法的瑕疵 道路に関する基礎知識
位置指定道路でも共有者の承諾なしでは再建築できません。
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法的瑕疵とは何か
法的瑕疵とは、土地や建物が法律的な基準を満たしておらず、自由な使用収益が阻害されている状態を指します。不動産に関する主な法規制としては、都市計画法、建築基準法、消防法などがあり、これらの法規制に違反している物件が法的瑕疵のある物件となります。
参考)事故物件の4つの瑕疵と契約不適合責任との関係をわかりやすく解…
物理的瑕疵や心理的瑕疵と並んで、法的瑕疵は不動産取引において重大な問題です。特に道路に関する法的瑕疵は、建物の建て替えや新築ができなくなるという深刻な結果を招きます。
つまり資産価値が大幅に下がります。
不動産従事者は、法令上の制限により買主が当初想定していた土地・建物の利用ができない欠陥である「法令上の制限の瑕疵」について、十分な知識を持つ必要があります。
道路関連の法的瑕疵は、その代表例です。
道路に関する法的瑕疵の種類
道路に関する法的瑕疵には、いくつかの典型的なパターンがあります。
最も多いのが接道義務違反です。
建築基準法では、敷地が幅員4m以上の道路に2m以上接していることを建築の条件としています。
参考)https://www.homes.co.jp/cont/iezukuri/iezukuri_01286/
この接道義務は、火災時の消防活動や避難経路の確保といった安全上の理由で法律に定められた決まりです。緊急車両の通行、安全な避難経路の確保、公衆衛生などを目的としたルールであり、都市計画区域や準都市計画区域に適用されます。
参考)接道義務はいつから?例外や満たしていない土地の建て替え方法も…
もう一つの重要な法的瑕疵が、私道や位置指定道路に関するものです。公道の場合は大抵建築基準法上の道路と認定されていますが、私道の場合は実は認定されていない「通路」である場合が多く、そうなると再建築不可となってしまいます。道路の幅員が4m以上なのか4m未満なのか、その道路が公道なのか私道なのかが再建築不可となるかならないかの分かれ目です。
参考)再建築不可となってしまう道路、建築基準法に定める道路って?
さらに、計画道路の存在も法的瑕疵に該当します。実現未定の計画道路であっても、収用の可能性は重要な事実として説明するべき内容で、説明していないことは瑕疵といえると判断されています。
参考)実現不明な計画道路についても売主業者及び媒介(仲介)業者に買…
建築基準法上の道路の定義
建築基準法第42条では、道路の定義が明確に規定されています。1項1号道路は道路法の道路(国道、県道、市町村道等)で幅員4m以上のものです。1項2号道路は都市計画法や土地区画整理法などの法律に基づいて築造された道路で幅員4m以上のものです。
1項3号道路は建築基準法施行時(昭和25年)以前より存在する道路です。1項4号道路は道路法、都市計画法、その他の法令などで事業計画のある道路で、特定行政庁が指定した幅員4m以上の道路です。
1項5号道路(位置指定道路)は、道路の位置について特定行政庁の指定を受けたもので、幅員4m以上のものです。これは私道であっても特定行政庁の認可を得た位置指定道路であれば再建築が可能です。
参考)再建築不可の位置指定道路とは?2項道路やセットバックで建築可…
2項道路(みなし道路)は特に重要です。建築基準法施行の際に既に建築物が立ち並んでいた幅員が4m未満の道で、特定行政庁が指定したものです。実は、建築基準法ができる前の法律であった市街地建築物法という法律では、幅員2.7m(9尺)以上の道であれば、4m未満であっても例外的に道路と認められていました。
参考)「建築基準法上の私道」にご注意を ~2項道路を中心に~|不動…
法的瑕疵による不動産トラブル事例
位置指定道路に関するトラブルは、実務上頻繁に発生しています。位置指定道路の認可を受けたあと、家の前の位置指定道路に家庭菜園などを作り、幅員が4m未満になってしまっている場合は「不完全な位置指定道路」となり、再建築できません。
参考)位置指定道路を3分で解説!再建築不可になる理由と対処方法もご…
セットバックを行うためには「不完全位置指定道路の復元協議」を行い、共有者全員から工事の同意を得る必要があります。不完全位置指定道路とは、位置指定道路として復元するための工事を行うための私道共有者同士の協議が必要な状態です。
同意が得られない場合は工事ができません。
計画道路に関する裁判事例では、買主が本件道路計画の存在を前提とした適正価格との差額等2,250万円余を損害として請求しました。原審は、売主と媒介業者の説明義務違反を認め、1,120万円余の損害賠償の支払いを命じました。本件計画道路による収用及びその可能性は、重要な事実として説明するべき内容で、説明していないことは瑕疵といえると判断されています。
道路管理の瑕疵に関する判例も重要です。道路の管理瑕疵とは、道路の管理の不完全により、道路が道路として通常備えるべき安全性を欠いていたことをいいます。これに基づく賠償責任は、その過失の存在を必要としません。
参考)http://www.douroweb.jp/348state_redress_act/state_redress_act_precedent.html
接道義務を満たしていない場合、建築許可が下りず、建て替えも原則としてできません。もしも間違って接道しないまま建物を建てた場合、後から工事を要求される可能性があります。
痛い出費です。
参考)建築基準法の接道が丸わかり!条件と満たさない場合の対処法
法的瑕疵の調査方法と確認ポイント
法的瑕疵の有無を調査するには、まず役所調査が不可欠です。公図や謄本などを見ることにより、その道路の所有者が分かります。
特定行政庁に確認することで、その道路が建築基準法上のどの道路に該当するのか、あるいは該当しないのかを確認できます。道路の種類によっては後退(セットバック)が必要な場合もあり、建築可能面積や形状に影響するため、現地調査や専門家の確認が不可欠です。
位置指定道路の場合、申請時の図面に基づいて判断されます。しかし位置指定道路に指定されてから年月が経っている場合、申請時と道路の状況が変わっていることがあります。図面上の道路と現況が異なる場合は、位置指定道路であっても再建築できない恐れがあります。
接道義務の確認では、以下のポイントをチェックします。
- 前面道路が建築基準法上の道路であるか
- 道路の幅員が4m以上あるか(地域によっては6m以上)
- 敷地が道路に2m以上接しているか
- 位置指定道路の場合、現況と申請時の図面が一致しているか
位置指定道路の幅が4m以上でも、敷地に2m以上接していない場合は、接道義務を満たしていないため、再建築不可となってしまいます。
注意が必要です。
国土交通省の「接道規制のあり方について」では、接道義務の詳細な基準が解説されています
セットバックの実務と費用負担
セットバックとは、道路の境界線から2m(あるいは3m)の位置にまで自身の敷地を後退させることで再建築を可能にする方法です。たとえば位置指定道路の両側に家が建ち並んでいて幅が3m60cmしかない場合は、4mの幅を確保するためにそれぞれの家の所有者が敷地を20cmずつ道路として提供する必要があります。
セットバックの工事で要する費用は、敷地の所有者が負担します。主な費用は土地の測量費(境界確定測量か現況測量)、敷地と道路用地の分筆登記費用、道路用地部分の整備費用です。
参考)接道義務とセットバックの関係とは?必要なケースや費用相場につ…
これらを合わせた費用の相場は、30万円~80万円程度です。境界が確定していれば現況測量のみとなり、10万円~20万円程度で済みます。しかし確定測量が必要な場合、50万円~100万円程度掛かることもあります。
厳しいですね。
参考)セットバックとは?必要な理由や費用・計算方法|購入する際の注…
道路部分の整備費用はセットバックした面積により異なります。42条2項道路に接している土地に建物を新築、あるいは建て替えの際には道路の中心線から2mの位置にまで敷地をセットバックさせ、道路の幅が4m以上となるようにしなければなりません。
セットバックを行うことで建築基準法第42条2項を満たし、間口が2m以上確保できれば接道義務を果たせます。土地の資産価値向上や活用幅拡大などがメリットです。
ただし位置指定道路でも、接道義務を満たしていない場合には再建築ができない点に注意しましょう。接道義務を満たしていない位置指定道路に接している土地上の家を建て替えるには、私道の権利者すべてに承諾を得たうえで幅が4m以上になるようにセットバックをしなければなりません。
売買契約における説明義務と責任
不動産売買において、法的瑕疵に関する説明義務は極めて重要です。媒介業者は、売買契約を締結するか否かの判断に重要な影響を及ぼす事実について、契約後に判明した事実についても説明する義務があります。
参考)媒介業者は、売買契約締結後に知った心理的瑕疵について、買主に…
売主の宅建業者も同様に説明義務を負います。計画道路の事例では、本件計画道路の存在が物件の瑕疵であり、その説明がなかったのは売主と媒介業者の説明義務違反であると判断されました。
位置指定道路処分の瑕疵に関する重要な判例があります。本件指定処分は、本件位置指定道路の敷地となる本件土地の所有者の承諾を欠き、かつその瑕疵は明白であるので、同処分は無効であるとされました。
これは無効です。
参考)https://www.retio.or.jp/wp-content/uploads/2024/11/60-038-2.pdf
重要事項説明書の記載内容が不十分な場合も問題となります。本件建物を建築し、媒介業者も重要事項説明において「北東側公道にて生活主要道路(幅員10m)があります」と記載して説明したが、それ以上の具体的な道路計画の説明をしていなかった事例では、説明義務違反が認められました。
実現未定の計画道路であっても説明義務があるとされた点は、実務上重要です。本件計画道路は、まだ計画段階で実現未定ですので説明義務のあるものではないという売主・媒介業者の主張は認められませんでした。
説明義務違反による損害賠償額は、本件道路計画の存在を前提とした適正価格との差額等として算定されます。この事例では1,120万円余の損害賠償の支払いが命じられており、説明を怠った場合のリスクは非常に大きいといえます。
不動産適正取引推進機構の判例解説では、道路位置指定処分の瑕疵が事後的に治癒されたとされた事例が紹介されています
不動産従事者として、接道義務や位置指定道路の状況、計画道路の有無などは、必ず確認し正確に説明することが求められます。説明を怠ると高額な損害賠償責任を負うリスクがあるため、役所調査を徹底し、疑わしい点があれば専門家の意見を求めることが重要です。

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