重要事項説明書賃貸ひな形の作成と記載ポイント

重要事項説明書賃貸ひな形と作成

ひな形を無料で入手しても記載ミスすると業務停止のリスクがあります。

📋 この記事で分かる3つのポイント
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無料ひな形の入手先と選び方

国土交通省や全宅連の標準書式から、エクセル・ワード形式の編集可能なひな形まで、信頼できる入手先を紹介します

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記載ミスのリスクと罰則

重要事項説明書の記載ミスは業務停止処分や損害賠償請求に直結します。うっかりミスを防ぐチェックポイントを解説

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IT重説と電子化対応

2022年5月から可能になった電子書面交付の手順と、オンライン重説を実施する際の注意点を実務視点で紹介

重要事項説明書賃貸の国土交通省ひな形ダウンロード方法

 

国土交通省が提供している重要事項説明書のひな形は、賃貸借契約において最も信頼性が高い標準書式です。宅地建物取引業法第35条に基づいて作成されており、法令遵守の観点から最も安全な選択肢となります。

国土交通省のひな形は、公式ウェブサイトから無料でダウンロードできます。Word形式で提供されているため、物件情報や契約内容に合わせて編集が可能です。ひな形には必要な記載項目が明示されており、記載漏れを防ぐための仕組みが組み込まれています。

ひな形の構成は大きく3つのパートに分かれています。第一面には物件の基本情報と宅地建物取引士の情報を記載します。第二面以降には法令上の制限、設備の整備状況、契約条件などの詳細を記載する欄が設けられています。各項目にはチェックボックスが用意されており、該当する事項を選択する形式です。

つまり標準書式を使うことでミスを減らせます。

ダウンロード後は必ず最新版であることを確認してください。法改正により記載項目が追加されることがあり、古いバージョンを使用すると重要な説明事項が抜け落ちる可能性があります。特に2020年8月に追加された水害ハザードマップの説明義務など、新しい項目の漏れは法令違反となります。

全宅連や各都道府県の宅建協会でも独自のひな形を提供しています。これらの団体が提供するひな形は、国土交通省の標準書式をベースに、実務で使いやすいよう工が加えられています。会員であれば「ハトサポ」などの会員専用サイトから、Excel版やPDF版も入手可能です。

国土交通省の重要事項説明書(建物の賃借)標準書式ダウンロードページ

国土交通省が提供する賃貸借契約用の標準書式Word版です。最新の法令に対応した記載項目が網羅されており、実務での使用に適しています。

重要事項説明書賃貸の必須記載事項とチェックポイント

宅地建物取引業法第35条と施行規則第16条の2には、賃貸借契約における重要事項説明書の記載事項が定められています。これらの事項を漏れなく記載し説明することが、宅建業者の法的義務です。

物件の基本情報として、登記記録に記載された事項は必ず説明しなければなりません。建物の所在地、床面積、種類及び構造などの情報は、登記簿謄本と照合して正確に記載します。床面積については、登記簿面積と実測面積が異なる場合があるため、両方を明記することが望ましいです。

法令に基づく制限の概要も重要な説明事項です。都市計画法、建築基準法をはじめ、物件が所在する地域に適用される法令上の制限を調査し記載します。用途地域、建ぺい率、容積率などの制限は、借主が将来的に増改築を検討する際に影響を及ぼす可能性があります。

供給処理施設の整備状況では、水道、電気、ガス、排水の各設備について、直ちに利用可能かどうかを明記します。特にガスについては都市ガスかプロパンガスかを明示する必要があり、光熱費に大きく影響するため借主にとって重要な判断材料となります。

契約条件に関する事項として、賃料以外に授受される金銭の金額と目的を詳細に記載します。敷金、礼金、保証金、更新料、鍵交換費用など、初期費用と継続費用を明確に区分して説明することがトラブル防止につながります。敷金については、退去時の精算方法も具体的に記載しましょう。

契約期間と更新に関する事項は、一般借家契約、定期借家契約、終身建物賃貸借契約のいずれに該当するかを明示します。定期借家契約の場合は更新がないこと、契約期間満了時に退去しなければならないことを特に強調して説明する必要があります。これは後々のトラブルを防ぐために極めて重要です。

結論は法令遵守が第一です。

管理の委託先についても記載が義務付けられています。賃貸住宅管理業法の登録を受けた管理業者であれば、その登録番号も併せて記載します。借主が日常的な管理に関する連絡をする際の窓口となるため、正確な情報提供が求められます。

重要事項説明書賃貸の記載ミスによる法的リスクと対策

重要事項説明書の記載内容に誤りがあった場合、宅建業者は宅地建物取引業法違反として行政処分の対象となります。説明義務違反として指示処分を受けるだけでなく、業務停止命令が下される可能性もあります。

実際の処分事例では、法令上の制限の説明漏れや、設備の不備に関する説明不足により、業務停止3か月の処分を受けた事例があります。この期間中は一切の営業活動ができなくなるため、事業継続に深刻な影響を及ぼします。個人の宅地建物取引士も、説明義務違反により登録の取消しや一定期間の事務禁止処分を受けるリスクがあります。

厳しいところですね。

行政処分だけでなく、民事上の損害賠償責任も発生します。説明の誤りや漏れにより借主が損害を被った場合、宅建業者は調査義務違反として賠償請求を受けることになります。判例では、下水道工事費の負担について説明がなかったケースで、実際にかかった工事費用相当額の賠償を命じられた事例があります。

説明ミスによる損害額は具体的にどの程度になるのでしょうか。

過去の訴訟事例では、建物構造の記載ミスにより賃料の減額を求められ、1年分の賃料差額約50万円の支払いを命じられたケースがあります。また、設備の不備について説明がなかったことで、修繕費用や引っ越し費用を含めて100万円を超える賠償命令が出た事例も報告されています。

記載ミスを防ぐためには、作成段階でのダブルチェック体制が不可欠です。物件調査を行った担当者と重要事項説明書を作成する者を分けることで、第三者の視点から誤りを発見しやすくなります。特に法令上の制限については、役所での調査結果を必ず書面で取得し、それを基に記載する習慣を付けましょう。

訂正が必要になった場合の対応手順も事前に理解しておくべきです。契約締結後に記載内容の誤りが判明した場合は、速やかに契約当事者に連絡し、同意を得た上で書面の訂正を行います。訂正箇所には訂正印を押印し、別紙で訂正内容と説明日を記載して署名捺印を求める必要があります。

重要事項説明書賃貸のIT重説と電子書面交付の実務

IT重説とは、テレビ会議システムなどのITツールを活用して、オンラインで重要事項説明を実施する制度です。賃貸借契約については2017年10月から本格運用が開始されており、コロナ禍を経て急速に普及が進んでいます。

IT重説を実施するには、いくつかの法的要件を満たす必要があります。まず、重要事項説明書を事前に相手方に送付しておかなければなりません。紙の書面でも電子メールやダウンロード形式でも構いませんが、説明開始前に相手方が内容を確認できる状態にすることが条件です。

これは使えそうです。

説明時には、宅地建物取引士が宅地建物取引士証を画面に表示して提示します。相手方が取引士証の記載内容を確認できる画質と照度が確保されていることを、説明開始前に必ず確認しましょう。画面越しでも対面と同様に、取引士が責任を持って説明を行っていることを明確に示す必要があります。

音声と映像の品質確保も重要な要件です。双方向でやり取りができる環境であることを確認し、通信が途切れた場合は説明を中断して再接続する手順を決めておきます。相手方のIT環境が不十分な場合は、無理にIT重説を進めずに対面での説明に切り替える判断も必要です。

2022年5月18日からは、重要事項説明書の電子書面交付も可能になりました。相手方の承諾を得た上で、PDFなどの電子ファイルをメールで送付する方法や、専用システムからのダウンロード形式での提供が認められています。電子書面には宅地建物取引士の電子署名が必要です。

電子書面交付のメリットは業務効率化だけでなく、コスト削減にもつながります。印刷費用、郵送費用、保管スペースの削減により、1件あたり数千円のコスト削減効果が見込めます。契約件数が多い事業者ほど、年間での削減額は大きくなります。

電子書面を交付する場合の注意点として、相手方が書面を確実に受領し内容を確認できたことを記録に残す必要があります。メール配信システムの開封確認機能や、ダウンロード完了の通知機能を活用し、受領の証跡を保存しておきましょう。

国土交通省「重要事項説明書等の電磁的方法による提供及びITを活用した重要事項説明実施マニュアル」

IT重説と電子書面交付の実施方法、法的要件、注意事項をまとめた国土交通省の公式マニュアルです。実務導入前に必ず確認しておくべき資料となります。

重要事項説明書賃貸の水害リスク説明義務と最新対応

2020年8月28日の宅地建物取引業法施行規則改正により、重要事項説明において水害ハザードマップに関する説明が義務化されました。これは近年の台風被害や豪雨災害を受けて、不動産取引時に水害リスクを認識してもらうことを目的とした制度です。

説明義務の対象となるのは、市町村が作成した水防法に基づく水害ハザードマップです。洪水、内水、高潮、津波など、複数の種類のハザードマップが存在する地域では、すべてのマップについて説明する必要があります。対象物件の所在地がハザードマップ上のどこに位置するかを示すことが求められます。

実は賃貸契約でも説明義務があります。

ハザードマップの入手方法は、各市町村のホームページからダウンロードする方法が一般的です。国土交通省の「重ねるハザードマップ」を利用すれば、全国の水害リスク情報を一元的に確認できます。ただし、市町村独自のより詳細なマップがある場合は、そちらを優先して使用しましょう。

説明時の注意点として、ハザードマップに表示されている浸水想定区域の外に物件がある場合でも、ハザードマップ上の位置を示して説明することが必要です。「浸水想定区域外です」と明確に伝えることで、借主は安心して判断材料とすることができます。

物件が浸水想定区域内にある場合は、想定される浸水深も併せて説明します。床上浸水の可能性がある場合、その高さを具体的に伝えることで、借主は家財の配置や保険加入の検討に役立てることができます。浸水深50cmという数値だけでは実感しにくいため、「大人の膝上まで」といった具体的な表現を添えると理解しやすくなります。

市町村によってはハザードマップが作成されていない地域も存在します。その場合は「当該市町村においては水防法に基づく水害ハザードマップは作成されておりません」と説明し、記録に残す必要があります。説明義務を果たしたことを証明するため、使用したハザードマップのコピーを重要事項説明書に添付して保管しましょう。

水害リスクの説明を怠った場合、宅建業法違反として行政処分の対象となります。加えて、実際に水害が発生した際には、説明義務違反による損害賠償請求を受けるリスクも考えられます。物件選定時に水害リスクを知っていれば別の物件を選んだという主張が認められる可能性があるためです。

どういうことでしょうか。

説明義務化から数年が経過した現在、借主側の水害リスクに対する意識も高まっています。ハザードマップの説明を丁寧に行うことで、宅建業者としての信頼性向上にもつながります。リスク情報を正直に開示する姿勢が、長期的な顧客との信頼関係構築に寄与します。

重要事項説明書賃貸の特約事項記載とトラブル回避

特約事項は、標準的な契約条件に加えて個別に取り決める事項を記載する欄です。賃貸借契約では、物件の特性や貸主の意向に応じて様々な特約が設定されますが、借主に不利な内容であっても無制限に有効となるわけではありません。

有効な特約として認められるには、3つの要件を満たす必要があります。第一に、特約を設ける合理的な理由が存在すること。第二に、借主が特約の内容を明確に認識していること。

第三に、借主が任意に合意していることです。

これらの要件を満たさない特約は、たとえ契約書に記載されていても無効と判断される可能性があります。

具体的な特約の記載例として、ペット飼育に関する特約があります。

「小型犬1匹に限り飼育可能。

飼育する場合は別途ペット飼育同意書の提出と敷金1か月分の追加が必要」といった具体的な条件を明記します。曖昧な表現ではトラブルの原因となるため、飼育可能なペットの種類、頭数、追加費用を明確に定めましょう。

原状回復に関する特約も重要です。

原状回復の範囲を特約で定める場合、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を基準として、どこまでを借主負担とするかを明示します。「通常損耗は貸主負担、故意・過失による損傷は借主負担」という原則を崩す特約を設ける場合は、その理由と具体的な負担内容を詳細に説明する必要があります。

無効とされやすい特約の例として、「退去時のクリーニング費用として一律5万円を借主が負担する」という定額負担の特約があります。判例では、実際のクリーニング費用や使用期間に関わらず一律の負担を求める特約は、借主に不利すぎるとして無効と判断されたケースがあります。実費精算方式にすることで有効性を高められます。

禁止事項を特約で定める際も注意が必要です。「楽器演奏禁止」という特約では、電子ピアノをヘッドホンで演奏する場合も禁止されるのか不明確です。

「生音の発生する楽器の演奏は終日禁止。

電子楽器はヘッドホン使用に限り可」といった具体的な表現にすることで、後々の解釈の相違を防げます。

更新料に関する特約は地域によって慣習が異なります。更新料の支払いが一般的でない地域で高額な更新料を設定する場合、特にその必要性と金額の妥当性について丁寧な説明が求められます。裁判例では、更新料が賃料の2か月分を超える場合、合理性が厳しく問われる傾向にあります。

意外ですね。

特約事項を記載する際の実務上のコツは、全宅連の「特約・容認事項文例集」などの信頼できる資料を参考にすることです。過去の判例で有効性が認められた文言を使用することで、法的リスクを低減できます。ただし、文例をそのまま使うのではなく、個別の物件状況に合わせた調整が必要です。

特約の説明時には、なぜその特約が必要なのか背景を説明することが重要です。単に「契約書にこう書いてあります」と読み上げるだけでは、借主が内容を十分に理解したとは言えません。特約によって借主にどのような義務が生じるのか、違反した場合にどうなるのかまで含めて説明しましょう。


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