所有権移転登記の登録免許税を計算、軽減措置、相続、売買、税率

所有権移転登記の登録免許税

土地100万円以下でも登録免許税は本来かかるはずですが、相続なら実は0円です。

この記事の3つのポイント
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登録免許税の計算と税率

固定資産税評価額に税率をかけて算出。売買は原則2%、相続は0.4%だが軽減措置で売買1.5%に

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軽減措置と免税制度

土地の売買は2026年3月まで1.5%に軽減。相続では100万円以下の土地が免税対象

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計算ミスと適用漏れ

評価額の確認ミスや軽減措置の適用条件漏れは追徴・トラブルの原因に


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所有権移転登記の登録免許税とは何か

 

登録免許税は、不動産の所有権移転登記を行う際に国に納付する税金です。この税金は登録免許税法に基づく国税で、不動産の権利関係を公示する登記制度を利用する対価として課されます。

参考)https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001443859.pdf

計算式は「固定資産税評価額×税率」です。固定資産税評価額は、市町村が管理する固定資産課税台帳に登録された価格を使います。

参考)登録免許税の計算|土地(所有権移転登記)

税率は登記の原因によって異なります。売買なら原則20/1000(2%)、相続なら4/1000(0.4%)、贈与や競売などは20/1000(2%)となっています。ただし、軽減措置が適用される場合は税率が下がります。

参考)不動産の売買で発生する登録免許税の計算方法とは/登録免許税と…

不動産従事者として、顧客に正確な費用を提示するためには、この計算の基本を押さえておく必要があります。登記申請時に納付が必須で、納付なしには登記が完了しません。

参考)不動産登記費用についてプロが解説

所有権移転登記で適用される税率と計算方法

所有権移転登記の税率は、移転の原因によって大きく3つに分かれます。売買による移転は本則で20/1000(2%)、相続や法人合併による移転は4/1000(0.4%)、贈与や交換などその他の原因による移転は20/1000(2%)です。

参考)不動産登記の登録免許税の計算方法

具体的な計算例を見てみましょう。固定資産税評価額が3,840,000円の土地を売買で取得する場合、本則では3,840,000円×20/1000=76,800円となります。同じく評価額5,975,000円の土地なら、5,975,000円×20/1000=119,500円です。

つまり評価額に2%をかければOKです。

計算の際に重要なのは、課税標準となる固定資産税評価額の確認方法です。評価額は、市町村が発行する固定資産税評価証明書、または毎年5月頃に送られる固定資産税の納税通知書で確認できます。

参考)固定資産税評価額の調べ方|計算方法や資料の見方を徹底解説!

複数の不動産を同一の申請書で登記する場合は、それぞれの評価額を合算して計算します。たとえば土地5,125,300円と建物3,246,600円を同時に売買する場合、合計8,371,900円が課税標準となります。

登録免許税額は100円未満を切り捨てます。計算結果が76,850円なら76,800円、119,540円なら119,500円として納付することになります。

売買における所有権移転登記の軽減措置

土地の売買による所有権移転登記には、税率を20/1000から15/1000(1.5%)に引き下げる軽減措置があります。この措置は2026年(令和8年)3月31日まで適用されます。

参考)登録免許税の軽減措置とは?税率と適用期限・計算方法をわかりや…

評価額3,840,000円の土地なら、通常76,800円のところ、軽減後は57,600円で済みます。

約2万円の節約ですね。

建物の売買については、住宅用家屋に限り軽減措置が受けられます。一般の住宅用家屋は20/1000から3/1000(0.3%)に、認定長期優良住宅なら戸建てで2/1000(0.2%)、マンションで1/1000(0.1%)にまで税率が下がります。

参考)https://www.freee.co.jp/kb/kb-trend/registration-license-tax-reduction/

軽減措置を受けるための条件は厳格です。個人が自己の居住用に供すること、床面積が50㎡以上であること、新築または取得後1年以内に登記すること、建築後使用されたことのある住宅の場合は昭和59年4月1日以降に取得したものであることなどが求められます。

注意すべきは、事業用建物や贈与による取得には適用されない点です。住宅用家屋証明書が取得できない物件は対象外となります。また、登記申請時に市町村等が発行する住宅用家屋証明書の添付が必須です。

参考)301 Moved Permanently

適用期限は定期的に見直されます。2023年度の税制改正で土地の軽減措置は3年間延長されましたが、今後の動向にも注意が必要です。

参考)【徹底解説】登録免許税の軽減措置:相続登記・新築・中古物件へ…

国税庁の登録免許税の税率の軽減措置に関する詳細資料

相続による所有権移転登記の免税措置

相続による土地の所有権移転登記には、通常は4/1000(0.4%)の税率が適用されますが、特定の条件下では免税となります。この免税措置は2027年(令和9年)3月31日まで延長されています。

参考)R7改正 相続土地の所有権移転登記等の登録免許税特例が2年延…

1つ目の免税ケースは、相続により土地を取得した方が相続登記をしないまま死亡した場合です。この場合、その死亡した方を登記名義人とするための相続登記については登録免許税がかかりません。いわゆる「中間省略」ができない状況での救済措置ですね。

参考)相続登記の登録免許税が非課税になることもある?免税の条件とは…

2つ目は、登記に係る不動産の価額が100万円以下の土地です。この条件を満たせば、相続による所有権移転登記も表題部所有者の相続人による所有権保存登記も免税となります。

100万円以下かどうかは1筆ごとに判断します。たとえば300万円の土地の持分3分の1を相続した場合、評価額は100万円となるため免税措置が適用されます。複数の土地を相続する場合は、それぞれの土地について個別に判断する必要があります。

この免税措置を受けるためには、固定資産課税台帳の価格を正確に確認することが不可欠です。評価額の端数次第で免税か課税かが変わるため、顧客への説明時には慎重な確認が求められます。

注意点として、建物には100万円以下の免税措置はありません。

あくまで土地に限定された特例です。

また、相続登記の義務化に伴い、この免税措置の活用機会は今後増えると予想されます。

国税庁の相続土地の登録免許税免税措置の詳細(令和7年度改正版)

登録免許税の計算ミスで起きる実務トラブル

登録免許税の計算ミスや適用漏れは、実務上深刻なトラブルにつながります。特に多いのが、固定資産税評価額の確認ミスです。

住居表示と登記上の地番は異なります。たとえば「東京都〇〇区××1-2-3」が住所でも、登記簿上は「東京都〇〇区××一丁目123番地4」のように表記されることがあります。この違いを見落とすと、評価額を誤って参照してしまいます。

マンションの場合、敷地権に対しても登録免許税が課税されます。土地の評価額や敷地権割合の確認を怠ると、計算額が大きくずれる原因になります。一戸建ての前の私道(公衆用道路)も見落としやすいポイントです。

持分登記でも計算ミスが発生します。たとえば3,000万円のマンションを夫が2,000万円、妻が1,000万円を出資して購入した場合、持分を2分の1ずつで登記すると妻に贈与税が発生します。登録免許税の計算以前に、適切な持分設定が必要です。

軽減措置の適用条件を満たしていないのに軽減税率で計算してしまうケースもあります。床面積が50㎡未満、取得後1年超過、事業用建物などは軽減対象外です。この場合、登記申請後に追徴される可能性があります。

納付額が不足していた場合、登記が完了しないか、補正を求められます。逆に過大納付した場合は還付請求が可能ですが、手続きに時間がかかります。

参考)https://www.kfs.go.jp/service/JP/67/42/index.html

錯誤による登記の抹消後、過誤納となった登録免許税の還付を受けられる事例もありますが、手続きは複雑です。最初から正確に計算することが何より重要ですね。

不動産従事者としては、固定資産税評価証明書を取得して正確な評価額を確認すること、軽減措置の適用条件を必ずチェックすること、複数の不動産がある場合は見落としがないか確認することが基本です。

所有権移転登記を自分で行うリスク

所有権移転登記は法律上、本人が自分で申請することも可能です。しかし、不動産従事者として顧客に自己申請を勧めるのは慎重であるべきです。

参考)https://www.ieuri.com/bible/sell-knowledge/19945/

専門知識がないまま登記を行うと、必要書類の漏れや記載ミスが発生しやすくなります。登記に不備があれば、所有権が正しく主張できなくなる事態にもなりかねません。

特に深刻なのは、所有権移転登記を怠ったことで起きる二重譲渡のリスクです。売主Aから買主Bが不動産を購入したのに登記をせず、その後Aが同じ不動産を買主Cに売却してCが先に登記した場合、Bは先に購入したにも関わらず所有権を主張できなくなります。

登記は権利を守る手段です。

必要書類の漏れがあると登記完了までに時間がかかり、その結果、買主との間でトラブルに発展する可能性もあります。不動産取引は金額が大きいため、登記の遅延は信用問題に直結します。

登録免許税の計算ミスも自己申請では起きやすいトラブルです。過少申告なら追徴、過大申告なら還付手続きが必要になり、いずれにしても余計な手間がかかります。

顧客から「費用を節約したいので自分で登記したい」と相談された場合でも、リスクを十分に説明し、司法書士など専門家への依頼を推奨するのが賢明です。特に売買のような権利関係が複雑なケースでは、専門家のサポートが不可欠になります。

逆に、相続登記で相続人が1人だけ、不動産も1筆のみといったシンプルなケースなら、自己申請のハードルは比較的低いといえます。ただし、その場合でも登録免許税の計算や必要書類の準備については、事前に法務局に確認することを勧めましょう。

表:所有権移転登記の原因別税率と軽減措置まとめ

移転原因 本則税率 軽減税率 適用期限 備考
売買(土地) 20/1000 15/1000​ 2026年3月31日​ マイホーム以外も適用
売買(建物・住宅用) 20/1000 3/1000​ 2027年3月31日​ 床面積50㎡以上等の条件あり​
売買(認定長期優良住宅・戸建て 20/1000 2/1000​ 2027年3月31日​ 住宅用家屋証明書が必要​
売買(認定長期優良住宅・マンション 20/1000 1/1000​ 2027年3月31日​ 住宅用家屋証明書が必要​
相続 4/1000​ 100万円以下の土地は免税(2027年3月31日まで)
贈与・交換 20/1000​ 軽減措置なし

箇条書きでチェック:登録免許税の計算と申請で見落としやすいポイント

📌 固定資産税評価額の確認

  • 住居表示と登記上の地番は異なる​
  • マンションは敷地権の評価額も含める​
  • 一戸建ては前面私道の評価も確認​
  • 固定資産税評価証明書または納税通知書で確認

📌 軽減措置の適用条件

  • 住宅用家屋は床面積50㎡以上が条件​
  • 取得後1年以内の登記が必要​
  • 事業用建物は適用外​
  • 贈与による取得は軽減対象外​
  • 住宅用家屋証明書の添付が必須​

📌 免税措置の確認(相続)

  • 土地の評価額100万円以下は免税
  • 1筆ごとに判断する​
  • 持分相続も評価額計算して判断​
  • 2027年3月31日までの時限措置​

📌 計算の基本

  • 登録免許税額は100円未満切り捨て​
  • 複数不動産の同時申請は合算して計算​
  • 納付額不足は補正、過大納付は還付請求が必要

所有権移転登記の登録免許税は、計算方法こそシンプルですが、軽減措置や免税措置の適用条件、評価額の確認方法など、実務上の注意点が多数あります。不動産従事者として、正確な知識を持ち、顧客に適切なアドバイスを提供することが信頼につながります。特に軽減措置の適用期限や免税措置の条件は定期的に見直されるため、最新情報のキャッチアップが欠かせません。


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