登記の登録免許税の計算方法と軽減措置の適用期限

登記の登録免許税

住宅用家屋の軽減措置は取得後1年以内に登記しないと適用されません。

📋 この記事の3ポイント要約
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登録免許税の基本計算式

固定資産税評価額×税率で算出。売買による所有権移転は土地2%、建物2%が本則税率だが、軽減措置で大幅に下がる

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軽減措置の適用期限に注意

土地売買の軽減は2026年3月末まで、住宅用家屋は2027年3月末まで。期限切れで税額が数倍になる可能性あり

⚠️

計算ミスは還付されない

軽減措置があるのに本則税率で納付した場合、差額は原則返金不可。登記完了後の訂正は非常に困難


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登記の登録免許税の計算方法と税率

 

登録免許税は、不動産登記を行う際に国に納める税金で、固定資産税評価額に税率を乗じて計算します。計算式は「登録免許税=固定資産税評価額×税率」という単純なものです。

固定資産税評価額は、市区町村が発行する固定資産税評価証明書または毎年5月頃に送られてくる固定資産税の納税通知書で確認できます。新築建物の場合は固定資産課税台帳に価格が登録されていないため、各地域で定められた「新築建物価格認定基準表」を使って課税標準額を計算します。

税率は登記の種類によって異なります。

売買による所有権移転登記の本則税率は、土地が20/1000(2%)、建物も20/1000(2%)です。相続による所有権移転登記は土地・建物ともに4/1000(0.4%)、贈与や遺贈の場合は20/1000(2%)となります。

所有権保存登記の本則税率は4/1000(0.4%)です。建物を新築した際に最初に行う登記がこれに該当します。

抵当権設定登記の本則税率は4/1000(0.4%)で、住宅ローンを借りる際に金融機関が担保として設定する登記です。

例えば、固定資産税評価額が2,000万円の土地を売買で取得する場合、本則税率では2,000万円×2%=40万円の登録免許税がかかります。評価額が高額な物件では、一度の登録で数十万円から百万円を超える税負担が発生することもあります。

参考)不動産登記における登録免除税 | 登記情報についての基礎知識

登記の登録免許税の軽減措置の要件

住宅用家屋を取得した際は、一定の要件を満たすことで登録免許税の軽減税率が適用されます。この軽減措置を活用すれば、税負担を大幅に減らせます。


住宅用家屋の軽減措置の主な要件は以下の通りです。

  • 個人が自己の居住用として取得した家屋であること
  • 床面積が50㎡以上であること
  • 新築または取得後1年以内に登記申請を行うこと
  • 中古住宅の場合は、木造等の非耐火建築物で築20年以内、マンション等の耐火建築物で築25年以内であること(または新耐震基準に適合することが証明されたもの、既存住宅売買瑕疵保険に加入しているもの)

これらの要件を満たすと、以下の軽減税率が適用されます。

📌 所有権保存登記(新築): 本則4/1000→軽減1.5/1000(0.15%)

📌 所有権移転登記(売買): 本則20/1000→軽減3/1000(0.3%)

📌 抵当権設定登記: 本則4/1000→軽減1/1000(0.1%)

さらに、認定長期優良住宅や認定低炭素住宅の場合は、より優遇された税率が適用されます。認定長期優良住宅のマンションは所有権移転登記が1/1000(0.1%)、戸建て住宅は2/1000(0.2%)です。

軽減措置の適用を受けるには、登記申請時に市区町村が発行する「住宅用家屋証明書」を添付する必要があります。この証明書がないと軽減税率は適用されません。

参考)京都市:登録免許税の軽減を受けるための住宅用家屋証明について

新築または取得後1年以内という期限は厳格です。1年を1日でも過ぎると軽減措置は受けられず、本則税率での課税となります。例えば、評価額2,000万円の建物の場合、軽減税率3/1000なら6万円ですが、本則税率20/1000だと40万円になり、34万円もの差が生じます。

痛い出費です。

参考)https://touki-shihou.net/fudousantoukichishiki/juutakuyoukaokugenzei.html

登記の登録免許税の軽減措置の適用期限

登録免許税の軽減措置には適用期限が設定されており、期限を過ぎると本則税率に戻ります。2024年度の税制改正により、多くの軽減措置の適用期限が延長されましたが、登記の種類によって期限が異なる点に注意が必要です

土地の売買による所有権移転登記の軽減措置は2026年3月31日までです。本則税率20/1000が15/1000(1.5%)に軽減されていますが、この期限を過ぎると税率が1.33倍に跳ね上がります。
住宅用家屋の所有権保存登記および所有権移転登記、抵当権設定登記の軽減措置は2027年3月31日まで延長されています。土地の軽減措置よりも1年長く設定されているため、混同しないよう注意が必要です。

参考)https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sonota/0020003-124_01.pdf

適用期限の違いをまとめると以下の通りです。

登記の種類 軽減措置の適用期限
土地の売買による所有権移転登記 2026年3月31日 ⚠️
住宅用家屋の所有権保存登記 2027年3月31日
住宅用家屋の所有権移転登記 2027年3月31日
住宅ローン借入による抵当権設定登記 2027年3月31日

土地の軽減措置だけが他より1年早く終了するため、2026年4月以降の土地取引では顧客に対して正確な税額を提示する必要があります。

例えば、固定資産税評価額3,000万円の土地を売買する場合、2026年3月末までなら45万円(3,000万円×1.5%)ですが、4月以降は60万円(3,000万円×2%)になり、15万円の差額が発生します。

顧客にとっては大きな負担増です。

また、軽減措置の適用を受けるには、物件取得後1年以内に登記を完了させる必要があります。期限管理を怠ると、軽減措置の適用期限内であっても本則税率が適用されてしまいます。

厳しいですね。

登記の登録免許税の計算ミスと過誤納の扱い

登録免許税の計算は司法書士が細心の注意を払って行う業務ですが、軽減措置があるのに誤って本則税率で登記してしまった場合、差額は原則として還付されません

参考)珍しい?登録免許税の軽減措置

これは、正当な処理として登記が完了しているため、税務上は過誤納に該当しないと判断されるためです。単純な計算ミスであっても、軽減措置の適用漏れは「納税者側の確認不足」とみなされ、救済措置はありません。

参考)正当な処理だと還付できない – 税務調査対策を中心とした税理…

過誤納金の還付が認められるのは、以下のような限定的なケースです。

参考)過誤納付の免許税の返還

  • 登記申請が却下または取り下げられた場合
  • 明らかな計算誤りで過大に納付した場合(軽減措置の適用漏れを除く)
  • 登記原因が実態と異なることが後で判明した場合(ただし認められにくい)

還付を受けるには、法務局に「還付通知請求・申出書」を提出し、法務局から税務署長への還付通知を経て手続きを行う必要があります。ただし、この手続きは登記完了後に行うため、時間と手間がかかります。

参考)登記申請をオンラインで行った場合の登録免許税の過誤納の対応方…


オンライン申請で登録免許税を納付した場合の過誤納処理は特に複雑です。電子納付の場合、納付後の訂正ができないため、登記完了前に過誤納に気付いても即座に対応できません。​

軽減措置の適用漏れで本則税率を納付してしまうと、数万円から数十万円の損失が確定します。例えば、評価額2,000万円の住宅用建物で軽減税率3/1000を適用すべきところを本則税率20/1000で登記すると、6万円で済むはずが40万円となり、34万円が無駄になります。

このリスクを回避するため、登記申請前に以下を必ず確認してください。

✅ 軽減措置の要件(床面積50㎡以上、取得後1年以内など)を満たしているか

✅ 住宅用家屋証明書の取得は完了しているか

✅ 認定長期優良住宅や認定低炭素住宅などの特例適用物件ではないか

✅ 土地の軽減措置の適用期限(2026年3月末)を過ぎていないか

登記の登録免許税の免税措置と特殊ケース

一般的な軽減措置とは別に、特定の条件下では登録免許税が完全に免税となるケースがあります。これらは不動産従事者でも見落としがちな制度です。

参考)相続登記の登録免許税が非課税措置となる条件とは?申請書の書き…

相続登記で土地の固定資産税評価額が100万円以下の場合、登録免許税が非課税になります。この免税措置は、市街化区域外の土地が対象で、2018年の税制改正で導入されました。

参考)相続登記は,100万円以下の土地につき登録免許税が非課税(令…

ただし、この免税措置には注意点があります。

  • 対象は「土地」のみで、建物は含まれません
  • 次回の相続登記では免税になりません(最初の相続登記のみ)
  • 申請書に「租税特別措置法第84条の2の3第1項により非課税」と記載する必要があります

この免税措置の適用期限は2025年7月31日まででしたが、該当する土地を多く扱う地方の不動産従事者は、期限延長の可否を確認しておくことが重要です。

また、相続人が既に死亡している場合の相続登記も免税の対象になります。これは、相続が何世代も放置されていたケースで、中間の相続人が既に亡くなっている場合に適用されます。

さらに、あまり知られていない特殊な軽減措置として以下があります。

🏦 日本政策金融公庫からの借入に伴う抵当権設定登記は非課税になる場合があります。通常の金融機関では軽減税率1/1000が適用されますが、政策金融公庫の場合は完全に非課税です。

🌾 農業信用基金協会の抵当権設定登記も登録免許税が軽減されます。農地取引を扱う際は、この特例を確認すると良いでしょう。

🏘️ 宅地建物取引業者が一定の増改築等を行った住宅(買取再販住宅)を個人が取得した場合、所有権移転登記の税率が1/1000(0.1%)に軽減されます。これは、リノベーション物件の流通促進を目的とした措置で、適用期限は2027年3月31日までです。

これらの特例を見落とすと、顧客に対して過大な費用見積もりを提示することになり、競合他社との価格競争で不利になります。

特殊ケースを扱う際は、国税庁や法務局のウェブサイトで最新情報を確認することをお勧めします。

国税庁「登録免許税の税率の軽減措置に関するお知らせ」

登録免許税の軽減措置の適用期限や税率の詳細が記載されており、実務での確認に役立ちます。

登記の登録免許税の実務上の注意点と対策

不動産従事者として登録免許税を扱う際、顧客への説明や司法書士との連携で押さえるべきポイントがあります。実務上のミスを防ぐための具体的な対策を解説します。

見積もり段階での正確な税額提示が顧客満足度を左右します。売買契約前に登録免許税の概算を提示する際、以下を確認してください。

  • 固定資産税評価額は最新年度のものか(評価額は3年ごとに見直されます)
  • 住宅用家屋の軽減措置の要件を満たしているか
  • 物件引き渡しから登記申請までの期間が1年以内に収まるか
  • 土地の軽減措置の適用期限(2026年3月末)を超えないか

特に注意が必要なのは、新築物件の評価額算定です。新築建物は固定資産税評価証明書が存在しないため、「新築建物価格認定基準表」を使って計算します。地域によって基準が異なるため、物件所在地の法務局または市区町村で確認が必要です。

つまり事前調査が必須です。

司法書士への情報提供も重要です。軽減措置の適用判断は司法書士が行いますが、以下の情報を早めに共有すると、スムーズな登記手続きにつながります。

✔️ 顧客の居住開始予定日(自己居住用の要件確認のため)

✔️ 中古住宅の場合は築年数と耐震基準適合証明書の有無

✔️ 認定長期優良住宅や認定低炭素住宅などの認定取得状況

✔️ 買取再販住宅の場合は、宅建業者による増改築等の詳細

住宅用家屋証明書の取得タイミングも計画的に行う必要があります。この証明書は市区町村の建築指導課や都市計画課などで発行され、取得には以下の書類が必要です。​

  • 登記事項証明書または登記完了証
  • 売買契約書または工事請負契約書
  • 住民票(または住民票を移す予定であることの申立書)
  • 中古住宅の場合は耐震基準適合証明書または既存住宅性能評価書

証明書の発行には数日から1週間程度かかるため、登記申請予定日の2週間前には手続きを開始すると安全です。

複数の軽減措置が重複適用される場合の優先順位も把握しておきましょう。例えば、認定長期優良住宅の新築マンションを取得した場合、通常の住宅用家屋の軽減税率3/1000ではなく、認定長期優良住宅の特例税率1/1000が適用されます。より有利な税率が自動的に選択されますが、必要な証明書類は異なるため、事前確認が欠かせません。​

登録免許税の納付方法も、物件の規模によって使い分けると効率的です。

💴 現金納付: 税額が3万円以下の場合は、収入印紙を申請書に貼付して納付できます

💳 オンライン納付: 電子申請の場合、インターネットバンキングやATMから納付できます​

🏦 金融機関納付: 高額な場合は、税務署から交付される納付書で金融機関から納付します

オンライン納付は便利ですが、前述の通り過誤納時の訂正が難しいため、税額の確認は特に慎重に行ってください。

顧客から「登録免許税を安くする方法はないか」と質問されることがあります。この場合、違法な評価額の過少申告ではなく、合法的な軽減措置の活用を提案しましょう。具体的には、取得後1年以内の登記申請の徹底、住宅用家屋証明書の確実な取得、認定住宅制度の利用検討などです。

法務局「登録免許税はどのように計算するのですか?」

登録免許税の計算方法や納付手続きの詳細が記載された公式資料で、実務での参考になります。


物語で学ぶ「不動産登記法」入門