不動産取引士試験の合格への道
過去問だけの勉強では合格できない
不動産取引士試験の合格率と難易度の実態
宅地建物取引士試験、いわゆる不動産取引士試験の合格率は、近年15%から18%程度で推移しています。令和7年度(2025年度)の試験では、受験者数245,462人のうち合格者は45,821人で、合格率は18.7%でした。
合格点は50点満点中33点という結果です。
つまり、約8割以上の受験者が不合格になる厳しい試験です。10人が受験すれば8人が落ちる計算になります。この数字を見て不安になる方もいるかもしれませんが、正しい対策を行えば合格は十分に可能な試験でもあります。
合格点は年度によって変動し、過去10年間では33点から38点の間で推移しています。令和2年度(2020年度)10月実施分の38点が最も高く、令和7年度(2025年度)の33点が最も低い合格点となりました。この5点差は、問題の難易度や受験者全体の正答率によって調整されるためです。
試験は相対評価の要素が強く、上位約15~18%が合格するという仕組みになっています。そのため、満点を目指すのではなく、確実に合格ラインを超える戦略が重要です。40点以上を目標にすると安全圏と言えるでしょう。
また、年齢層による合格率の違いも見られます。20代の合格率は比較的高い傾向にありますが、30代以上の受験者も多く、働きながら学習する社会人が大半を占めます。不動産業に従事している方は、実務経験があるため有利な面もありますが、法律知識の理解には別途学習が必要です。
合格率のデータや最新の試験結果については、上記の公式サイトで確認できます。
不動産取引士試験の科目構成と配点戦略
不動産取引士試験は50問で構成され、4つの主要科目に分かれています。宅建業法が20問と最も多く、権利関係(民法等)が14問、法令上の制限が8問、税・その他が8問(うち5問は登録講習修了者は免除)という配分です。
宅建業法は得点源です。この科目は暗記中心で、過去問の反復学習により確実に得点できる分野です。20問中18~19問の正解を目指すべきでしょう。不動産取引の実務に直結する内容が多いため、業界従事者にとっては取り組みやすい科目と言えます。
権利関係は14問出題され、民法を中心とした法律理解が求められます。理解型の科目であり、暗記だけでは対応できない応用問題が多く含まれます。14問中8~10問の正解が目標ラインになります。この科目に最も時間がかかるため、早めの学習開始が推奨されます。
法令上の制限は8問で、都市計画法や建築基準法などの街づくりに関する法律が出題されます。専門用語が多く最初は難しく感じますが、パターン化された問題が多いため、慣れれば得点源になります。
8問中6~7問の正解を目指しましょう。
税・その他の科目は8問(5問免除者は3問)で、不動産に関する税金や土地・建物の知識、統計データなどが出題されます。広範囲ですが出題数が少ないため、効率的な学習が求められます。
科目別の勉強順序としては、権利関係→宅建業法→法令上の制限→税・その他の順が効果的です。理解に時間がかかる権利関係を最初に学習し、その後暗記中心の科目に進むことで、全体の理解が深まります。
不動産取引士試験に必要な勉強時間と学習スケジュール
不動産取引士試験の合格に必要な勉強時間は、初学者で独学の場合300~400時間、資格予備校や通信講座を利用する場合は200~300時間が目安とされています。法律の学習経験がある方は、より短時間で済む可能性があります。
1日2時間の学習を確保できれば、約5~7ヶ月で必要な学習時間に到達します。社会人の方は、平日1~2時間、休日3~4時間という配分で学習を進めるのが現実的でしょう。試験は毎年10月第3日曜日に実施されるため、4月頃から学習を開始するのが理想的です。
3ヶ月での合格も不可能ではありませんが、相当な集中力と効率的な学習が求められます。1日3時間以上の学習時間を確保し、過去問を中心とした実践的な勉強法が必要です。ただし初学者には厳しいスケジュールと言えます。
学習の進め方としては、最初の2~3ヶ月でテキストを一通り読み、基礎知識を固めます。この期間は理解を優先し、完璧を目指さないことが重要です。次の2~3ヶ月で過去問を繰り返し解き、問題パターンに慣れていきます。最後の1~2ヶ月は弱点補強と模擬試験で実践力を養います。
過去問は最低でも10年分、できれば15年分を3周以上解くことが推奨されます。1周目は問題を知ること、2周目は理解を深めること、3周目以降は解答スピードを上げることを意識しましょう。
モチベーション維持も重要な要素です。長期間の学習になるため、小さな目標を設定し、達成感を得ながら進めることが継続のコツです。例えば「今週は宅建業法を完璧にする」といった具体的な週次目標を立てると良いでしょう。
不動産取引士試験の申込方法と受験資格、費用
不動産取引士試験には受験資格の制限がありません。年齢、学歴、実務経験に関係なく、誰でも受験できる国家資格です。この点が多くの人に挑戦の機会を与えている理由の一つです。
受験料は8,200円で、2022年度から値上げされました。それまでは7,000円でしたが、試験会場代やコスト増を理由に改定されています。受験料に消費税は含まれていません(非課税)。一度支払った受験料は、原則として返還されないため注意が必要です。
申込方法はインターネット申込と郵送申込の2種類があります。インターネット申込の方が便利で、クレジットカード決済やコンビニ決済、Pay-easyでの支払いが可能です。申込期間は例年7月上旬から7月下旬までの約1ヶ月間に設定されています。
インターネット申込では、事前に顔写真データ(jpeg形式)を用意する必要があります。写真は規定に沿ったものでなければならず、不適切な場合は受理されない可能性があります。証明写真機やスマートフォンで撮影したものでも、規格に合っていれば使用可能です。
試験会場は、原則として受験者が現在居住している都道府県で受験します。引越しなどで住所が変わった場合は、試験日時点で居住している都道府県での受験となります。
会場の詳細は受験票で通知されます。
申込期限を過ぎると受験できないため、早めの手続きが重要です。特に郵送申込の場合は、書類の不備や写真の不適合などで再提出が必要になる可能性もあるため、余裕を持った申込をお勧めします。
不動産取引士試験合格後にかかる登録費用と手続き
試験に合格しただけでは、宅地建物取引士として業務を行うことはできません。合格後に都道府県への資格登録と宅地建物取引士証の交付申請が必要です。ここで多くの方が驚くのが、合格後にかかる費用の高さです。
資格登録の手数料は37,000円です。さらに宅地建物取引士証の交付申請手数料として4,500円が必要になります。つまり合格後の手続きだけで41,500円の費用がかかります。受験料8,200円と合わせると、約5万円の出費となります。
実務経験が2年未満の方は、資格登録の前に登録実務講習を受講する必要があります。この講習費用は実施機関によって異なりますが、概ね20,000円前後です。講習は通信学習と2日間のスクーリング、修了試験で構成されています。
登録実務講習の修了試験に合格すると、「2年以上の実務経験を有する者と同等以上の能力を有する者」と認められ、登録要件を満たすことができます。この講習は不動産業に従事していない方や、実務経験が浅い方にとって必須のステップです。
合格から1年以上経過してから宅地建物取引士証の交付申請を行う場合は、法定講習(約12,000円)の受講も必要になります。そのため、合格後は速やかに手続きを進めることが費用面でも有利です。
すべての費用を合計すると、実務経験がない方の場合、受験から資格取得まで約7~8万円程度かかる計算になります。高額に感じるかもしれませんが、資格手当や給与アップで回収できる金額です。不動産業界では月額2~3万円の資格手当が支給されることも多く、2~3ヶ月で元が取れる投資と言えます。
登録手続きの詳細や必要書類については、受験した都道府県の担当窓口に確認するのが確実です。
不動産取引士試験に落ちる人の共通点と対策法
合格率18%という数字が示すとおり、多くの受験者が不合格となります。落ちる人には共通した特徴があり、それを理解することで合格への道が見えてきます。
最も多い失敗パターンは、勉強時間の絶対的不足です。「仕事が忙しい」「疲れている」という理由で学習を先延ばしにし、結局十分な準備ができないまま試験を迎えてしまうケースです。必要な300~400時間を確保できていない受験者は、ほぼ確実に不合格となります。
過去問の答えだけを暗記し、理由や根拠を理解していない学習も危険です。宅建試験は過去問と全く同じ問題は出題されず、形を変えた応用問題が多く含まれます。「なぜその答えになるのか」を説明できない知識は、本番では役に立ちません。
すべてを完璧に覚えようとする完璧主義も失敗の原因です。宅建試験は満点を目指す試験ではなく、50問中35~38問程度を正解すれば合格できます。重要度の低い細かい論点に時間をかけすぎると、重要論点の学習時間が不足します。
試験本番での時間配分ミスも多くの受験者が経験する失敗です。宅建試験は2時間で50問を解く必要があり、1問あたり2.4分しか使えません。難問に時間をかけすぎて、後半の簡単な問題に手が回らないという事態は避けなければなりません。
対策としては、まず学習スケジュールを具体的に立てることです。「いつまでに何をどれだけやるか」を明確にし、毎週の進捗を確認します。計画通りに進まない場合は、早めに軌道修正することが重要です。
過去問学習では、解説をしっかり読み込み、関連知識も確認する習慣をつけましょう。1問解くごとにテキストを見返し、周辺知識も含めて理解することで、応用力が身につきます。間違えた問題はノートにまとめ、繰り返し復習する仕組みを作ると効果的です。
試験本番に向けては、時間を計って過去問や模擬試験を解く練習が不可欠です。難問は後回しにし、確実に解ける問題から取り組む習慣をつけます。マークシートの塗り間違いを防ぐため、見直しの時間も確保しておきましょう。
法改正や統計データの更新にも注意が必要です。古い過去問だけで勉強していると、現行法と異なる知識を覚えてしまう危険があります。最新の教材を使用し、本年度の法改正ポイントは必ず確認しておきましょう。

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