相続3000万円控除解体のタイミングと要件

相続3000万円控除解体の要件とタイミング

購入者が解体しても特例適用できます。


この記事の3つのポイント
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令和6年改正で買主解体もOKに

譲渡後に買主が解体する場合でも、翌年2月15日までの完了で特例適用が可能になりました

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解体費用は売却代金に加算される

買主負担の解体費用も1億円判定に含まれるため、価格設定時の注意が必要です

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3人以上の相続人は控除額が減額

令和6年から相続人3人以上の場合、1人あたり2000万円に控除額が変更されました


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相続空き家3000万円控除の基本要件

 

被相続人の居住用財産(空き家)を売却した場合、譲渡所得から最大3000万円を控除できる特例があります。この特例は相続によって生じた旧耐震基準の空き家を対象としており、大幅な節税効果が期待できます。

基本的な適用要件は以下の通りです。

建物の要件

譲渡時の要件

つまり空き家のまま保つ必要があります。

特例の適用期限は令和9年12月31日まで延長されています。この期間内に売却を完了させることが条件です。

解体費用は譲渡費用として控除可能

建物の解体費用は、譲渡所得の計算上「譲渡費用」として売却収入から控除できます。譲渡費用とは「資産の譲渡に要した費用」であり、国税庁は「土地や建物を売るために直接かかった費用」と定義しています。

参考)−相続空き家の特例−建物解体費の譲渡費用該当性

空き家特例の適用には、相続開始時から取壊し又は売却までの間、建物・土地を賃貸用・事業用・居住用に供しないことが条件です。建物解体後は土地の売却まで建物や構築物の敷地の用に供しないことなど利用制限が課されます。

解体工事費の直接的必要性は高いといえます。

解体費用の相場(1坪あたり)

30坪の木造戸建て住宅を解体する場合、解体費用として100万円程度、消費税が10万円程かかると考えておくとよいでしょう。

解体費用には消費税が課税されます。この消費税も含めた金額が譲渡費用として認められるため、節税効果を高めることができます。

令和6年改正で買主による解体も対象に

令和6年(2024年)1月1日以降の譲渡については、制度が一部改正され使いやすくなりました。特に注目すべきは、売却後に買主が解体する場合でも特例適用が可能になった点です。

改正のポイント

期限厳守が絶対条件です。

買主が負担する解体費用は、1億円判定における「売却代金」に加算されます。売却代金(固定資産税清算金含む)+解体費用の合計が1億円を超えてしまうと特例が使えなくなる可能性があるため、価格設定には十分な注意が必要です。

契約書に「引き渡し後に買主の負担で解体する」といった特約を明記しておくことが重要です。この記載がないと特例適用が認められない可能性があります。

相続人3人以上の場合の控除額変更

令和6年の改正では、家屋と敷地を取得した相続人が3人以上いる場合、特別控除額が一人あたり3000万円から2000万円に引き下げられました。これは、意図的に共有者を増やすことで控除額を増やすことができてしまうことに対する対応です。

参考)空き家特例(3000万円控除)を網羅解説!相続不動産売却なら

改正前後の比較

項目 改正前 改正後
適用期限 ~令和5年12月31日 ~令和9年12月31日
控除額(相続人2人以下) 1人あたり3000万円 1人あたり3000万円
控除額(相続人3人以上) 1人あたり3000万円 1人あたり2000万円

2人以下なら変更ありません。

具体例:売却益8000万円の場合

相続人3人(1/3ずつ取得)のケースでは、ひとりあたりの売却益は8000万円×1/3=2666万円となります。2666万円-2000万円(特別控除)=ひとりあたり666万円の譲渡所得となり、それでも大きな節税効果があります。

複数の相続人がいる場合でも、この特例を活用することで税負担を大幅に軽減できます。ただし、3人以上の場合は控除額が減額される点を顧客に説明する必要があります。

解体タイミングの判断基準と注意点

解体のタイミングは固定資産税や売却戦略に大きく影響します。毎年1月1日時点の状態で固定資産税が決まるため、前年の年末までに解体しておくと翌年の税金を抑えられます。

参考)空き家の解体タイミングはいつがベスト?|現場ブログ|昭島市・…

解体を急ぐべきケース

  • 「特定空家」指定前:指定されると土地の固定資産税の優遇が受けられなくなり、税金が最大6倍にも跳ね上がる​
  • 早期売却が決まっている:相続開始から3年以内の売却期限があるため、スケジュール管理が重要​
  • 老朽化が進行している:倒壊リスクや近隣トラブルを避けるため​

解体を先延ばしにした方が良いケース

  • 売却先が決まっていない:古家付き土地として売れる可能性があり、買主が自費で解体してくれることもある​
  • 買主による解体が可能:令和6年改正により、買主が翌年2月15日までに解体すれば特例適用可能​

買主負担なら費用削減できます。

ただし、被相続人居住用家屋以外の建物(車庫や倉庫など)を取り壊さない場合、特例適用に影響が出る可能性があります。全部の取壊し等の対象は、被相続人が主として居住の用に供していたと認められる一の建築物となります。

参考)https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/joto/18/22.htm

特例適用の失敗を防ぐチェックポイント

空き家特例の適用には厳格な要件があり、一つでも満たさないと特例が使えなくなります。不動産従事者として顧客に正確な情報を提供するため、以下のチェックポイントを押さえておく必要があります。

よくある失敗例

3年は意外と短いです。

必要書類の準備

  • 被相続人居住用家屋等確認書:市区町村長から交付される​
  • 耐震基準適合証明書または建設住宅性能評価書の写し:空き家を取り壊した後にその敷地を売る場合は不要​
  • 売買契約書の写し:売却代金が1億円以下であることを証明​
  • 買主による解体の場合:解体の特約を契約書に明記​

家屋が共有であった場合でも、その土地の全部を被相続人居住用家屋の敷地の用に供されていた土地と認めることができます。一定の要件を満たす限り、相続した家屋を取り壊した後のその敷地の全部について特例を適用できます。

参考)【vol.140】相続Q&A~相続により取得した共有名義の家…

被相続人が老人ホーム等に入居していた場合などの例外規定もあるため、個別の状況に応じた確認が重要です。税理士との連携により、適切なアドバイスを提供できるようにしましょう。

参考)相続などで取得した空き家売却の3,000万円特別控除の特例と…

参考リンクとして、国税庁の公式ページで最新の制度内容を確認できます。

国税庁:被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例

また、国土交通省のページでは制度の詳細や改正内容が確認できます。

国土交通省:空き家の発生を抑制するための特例措置

令和版/Q&A 相続空き家の特例と居住用財産の3,000万円特別控除