瑕疵責任期間とは契約不適合責任通知期限
中古物件の契約不適合は「3ヶ月」特約でも、買主が悪意なら10年請求できます。
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瑕疵責任期間の民法改正による変更点
2020年4月1日の民法改正により、従来の「瑕疵担保責任」は「契約不適合責任」へと名称と内容が変更されました。この改正は約120年ぶりの大規模なもので、不動産取引実務に大きな影響を与えています。
最も重要な変更点は、責任追及の期間構造です。改正前は「瑕疵を知ってから1年以内に請求」という単純な除斥期間でしたが、改正後は「不適合を知ってから1年以内に通知」という通知義務と、「知ってから5年または引渡しから10年」という消滅時効の二段階構造になりました。
つまり通知だけすればOKです。
参考)民法改正によって瑕疵担保責任に関する「時効」や「除斥期間」(…
この変更により、買主は不適合を発見してから1年以内に売主へ通知さえすれば、実際の修補請求や損害賠償請求は5年以内に行えばよくなりました。従来は1年以内に具体的な請求まで行う必要があったため、買主の権利行使がより柔軟になったといえます。
参考)売主の担保責任の期間制限 – 公益社団法人 全日本不動産協会
改正後の期間設定は以下の表のとおりです。
| 期間の種類 | 対象権利 | 期間 | 起算点 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 通知期間 | 全ての権利 | 1年間 | 契約不適合を知った時 | 買主の通知義務
参考)不動産 契約不適合責任の期間・事例・免責特約を完全解説 |
| 消滅時効(短期) | 全ての権利 | 5年間 | 不適合及び売主を知った時 | 一般的な時効期間 |
| 消滅時効(長期) | 全ての権利 | 10年間 | 引渡しの時 | 客観的な上限 |
ただし、売主が不適合について悪意または重過失の場合、1年通知義務は適用されません。この場合買主は通常の消滅時効期間内まで権利行使できます。
瑕疵責任期間の品確法10年義務の範囲
新築住宅については、住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)により、引渡しから10年間の瑕疵担保責任が強制的に義務付けられています。この10年義務は契約による短縮が一切認められず、不動産業者も個人売主も例外なく適用されます。
参考)瑕疵担保責任の期間は何年?隠れた瑕疵や民法改正のポイントも解…
10年保証の対象範囲は「構造耐力上主要な部分」と「雨水の浸入を防止する部分」に限定されています。具体的には、基礎・壁・柱・梁などの構造部分、屋根や外壁の防水部分が該当します。
設備や内装の不具合は対象外です。
参考)構造耐力上主要な部分等|不動産用語集|三菱地所の住まいリレー
この10年義務は新築住宅特有の保護制度であり、中古住宅には適用されません。中古住宅では民法の契約不適合責任のルールが適用され、実務上は「引渡しから3ヶ月」などの短期特約が設定されることが一般的です。
参考)民法改正のポイント「契約不適合責任」、中古住宅売買はどう変わ…
新築の場合、売主である宅建業者や建築業者は、住宅瑕疵担保責任保険への加入または保証金の供託が義務付けられており、万が一売主が倒産しても買主は保険会社から直接保険金を受け取れます。保険期間は10年間で、上限は2,000万円または物件価格の20%です。
参考)瑕疵担保責任の期間は何年?1年と10年の違いと民法改正後のル…
瑕疵責任期間の通知義務1年の実務対応
契約不適合責任における最大のポイントは、「不適合を知ってから1年以内の通知義務」です。この1年以内に通知しなければ、買主は一切の権利を失います。
助かります。
通知の方法に法律上の定めはありませんが、実務上は証拠を残すため内容証明郵便を使用することが推奨されます。通知内容は「どのような不適合があるか」を具体的に記載すれば十分で、この段階では修補請求や損害賠償請求などの具体的な要求まで明示する必要はありません。
ただし、数量に関する契約不適合の場合、この1年通知義務は適用されません。たとえば土地の面積が契約書記載より少なかった場合などです。この場合は通常の消滅時効期間(5年または10年)内であればいつでも権利行使できます。
実務での注意点として、契約書で通知期間を短縮する特約が設定されることがあります。中古住宅では「引渡しから3ヶ月以内」などの特約が一般的です。
厳しいですね。
参考)2020年民法改正により、瑕疵担保(契約不適合)責任が変更さ…
しかし宅建業者が自ら売主となる場合、宅建業法により買主に不利な特約は無効とされ、最低でも「引渡しから2年以上」の期間設定が必要です。この規制は買主保護のための強行規定であり、契約書に短い期間が書かれていても法律上無効になります。
期間を守るためには、引渡し後速やかに物件の詳細な検査を実施することが重要です。不動産取引の場面では、引渡し直後に専門業者によるインスペクション(建物状況調査)を実施し、不具合の有無を確認することで、期間内の通知漏れを防げます。
住宅瑕疵担保責任保険制度の詳細や加入状況の確認方法について、公的機関による正確な情報が掲載されています。新築住宅の10年保証に関する参考リンクです。
瑕疵責任期間の中古住宅と新築の違い
新築住宅と中古住宅では、適用される法律と期間設定が大きく異なります。この違いを理解しないまま契約すると、大きな不利益を被る可能性があります。
新築住宅の場合、品確法により構造部分と防水部分は引渡しから10年間の保証が強制されます。
これは契約で短縮できません。
一方、中古住宅では品確法の適用がなく、民法の契約不適合責任のみが適用されるため、実務上は「引渡しから3ヶ月」などの短期特約が一般的です。
| 物件種別 | 売主 | 適用法律 | 期間 | 対象範囲 |
|---|---|---|---|---|
| 新築住宅(構造部分) | 業者・個人 | 品確法 | 引渡しから10年 | 構造部分・雨水侵入防止部分のみ |
| 新築住宅(その他) | 業者・個人 | 民法 | 知ってから1年通知+5年または10年 | 契約不適合全般 |
| 中古住宅 | 個人 | 民法 | 知ってから1年通知+5年または10年(特約で短縮可) | 契約不適合全般 |
| 中古住宅 | 宅建業者 | 民法+宅建業法 | 引渡しから2年以上(短縮不可) | 契約不適合全般 |
中古住宅でも既存住宅売買瑕疵保険に加入していれば、1〜5年の補償を受けられます。保険金額は500万〜1,000万円が一般的で、売主が倒産しても買主が直接保険会社に請求できます。
これが基本です。
新築と中古のもう一つの大きな違いは、免責特約の可否です。新築住宅の構造部分については免責特約が一切認められませんが、中古住宅では「現状有姿」特約により契約不適合責任を完全免責することも可能です。ただし売主が宅建業者の場合は免責特約も制限されます。
瑕疵責任期間の請負契約における特例
不動産の売買契約と請負契約では、瑕疵責任期間の扱いが異なります。請負契約とは、注文者が施工業者に建物の建築を依頼する契約のことです。
請負契約における契約不適合責任も、売買契約と同様に「不適合を知ってから1年以内に通知」が必要です。しかし注文者が不適合を知ってから1年以内にその旨を通知すればよく、改正前の「引渡しから1年以内に請求」よりも買主保護が強化されています。
公共工事の請負契約では、国土交通省が定める標準約款が使用されることが一般的です。この約款では、引渡しから2年以内に修補または損害賠償請求をすることとされており、民法よりも期間が長く設定されています。ただし瑕疵が受注者の故意または重大な過失により生じた場合、請求期間は10年に延長されます。
参考)https://www.mlit.go.jp/common/001303514.pdf
品確法の適用対象である新築住宅の構造部分については、請負契約でも引渡しから10年間の責任が義務付けられます。これは民法や約款の規定よりも優先される強行規定です。
公共工事における瑕疵担保責任の期間設定や、品確法による10年義務の範囲について、国土交通省の公式資料で詳細な説明があります。
請負契約の参考資料です。
システム開発などのIT請負契約でも、瑕疵担保責任の期間設定は重要な論点です。民法上は1年以内とされていますが、「納品から6カ月以内」と契約で定めていれば、それが瑕疵担保の期間となります。
つまり契約が原則です。
請負契約では、完成した目的物の引渡し後に不具合が発見されることが多いため、引渡し前の検査と引渡し後の定期点検を契約書に明記しておくことが重要です。特に建物の請負では、引渡し前の施主検査、引渡し後1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月・1年の定期点検を実施し、不具合を早期発見することで、期間内の権利行使を確実にできます。
これらの期間設定を正しく理解し、契約書に適切に反映させることで、不動産取引におけるトラブルを未然に防ぐことができます。