所得税不労所得の種類と計算方法で節税

所得税不労所得の仕組みと課税

不動産所得でも事業規模と認められないと青色申告の控除が10万円しか受けられません。

この記事の3つのポイント
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不労所得にも所得税がかかる

不動産所得や譲渡所得など種類ごとに税率や計算方法が異なり、総合課税と分離課税の2つの方式があります

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事業的規模で節税効果が拡大

アパート10室または戸建5棟以上の基準を満たすと青色申告特別控除が10万円から65万円に増額されます

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確定申告は年20万円超から必須

会社員の副業として不労所得がある場合、所得が年20万円を超えると確定申告が必要になります


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所得税における不労所得の定義とは

 

不労所得とは、労働の対価として得るのではなく、資産や権利から生じる収入のことです。代表的なものには不動産の家賃収入、式の配当金、預金の利子などがあります。

税法上、不労所得は所得の種類によって「不動産所得」「利子所得」「配当所得」「譲渡所得」「一時所得」「雑所得」などに分類されます。

それぞれ計算方法が異なります。

参考)不労所得にかかる税金種類と計算方法を解説!税金対策の内容も紹…

不動産従事者にとって特に重要なのは不動産所得です。これは物件を貸し出した際の家賃収入だけでなく、駐車場収入や礼金収入なども含まれます。船や航空機の貸付、借地権の貸付も該当します。

不労所得という言葉は一般的ですが、税法上は「不労所得」という所得区分は存在しません。必ず具体的な所得の種類に分類されて課税されます。

所得税の総合課税と分離課税の違い

所得税の課税方式には総合課税と分離課税の2種類があります。総合課税は給与所得や事業所得、不動産所得などをすべて合算し、その合計額に累進税率を適用する方法です。

日本の所得税は累進課税制度を採用しているため、所得が増えれば増えるほど適用される税率も上がります。課税所得が195万円以下なら税率5%ですが、4,000万円を超えると45%になります。

つまり稼ぐほど高い税率です。

参考)不動産売却時の分離課税とは?総合課税との違いは?計算方法を解…

一方、分離課税は上場株式の譲渡益や金融商品の配当などに適用され、他の所得と合算せず一定税率で個別に計算されます。

不動産の譲渡所得も分離課税の対象です。

どちらの課税方式になるかは法律で決まっている場合が多いものの、配当所得のように総合課税か申告分離課税を選択できるケースもあります。所得が高い人は分離課税が有利になることもあります。

不動産所得の計算方法と経費の範囲

不動産所得の計算式は「総収入額−必要経費=不動産所得」です。総収入額には家賃や共益費、駐車場使用料、礼金収入などが含まれます。

必要経費として認められる項目は幅広く、固定資産税、不動産取得税、火災保険料、地震保険料、損害保険料、減価償却費、管理費、修繕費、広告費などがあります。不動産所得は他の不労所得に比べて経費が多いのが特徴です。

減価償却費は建物の取得費用を耐用年数で分割して経費計上できる仕組みです。現金支出を伴わずに経費を増やせるため、節税効果が高いのが特徴です。

不動産所得は総合課税に該当するため、給与所得などと合算して所得税額を算出します。

他の所得と損益通算できるのもメリットです。

所得税の譲渡所得における短期と長期の税率差

不動産を売却したときの譲渡所得は、所有期間によって税率が大きく異なります。所有期間が5年を超える場合は長期譲渡所得として約20%(所得税15%+住民税5%)の税率が適用されます。

一方、所有期間が5年以下の場合は短期譲渡所得として約39%(所得税30%+住民税9%)の税率が適用されます。短期と長期で税率が倍近く違うということですね。

譲渡所得の計算式は「売却価格−取得費−譲渡費用−特別控除=譲渡所得」です。取得費は土地なら購入額、建物なら購入額から減価償却費を引いた金額です。

復興特別所得税も加算されるため、実際の税率は長期で20.315%、短期で39.63%になります。

売却タイミングが税負担に大きく影響します。


国税庁「譲渡所得の計算のしかた」では譲渡所得の詳しい計算方法と特別控除について確認できます

所得税申告における事業的規模の重要性

不動産所得では「事業的規模」という基準が重要です。アパートやマンションで10室以上、戸建住宅で5棟以上が事業的規模と認められる基準です。

この基準は「5棟10室基準」と呼ばれます。

事業的規模と認められると、青色申告特別控除が10万円から65万円に拡大します。年間の不動産所得が300万円の場合、通常なら10万円控除で課税所得は290万円ですが、事業的規模なら65万円控除で235万円になります。

所得税率20%と仮定すると、11万円の節税効果があります。

これは大きな差です。

参考)不動産投資の事業的規模とは?判断基準となる「5棟10室ルール…

事業的規模のその他のメリットとして、家族を従業員として認めてもらえるため給与を経費にできる点、滞納で回収できなかった家賃などをすぐに経費として計上できる点があります。ただし、小さな土地を分筆して形だけ5棟建てても認められません。

事業実態で総合判断されます。

所得税確定申告が必要になる不労所得の基準

会社員が副業として不労所得を得ている場合、給与所得以外の所得が年間20万円を超えると確定申告が必要です。副業所得とは、副業で得た収入から必要経費を差し引いた金額を指します。

参考)【税理士監修】会社員の副業には確定申告が必要?20万円以下で…

例えば副業収入が30万円で経費が12万円なら、所得は18万円となり20万円以下なので確定申告は不要です。

収入ではなく所得が基準です。

ただし20万円以下でも、住宅ローン控除の初年度や医療費控除を受ける場合は確定申告が必要になります。また、住民税には20万円以下の特例がなく、副業所得がある場合は金額に関わらず市区町村への申告が必要です。

参考)副業の確定申告はいくらから?20万円以下なら不要?サラリーマ…

本業の年間収入が2,000万円を超える場合は、副業所得の金額にかかわらず確定申告が必要になるため注意が必要です。複数の収入源がある場合は税理士への相談も検討しましょう。

不労所得の所得税における節税戦略と注意点

不労所得の節税で最も効果的なのは青色申告制度の活用です。青色申告には事前の届出が必要で、「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出します。

提出期限があるので注意が必要です。

参考)https://www.toushi-hakase.com/contents/03/

減価償却の活用も重要な節税手段です。建物の取得費用を耐用年数で分割して経費計上できるため、現金支出なしで所得を圧縮できます。

ただし物件売却時は注意が必要です。

参考)不動産業の節税対策まとめ|仕組みや注意点も解説

譲渡所得の計算では、取得費から減価償却費分を差し引く必要があるため、減価償却で節税した分だけ譲渡所得が増えます。短期的な節税だけでなく、長期的な税負担も考慮すべきです。

参考)不動産投資の減価償却と節税の仕組み!節税額の計算方法と注意点…

配当所得では総合課税と申告分離課税を選択できるケースがあり、所得が高い人は申告分離課税が有利になることもあります。

どちらが適切かは試算が必須です。

不動産所得が290万円を超えると個人事業税(税率5%)も課税されます。複数の税金を考慮した総合的な戦略が重要です。

参考)家賃収入にかかる税金の計算。所得額で違う税率や控除について解…


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