土地の登録免許税軽減措置の適用期限と計算方法

土地の登録免許税軽減措置

相続登記なら100万円以下の土地は免税なのに売買では対象外です。

この記事の要点
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税率の軽減内容

土地売買の登録免許税は本則2.0%が1.5%に軽減され、2029年3月31日まで延長されています

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適用の注意点

相続登記では100万円以下の土地が免税対象ですが、売買や贈与では軽減措置が適用されても課税されます

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実務上のメリット

固定資産税評価額3,000万円の土地なら、軽減措置で15万円の節税効果があります


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土地の登録免許税の軽減措置とは

 

土地の売買による所有権移転登記にかかる登録免許税は、本来2.0%(1000分の20)の税率が適用されます。しかし租税特別措置法により、現在は1.5%(1000分の15)に軽減されています。

つまり0.5%分が軽減されるということですね。

この軽減措置は令和8年度(2026年度)の税制改正により、2029年3月31日まで3年間延長されることが決定しました。土地の面積や用途、住宅の有無に関係なく、売買による所有権移転登記であれば適用されます。

参考)登録免許税の軽減措置が2026年3月まで3年延長

固定資産税評価額が3,000万円の土地を例に挙げると、本則では60万円の登録免許税がかかりますが、軽減措置適用で45万円となり、15万円の節税効果があります。東京ドーム約5個分(約23.5ヘクタール)の大規模土地なら、軽減額は数百万円に達することもあります。

顧客への説明では「登記申請が2029年3月末までなら軽減税率が使える」と明確に伝えることが重要です。取引スケジュールの遅延で期限を過ぎると、0.5%分の追加負担が発生するリスクがあります。

土地の登録免許税軽減措置の計算方法

登録免許税の計算式は「固定資産税評価額×税率」です。固定資産税評価額は、市区町村が定める評価額で、一般的に実勢価格の70%程度とされています。

計算の基本は固定資産税評価額です。

具体例を挙げると、固定資産税評価額2,000万円の土地を売買する場合、軽減措置適用前(2.0%)では40万円の登録免許税がかかります。軽減措置適用後(1.5%)では30万円となり、10万円の節税になります。

はがき約250枚分の厚さに相当する1万円札1,000枚(10万円)の差は、顧客にとって無視できない金額です。

助かります。

注意点として、登録免許税の計算では1,000円未満は切り捨てられます。例えば評価額が5,555,555円の土地なら、1.5%を掛けると83,333.325円ですが、実際の納税額は83,300円です。

実務では、登記申請前に固定資産税評価証明書を取得し、正確な評価額を確認することが必須です。評価証明書は市区町村の税務課や出張所で取得でき、手数料は300円程度です。

参考)登録免許税の軽減 2026

土地の登録免許税軽減の適用期限

土地の売買による所有権移転登記の登録免許税軽減措置は、2029年3月31日までの適用期限が設定されています。この期限は過去に何度も延長されてきた経緯があります。

参考)土地の登録免許税軽減が3年延長!2026年以降の購入費用を節…

2029年3月末が期限です。

平成29年度には平成31年3月31日まで延長され、令和5年度(2023年度)税制改正では2026年3月31日まで3年延長されました。そして令和8年度(2026年度)税制改正により、さらに3年間延長され2029年3月31日となっています。

参考)登録免許税 所有権移転登記等の軽減措置延長

この3年ごとの延長パターンは、不動産市場への配慮と税収とのバランスを考慮した政策判断です。

厳しいですね。

注意すべきは「登記申請日」が基準となる点です。売買契約日や決済日ではなく、法務局への登記申請書類提出日が2029年3月31日以内である必要があります。

実務上のリスクとして、2029年3月下旬の駆け込み登記申請が予想されます。この時期の申請には司法書士のスケジュール確保が困難になる可能性があるため、早めの手続きが推奨されます。顧客には「期限ギリギリではなく、余裕を持った登記申請」をアドバイスすることで、不測の負担増を防げます。

土地の登録免許税と住宅用家屋の違い

土地の登録免許税軽減措置と住宅用家屋の軽減措置は、要件や証明書の必要性が大きく異なります。土地の売買による所有権移転登記では、特別な証明書は不要で、2029年3月31日までという期限のみが条件です。

土地の場合は証明書不要です。

一方、住宅用家屋の軽減措置を受けるには、市区町村長が発行する「住宅用家屋証明書」の添付が必須です。この証明書を取得するには、床面積50平方メートル以上、取得後1年以内の登記、自己居住用といった複数の要件を満たす必要があります。

住宅用家屋の保存登記は本則0.4%が0.15%に、移転登記は本則2.0%が0.3%に軽減されます。認定長期優良住宅や認定低炭素住宅ならさらに優遇され、保存登記も移転登記も0.1%になります。

いいことづくめですね。

実務では、土地と建物を同時に取得する場合、建物についてのみ住宅用家屋証明書が必要となります。証明書の申請には住民票、売買契約書、建築確認済証などの書類が必要で、取得まで数日かかるケースもあります。

参考)住宅用家屋証明書による登録免許税の減税措置

登記申請後に証明書を提出しても軽減措置は受けられないため、事前準備が重要です。顧客には「建物の軽減措置には証明書が必須で、登記申請と同時提出」と明確に伝える必要があります。

土地の登録免許税で見落としやすい免税措置

土地の登録免許税には、あまり知られていない免税措置が存在します。相続により取得した土地で、不動産の価額が100万円以下の場合、登録免許税が免除されます。

参考)【2025年最新版】いまなら相続登記の登録免許税の免税措置あ…

100万円以下なら免税です。

この免税措置は令和4年度(2022年度)税制改正により大幅に拡充されました。従来は市街化区域外の10万円以下の土地のみが対象でしたが、現在は全国の土地が対象で、価額基準も100万円以下に引き上げられています。

適用期限は2027年3月31日までです。

参考)相続登記の登録免許税の免税措置について:法務局

注意点として、この免税措置は「相続」による所有権移転登記にのみ適用されます。

売買や贈与による取得は対象外です。

どういうことでしょうか?

参考)100万円以下の土地では、登録免許税は掛からないと聞きました…

つまり、同じ100万円以下の土地でも、相続なら免税ですが、売買では1.5%の軽減税率が適用されて1,500円の登録免許税がかかります。贈与の場合は軽減措置自体がなく、本則2.0%で2,000円の税負担となります。

複数の土地を相続する場合、100万円以下かどうかは土地ごとに判断します。例えば、評価額70万円の土地Aと評価額150万円の土地Bを相続した場合、土地Aのみ免税となり、土地Bには0.4%(相続税率)で6,000円の登録免許税がかかります。

免税措置の適用を受けるには、登記申請書に「租税特別措置法第84条の2の3第2項により非課税」といった免税の根拠条項を記載する必要があります。記載がない場合、自動的に免税にはならず、通常の税率で課税されてしまうため、司法書士との連携が重要です。

この免税措置は、地方の農地や山林など評価額の低い土地を多数相続するケースで大きなメリットがあります。10筆の土地を相続し、そのうち5筆が100万円以下なら、その5筆分の登録免許税が不要になります。顧客の相続案件では、この免税措置の適用可能性を必ず確認することで、不要な税負担を回避できます。

法務省の公式サイトでは、相続登記の登録免許税免税措置について詳細な説明と申請書の記載例が公開されています。

法務局|相続登記の登録免許税の免税措置について

土地の登録免許税軽減における不動産従事者の注意点

不動産従事者が土地の登録免許税軽減措置で特に注意すべきは、顧客への説明タイミングと内容の正確性です。売買契約時に「登録免許税は1.5%です」と説明しても、実際の登記が2029年4月以降になると2.0%が適用され、想定外の負担が発生します。

期限切れは致命的です。

実務では、売買契約から決済・登記までの期間を考慮したスケジュール管理が必須です。特に2029年1月以降の契約では、登記申請が3月末を超えるリスクを顧客に明示し、軽減措置が使えない可能性も説明する必要があります。

もう一つの重要ポイントは、土地と建物の軽減措置の違いを混同しないことです。土地は証明書不要ですが、建物の軽減措置には住宅用家屋証明書が必須で、取得には1〜2週間かかることもあります。

結論は事前準備です。

顧客が「土地も建物も同じ手続きでは?」と誤解するケースは多く、建物の証明書取得漏れで軽減措置を逃すトラブルが発生します。このリスクを回避するには、契約書に「建物の軽減措置には住宅用家屋証明書が必要」と明記し、取得スケジュールを具体的に説明することが有効です。

また、評価額100万円以下の土地の免税措置について、相続案件では必ず確認すべきです。相続登記の義務化により、今後相続関連の相談が増えることが予想されます。この免税措置を知らずに通常の税率で登記すると、後から還付請求はできないため、最初の説明段階で適用可能性を伝えることが重要です。

司法書士との連携も欠かせません。登録免許税の計算や軽減措置の適用判断は専門的な知識が必要で、不動産従事者だけで完結できる内容ではありません。信頼できる司法書士と提携し、顧客に正確な情報を提供できる体制を整えることが、トラブル防止とスムーズな取引につながります。

国税庁の公式パンフレットでは、登録免許税の税率軽減措置について最新の情報と計算例が掲載されています。

国税庁|登録免許税の税率の軽減措置に関するお知らせ

財務省の登録免許税に関する資料ページでは、制度の背景や改正経緯について詳細な説明があります。

財務省|登録免許税に関する資料

2030―2040年 日本の土地と住宅 (中公新書ラクレ)