放置空き家問題のリスクと対策
あなたが管理する物件、実は特定空き家指定まで12か月しかありません。
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放置空き家が引き起こす固定資産税の増税リスク
放置空き家を抱える所有者にとって、最も直接的な金銭負担となるのが固定資産税の増税です。通常、住宅が建っている土地には「住宅用地の特例」が適用され、固定資産税が最大6分の1に軽減されています。しかし空き家を放置して状態が悪化すると、この特例措置が解除され、固定資産税が最大6倍に跳ね上がる仕組みになっています。
参考)空き家放置の6つの問題点について|不動産活用コラム|【公式】…
2023年12月に施行された改正空家等対策特別措置法により、これまで「特定空き家」に指定された物件のみが対象だった課税強化が、「管理不全空き家」にまで拡大されました。管理不全空き家とは、特定空き家になる一歩手前の状態、つまり「このまま放置すると特定空き家になりそうな物件」を指します。具体的には、窓ガラスが割れている、雑草が繁茂している、外壁に亀裂がある、といった状態でも指定される可能性があります。
つまり管理不全空き家も対象です。
例えば固定資産税評価額が1,000万円の土地の場合、通常なら年間約2.3万円(1,000万円×1/6×1.4%)の固定資産税で済みますが、特例が外れると約14万円(1,000万円×1.4%)となり、差額は年間約11.7万円にもなります。10年放置すれば117万円もの追加負担です。
痛い出費ですね。
参考)https://www.daiwahouse.co.jp/stock/column/kanri/vol04/
不動産従事者として顧客にこのリスクを説明する際は、「管理不全空き家」という新しい概念が加わったことを強調すべきです。従来は「倒壊寸前」のような極端な状態にならなければ課税強化されなかったのが、軽度の管理不足でも対象になる時代に変わったのです。
放置空き家による損害賠償責任の具体事例
放置空き家がもたらす最も深刻なリスクは、他人を巻き込む事故による損害賠償責任です。空き家の老朽化により屋根瓦や外壁が落下して通行人が怪我をしたり、ブロック塀が倒れて隣家の車を破損したりするケースが実際に発生しています。
具体的な賠償事例を見ると、その金額の大きさに驚かされます。放置された空き家のブロック塀が倒れて通行人に後遺障害9級の怪我を負わせた事案では、5,227万円の賠償金支払いが命じられました。さらに深刻なケースとして、空き家から出火して隣家が全焼し夫婦2人が死亡した事例では、物件損害額1,500万円に加えて人身損害額1億9,360万円、合計2億860万円もの責任額が算出されています。
参考)真夜中に突如“倒壊”した家「負の遺産を残したくない」と願うも…
厳しいですね。
民法717条1項では、土地の工作物(建物やブロック塀など)の設置または保存に瑕疵があり、それによって他人に損害を与えた場合、所有者は無過失責任を負うと規定されています。つまり「知らなかった」「管理していなかった」という言い訳は通用せず、所有しているだけで責任を問われるということです。
参考)知っていました?空き家の管理不足が引き起こす数千万円の損害賠…
不動産従事者としては、顧客に対してこの無過失責任の重さを理解してもらうことが重要です。特に相続で取得した遠方の空き家を抱える顧客には、定期的な点検や早期売却の検討を促すべきでしょう。万一の事故に備えて、施設賠償責任保険への加入を提案するのも有効な対策です。この保険は空き家に起因する事故での賠償金や訴訟費用をカバーしてくれます。
特定空き家指定までの期間と勧告プロセス
特定空き家に指定されるまでの具体的な期間とプロセスを把握しておくことは、不動産従事者にとって極めて重要です。大阪市の事例では、危険度の高い特定空き家と判定された場合、判定日から概ね12か月以内に勧告の妥当性について協議が行われ、その後速やかに勧告が実施されます。
参考)https://www.city.osaka.lg.jp/toshikeikaku/cmsfiles/contents/0000341/341575/8sennmonnsiryou2.pdf
意外ですね。
勧告までのプロセスは通常、以下のように進行します。まず市民からの通報などで空き家の存在が確知されると、自治体職員が現場確認を行い「保安上危険な建築物の判定表」により危険度を判定します。危険度3(高危険度)と判定された場合、所有者調査が開始され、全所有者が特定された後、法第12条に基づく情報提供・助言が行われます。
それでも改善されない場合は、法第14条第1項に基づく指導が通常3回程度実施されます。指導に応じて改善すれば特定空き家の指定を解除してもらえる可能性がありますが、指導を無視し続けると、所有者特定から概ね9か月以内に勧告が行われます。
参考)空き家問題を考える ~空き家を放置してはいけない時代に!~
改善すれば解除されます。
ただし実態としては、「特定空き家等」の制度が定められてから約10年経過しても、勧告の実績がある自治体は全体の42.1%に留まっています。つまり半数以上の自治体では勧告に至っていない状況です。これは自治体の人手不足や所有者特定の困難さが原因と考えられますが、逆に言えば「まだ大丈夫」と油断していると、突然勧告を受けるリスクがあるということです。
不動産従事者としては、顧客の空き家が「危険度判定」の段階に入る前に、予防的な管理や処分を提案することが賢明でしょう。自治体から最初の連絡があった時点で、すでに改善猶予期間は1年程度しか残されていないと認識すべきです。
放置空き家問題を解決する管理サービスの活用法
遠方に空き家を所有する顧客や、自己管理が困難な所有者に対して提案すべきなのが、空き家管理サービスの活用です。これは専門業者が定期的に空き家を訪問し、通風・換気、郵便物の整理、外観チェック、簡易清掃などを代行してくれるサービスです。
空き家管理サービスの費用相場は、月1回の基本的な管理で月額5,000円~15,000円程度が一般的です。地域や業者によっては月額2,750円から提供しているケースもあります。戸建ての場合、月1回訪問で8,000円~9,000円、月2回訪問で16,000円~18,000円程度が目安となります。
参考)空き家管理サービスとは?料金相場やサービス内容を解説|空き家…
無料ではありません。
例えば月額10,000円のサービスを利用すれば、年間12万円のコストがかかります。しかしこれは固定資産税6倍化による年間約11.7万円の増税負担とほぼ同額であり、さらに数千万円規模の損害賠償リスクを回避できることを考えれば、十分に合理的な選択と言えるでしょう。
サービス内容は業者によって異なりますが、基本パッケージには通常、外観目視点検、郵便物の整理・転送、通風・換気、簡易清掃、雨漏り・破損チェック、庭木や雑草の状況確認などが含まれます。オプションとして草刈り、樹木剪定、害虫駆除、設備点検なども追加できます。
管理サービス業者を選ぶ際は、作業報告書の提供体制、緊急時の対応可能範囲、損害保険加入の有無を確認することが重要です。写真付きの詳細な報告書を毎回提供してくれる業者なら、遠方の所有者も安心できます。
不動産従事者が取り組むべき空き家ビジネスモデル
放置空き家問題は、不動産従事者にとって新たなビジネスチャンスでもあります。空き家対策を専門業務として展開することで、地域の社会課題解決と企業成長の両立が実現できるのです。
参考)空き家対策の新常識。不動産会社がサイト活用で実現する未来型ソ…
具体的なビジネスモデルとしては、まず「空き家専門相談窓口」の設置が挙げられます。自社ウェブサイトに空き家専用ページを作成し、LINE公式アカウントやチャットボットで気軽に相談できる窓口を用意します。匿名・気軽な相談から対面相談への誘導、問い合わせ後の自動追客・フォローアップまで一気通貫で仕組み化することで、相談数の飛躍的な増加が期待できます。
一気通貫が鍵です。
ある地方都市の不動産会社では、「空き家バンク+自社サイト+SNS広告」の三位一体運用により相談数が4倍に増加し、実際の成約数も前年同期比2倍となった事例があります。地域イベントやリフォーム相談会もサイトで告知し、「Web→リアル」の流れを強化したことが成功要因でした。
次に「自治体空き家バンクとの連携強化」も有効な戦略です。自社が窓口となり、バンク掲載物件の管理・成約サポートまで担うことで、バンク経由で集まるリード情報(メールアドレス・LINE・電話番号)を自動で自社管理システムに連携できます。成約後も「管理」「リフォーム」「賃貸運用」までワンストップサービスを提供すれば、継続的な収益源となります。
さらに新しいビジネスモデルとして、行政の空き家バンクや補助金・優遇税制を活用したリノベーション案件の拡大、地方創生ファンドやクラウドファンディングによる空き家再生プロジェクトの資金調達、金融機関との連携で空き家リフォーム・買取・賃貸保証などの新商品開発などが注目されています。
高齢者・外国人・子育て世帯向けのコミュニティ住宅化や、デジタル人材・不動産テック企業とのAPI連携による新たな空き家マッチングサービスも、2025年以降の成長領域として期待されています。
助かりますね。
相続空き家の早期対策と専門家連携の重要性
相続により取得した空き家は、特に放置されやすい傾向があります。不動産従事者として顧客をサポートする際は、相続発生直後からの迅速な対応が鍵となります。
参考)相続した空き家を放置した場合のリスクは?早めの対策でトラブル…
まず最優先で取り組むべきは相続登記です。令和6年4月から相続登記が義務化され、相続を知った日から原則3年以内に登記を完了しなければ、10万円以下の過料が科される可能性があります。登記を怠ると所有者不明となり、将来的な売却や活用が困難になるだけでなく、相続人の中の誰かが亡くなると権利関係がさらに複雑化します。
参考)相続でトラブルにならないために−NPO法人 空家・空地管理セ…
期限は3年以内です。
次に検討すべきは「相続放棄」「限定承認」「単純承認」の選択です。負債が大きい場合や管理負担が重い場合には、相続放棄や限定承認を選ぶことで、不動産に関連するトラブルや想定外の支出を回避できます。ただし相続放棄には期限があり、相続を知った時から3か月以内に家庭裁判所に申述しなければなりません。
放棄の期限があります。
その上で、空き家の具体的な対応策として「売却」「賃貸活用・セカンドハウス化」「解体・更地化・国庫帰属制度」などの選択肢を、建物の耐震性や劣化状況、固定資産税の負担状況を整理したうえで検討します。特に遠方の空き家の場合、定期的な管理が困難なため、早期売却が最も現実的な選択肢となるケースが多いでしょう。
不動産従事者として重要なのは、司法書士、税理士、建築士などの専門家とのネットワークを構築し、ワンストップで相談に応じられる体制を整えることです。相続登記の期限管理、贈与・売却・解体など判断すべき選択肢の整理、税務上の優遇措置(3,000万円特別控除など)の活用など、多角的なアドバイスが求められます。
顧客が相続で空き家を取得した場合、「とりあえず様子を見る」という選択は最悪の判断です。相続登記義務化に伴う過料リスク、固定資産税6倍化リスク、損害賠償リスクなどを具体的な数字とともに説明し、早期対応を促しましょう。時間が経過するほど選択肢は狭まり、コストは増大します。
知ってると得しますね。
<参考リンク>
空き家の固定資産税が6倍になるのはいつから?正しい理解と対処法 – HOME4U
固定資産税増税の仕組みと2023年法改正の詳細が分かります。
空き家の放置はリスクだらけ!空き家の放置で発生する可能なリスクと回避方法 – グリーン司法書士法人
損害賠償事例と民法717条の無過失責任について詳しく解説されています。
危険度の高い特定空家等の勧告の時期等に関するルール – 大阪市
特定空き家指定から勧告までの具体的な期間とプロセスが記載されています。
空き家管理サービスの費用相場と内容を解説 – えんリフォーム
空き家管理サービスの詳細な費用相場とサービス内容の比較情報が得られます。

