鉄骨造の法定耐用年数と減価償却計算方法を解説

鉄骨造の法定耐用年数と減価償却

骨格材の厚み4mmと4.5mmでは耐用年数が7年も変わります。

この記事の3つのポイント
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骨格材の厚みで耐用年数が決まる

3mm以下は19年、3mm超4mm以下は27年、4mm超は34年と大きく異なる

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減価償却計算は中古物件で変わる

耐用年数を一部経過または完全に経過した場合、特別な計算式を使用

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骨格材肉厚の調べ方は複数ある

構造図面の柱梁リストが最も確実、実測は超音波厚さ計やノギスを使用


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鉄骨造の法定耐用年数は骨格材の厚みで決まる

 

鉄骨造の法定耐用年数は、建物の骨格を形成する鉄骨の厚みによって19年から34年まで大きく異なります。法定耐用年数とは、税制上の減価償却を行うための指標であり、固定資産の費用を一定期間に配分する際の基準となる年数です。

参考)鉄骨造の耐用年数とは?工場・倉庫建築時の基礎知識

具体的には、骨格材の厚みが3mm以下の場合は19年、3mm超4mm以下の場合は27年、4mm超の場合は34年と定められています。つまり、骨格材が1mm厚くなるだけで、減価償却期間が最大8年も変わってきます。これは不動産投資における節税効果や資金計画に直結する重要なポイントです。

鉄骨は厚さ6mmを境に分類され、6mm以上を重量鉄骨造、6mm未満を軽量鉄骨造と呼びます。住宅用として多く使用されるのは軽量鉄骨造ですが、法定耐用年数の計算においては、軽量鉄骨造であってもさらに細かく3段階に分類されるため注意が必要です。

鉄骨造の用途別法定耐用年数の違い

同じ鉄骨造でも、建物の用途によって法定耐用年数は異なります。住宅用と事業用では年数に差があり、事業用のほうが一般的に耐用年数が長く設定されています。

例えば、骨格材の厚みが4mm超の重量鉄骨造の場合、住宅用は34年ですが、事務所用は38年、工場・倉庫用は31年と設定されています。骨格材の厚みが3mm超4mm以下の場合、住宅用は27年、事務所用は30年、店舗用は27年、飲食店・車庫用は25年です。

この違いは、建物の使用頻度や負荷の違いを考慮したものです。不動産投資物件の減価償却計算を行う際には、建物の構造だけでなく用途も正確に把握する必要があります。用途を間違えると、税務申告に誤りが生じる可能性があるため、建築確認申請書類で用途を確認することが重要です。

鉄骨造の骨格材肉厚を調べる方法

減価償却の計算において最も重要なのが、骨格材の肉厚を正確に把握することです。しかし、完成した建物の外観からは判断できないため、専門的な調査方法が必要になります。

最も確実な方法は、建築確認申請時の構造図面、特に「柱梁リスト」を参照することです。この図面には建物の主要な柱と梁のサイズが詳細に記載されています。H型鋼の場合、「H-200×100×3.2×4.5」のように表記され、最後の2つの数値が鉄骨の厚みを示します。耐用年数判定では、このうち厚いほうの数値(この例では4.5mm)を採用します。

図面が入手できない場合は、超音波厚さ計による非破壊測定が最も精度が高い方法です。また、ノギスやキャリパーゲージを使った実測も可能ですが、測定箇所へのアクセスに制限がある場合もあります。複数箇所で測定し、最も代表的な数値を採用することが推奨されます。

図面も実測も困難な場合は、建築年代や建物の規模、ハウスメーカーの標準仕様などから推定する方法もありますが、税務申告に使用する際は慎重な判断が必要です。

参考)https://ameblo.jp/kumitax/entry-12074894459.html


骨格材肉厚の判定方法について詳しく解説している参考情報

鉄骨造の減価償却計算方法(新築・中古別)

新築物件の場合、減価償却計算は比較的シンプルです。取得価格を法定耐用年数で割り、定額法または定率法で毎年の減価償却費を計上します。

しかし中古物件の場合、計算方法が異なります。法定耐用年数を一部経過している場合の計算式は「(耐用年数-経過年数)+経過年数×20%」です。例えば、骨格材の厚さが3mmで法定耐用年数19年の建物を、築5年で購入した場合、「(19年-5年)+(5年×20%)=15年」が減価償却年数になります。

参考)https://invest.re-ism.co.jp/column/column387

法定耐用年数をすべて経過している場合は、さらにシンプルで「法定耐用年数×20%」で計算します。例えば、骨格材の厚さが3mm以下で法定耐用年数19年の建物を築30年で購入した場合、「19年×20%=3.8年」となり、端数を切り捨てて3年が減価償却年数です。

この計算を誤ると、減価償却費の計上に誤りが生じ、税務調査で指摘を受けるリスクがあります。特に中古物件の取引では、築年数と法定耐用年数の関係を正確に把握することが不可欠です。

鉄骨造の物理的耐用年数と法定耐用年数の違い

法定耐用年数は税制上の指標であり、建物の実際の寿命とは異なります。鉄骨造の物理的耐用年数(実際の寿命)は、適切なメンテナンスを行えば40年から60年、場合によっては100年以上も可能とされています。

大手ハウスメーカーの中には、鉄骨造住宅に60年の無料点検システムを提供しているところもあり、これは物理的耐用年数が法定耐用年数を大きく上回ることを示しています。法定耐用年数34年を過ぎた建物でも、構造的には十分に使用可能なケースが多いのです。

この違いを理解していないと、法定耐用年数を過ぎた物件を「寿命が尽きた建物」と誤解してしまう可能性があります。実際には、定期的な防錆処理や外壁塗装、屋根のメンテナンスなどを適切に行うことで、物理的な寿命を大幅に延ばすことができます。

参考)鉄骨の耐用年数とは?種類や伸ばす方法とメリット・デメリットも…

不動産投資においては、法定耐用年数は減価償却の計算基準として、物理的耐用年数は建物の実際の使用可能期間として、それぞれ別の視点で評価する必要があります。この二つを混同すると、投資判断を誤る原因になります。

鉄骨造の耐用年数を延ばすメンテナンス方法

鉄骨造建物の最大の弱点は、鉄骨の錆(腐食)です。鉄骨が錆びると構造強度が低下し、建物の寿命が短くなります。そのため、定期的な防錆処理が物理的耐用年数を延ばす最も重要なメンテナンスです。

具体的なメンテナンス項目としては、外壁の塗装が挙げられます。外壁塗装は10年から15年ごとに行うことが推奨されており、これにより雨水の浸入を防ぎ、内部の鉄骨を錆から守ります。また、屋根の防水処理も同様に重要で、雨漏りは鉄骨の腐食を急速に進める原因になります。

さらに、建物の通気性を確保することも重要です。湿気が溜まりやすい環境では鉄骨の腐食が進みやすくなるため、換気設備の点検や結露対策も必要です。特に工場や倉庫など、温度差が大きい建物では、結露による腐食リスクが高まります。

これらのメンテナンスを計画的に実施することで、法定耐用年数34年を大きく超えて、50年以上建物を使用することが可能になります。メンテナンス費用は必要ですが、建て替えコストと比較すれば圧倒的に経済的です。

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鉄骨造のメンテナンス方法について詳しく解説している参考情報

鉄骨造の中古物件購入時の注意点

中古の鉄骨造物件を購入する際には、いくつかの重要なチェックポイントがあります。まず、骨格材の厚みと築年数から、残りの法定耐用年数を正確に計算することが必要です。

参考)買ってはいけない中古住宅の特徴とは?土地・建物・構造別に見分…

住宅ローンの借入期間は、多くの金融機関で法定耐用年数を基準に設定されます。例えば、法定耐用年数34年の重量鉄骨造で築25年の物件の場合、残りの耐用年数は9年となり、ローンの借入期間も短くなる可能性があります。これは月々の返済額に直接影響するため、資金計画の段階で確認が必要です。

また、ハウスメーカーの保証期間も重要な確認事項です。大手ハウスメーカーの鉄骨造住宅には、最長60年の保証が付いている場合もあります。中古購入時にこの保証が引き継げるかどうかは、将来のメンテナンス費用に大きく影響します。

さらに、建物の実際の状態を専門家に調査してもらうホームインスペクション(住宅診断)の実施も推奨されます。特に鉄骨の腐食状態、外壁や屋根の劣化具合、雨漏りの有無などは、購入後の修繕費用を左右する重要な要素です。

法定耐用年数を大幅に超えた物件でも、適切なメンテナンスが行われていれば十分に使用可能ですが、購入前の詳細な調査は不可欠です。

鉄骨造と他構造の法定耐用年数比較

不動産投資や物件選定において、鉄骨造を他の構造と比較することは重要です。

主な構造の法定耐用年数は以下の通りです。

構造 住宅用 事務所用
木造 22年 24年
軽量鉄骨造(3mm以下) 19年 22年
軽量鉄骨造(3mm超4mm以下) 27年 30年
重量鉄骨造(4mm超) 34年 38年
鉄筋コンクリート 47年 50年

この表から分かるように、鉄骨造の法定耐用年数は木造と鉄筋コンクリート造の中間に位置します。減価償却の観点では、耐用年数が短いほど毎年の経費計上額が大きくなり、短期的な節税効果が高まります。

一方、物理的な寿命で比較すると、鉄筋コンクリート造は適切なメンテナンスで100年以上持つとされており、鉄骨造の50〜60年よりも長寿命です。ただし、鉄筋コンクリート造はメンテナンス費用が高額になる傾向があります。

建築コストの面では、木造が最も安価で、次いで軽量鉄骨造、重量鉄骨造、鉄筋コンクリート造の順に高くなります。初期投資、減価償却、物理的寿命、メンテナンス費用の全体をバランスよく検討することが、不動産投資成功の鍵になります。

鉄骨造の法定耐用年数と融資期間の関係

不動産投資において、金融機関からの融資期間は法定耐用年数と密接に関係しています。多くの金融機関では、融資期間の上限を「法定耐用年数-築年数」で設定する傾向があります。

例えば、重量鉄骨造(法定耐用年数34年)の築10年物件を購入する場合、融資期間は最長24年程度になる可能性があります。一方、新築であれば34年のフルローンが組める可能性もあります。この融資期間の違いは、月々の返済額や投資収益率に大きく影響します。

軽量鉄骨造で骨格材の厚みが3mm以下の場合、法定耐用年数は19年と短いため、築15年を超えると融資期間が極端に短くなり、場合によっては融資自体が受けられないケースもあります。購入を検討する際には、事前に金融機関の融資基準を確認することが重要です。

ただし、金融機関によっては物理的耐用年数を考慮して、法定耐用年数を超える融資を行う場合もあります。特に大手ハウスメーカーの鉄骨造住宅で長期保証がある場合は、融資条件が緩和されることもあるため、複数の金融機関に相談することをおすすめします。

融資期間が短いと月々の返済額が増え、キャッシュフローが悪化するリスクがあります。法定耐用年数と融資の関係を理解した上で、投資判断を行う必要があります。


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