ただし申請タイミングを誤ると対象外に。
不動産従事者が押さえるべき費用相場、業者選定、手続きの流れを詳しく解説します。解体前に知っておくべき落とし穴とは?
老朽家屋解体の費用と手続き
補助金申請は着工後だと無効になります。
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老朽家屋解体の費用相場と内訳
老朽家屋の解体費用は建物の構造によって大きく異なります。木造住宅の場合、坪単価は3万円~5万円が相場です。鉄骨造になると5万円~7万円/坪、鉄筋コンクリート造では6万円~8万円/坪に上がります。
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30坪の木造住宅なら90万円~150万円、40坪なら120万円~200万円、50坪なら150万円~250万円程度を見込んでおく必要があります。
つまり坪数が基本です。
ただし、これらは建物本体の解体費用のみであり、実際にはさらに追加費用が発生します。
廃材の処分費、仮設工事費、整地費用なども別途必要になるケースが多いです。特に築40年以上の建物では、アスベスト除去費用として30万円以上の追加費用が発生する可能性があります。地中埋設物が見つかった場合も、撤去費用として10万円以上が追加請求される恐れがあります。
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解体費用は「坪単価×延べ床面積」で計算されますが、立地条件や建物の状態によって変動します。重機が入りにくい狭小地や、周辺環境への配慮が必要な住宅密集地では、費用が割高になる傾向があります。
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老朽家屋解体の補助金制度と申請条件
老朽危険家屋解体撤去補助金制度を活用すれば、解体費用の負担を大幅に軽減できます。補助額は解体費用の2~5割で、上限は50万円から100万円程度です。30坪の木造住宅(解体費用100~150万円)なら、補助金を使えば80~100万円程度に抑えられます。
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補助金の対象となる条件は自治体によって異なりますが、一般的には以下の要件があります。1981年以前に建築された旧耐震基準の建物であること、自治体の現地調査で倒壊の危険があると判定されること、所有者に市税の滞納がないことなどです。
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申請者の所得制限を設けている自治体もあります。昭和56年以前の建築や危険性の高い木造住宅など、具体的な条件が申請要綱に記載されています。
それ以外の住宅は対象外です。
補助金申請には複数の書類が必要です。補助金交付申請書、老朽危険家屋の位置図、建物の登記事項証明書、現況写真、解体工事見積書のコピー、固定資産税課税台帳記載事項証明書、所有者の市税滞納がないことを証する書類、所得証明書などを揃える必要があります。
書類準備には時間がかかります。
老朽家屋解体の手続きと業者選定の流れ
解体工事は大きく4段階のプロセスに分かれます。①解体業者の選定、②事前準備、③実際の解体、④解体後の手続きという流れです。最初の業者選定が特に重要で、最低でも3社以上から見積もりを取ることで相場感を把握できます。
見積もりを比較する際は、金額だけでなく内訳の透明性も確認してください。「追加費用は一切かかりません」と断言する業者こそ注意が必要です。築40年の家では解体を進める中で地中から過去の基礎や浄化槽が見つかるなど、予期せぬ事態は起こりえます。
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事前準備では近隣住民への挨拶、電気・ガス・水道などライフラインの停止、行政への届け出申請が必要です。建設リサイクル法に基づく工事計画書の提出も義務付けられており、これを怠ると6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金が課せられる可能性があります。
参考)建物解体を始める前に知っておきたい!解体に関する法規制とその…
解体工事後は1ヶ月以内に法務局で建物滅失登記を行う必要があります。未登記建物の場合は市町村役場へ家屋滅失届を提出します。この手続きにより固定資産税の課税対象から解体された建物が抹消されます。
手続きを忘れると税金が課税され続けます。
参考)未登記建物の家屋滅失届とは?手続きの流れと必要書類を解説!
老朽家屋解体の補助金申請で失敗しないタイミング
補助金申請で最も多いトラブルが「着工前の申請」を忘れることです。交付決定通知が届く前に工事を開始してしまうと、補助対象外になります。解体業者に急かされて早く着工したり、空き家が危険だからとにかく急いで壊したりするケースで発生しやすいです。
正しい流れは「申請→審査→交付決定→契約→着工」です。
この順序が基本です。
すでに着工済みの案件は原則として補助金の対象外となります。解体工事の契約や着工は必ず補助金の交付決定を受けてからにしてください。
申請から交付決定までには一定の時間がかかります。年度末や締め切り直前には審査が混雑し、通常よりも時間がかかる可能性があります。したがって解体予定時期の少なくとも2~3ヶ月前には申請を済ませておくのが理想的です。
自治体への事前相談も重要なステップです。相談後に現地調査が行われ、判定通知が届いてから解体工事業者に見積もりを依頼します。この手順を守ることで補助金の交付を確実に受けられます。
補助金は「もらえて当然」ではありません。
老朽家屋解体における不動産従事者向けの注意点
不動産取引で「更地にすれば売れる」と安易に考えるのは危険です。解体したことで土地の地盤の弱さや法規制の問題が露見し、かえって買い手が避けてしまうこともあります。結果として解体費用だけがかかり、売却が長引くリスクが生まれます。
参考)「更地にすれば売れる」はウソ?空き家解体前に知っておきたい不…
建物が建っている土地は住宅用地の特例が適用され、固定資産税が軽減されています。しかし建物を取り壊すとこの特例が使えなくなり、税負担が一気に上がります。解体後にすぐ売れれば問題ありませんが、売却が長引くと毎年の固定資産税だけが増えていきます。
痛い出費です。
解体の必要性を正しく判断するためには、不動産会社や解体業者、行政の無料相談などを利用しましょう。専門家に相談することで解体後のリスクや最適な売却方法が見えてきます。一つの意見だけで決断せず、幅広く情報を集めることが損をしないための第一歩です。
クライアントへのアドバイスとして、解体前に必ず売却シミュレーションを行うことをおすすめします。解体業者によって費用は大きく異なるため、契約前に見積もりを取り、追加費用が発生する可能性についても確認してください。解体後の収支シミュレーションを行うことで損益の把握もできます。
老朽化が進み倒壊や火災の危険がある場合は早めの解体を検討すべきですが、安全面のリスクが大きいと売却が難しくなるだけでなく、所有者の管理責任が問われることもあります。行政から「特定空家」に指定されると相続人の合意がなくても解体を迫られる可能性があります。
老朽危険家屋解体撤去補助金制度の詳細について(補助金額や申請手順の具体例)
老朽危険家屋の基準と自然倒壊リスクの解説
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行政代執行の手法と政策法務: 老朽危険家屋の解体・撤去- (〈地域科学〉まちづくり資料シリ-ズ 28)