地積更正登記費用相場と測量込総額

地積更正登記費用と相場

面積が増える更正なら固定資産税も翌年から増税されます。

この記事の要点
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地積更正登記の費用総額

登記申請報酬6万円~10万円と境界確定測量費35万円~70万円を合計した41万円~80万円が一般的な相場です

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費用変動の主要因

隣接地の筆数、土地の面積、地域区分(市街地・農村部・山林)、官民査定の有無により費用は大きく変動します

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意外な注意点

面積が増加する更正では固定資産税が上がるリスクや、分筆との同時申請で許容誤差基準が変わる点に要注意です

地積更正登記の費用相場と内訳構造

 

地積更正登記の費用相場は、全国平均で約40万円から80万円程度になります。日本土地家屋調査士会連合会の2022年度アンケートによると、登記申請の報酬部分だけで平均39万316円という結果が出ています。この金額は境界確定測量を含む総額を指しているため、登記申請のみの報酬は6万円から10万円程度です。

つまり総額の構成は明確です。

費用の内訳を見ると、登録免許税は非課税になっています。表題部の登記である地積更正登記には登録免許税がかからない仕組みです。一方で権利部の登記である所有権移転登記などは、固定資産評価額に税率をかけた登録免許税が必要になります。この違いを理解しておくことで、顧客への説明がスムーズになります。

土地家屋調査士への報酬は、登記申請業務だけなら一筆あたり6万円から10万円が相場です。しかし地積更正登記は境界確定測量とセットで行うのが原則になるため、測量費用が別途35万円から70万円程度かかります。測量費用は土地の面積、隣接地の筆数、地域の特性によって変動幅が大きくなります。

市街地の100平方メートル程度の土地で隣接地が5筆から6筆の標準的なケースでは、境界確定測量費が35万円から45万円、登記申請報酬が6万円から8万円で、合計41万円から53万円程度が目安です。これが東京23区内や大阪市内などの都心部になると、地価が高く境界確認に時間がかかるため、総額で50万円から80万円程度まで上昇することがあります。

農村部や山林では面積が広くなる傾向があり、測量に要する日数も増えます。500平方メートルを超える土地では、測量だけで60万円から100万円以上かかるケースも珍しくありません。官民境界が未確定の場合は、道路との境界確定に別途20万円から40万円の官民査定費用が加算されます。

地積更正登記の隣接地筆数による費用変動

隣接地の筆数は費用を大きく左右する要素です。境界確認は隣接するすべての土地所有者と現地で立ち会い、境界点を確認する作業が必要になります。隣接地が1筆増えるごとに、立ち会い調整の手間と確認作業が増えるため、報酬も2万円から5万円程度加算されるのが一般的です。

標準的な宅地は4方向を道路や隣地に囲まれており、隣接地は平均5筆から6筆程度になります。ところが角地や旗竿地、区画整理前の複雑な地形では、隣接地が10筆を超えることもあります。隣接地が10筆以上になると、立ち会い日程の調整だけで数週間から数カ月かかり、測量費用も70万円から100万円以上に膨れ上がります。

費用が跳ね上がりますね。

不動産業従事者として注意すべきなのは、隣接地の所有者が行方不明や相続未登記の場合です。こうした場合は筆界特定制度や裁判所の境界確定訴訟を利用する必要があり、別途30万円から100万円以上の費用と半年から数年の期間がかかります。売買契約前に登記簿を確認し、隣接地の所有者情報を事前にチェックしておくことで、思わぬトラブルを防げます。

境界確認には隣接地所有者全員の同意を得た「筆界確認書」が必要です。一人でも反対する所有者がいれば、地積更正登記は完了しません。このリスクを顧客に事前説明しておかないと、契約後に「話が違う」というクレームにつながります。

日本土地家屋調査士会連合会の報酬ガイドでは、地域別・条件別の詳細な報酬データが公開されています。見積もりの妥当性を判断する際の参考資料として活用できます。

地積更正登記の地域区分と測量精度基準

地積更正登記の測量精度は地域区分によって異なる基準が設けられています。不動産登記規則では、市街地、村落・農耕地、山林・原野の3つに大別され、それぞれ2段階の精度区分があるため、全部で6段階の精度基準が存在します。この精度区分が許容誤差範囲を決定し、測量方法や費用に直接影響します。

市街地で100平方メートルの土地の場合、許容される誤差範囲はプラスマイナス0.81平方メートル程度です。

これは約1メートル四方の面積に相当します。

一方で山林地域では同じ100平方メートルの土地でも、プラスマイナス9.42平方メートルまで許容されます。東京ドームのグラウンド面積が約13,000平方メートルですから、100平方メートルはその約130分の1、畳約60枚分の広さです。

精度基準が厳しいですね。

市街地では高精度の測量が求められるため、GPS測量機やトータルステーションなどの高額な機材を使用し、基準点からの結合トラバース測量を実施します。この測量方法では近傍の基準点4点を使用し、多角点2点を新設する作業が標準的です。測量に要する日数は天候や現地状況にもよりますが、3日から7日程度かかります。

農村部では市街地ほど厳密な精度は求められませんが、農地法による転用許可や相続税の納税猶予制度との関連で、正確な面積把握が重要になります。山林では地形が複雑で境界標が不明確なケースが多く、測量範囲が広大になるため、日数と費用が大幅に増加します。傾斜地では平面距離と実際の地表距離の補正計算も必要です。

地域区分は法務局が管理する地図や公図の種類とも連動しています。法14条地図が整備されている地域では過去の測量データを活用できるため、費用を抑えられる可能性があります。逆に公図しかない地域では、隣接地との位置関係を一から調査する必要があり、測量費用が1.5倍から2倍に膨れ上がることもあります。

地積更正登記で固定資産税が変わる仕組み

地積更正登記を行うと固定資産税に影響が出る可能性があります。登記簿面積が実測面積より小さい「縄伸び」の場合、地積更正によって面積が増えるため、固定資産評価額が上昇し、翌年度から固定資産税が増額されます。逆に登記簿面積が実測より大きい「縄縮み」なら、面積が減少して固定資産税も下がります。

固定資産税は毎年1月1日時点の登記情報をもとに課税されます。地積更正登記を完了した時期によって、税額変更の適用タイミングが変わってくる点に注意が必要です。たとえば2月に地積更正登記が完了した場合、翌年1月1日の課税基準日に反映されるため、その年の4月から新しい税額が適用されます。

数字で見ると影響は明確です。東京都心の住宅地で1平方メートルあたりの固定資産税評価額が30万円の土地があったとします。登記面積100平方メートルが実測で105平方メートルに増えた場合、5平方メートル×30万円=150万円分の評価額が増加します。固定資産税の標準税率1.4パーセントを適用すると、年間2万1,000円の増税になります。

売買や融資の際に地積更正登記が必須になるケースでは、面積増加による固定資産税の上昇リスクを買主に事前説明しておくべきです。重要事項説明書に記載し、将来の税負担増加について合意を得ておかないと、後日のクレームにつながります。特に相続物件や長期保有物件では、昭和時代の測量データをもとにした登記が残っており、実測との乖離が10パーセント以上になることも珍しくありません。

面積が減る縄縮みの場合は、過去に納めすぎた固定資産税の還付を受けられる可能性があります。自治体によって対応は異なりますが、地方税法の規定により過去5年分まで遡って還付請求できるケースがあります。還付額が数十万円になることもあるため、売主にとっては地積更正登記のメリットとして説明できます。

地積更正登記と分筆登記の同時申請パターン

地積更正登記と分筆登記を同時に申請するケースは実務上頻繁に発生します。土地を複数に分割する分筆登記を申請する際、登記簿上の地積と実測面積の誤差が許容範囲を超えている場合、地積更正登記を併せて行うことが不動産登記法で義務付けられているためです。この同時申請では費用と手続きの流れを正確に理解しておく必要があります。

分筆登記の費用相場は境界確定測量費35万円から70万円に加えて、登記申請報酬が5万円から12万円程度です。地積更正登記を同時に行う場合、登記申請報酬は別々に申請するより割安になり、追加で3万円から5万円程度の加算で済むことが多くなっています。測量作業は共通のため、測量費用の追加負担はほとんど発生しません。

総額は抑えられますね。

許容誤差の基準は地域区分によって決まります。市街地の100平方メートルの土地で誤差がプラスマイナス0.81平方メートル以内なら、地積更正なしで分筆登記のみを申請できます。しかし実務では測量の結果、この範囲を超えるケースが多く、結果的に地積更正と分筆の同時申請になります。

登録免許税は分筆登記の場合のみ必要で、分筆後の土地1筆につき1,000円です。たとえば1筆の土地を3筆に分筆する場合、3,000円の登録免許税がかかります。地積更正登記には登録免許税がかからないため、同時申請でも分筆登記分の登録免許税だけを納付します。

相続により土地を兄弟で分割するケースでは、分筆登記が必須になります。このとき地積更正も必要になれば、総額で50万円から100万円の費用を相続人全員で負担することになります。費用負担の割合について相続人間で事前に合意しておかないと、後日の紛争原因になります。不動産業従事者としては、相続案件では分筆と地積更正の両方が必要になる可能性を早期に説明し、費用負担の調整をサポートする姿勢が求められます。

法務省の分筆・地積更正登記の案内ページでは、隣接地所有者が不明な場合の対応方法など、実務上の注意点が詳しく解説されています。

地積更正登記費用を抑える実践的な方法

地積更正登記の費用を抑えるには、事前準備と業者選定が重要になります。まず過去の測量データや境界確認資料が残っていないか徹底的に探すことです。法務局に保管されている地積測量図、自治体の道路台帳、過去の売買契約書に添付された測量図など、既存資料を最大限活用すれば、測量範囲を縮小でき、費用を20パーセントから30パーセント削減できることがあります。

隣接地との境界が既に確定している場合、その部分の測量を省略できます。たとえば道路境界が官民境界確認書で確定済みなら、官民査定費用20万円から40万円をカットできます。隣地との境界も過去に筆界確認書を交わしていれば、再度の立ち会いなしで測量図を作成できる場合があります。

費用が大幅に下がります。

土地家屋調査士の報酬は事務所によって1.5倍から2倍の開きがあります。複数の土地家屋調査士から見積もりを取り、報酬額の内訳を比較することが費用削減の基本です。ただし安すぎる見積もりには注意が必要で、後から追加費用を請求されるケースや、測量精度が不十分で法務局の審査に通らないケースもあります。

地積更正登記は登録免許税が非課税ですが、測量に必要な境界杭の設置費用は実費負担になります。境界杭の種類によって費用が変わり、プラスチック杭なら1本1,000円から3,000円、コンクリート杭は3,000円から8,000円、石柱は1万円から3万円程度です。永続性を考えればコンクリート杭以上が推奨されますが、予算に応じて選択できます。

売買を前提とした地積更正では、売主と買主のどちらが費用を負担するか契約で決めます。実測売買の特約を付ける場合、地積更正登記の費用を売買代金に含めるか、別途精算するかを明確にしておくべきです。買主が融資を利用する場合、金融機関が地積更正登記を融資条件にすることがあり、この場合の費用負担について事前調整が不可欠です。

自分で登記申請する選択肢もありますが、地積更正登記では境界確定測量が必須のため、測量部分だけを土地家屋調査士に依頼し、登記申請書類の作成と提出を自分で行う方法があります。ただし法務局での補正対応や、申請書類の専門知識が必要なため、不動産業従事者であっても難易度は高くなります。登記申請報酬6万円から10万円を節約できますが、時間と手間を考慮すると、プロに一任するほうが確実です。


Q&A 表示に関する登記の実務 2