案内可能物件を確実に紹介する方法
他社からの問い合わせを断る元付業者は約3割存在します。
案内可能とは?レインズ登録物件の基本
不動産業界における「案内可能」とは、レインズに登録された物件を他社の不動産業者が顧客に紹介・案内できる状態を指します。専任媒介契約や専属専任媒介契約を締結した元付業者は、一定期間内にレインズへの登録が義務付けられており、この登録によって客付業者も物件情報にアクセスできる仕組みです。
専属専任媒介契約では依頼から5日以内、専任媒介契約では7日以内のレインズ登録が法律で定められています。この義務により、1社だけが売却活動を行う専任契約でも、広く買主を探せる体制が整っているのです。
つまり案内可能です。
しかし実際には、レインズに登録されているにもかかわらず案内できないケースが存在します。元付業者が「申込が入っている」「売主の都合で案内不可」などと理由をつけて、他社からの問い合わせを断る囲い込みと呼ばれる行為です。これは両手仲介(売主・買主双方から仲介手数料を得る)を狙うための不当な商慣行として問題視されています。
案内可能かどうかを判断する際は、レインズの「取引状況管理」機能を確認することが基本です。ステータスが「公開中」であれば原則として案内可能ですが、「書面による購入申込みあり」に変更されている場合は、新規の案内を断られる可能性が高くなります。ただし売主の了解があれば案内できる場合もあるため、元付業者への直接確認が不可欠です。
一般媒介契約の場合はレインズへの登録義務がないため、未登録の物件も多数存在します。このような物件は元付業者に直接問い合わせるか、物件情報サイトなどから情報を得る必要があります。案内可能な物件を的確に把握し、顧客に適切な提案を行うことが客付業者の重要な役割といえるでしょう。
レインズの仕組みと活用方法について、こちらで詳しく解説されています(HOME4U不動産売却)
案内可能物件でも断られる理由と対策
レインズに「公開中」と表示されている案内可能物件であっても、元付業者から案内を断られるケースは業界では珍しくありません。国土交通省の調査では、約3割の不動産業者が他社からの問い合わせに対して何らかの理由で案内を断った経験があると回答しています。
最も多い断り文句は「申込が入っている」です。実際には申込がないにもかかわらず、レインズのステータスを「書面による購入申込みあり」に変更し、自社で買主を見つけるまで他社の案内を拒否します。この状態が数週間続くこともあり、売主の売却機会を損なう重大な問題となっています。
「売主の都合で内見できない」という理由も頻繁に使われます。しかし本当に売主の都合であれば、日程調整で対応できるはずです。即座に断られる場合は囲い込みを疑うべきでしょう。他にも「リフォーム中」「清掃中」など、もっともらしい理由で時間稼ぎをするケースもあります。
この問題を回避するためには、複数の客付業者から同じ物件への問い合わせを行うのが効果的です。1社だけの問い合わせでは簡単に断られても、複数社から連続して問い合わせがあれば、元付業者も無視できなくなります。同僚や他社の営業担当と情報交換し、協力体制を築くことが重要です。
売主に直接アプローチする方法もあります。レインズの登録証明書には売主専用の確認画面へのログイン情報が記載されており、売主自身が取引状況を確認できます。囲い込みの疑いがある場合、売主に状況確認を促すことで、元付業者に圧力をかけられる可能性があります。ただし売主との直接交渉は元付業者との関係悪化につながるリスクもあるため、慎重な判断が求められます。
顧客に対しては、気になる物件があれば複数の不動産会社に問い合わせることを推奨しましょう。1社で「案内不可」と言われても、別の会社経由なら案内できる場合があります。顧客自身が囲い込みのリスクを理解していれば、より積極的な物件探しが可能になります。
案内可能物件の下見と準備のポイント
案内可能な物件を顧客に紹介する前の下見は、成約率を大きく左右する重要なプロセスです。下見を実施した営業担当者は、実施していない担当者と比べて成約率が約2倍高いというデータもあります。
下見では物件の状態確認だけでなく、案内ルートの確認が不可欠です。最寄駅から物件までの道順、車で案内する場合の駐車スペース、周辺の商業施設やコンビニの位置などを把握しておきましょう。顧客から「近くにスーパーはありますか?」と聞かれたときに即答できるかどうかで、プロとしての信頼度が変わります。
物件の設備状況も細かくチェックが必要です。間取り図では分からない収納の広さ、コンセントの位置、携帯電話の電波状況、水圧、日当たりの具合など、実際に現地で確認すべき項目は多岐にわたります。特に築年数が経過している物件では、設備の劣化状況や修繕の必要性を事前に把握しておくと、顧客からの質問にスムーズに答えられます。
周辺環境のリサーチも欠かせません。昼間だけでなく夜間の雰囲気、ゴミ置き場の管理状況、騒音の有無などを確認しましょう。マンションの場合は、エントランスや廊下などの共用部分の清掃状態も重要なチェックポイントです。管理が行き届いているかどうかは、顧客の購入意欲に直結します。
下見の際には写真や動画を撮影しておくと便利です。顧客に事前に物件の様子を伝えられるだけでなく、自分自身の記憶を補完するメモとしても活用できます。ただし空室でない場合は、入居者のプライバシーに配慮し、撮影許可を得ることを忘れないでください。
元付業者との関係構築も下見の重要な目的です。現地で元付業者の担当者と顔を合わせる機会があれば、積極的にコミュニケーションを取りましょう。「この物件に興味を持っている顧客がいる」と具体的に伝えることで、優先的に案内できる関係を築けます。良好な関係があれば、他社に先駆けて新着物件の情報を得られる可能性も高まります。
案内可能物件のヒアリングから成約まで
案内可能な物件を顧客に提案する前段階として、綿密なヒアリングが成約への第一歩となります。顧客が求める条件を正確に把握できなければ、どれだけ多くの物件を紹介しても成約には結びつきません。
ヒアリングでは「予算」「エリア」「間取り」「築年数」といった基本条件だけでなく、顧客の潜在的なニーズを引き出すことが重要です。「なぜこのエリアを希望するのか」「どんな生活スタイルを送りたいのか」といった質問を通じて、顧客自身も気づいていない本当の希望を明確にしましょう。例えば「駅近を希望」と言っていても、実際には「通勤時間を短くしたい」という本質的なニーズがあり、バス便でも快適な物件なら受け入れられる可能性があります。
ヒアリングは3分以内を目安に効率的に行うことが推奨されています。顧客の時間を奪いすぎると、かえって信頼を失うからです。事前に準備したヒアリングシートを活用し、必要最小限の質問で最大限の情報を引き出すスキルを磨きましょう。
物件案内では、提案する物件数を3件程度に絞ることがポイントです。多すぎる選択肢は顧客を迷わせ、決断を先延ばしにさせる「決定回避の法則」が働きます。ヒアリング内容をもとに厳選した3件を、優先順位をつけて案内する流れが理想的です。
案内中は一方的に物件の説明をするのではなく、顧客の反応を観察しながら対話を進めましょう。「この収納スペースについてどう思われますか?」「日当たりは期待通りでしたか?」といった質問を投げかけ、顧客の本音を引き出します。沈黙を恐れず、顧客が考える時間を与えることも大切です。
テストクロージングは案内の途中から実施します。「もしこの物件に決めるとしたら、いつ頃の入居を希望されますか?」といった仮定の質問で、顧客の購入意欲を測りましょう。反応が良ければ、そのまま申込へと誘導できます。逆に迷っている様子なら、不安要素を丁寧に聞き出し、解消する提案を行います。
最終的なクロージングでは、「今決めるべき理由」を明確に伝えることが効果的です。「この条件で出ている物件は少なく、次にいつ出るか分かりません」「他にも検討されている方がいる状況です」といった情報提供で、適度な緊急性を持たせましょう。
ただし強引な押し売りは逆効果です。
あくまで顧客の意思決定をサポートする姿勢を保ち、背中を押してあげる程度の距離感を心がけます。
顧客の潜在的ニーズを引き出すヒアリング術について、こちらで実践的な手法が紹介されています(LIFULL HOME’S Business)
案内可能物件で報酬を確実に得る実務
案内可能とされる物件を顧客に紹介し、無事に成約へと導いても、報酬を確実に得られるとは限りません。特に元付業者と客付業者が異なる共同仲介の場合、報酬配分や契約書類の作成責任など、事前に確認すべき事項が多数存在します。
元付業者との最初のコンタクト時に、必ず報酬配分を確認しましょう。賃貸物件の場合、マイソク(物件資料)に「元付0%・客付100%」「元付50%・客付50%(分かれ)」などと記載されていることが一般的です。売買物件でも、元付業者が両手仲介を狙っているのか、片手での協力姿勢があるのかを見極める必要があります。この確認を怠ると、成約後に「報酬は支払えない」と言われるトラブルに発展するリスクがあります。
重要事項説明書と契約書の作成は、通常は元付業者が行います。しかし客付業者にも説明義務があるため、書類の内容を事前に確認し、不備や誤りがないかチェックすることが重要です。特に告知事項(過去の事故や周辺環境のリスクなど)の記載漏れは、後日のクレームや損害賠償請求につながる可能性があります。
確認不足は自社のリスクです。
契約締結前には、顧客の購入意思と資金調達の目処を確実に固めておきましょう。住宅ローンの事前審査を通過していない状態で申込を進めると、審査が通らず契約が白紙になるケースがあります。金融機関との連携を密にし、審査に必要な書類を事前に準備しておくことで、スムーズな契約進行が可能になります。
他社が紹介した物件を後から自社経由で契約させる「抜き行為」は、不動産業界の重大なタブーです。たとえ顧客から「別の会社で見た物件だが、あなたの会社で契約したい」と依頼されても、最初に紹介した業者の権利を尊重すべきでしょう。この原則を守ることで、業界内での信頼関係を維持できます。
報酬を得られなかった場合の対応も考えておく必要があります。物件紹介や案内にかかった時間と経費は、基本的に成約しなければ回収できません。このリスクを最小化するため、顧客の本気度を見極めるヒアリングと、成約可能性の高い物件の厳選提案が求められます。無駄な案内を減らし、効率的に成約へと導くスキルを磨きましょう。
元付業者との良好な関係構築は、長期的な報酬確保にもつながります。迅速な対応、正確な情報伝達、顧客管理の徹底など、客付業者として信頼される行動を積み重ねることで、優先的に案内できる物件が増え、報酬機会も拡大していきます。
案内可能物件の独自視点:デジタルツール活用術
案内可能な物件情報の管理と顧客への提案を効率化するため、デジタルツールの活用が急速に広がっています。従来の紙ベースやエクセル管理から脱却することで、成約率の向上と業務時間の短縮が同時に実現できます。
顧客管理システム(CRM)と連動した物件マッチング機能を使えば、ヒアリング情報をもとに自動的に適合物件を抽出できます。新着物件が登録された瞬間に、条件に合う顧客へ自動通知する仕組みも構築可能です。これにより、競合他社に先駆けて顧客にアプローチでき、成約機会を逃しません。
タイミングが命です。
バーチャル内見ツールの活用も効果的です。360度カメラで撮影した物件映像を顧客に事前共有することで、遠方の顧客や忙しい顧客でも効率的に物件を検討できます。実際の内見前にある程度の絞り込みができるため、無駄な案内が減り、成約率が高まります。コロナ禍以降、この手法は急速に普及しました。
レインズの取引状況を定期的にチェックするアラート機能を設定しておくことも重要です。気になる物件のステータスが変更された際に通知を受け取れるため、囲い込みの兆候を早期に察知できます。ステータスが「申込あり」に変わったのに売主への確認がされていない場合、すぐに元付業者へ問い合わせることで、不当な案内拒否を防げる可能性があります。
スマートフォンアプリを使った案内準備も効率化できます。Googleマップのマイマップ機能で、物件周辺の施設情報をあらかじめ登録しておけば、案内中に顧客からの質問へ即座に対応できます。駅からのルート、スーパー、病院、学校などを視覚的に示すことで、顧客の理解度と満足度が向上します。
チャットツールでの元付業者とのコミュニケーションも一般化しています。電話での問い合わせは相手の時間を奪うため敬遠されがちですが、チャットなら気軽に確認できます。案内日程の調整、鍵の受け渡し、細かな質問など、スピーディーなやり取りが可能になり、顧客を待たせる時間が削減されます。
レスポンスの速さは信頼につながります。
デジタルツールを導入する際は、費用対効果を慎重に検討しましょう。高額なシステムを導入しても使いこなせなければ意味がありません。まずは無料ツールや低価格のアプリから試し、自社の業務フローに合ったものを選定することをおすすめします。

NRONGU 立て看板 案内板 A4 スタンドボード 高さ調節可能 360度回転 伸縮式ポール 店舗用看板 会社の情報板 メニュースタンド 一個装 (ブラック, A4)
