心理的瑕疵 不動産の告知義務と実務対応
自然死でも特殊清掃が必要なら3年間の告知義務が発生します。
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心理的瑕疵 不動産における定義と判断基準
心理的瑕疵とは、建物や土地そのものに物理的欠陥がなくても、買主や借主に心理的抵抗感を与える事由を指します。具体的には、自殺・他殺・火災による死亡事故・孤独死といった「人の死」に関わる事象が中心です。
参考)【2025年最新】心理的瑕疵や事故物件の告知義務を徹底解説!…
物理的瑕疵との違いは明確です。物理的瑕疵はシロアリ被害や土壌汚染など建物や敷地自体を調査すれば発見可能ですが、心理的瑕疵は「物件そのものの過去に起きた事象」を対象としており、言わなければ分からないことが多いのが特徴です。
つまり調査だけでは判明しません。
心理的瑕疵の判断は、買主や借主が「契約を締結するか否かの判断に重要な影響を及ぼすか」という観点で行われます。ただし、心理的に影響が生じるかは個人差があるため、該当するかの判断には難しさもあります。
参考)事故物件「人の死の告知義務」心理的瑕疵はいつまで続くのか -…
心理的瑕疵 不動産の告知義務期間はいつまで続くか
2021年10月に国土交通省が策定した「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」により、告知義務の期間が明確化されました。
参考)心理的瑕疵ガイドラインが公表。事故物件や告知義務はどう変わる…
賃貸契約の場合、原則として発生から概ね3年間の告知義務が設けられています。具体的には以下の通りです:
- 「自然死又は日常生活の中での不慮の死」以外の死:発生から概ね3年間
- 「自然死又は日常生活の中での不慮の死」で特殊清掃が行われた場合:発覚から概ね3年間
3年が原則ということですね。
しかし、売買契約においては異なります。売買の場合、明確な期限は定められておらず、実質的に永続的な告知義務が求められるケースが多いのが実態です。
重要なのは、3年を超えても告知義務が求められる場合がある点です。近隣住民の記憶に残っている場合や、事件性が高い場合などは、3年経過後も告知が必要になります。
参考)心理的瑕疵に関する裁判例
心理的瑕疵 不動産で告知義務が免除されるケース
すべての死亡事案が告知対象になるわけではありません。ガイドラインでは、自然死は「自宅における死因割合のうち、老衰や病死による死亡が9割を占める一般的なもの」とされており、原則として告知不要です。
参考)自然死でも心理的瑕疵に該当して告知義務が必要なケースを解説【…
自殺や他殺など事件性のない自然死については一般的に十分予想できるものとされており、告知の必要がないとされています。
告知不要が基本です。
ただし、例外があります。自然死であっても、発見までの期間が長く特殊清掃が必要になった場合や、遺体の損傷が激しく物理的瑕疵にも該当する場合は告知義務が発生します。
参考)心理的瑕疵のある事故物件とは?瑕疵の種類や告知義務期間、売却…
また、事件性がない自然死でも法的には告知義務がないだけで、住む人の捉え方によっては嫌悪感を抱く可能性もあります。500人へのアンケート調査では、多くの人が孤独死(特殊清掃済み)の物件でも住むことへ抵抗感を抱いていることが判明しています。
参考)【500人にアンケート調査!許容できる心理的瑕疵物件のレベル…
心理的瑕疵 不動産の価格への影響と市場動向
心理的瑕疵が強い事故物件の場合、売却価格は相場の2~5割程度下がると言われています。なぜなら、事故物件は買主に敬遠されやすく、需要が少ないためです。
参考)不動産売却における心理的瑕疵とは?売却価格への影響と告知義務…
2割から5割の下落です。
判断のポイントは、取引相手が居住に対して不安を感じるかどうかです。ただし、事故物件でも居住に対して不安を感じるかは買主によって変わります。
参考)不動産の心理的瑕疵とは?売却価格への影響・告知義務を解説|岸…
そのため、想定より価格を下げなくても売却できるケースもあります。
心理的瑕疵には「時間希釈」という性質があり、時間とともに嫌悪感が小さくなる特徴があります。心理的瑕疵は永久に存在するわけではなく、4つの瑕疵の中で心理的瑕疵だけが過去に生じた事象であることから、他の瑕疵とは性質が異なります。
参考)https://www.homes.co.jp/cont/press/buy/buy_01152/
なお、心理的瑕疵がある物件は相場より家賃や売値が低くなっているケースも多く見られます。幽霊や心霊現象を信じず、「自分の生活に実害があるか」を重視する考え方の人にとっては、価格面でのメリットを享受できる可能性もあります。
心理的瑕疵 不動産における告知義務違反の賠償リスク
告知義務を怠った場合、不動産業者は重大な賠償責任を負うリスクがあります。実際の裁判例では、仲介業者が自殺の事実を把握していたのに説明しなかったケースで、損害賠償として150万円の支払いが命じられました。
150万円の賠償命令です。
この事例では、買主が1,800万円余りの損害賠償を請求しましたが、実際に認められたのは代金決済等が完了した状態での交渉を余儀なくされたことによる慰謝料相当額として150万円にとどまりました。
さらに重大な事例もあります。売主が自殺歴を隠し、不動産会社も確認を怠ったまま重要事項説明書を作成したケースでは、買主が後日近隣住民から事実を知らされ、契約解除と損害賠償を請求しました。裁判では業者の説明義務違反が認められ、数百万円規模の賠償命令が下された事例もあります。
数百万円規模になります。
別の事例では、売主の瑕疵担保責任による損害賠償として600万円が確定したケースや、控訴審で買主に有利に算定しても損害額は497万円余であるとされた事例も存在します。
参考)https://www.retio.or.jp/wp-content/uploads/2024/11/112-060.pdf
これらのリスクを回避するためには、物件調査の段階で過去の死亡事案を徹底的に確認することが不可欠です。近隣住民への聞き取りや「大島てる」などの事故物件サイトでの確認、キーワード「告知事項」「心理的瑕疵」を使った物件検索などが有効な手段となります。
参考)大島てる以外の有名な事故物件サイト3選!訳あり物件の確認方法…
国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」
国土交通省の公式ガイドラインでは、告知義務の詳細な基準と実務上の運用方法が示されています。不動産従事者は必ず確認しておくべき重要な参考資料です。
不動産流通推進センター「続・心理的瑕疵に関する裁判例について」
実際の裁判例を基に心理的瑕疵の判断基準と賠償責任の範囲が詳しく解説されており、実務における リスク管理の参考になります。

