瑕疵担保とは
瑕疵担保責任の免責特約があっても3億円超の賠償命令が出た実例があります
参考)瑕疵担保責任免除特約を無効とし、3億162万3657円の賠償…
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瑕疵担保責任の基本的な意味
瑕疵担保責任とは、不動産の売買契約において売主が目的物の欠陥や不具合に対して負う責任のことです。瑕疵とは「隠れた欠陥」を意味し、買主が契約時に知ることができなかった欠陥が対象でした。雨漏りやシロアリ被害、土壌汚染、地中埋設物などが典型例です。
この制度は買主を保護するために設けられています。
つまり買主保護が目的です。
しかし2020年4月の民法改正により、瑕疵担保責任は廃止されました。代わりに「契約不適合責任」という新しい制度が導入され、明治時代から続いた約120年ぶりの抜本的な見直しとなったのです。
参考)民法改正(2020年4月施行)のポイントを一覧でわかりやすく…
瑕疵担保責任から契約不適合責任への変更点
民法改正による最も大きな変更は、責任の判断基準が「隠れた瑕疵」から「契約内容への適合」に変わったことです。改正前は買主が知ることのできない瑕疵に限って売主が責任を負いましたが、改正後は買主が知っていたかどうかに関係なく、契約不適合であれば売主は責任を負います。
参考)契約不適合責任とは何か。瑕疵担保責任との違いと仲介会社が負う…
対象範囲も広がりました。
改正後は「種類」「品質」「数量」など、契約内容に合致しないすべての場合が対象です。
特定物か不特定物かも問われなくなりました。
参考)契約不適合責任とは?|相続した家を売る前に知っておくべきリス…
買主がとり得る救済手段も大幅に拡充されています。追完請求(修補や代替物の引渡し)、代金減額請求、契約解除、損害賠償請求という4つの手段が明文化されました。改正前は追完請求や代金減額請求が認められていなかったため、これは買主にとって大きなメリットといえます。
損害賠償の範囲も拡大しました。契約どおりなら得られた履行利益(想定していた賃料収入や転売益など)も含まれるようになり、売主側のリスクが増えたのです。
瑕疵担保責任が適用される期間の違い
責任期間は物件の種類や売主の属性によって大きく異なります。新築住宅の構造部分と防水部分は品確法により引渡しから10年間の保証が義務付けられています。上限は2,000万円または物件価格の20%です。
中古住宅では状況が複雑です。
売主が宅建業者の場合、宅建業法により引渡しから2年以上の期間設定が必要とされていますが、実務では引渡しから2年とするのが通例です。売主が個人で買主も個人の場合は、実務では引渡しから3ヶ月と定めることが多く、かなり短い期間になっています。
民法の原則では、不適合を知ってから1年以内に通知し、5年または10年以内に権利行使が必要です。個人から中古住宅を購入する場合は瑕疵担保責任を免責とする特約が結ばれることも多いため、契約書の内容を十分に確認することが重要です。
既存住宅売買瑕疵保険に加入していれば、中古住宅でも1〜5年の補償を受けられます。保険金額は500万〜1,000万円が一般的です。
契約不適合責任における追完請求と代金減額請求の実務
追完請求とは、契約に適合するように修補や代替物の引渡しを求める権利です。買主は売主に対して、不具合の修繕や欠けている部分の補充を請求できます。代金減額請求の前提として、原則として買主は売主に対して追完の催告をし、相当期間の経過を待たなければなりません。
ただし例外もあります。
追完自体が不可能な場合や、売主側で追完することを明確に拒絶しているような場合には、催告なしに代金減額請求をすることができます。買主が代金減額請求権を行使すると、契約不適合の程度に応じて代金債権が当然に減額されます。
参考)https://www.yuhikaku.co.jp/static_files/23335_web13.pdf
例えば契約金額が1,000万円で50万円相当の不適合があった場合、買主が履行の追完を催告し、売主が相当の期間内に追完をしないとき、買主は代金減額請求権を行使して50万円の支払を免れることができます。
瑕疵担保免責特約が無効になるケースと対策
契約書に瑕疵担保責任免除特約があっても、その効力が否定されるケースが複数の裁判例で示されています。売主が瑕疵を知りながら買主に告げなかった場合、裁判所は特約の効力を認めず売主に賠償義務を負わせています。
ある事例では3億162万3657円の賠償命令が出ました。
土壌汚染拡散防止措置が実施され適法に処理されたことを前提として免責特約が締結されたものの、実際には有害物質が基準値以内に除去されていなかったケースでは、当事者双方の錯誤により特約が無効と判断されました。売主が実印を押印して提出した書面に免責の記載があっても、売主がこの文言を買主に十分に理解させたうえで承諾してもらう手続を踏まなかった場合も、特約が否定されています。
下級審裁判所の裁判例では、売主に重過失がある場合の契約不適合免責特約条項の効力について判断が分かれています。民法572条を類推適用して「被告は本件免責特約の効力を主張し得ず、民法570条に基づく責任を負う」とした裁判例もあります。
参考)売主に重過失がある場合の契約不適合免責特約条項の効力について…
不動産従事者としては、免責特約を設ける場合でも物件の状態を正確に把握し、買主に十分な説明を行うことが必須です。ホームインスペクション(住宅診断)の実施が有効な対策になります。物件の瑕疵について把握できることはもちろん、確認証明書があれば物件の状態について買主に漏れなく告知でき、契約不適合責任のリスクも減らせます。
参考)不動産売却時は瑕疵担保責任に注意!契約不適合責任との違いにつ…
不動産従事者が知っておくべき瑕疵保険の活用方法
瑕疵保険とは、万が一不動産に瑕疵が発覚した場合に、売主が買主に対して支払う損害賠償金などの費用を一部保証するものです。既存住宅売買瑕疵保険は、中古住宅の売買において隠れた欠陥が見つかった場合に修補費用をカバーする制度です。保険期間は通常5年間で、引渡し後に雨漏りや構造的欠陥が発見された場合に対応します。
売主の瑕疵保険加入は買主にとってもメリットがあります。
物件に万が一不具合が発覚した場合、迅速に補償を受けられるという安心材料になるからです。瑕疵保険に加入することは、万が一のリスクに備えることができることはもちろん、買主が不動産を購入する安心材料にもなるでしょう。
不動産従事者としては、特に築年数の古い不動産の場合は瑕疵保険の加入を推奨すべきです。売主が倒産しても買主が直接保険会社に請求できるため、買主保護の観点からも有効な手段といえます。
契約不適合責任を負うことになった売主は、契約通りの納品を行うための補填や修繕などを行うだけでなく、損害賠償責任も発生する可能性があります。契約不適合責任が発生するかどうかは、契約書に傷や不具合といった瑕疵が記載されているかどうかによって左右されるため、契約書を作成する場合には十分な注意が必要です。
参考)https://www.ieuri.com/bible/sell-knowledge/4658/
契約不適合責任と瑕疵担保責任の違い 民法改正による変更点 – BUSINESS LAWYERS
民法改正による契約不適合責任の詳細な解説と、買主がとり得る手段の比較表が掲載されています。
住宅瑕疵担保履行法に関する公式資料で、住宅瑕疵担保責任保険制度の概要が確認できます。

