民泊特区とは
25㎡と契約書に書いてあっても不許可になります。
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民泊特区とは、国家戦略特別区域法に基づき指定された特定地域で運営できる民泊制度です。正式には「国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業」と呼ばれ、主にインバウンド向けの宿泊施設として位置づけられています。
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通常の民泊(住宅宿泊事業法)が年間180日の営業制限を受けるのに対し、特区民泊は営業日数の制限がありません。年間を通じて営業できるため、安定した収益を目指せる点が最大の特徴です。
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ただし、運営できる地域は国家戦略特区に指定された区域でかつ特区民泊条例が制定されている自治体内に限られます。東京都大田区、大阪府、福岡市など一部の都市部や観光地が対象です。
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民泊特区の制度背景と目的
民泊特区制度は、訪日外国人観光客の急増による宿泊施設不足を解消するために設けられました。国の成長戦略推進と産業の国際競争力強化を目的としています。
2016年1月に東京都大田区、同年4月に大阪府で条例が施行されました。当初は最低宿泊日数が6泊7日と厳しく、2016年8月時点で大田区23施設、大阪府3施設と利用は低調でした。外国人旅行者は各地を転々とするため、長期滞在要件が使いづらかったのです。
参考)特区民泊の最低宿泊日数「2泊3日」が正式決定 &#8211;…
その後、2016年9月の国家戦略特別区域諮問会議で最低宿泊日数を2泊3日に引き下げることが正式決定されました。これにより利用しやすくなり、事業者からは「宿泊単価を上げつつ高稼働率を狙うことも可能になる」と歓迎の声が上がりました。
参考)特区民泊 最低宿泊日数3日に改正 :: 全国賃貸住宅新聞
経済活性化を優先する国の方針により、他の地域よりも自由なルールで運営できる仕組みが整備されたということですね。
民泊特区と他の民泊制度との違い
民泊を合法的に運営する方法は主に3種類あり、それぞれ根拠法や要件が異なります。
参考)【最新2025年版】大阪で特区民泊を始めるには?始める前に確…
| 制度 | 根拠法 | 最低宿泊日数 | 営業日数制限 | 床面積要件 |
|---|---|---|---|---|
| 特区民泊 | 国家戦略特別区域法 | 2泊3日以上 | なし | 25㎡以上/居室 |
| 住宅宿泊事業 | 住宅宿泊事業法 | 制限なし | 年間180日まで | 3.3㎡/人以上 |
| 簡易宿所 | 旅館業法 | 1泊2日以上 | なし | 3.3㎡/人以上 |
特区民泊の最大の利点は営業日数制限がないことです。住宅宿泊事業の180日制限は年間収益を大きく制約します。例えば、1泊15,000円・稼働率70%で試算すると、180日営業で年間売上は約189万円です。これに対し、特区民泊なら365日営業が可能なため、理論上は年間売上を倍増できます。
参考)民泊 営業日数 何日?年間の稼働日数と売上シミュレーション
ただし、2泊3日の最低宿泊日数制限がある点に注意が必要です。1泊だけ利用したいゲストには対応できません。簡易宿所や住宅宿泊事業では1泊から受け入れ可能なので、短期滞在ニーズには不向きです。
床面積要件も厳格です。特区民泊は1居室あたり25㎡以上が必要ですが、住宅宿泊事業や簡易宿所は1人あたり3.3㎡以上と緩やかです。ワンルームマンションで運営を考える場合、この25㎡要件がクリアできるか事前確認が必須です。
参考)【特区民泊】「壁芯」とは?旅館業と異なる客室床面積の測り方に…
民泊特区が運営可能な地域の詳細
特区民泊を運営できるのは、国家戦略特区に指定され、かつ自治体が特区民泊条例を制定している地域だけです。
二重の条件をクリアする必要があります。
国家戦略特区に指定されている主な区域は以下の通りです:
📍 東京都(大田区など)
📍 神奈川県
📍 千葉県(千葉市・成田市)
📍 愛知県
📍 新潟県新潟市
📍 大阪府
📍 京都府
📍 兵庫県
📍 広島県
📍 福岡県(福岡市・北九州市)
📍 沖縄県
ただし、国家戦略特区内であっても条例が制定されていない自治体では運営できません。例えば、大阪府内の交野市は平成27年当時から特区民泊を拒否しています。府が自治体に実施を迫っていたという経緯もあり、すべての自治体が積極的ではないのが実情です。
参考)Instagram
さらに、自治体内でも用途地域や地区計画による制限があります。工業地域や工業専用地域では営業できないなど、特区民泊は限られた地区でのみ営業が可能です。
物件購入や賃貸契約の前に、必ず対象地域かどうか確認してください。立地だけで判断すると、用途地域の問題で旅館業許可が取れず、住宅宿泊事業法に切り替えたら180日制限でキャッシュフローが崩壊するケースもあります。役所の窓口や専門の行政書士に事前相談することで、こうしたリスクは回避できます。
参考)【保存版】民泊物件の選び方|7つの条件とチェックリストで失敗…
国の公式サイトで、民泊制度全般の基礎情報や最新の法改正情報を確認できます。
民泊特区の床面積要件と測定方法の注意点
特区民泊の床面積要件は25㎡以上と定められていますが、測定方法に大きな落とし穴があります。賃貸借契約書に「25㎡」と記載されていても、実測で不許可になるケースが実際に発生しています。
参考)25㎡ギリギリのマンション1室の特区民泊はご注意が必要です
特区民泊の床面積は「壁芯」で測定します。壁芯とは壁の真ん中を基準とする測定方法で、壁の内側を測る「内のり」とは異なります。契約書の面積表示は壁芯で記載されることが多いのですが、保健所は25㎡ギリギリの場合、立ち入り調査時に厳しく実測します。
実測で25㎡を下回ると民泊許可が出ません。壁芯測定は壁の真ん中で計測するため、正確に測定することは実質不可能です。25㎡ギリギリの物件や築古のマンション・アパート物件は十分に注意が必要です。
購入や賃貸借契約を済ませてしまってからでは取り返しがつきません。できれば契約前に専門の行政書士に相談することをお勧めします。測定リスクを避けるため、26㎡以上など余裕のある物件を選ぶのが基本です。
民泊特区のメリットとデメリット
特区民泊には明確なメリットがある一方で、いくつかの制約やデメリットも存在します。
メリット:
✅ 営業日数制限なし:年間365日営業可能で、安定した収益を狙えます
✅ 設備基準が緩やか:旅館業法の許可に比べて設備基準が緩く、初期投資を抑えられます
✅ インバウンド需要に対応:外国人観光客向けに特化した制度設計です
デメリット:
❌ 最低宿泊日数の制限:2泊3日以上の滞在が必要で、短期利用客を逃します
❌ 地域制限がある:運営できる地域が国家戦略特区内の一部に限定されます
❌ 床面積要件が厳格:25㎡以上の要件が物件選びを難しくします
❌ 消防設備の設置義務:消防法上の設備投資が必要です
❌ 近隣住民への説明義務:事前の説明が求められ、トラブルリスクがあります
❌ 価格競争になりやすい:限られた地域に施設が密集し、価格競争が激しくなります
国家戦略特区内の限られた地域であれば、マンションの1室や空き家など、どのような建物でも申請が通りやすいため、民泊施設が密集しています。競合が多い環境では、差別化戦略や価格設定が収益を左右します。
いいことづくめとは言えませんね。収益最大化を狙うなら、デメリットを理解した上で対策を講じることが不可欠です。
民泊特区の申請要件と手続きの流れ
特区民泊を始めるには、自治体への認定申請が必要です。
主な要件を確認しましょう。
主要な申請要件:
🔸 国家戦略特別区域内であること
🔸 特区民泊条例が制定されている自治体であること
🔸 1居室の床面積が25㎡以上あること
🔸 キッチン、風呂、トイレ、洗面所の設備があること
🔸 用途地域の規制をクリアすること
🔸 建築基準法に適合すること
🔸 消防設備が設置されていること
🔸 適切な廃棄物処理方法が確保されていること
申請に必要な書類は自治体によって異なりますが、建物の図面、登記事項証明書、消防法令適合通知書、近隣住民への説明報告書などが一般的です。
特に消防と床面積の25㎡要件は最も注意が必要なポイントです。この2つで許可が下りないケースが多発しています。
申請から認定まで通常1~2か月程度かかります。書類不備があると更に時間がかかるため、専門家のサポートを受けるのも一つの方法です。行政書士に依頼すれば、申請書類の作成から提出、認定取得までスムーズに進められます。
大阪市で民泊事業を始める際の詳細な手続きや要件を確認できる公式資料です。
民泊特区での物件選定の独自視点
不動産従事者として、クライアントに特区民泊物件を提案する際には、表面的な条件だけでなく、運営の実態を見据えた物件選定が求められます。
投資用物件の税務上の注意点:
民泊用に購入する投資物件には、不動産取得税の住宅特例が適用されません。自分で居住する場合や賃貸住宅用マンションには特例があり、例えば固定資産税評価額4000万円の新築マンションなら、特例申請で不動産取得税が120万円から84万円に減額されます。
参考)不動産取得税|民泊を始めるための税金の基礎知識 – 民泊の教…
しかし、旅館業登録をして民泊として貸し出す投資用物件には特例は適用されません。つまり、同じ物件でも用途によって36万円の差が生じます。これは初期コストとして無視できない金額です。
規制強化の動向に注意:
2025年に入り、民泊規制は明確に「強化」へ向かっています。大阪市が特区民泊の新規申請を停止する方針を示し(2025年9月18日報道)、東京23区でも営業日数・平日稼働の制限が加速しています。
参考)2025年の民泊規制強化まとめ:大阪市“特区民泊”新規停止の…
豊島区は区内全域で年間84日(夏休み・冬休みのみ)に営業期間を限定する条例改正案を公表しました。既存施設への適用方針も示されており、稼働率の大幅低下が避けられません。
こうした規制強化トレンドを踏まえると、長期的な収益計画には不確実性があります。物件購入前に、自治体の規制動向を確認し、将来的な制限リスクを織り込んだ収支シミュレーションが必要です。
管理組合規約の確認は絶対:
「70㎡超・フルリノベ済み・露天風呂付き」という魅力的なスペックでも、管理組合規約で民泊禁止なら営業は不可能です。区分所有マンションを検討する際は、規約確認が絶対条件です。
厳しいですね。しかし、規約確認を怠ると契約後に営業できないことが判明し、投資が無駄になります。契約前に管理会社から規約を取り寄せ、民泊に関する条項を必ず確認してください。

