、GX志向型住宅は110万円、長期優良住宅は75万円、ZEH水準住宅は35万円の補助が基本です。
建て替えが前提の場合は複数の補助制度を組み合わせられる可能性があります。
売却を前提とした解体の場合、自治体によっては条件が異なることがあります。工事後に住み続けることを条件とする自治体もあるため、売却目的の解体では補助対象外となるケースがあります。不動産従事者として顧客に提案する際は、その自治体の細かい条件を事前に確認することが不可欠です。
補助金制度を活用した解体は、解体後の土地売却時に譲渡所得税がかかるケースもあります。空き家の解体補助金は自治体からの給付金という性質上、非課税所得として扱われるのが一般的ですが、法人での申請や解体後の土地売却をする際には所得税がかかる可能性があるため、詳しくは税務署または税理士に確認をしておく必要があります。
住宅解体補助金活用で不動産従事者が知るべき実務ポイント
不動産従事者として補助金を活用する際の実務ポイントをまとめます。
まず顧客への説明タイミングが重要です。
売買契約前に「補助対象・対象外」を明確にしておくことで、予想外の出費を防げます。
補助金申請のスケジュールを契約条件に組み込むことも有効です。申請から交付決定まで2~4週間、工事完了から補助金受領まで数週間かかるため、全体で2~3か月程度を見込む必要があります。決済日や引き渡し日の設定時に、この期間を考慮したスケジューリングが求められます。
自治体ごとに制度内容が大きく異なる点も押さえておくべきです。同じ都道府県内でも市区町村によって補助額、対象条件、申請時期が異なります。福岡県の例では、木造空き家で危険度判定がある場合は工事費の1/2で上限65万円、中心市街地では上限150万円と地域によって金額が変わります。
顧客の物件がある自治体の制度を個別に調査することが必須です。
補助金を活用できない顧客のために、代替案も用意しておくと良いでしょう。税金滞納がある、所得制限に引っかかる、着工を急ぐ必要があるなどの理由で補助金が使えない場合、解体費用を売買価格に織り込む、分割払いに対応する業者を紹介する、解体せず現況引き渡しとするなどの選択肢を提示できます。
不動産従事者として、補助金制度の最新情報を定期的にチェックすることも重要です。2026年度も空家等対策特別措置法が改正され、制度内容が更新されています。自治体の広報やウェブサイトで最新情報を確認し、顧客に正確な情報を提供できる体制を整えておきましょう。
このサイトでは各自治体の補助金額や対象条件が詳しくまとめられています。
2026年度の最新情報と申請手順が具体的に解説されており、実務での参考になります。
住宅解体補助金を効果的に活用することで、顧客の経済的負担を大幅に軽減できます。不動産従事者として制度を正しく理解し、適切なタイミングで提案することが、顧客満足度向上と円滑な取引につながります。

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