親が脳梗塞になったら手続き
脳梗塞で意思確認できない親の不動産は、家族でも勝手に売却できません。
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親が脳梗塞で倒れた直後に行う緊急手続き
親が脳梗塞で救急搬送されたら、まず医師の診断を受けて治療計画を確認し、入院やリハビリの手配を進めます。不動産従事者として顧客からこのような相談を受けた場合、治療の見通しと今後の生活環境について冷静に情報を整理することが第一歩です。
参考)家族が脳梗塞になったときに手続きができる障害年金とは?
病院には医療ソーシャルワーカーが配置されており、入院中から介護保険の申請や退院後の生活相談に対応してくれます。リハビリ病院からの退院に向けて、入院中に介護申請をして介護認定を受けるのが一般的な流れです。
参考)父親が脳梗塞で突然救急搬送! 家族はどんな心構えをすればいい…
脳梗塞の後遺症には麻痺、言語障害、認知機能の低下などがあり、これらが日常生活に支障をきたす場合は障害者手帳の取得や障害年金の申請が可能になります。
初動対応が早いほど選択肢が広がります。
この段階では不動産売却の話は控えるべきです。まずは本人の回復を最優先にし、後遺症の程度が明確になってから財産管理の方針を決めます。
脳梗塞後の不動産売却で意思能力が問われる理由
不動産売買には売主本人の意思確認が必ず必要で、脳梗塞の影響で契約内容を理解できない場合、売買契約は無効となる可能性があります。脳梗塞だけでなく、事故などで寝たきりになった場合も意思確認ができないため親の不動産を売却することはできません。
参考)親が認知症になったときの不動産売却の注意点 &#8211; …
司法書士は所有権移転登記の際、売主本人の意思が真実であること、そして売却が適正な判断のもと行われていることを確認します。特に高齢者の場合、売却内容を理解できているかなど、簡単な質問を通じて判断能力を確認します。
参考)司法書士による売却の意思確認とは?|都島区・旭区・城東区・守…
実際に重度の脳障害で判断能力を欠いていた男性が病死する前日に行った自宅の売却について、遺族が不動産会社を相手取り損害賠償を求めて提訴した事例があります。契約書や実印も存在せず、代金が入金された形跡もなかったとされています。
意思能力の判断を誤ると、後から契約が無効とされ、不動産会社が訴訟リスクを抱えることになります。
慎重な確認が不可欠です。
成年後見制度を使った親の不動産売却手続き
親の判断能力が不十分な場合、家庭裁判所に申し立てて「成年後見人」を選任する必要があり、後見人が親の代わりに不動産売却の手続きを行うことができます。すでに認知症や脳梗塞を発症してしまっている場合は「法定後見制度」を利用して不動産を売却することになります。
申立てから後見人の選任までに2~3ヶ月程度かかり、家の売却まで含めると通常5~9ヶ月程度の期間が必要です。申立て費用は実費で2万円程度、専門家に依頼する場合は10~30万円程度のまとまったお金が必要です。
参考)https://www.mecyes.co.jp/taqsie/master/dementia-sell-house
成年後見人であっても、本人の自宅を売却する場合は家庭裁判所の許可が必要となります。家庭裁判所の許可を得ないで処分をした場合、その処分は無効となります。
参考)https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_25_04/index.html
裁判所は売却を許可するかどうかを決める際、認知症や脳梗塞になってしまった方の財産の維持を重要視し、「将来自宅に帰る可能性は本当にゼロなのか」などを慎重に検討します。
絶対に売却できるとは限りません。
成年後見人への報酬は月額2~6万円が相場で、成年後見制度が終わるまで、つまり原則本人が亡くなるまで支払い続ける必要があります。1年間で24~72万円、10年間続くと240~720万円程度かかります。
参考)成年後見人への毎月の費用・申立て費用(初期費用)、払えない場…
成年後見制度における居住用不動産処分の詳細については、裁判所の公式説明が参考になります
脳梗塞後に申請できる障害年金と身体障害者手帳
脳梗塞の後遺症が重度である場合、身体障害者手帳や障害年金の取得、会社からの手当てなどを受けられる場合があります。これらを取得すると医療費や車いすの助成、税の軽減、障害福祉サービスの利用などができたり、障害年金を受給できたりします。
障害年金の申請には、障害認定日(原則として初診から1年6ヶ月経過した日)以降の診断書、病歴・就労状況等申立書、年金加入履歴などが必要です。年金事務所または地域の年金相談センターで手続きを行うことができます。
身体障害者手帳の受け取りに関する相談は市区町村の障害窓口、障害年金の取得は市区町村の窓口で相談できます。申請は「本人」が原則ですが、家族が代理で手続きを行うことも可能で、その際は委任状や本人確認書類が必要になります。
これらの手続きをしないと医療費助成や生活支援を受けられないこともあるため、早めの情報収集が重要です。特に不動産の売却資金で介護費用を賄う計画がある場合、福祉制度を活用することで売却の必要性自体が変わることもあります。
📋 主な申請手続きまとめ
- 介護保険の申請:市区町村の窓口
- 身体障害者手帳の申請:市区町村の障害窓口
- 障害年金の申請:年金事務所または年金相談センター
- 傷病手当の申請:勤務先の健康保険組合
- 失業手当の申請:ハローワーク
脳梗塞による障害年金の受給事例については、専門家のサイトに詳しい解説があります
不動産従事者が知るべき顧客対応の実務ポイント
不動産従事者として、脳梗塞を患った親を持つ顧客から相談を受けた際、まず確認すべきは「親の現在の意思能力の程度」です。軽度であれば本人による売却も可能ですが、重度の場合は成年後見制度の利用が必須となります。
認知症を患って意思能力がなくなった親の代わりに、家族が代理で不動産を売却することはできません。不動産を売却できるのはあくまで所有者に限るため、たとえ家族であっても所有権を持っていない不動産は売却できないのです。
参考)認知症になった親の土地は売買できる?成年後見制度で売却する方…
ただし、本人の意思能力がはっきりしていれば、身体的な問題があっても不動産売買契約を結ぶことができます。たとえばケガにより入院中の場合は本人の意思能力自体に問題はないため、委任状を用意して家族が代理人となり不動産売却の手続きを進めることができるのです。
平成21年11月10日、東京地方裁判所で中等度~重度の認知症の方が行った不動産の売却を「有効」とする判決が出ました。認知症の程度によっては売却が可能であることを裁判所が正式に認めたことを意味しています。
顧客には以下の情報を明確に伝えることが重要です。
🔍 確認すべき3つのポイント
- 医師による意思能力の診断結果
- 成年後見制度利用時の期間(申立てから5~9ヶ月)と費用(月2~6万円の報酬)
- 居住用不動産の場合は家庭裁判所の許可が別途必要
不動産会社としては、意思能力に疑問がある状態での契約は絶対に避けるべきです。契約後に無効を主張され、訴訟に発展するリスクがあります。
司法書士と連携して意思能力の確認を慎重に行い、必要に応じて成年後見制度の利用を提案することが、顧客の利益を守り、自社のリスクを回避する最善の方法です。時間はかかりますが、適正な手続きを踏むことで安全な取引が実現します。

