固定資産評価証明書取得方法相続
相続人が戸籍なしで取得すると登記が却下されます。
固定資産評価証明書を相続人が取得する際の必要書類
相続が発生した後、固定資産評価証明書を取得するには相続人であることを証明する書類が必須となります。通常の所有者本人が取得する場合とは異なり、相続人には追加の書類提出が求められるため、事前準備が重要です。
相続人が固定資産評価証明書を取得する際に必要な書類は、まず本人確認書類として運転免許証やマイナンバーカードなどが挙げられます。
これだけは例外ではありません。
しかし、これに加えて被相続人との相続関係を証明する戸籍謄本または除籍謄本が必要となります。具体的には、被相続人が亡くなったことがわかる除籍謄本と、申請者が法定相続人であることを証明する戸籍謄本の両方を提示しなければなりません。この点を見落とすと、窓口で取得を断られるケースが実際に発生しています。
東京都の場合、遺言執行者や受遺者が取得する場合も同様に、遺言書や被相続人の死亡を証明する書類が必要となります。遺贈を受けた方の場合には、資産だけでなく納税義務を承継していることが明記されている必要があります。つまり、相続関係を明確に証明する公的書類が揃っていなければ証明書の取得はできません。
申請書についても、各市区町村や都税事務所のホームページからダウンロードできる所定の様式を使用します。申請書には、対象不動産の所在地、地番、家屋番号などを正確に記載する必要があるため、登記事項証明書や納税通知書などで事前に確認しておくとスムーズです。
つまり戸籍関係が基本です。
相続案件で評価証明書を取得する場面では、被相続人の本籍地が遠方にある場合や、戸籍が複数の自治体にまたがる場合に時間がかかることがあります。そのような状況では、法務局が提供する法定相続情報証明制度を活用すると、一枚の書面で相続関係を証明できるため、複数の窓口で何度も戸籍を提示する手間が省けます。
固定資産評価証明書の取得窓口と東京23区の特例
固定資産評価証明書の取得窓口は、不動産が所在する自治体によって異なります。一般的には市区町村役場の資産税課や税務課で取得しますが、東京23区内の不動産については例外的な扱いとなるため、不動産業従事者として正確に把握しておく必要があります。
東京23区以外の地域では、不動産が所在する市区町村の役場窓口で固定資産評価証明書を取得します。例えば、神奈川県横浜市の不動産であれば横浜市役所または各区役所の税務担当窓口、大阪市であれば市税事務所が窓口となります。自治体によって窓口の名称は異なりますが、基本的には固定資産税を所管する部署が担当しています。
これが原則です。
一方、東京23区内の不動産については、市区町村ではなく東京都が固定資産税を管轄しているため、各区に設置された都税事務所が取得窓口となります。例えば、渋谷区内の不動産であれば渋谷都税事務所、世田谷区内であれば世田谷都税事務所が窓口です。
ここで重要なのは、東京23区の場合、証明書については23区内のどの都税事務所でも取得可能という点です。つまり、渋谷区の不動産の評価証明書を新宿都税事務所で取得することもできます。ただし閲覧については、資産が所在する区の都税事務所でのみ可能という制限があるため、証明書と閲覧で取り扱いが異なることに注意が必要です。
手数料については、自治体によって若干の差がありますが、概ね1件につき300円から400円程度です。東京都の場合、1件目は400円で、2件目以降は同一所有者であっても100円ずつ加算されます。土地と家屋は別カウントとなるため、土地1筆と家屋1棟であれば合計500円となる計算です。
どこでも取れるわけではありません。
郵送での取得も可能で、遠隔地から申請する場合には申請書と必要書類のコピー、手数料分の定額小為替、返信用封筒を同封して送付します。郵送の場合、証明書が手元に届くまで1週間程度を見込んでおく必要があります。相続登記の期限を考慮すると、余裕を持って申請することが賢明です。
固定資産評価証明書の年度と相続登記での注意点
固定資産評価証明書には「年度」という概念があり、この年度の取り扱いを誤ると相続登記の申請が受理されない事態に陥ります。不動産業従事者として顧客にアドバイスする際には、この年度の切り替わりタイミングを正確に伝える必要があります。
固定資産評価証明書の年度は、毎年4月1日に新年度に切り替わります。例えば、令和7年4月1日には令和7年度の評価証明書が発行開始となり、それ以前に発行された令和6年度の証明書は旧年度扱いとなります。相続登記を申請する際には、申請日が属する年度の最新の固定資産評価証明書を添付しなければなりません。
4月1日が境界線です。
具体的には、令和7年3月31日に相続登記を申請する場合は令和6年度の評価証明書を使用し、令和7年4月1日以降に申請する場合は令和7年度の評価証明書を使用します。被相続人が令和6年12月に亡くなり、令和7年5月に登記申請する場合でも、必要なのは申請時点の最新年度である令和7年度の評価証明書となります。
この規則を知らずに、被相続人が亡くなった年度の古い評価証明書を法務局に提出してしまうケースが実務上散見されます。法務局は旧年度の証明書では登記申請を受理せず、補正または却下の対象となり、再度最新年度の証明書を取得して提出し直す手間が発生します。これは時間的ロスだけでなく、令和6年4月からの相続登記義務化により、期限内の登記完了に影響を与える可能性もあります。
最新年度が原則です。
相続登記の登録免許税計算と年度の関係(チェスター税理士法人)
年度の切り替わり時期である3月下旬から4月上旬に相続登記を予定している場合には、特に注意が必要です。3月中に取得した評価証明書を使って4月以降に登記申請すると、前述のように受理されません。このタイミングで登記申請する場合は、4月1日以降に改めて最新年度の証明書を取得してから申請する必要があります。
一方、相続税申告では異なるルールが適用されます。相続税申告においては、被相続人が亡くなった日が属する年度の固定資産評価証明書を使用します。例えば、令和7年3月に亡くなった場合は令和6年度、令和7年4月に亡くなった場合は令和7年度の証明書が必要です。相続登記と相続税申告では求められる年度が異なるため、両方の手続きを並行して進める場合には、それぞれ適切な年度の証明書を用意することになります。
固定資産評価証明書と名寄帳の違いと相続での使い分け
相続手続きにおいて、固定資産評価証明書と名寄帳は混同されやすい書類ですが、用途と記載内容に明確な違いがあります。不動産業従事者として、これらの違いを理解し、相続案件で適切に使い分けることが重要です。
固定資産評価証明書は、特定の不動産の固定資産税評価額を公的に証明する書類です。相続登記の登録免許税を計算する際や、相続税申告で評価額を証明する際に使用します。証明書には、土地であれば所在地・地番・地目・地積・評価額が、家屋であれば所在地・家屋番号・種類・構造・床面積・評価額が記載されています。法的な証明力を持つため、法務局への提出書類として認められます。
証明力があります。
一方、名寄帳は、ある所有者が市区町村内に所有している全不動産を一覧にした書類です。名寄帳の主な目的は、所有不動産の全体像を把握することにあります。相続が発生した際、被相続人が生前どのような不動産を所有していたのか全体を確認するために名寄帳を取得します。名寄帳には評価額も記載されていますが、これは参考情報であり、証明書ではないため登記申請には使用できません。
相続における実務的な使い分けとして、まず名寄帳を取得して被相続人の所有不動産全体を把握し、その後に相続登記が必要な個別の不動産について固定資産評価証明書を取得するという流れが効率的です。名寄帳で全体を確認することで、相続人が把握していなかった不動産の存在が明らかになるケースもあります。
一覧把握が名寄帳の役割です。
特に注意すべきは、非課税不動産の取り扱いです。公衆用道路など固定資産税が非課税の土地は、固定資産税課税明細書には記載されないことが多いですが、名寄帳には記載されます。相続登記では非課税の公衆用道路も登記対象となるため、課税明細書だけでなく名寄帳を確認することで登記漏れを防ぐことができます。
手数料面では、名寄帳の取得費用は自治体によって異なりますが、概ね300円程度です。固定資産評価証明書と同様に窓口または郵送で取得可能で、相続人であれば戸籍謄本などの相続関係証明書類を提示することで取得できます。
相続案件では、名寄帳で所有不動産を網羅的に確認し、相続登記や相続税申告で証明が必要な不動産については個別に固定資産評価証明書を取得するという二段階のアプローチが実務上のベストプラクティスと言えます。名寄帳の確認を怠ると、後日未登記の不動産が発見され、追加の登記手続きが必要になるリスクがあります。
固定資産評価証明書を使った登録免許税の計算実務
相続登記を申請する際には登録免許税という税金の納付が必要であり、その税額計算の基礎となるのが固定資産評価証明書に記載された評価額です。不動産業従事者として、顧客に登録免許税の概算を伝えられるよう、正確な計算方法を理解しておくことが求められます。
相続登記の登録免許税は、固定資産税評価額の0.4%(1000分の4)です。計算式は「課税価格×4/1000=登録免許税額」となります。ここで使用する課税価格は、固定資産評価証明書に記載された評価額を1000円未満切り捨てした金額です。
0.4%が税率です。
具体的な計算例を示します。固定資産評価証明書に土地の評価額が12,345,678円、建物の評価額が6,789,012円と記載されていた場合、まず各評価額を1000円未満切り捨てします。土地は12,345,000円、建物は6,789,000円となり、合計課税価格は19,134,000円です。これに4/1000を乗じると76,536円となり、これが登録免許税額です。さらに、計算結果は100円未満切り捨てとなるため、最終的な納付額は76,500円となります。
ここで注意すべきは、公衆用道路など評価額が「非課税」または「0円」と記載されている不動産の扱いです。固定資産税が非課税であっても、相続登記の登録免許税は課税されるため、これらの不動産についても課税価格を算出する必要があります。
非課税でも登録免許税は必要です。
非課税の公衆用道路の課税価格を算出する方法は主に3つあります。第一に、固定資産評価証明書に「近傍宅地単価」が記載されている場合、その単価に公衆用道路の地積を乗じて評価額を算出します。第二に、近傍宅地単価の記載がない場合は、隣接する宅地の1平方メートルあたりの評価額を算出し、それに公衆用道路の地積と0.3(30%)を乗じて計算します。第三に、これらの方法が使えない場合は、不動産の所在する地域の登記所に「評価額がないことの証明書」を発行してもらい、それに基づいて課税価格を計上します。
課税価格の計算では、土地と建物を合算し、さらに複数の不動産がある場合はすべての評価額を合計します。共有持分で相続する場合は、評価額全額を基礎として計算し、持分割合によって税額を按分することはありません。例えば、評価額2000万円の不動産を相続人3人が各3分の1ずつ共有で相続する場合でも、課税価格は2000万円で計算し、登録免許税は8万円(20,000,000円×4/1000=80,000円)となります。
登録免許税は原則として収入印紙で納付しますが、税額が3万円を超える場合は金融機関での現金納付も可能です。収入印紙を登記申請書に貼付する際は、消印をしないよう注意が必要です。法務局に申請書を提出する際、登録免許税が不足していると補正の対象となり、登記完了が遅れる原因となるため、計算ミスには十分注意しましょう。
不動産業従事者が知るべき固定資産評価証明書取得の効率化テクニック
不動産業従事者として相続案件を多く扱う場合、固定資産評価証明書の取得を効率化することで、顧客サービスの質を向上させ、業務のスピードアップを図ることができます。ここでは実務で役立つ取得方法の工夫と注意点を紹介します。
複数の自治体にまたがる不動産の相続案件では、それぞれの市区町村から評価証明書を取得する必要があります。窓口に直接出向く時間がない場合、郵送請求を活用すると効率的です。郵送請求では、申請書・相続関係証明書類(戸籍謄本等)のコピー・本人確認書類のコピー・手数料分の定額小為替・返信用封筒(切手貼付)を同封して送付します。
郵送なら移動不要です。
定額小為替は郵便局で購入でき、1枚につき100円の発行手数料がかかります。手数料が300円の証明書であれば、300円分の定額小為替を購入して同封します。お釣りが出る金額でも構いませんが、自治体によっては差額を返金してくれる場合と返金しない場合があるため、事前に確認しておくと無駄がありません。
複数の相続案件を同時に扱っている場合、委任状を活用すると代理人として一括で取得できます。相続人から司法書士や行政書士への委任状があれば、専門家が代理で複数の自治体から証明書を取得できるため、相続人の手間を大幅に削減できます。委任状には、委任者(相続人)の署名捺印と、代理人の氏名・住所、取得する証明書の種類を明記します。
代理取得が効率的です。
固定資産評価証明書の取得ポイント解説(司法書士法人解説記事)
大阪市や一部の自治体では、マイナンバーカードを使ってコンビニエンスストアのマルチコピー機から固定資産評価証明書を取得できるサービスがあります。対応している自治体は限られていますが、利用可能な場合は早朝や夜間でも取得できるため、非常に便利です。ただし、相続案件でコンビニ交付を利用する場合、相続人本人のマイナンバーカードでは被相続人名義の証明書は取得できない点に注意が必要です。
評価証明書を取得する際によくある失敗として、不動産の地番や家屋番号を間違えて申請してしまうケースがあります。住居表示と地番は異なることが多いため、登記事項証明書や納税通知書で正確な地番・家屋番号を確認してから申請しましょう。誤った地番で申請すると、該当する不動産が見つからず証明書が発行されないか、全く別の不動産の証明書が発行されてしまいます。
地番確認が必須です。
年度末から年度初めにかけての時期(3月下旬から4月上旬)は、都税事務所や市区町村の窓口が非常に混雑します。この時期に窓口で取得する場合、長時間待たされることを想定し、時間に余裕を持って訪問するか、郵送請求を活用することをお勧めします。特に4月初めの数日間は、新年度の証明書を求める人々で窓口が混雑するため、可能であれば4月中旬以降に取得すると待ち時間を短縮できます。
相続案件で評価証明書を取得する際は、名寄帳も同時に取得しておくことで、後から不動産の漏れが判明して追加取得する手間を防げます。窓口で「評価証明書と名寄帳の両方をください」と依頼すれば、一度の訪問で両方取得できます。特に被相続人が複数の不動産を所有していた可能性がある場合、名寄帳で全体を確認してから個別の評価証明書を取得する流れが最も効率的です。

