都市ガス物件メリット料金供給エリア比較

都市ガス物件の特徴と不動産業への影響

都市ガスエリアでも物件が対象外なら引込工事に100万円以上かかります。

この記事のポイント3つ
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料金差が入居率に直結

都市ガス物件は月額3,000〜5,000円安く、入居率が約30%高い傾向にあります

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引込工事費用の落とし穴

本管延長が必要な場合、工事費が数百万円に膨らむケースも存在します

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設備維持費の違い

都市ガスは設備故障時の修理費がオーナー負担、プロパンは無償貸与が可能です

都市ガスとプロパンガスの料金差が賃貸経営に与える影響

 

不動産業に従事していると、入居者から「都市ガス物件がいい」という声を頻繁に耳にするはずです。この要望の背景には、月々のガス料金に大きな差があります。

一般財団法人日本エネルギー経済研究所の調査によると、月10㎥使用時の料金比較では都市ガスが約2,500円に対し、プロパンガスは約9,000円となっています。つまり月額で6,500円、年間で78,000円もの差が生まれるわけです。これは一人暮らしの場合でも月額3,000〜5,000円の差になります。

この料金差は入居率に直結します。札幌市内の不動産仲介業者によると、都市ガス物件の入居率はプロパンガス物件と比べて約30%程度高いというデータがあります。家賃が多少高くても、都市ガスしか選ばないという入居希望者が増えているのが現状です。

さらに注目すべきは賃料設定への影響です。スタイルアクト式会社の調査では、新築アパートの1LDK(40㎡)における坪単価が都市ガス物件で8,843円、電化物件より20.7%高く設定できるという結果が出ています。つまり月額換算で約1,500円の賃料差をつけられるということですね。

入居者目線で考えると、ガス料金が安い分、家賃が少し高くても総支出が抑えられるという判断になります。結果的に都市ガス物件は空室期間が短く、安定した家賃収入を確保できる傾向にあります。

日本経済新聞の記事では、札幌の賃貸市場における都市ガス物件の優位性について詳しく報じられています。

都市ガス供給エリアの確認方法と引込工事の実態

物件が都市ガス供給エリア内にあるかどうかの確認は、賃貸経営の初期段階で必須の作業です。しかし「供給エリア内」という言葉には注意が必要です。

都市ガス会社の供給エリアマップで対象地域と表示されていても、実際には前面道路にガス本管が通っていないケースがあります。一般社団法人日本ガス協会のウェブサイトでは、全国200事業者の供給エリアを検索できますが、あくまで「理論上供給可能なエリア」を示しているに過ぎません。

確実な確認方法は、管轄の都市ガス会社に直接問い合わせて現地調査を依頼することです。東京ガス、大阪ガス、東邦ガスなど大手事業者は、物件所在地の詳細な供給状況を無料で調査してくれます。

引込工事の費用相場は、前面道路のガス本管から物件までの距離で大きく変動します。標準的なケースでは10万〜20万円程度で済みますが、これはガス導管1mあたり1〜2万円という計算に基づいています。問題は本管が前面道路まで来ていない場合です。

本管延長工事が必要になると、工事費総額からガス会社の負担額を差し引いた金額を物件オーナーが負担することになります。この負担額が100万円を超えるケースも珍しくありません。特に郊外の新規開発地域や、ガス本管から50m以上離れた物件では注意が必要ですね。

さらに複雑なのは、本管設置工事における事業者の負担基準です。東京ガスや東邦ガスは「工事負担金制度」を設けており、ガスメーターの能力別に当社負担額を算出します。しかしこの基準は事業者ごとに異なるため、複数社から見積もりを取ることが重要です。

日本ガス協会のガス事業者検索ページで、物件所在地を管轄する事業者を調べられます。

都市ガス物件の設備維持コストとオーナー負担の実態

都市ガス物件とプロパンガス物件では、設備の維持管理における費用負担の構造が根本的に異なります。この違いを理解していないと、長期的な収支計画に大きな誤算が生じます。

都市ガス物件の場合、給湯器やガスコンロなどの設備はすべてオーナーが購入・設置し、故障時の修理や交換費用もオーナーが負担します。給湯器の交換費用は10万〜30万円、ガスコンロは3万〜10万円が相場です。さらに配管の老朽化による修繕も自己負担となります。

一方プロパンガス物件では、業界独自の「無償貸与契約」という仕組みがあります。ガス会社が給湯器、ガスコンロ、配管工事、さらにはエアコンやインターホンまで無償で設置・交換してくれる契約形態です。ただし2024年7月の法改正により、この無償貸与スキームが段階的に規制されています。

経済産業省の方針では、ガス供給とは関係のない設備費用をガス料金に上乗せすることが禁止されました。つまり従来のように「エアコンをつけるからうちのガスを使ってください」という営業手法ができなくなったわけです。

それでも既存契約については経過措置があり、契約期間中は従来の無償貸与が継続されるケースもあります。プロパンガス会社は10〜15年の最低契約期間を設定し、その間の設備交換を無償で行うため、オーナーにとっては設備維持費が大幅に削減できます。

都市ガス物件のメリットは入居率向上ですが、デメリットは設備投資と維持費の自己負担です。1棟10戸のアパートで給湯器を一斉交換すると、100万〜300万円の出費になります。プロパンガス物件では、適正料金のガス会社と契約すれば、入居者のガス代を抑えつつ、オーナーの設備負担もゼロにできる可能性があります。

プロパンガス料金消費者協会の記事では、設備無償サービスの詳細が解説されています。

都市ガスの成分・熱量と供給方式の基礎知識

不動産業務で意外と見落とされがちなのが、都市ガスの種類と性質の違いです。入居者からの問い合わせに正確に答えられると、プロとしての信頼度が格段に上がります。

日本国内で供給されている都市ガスは、7グループ13種類に分類されています。現在の主流は「13A」というガスグループで、東京ガス、大阪ガス、東邦ガス、西部ガスなど大手事業者が供給しています。一部地域では「12A」も使用されていますが、全国的に13Aへの移行が進んでいます。

13Aの発熱量は1㎥あたり約45MJ(メガジュール)、これは約10,750kcalに相当します。一方プロパンガスの発熱量は1㎥あたり約100.5MJ、つまり都市ガスの約2.2倍の発熱量を持ちます。そのため同じ火力を得るために必要なガスの量が異なるわけです。

都市ガスの原料は約9割が液化天然ガス(LNG)で、主成分はメタンです。マイナス162℃まで冷却して液化した状態で海外から輸入され、国内の基地で気化して供給されます。一部地域では国産天然ガスや液化石油ガス(LPG)を混合して熱量調整を行っています。

供給方式の特徴は、地中に埋設された導管網を通じて各家庭に届けられる点です。この導管は公道の下約1.2m以深に設置され、圧力を調整する整圧器を経由して各戸に供給されます。そのため震災などで導管が破損すると、復旧に時間がかかるというデメリットがあります。

興味深いのは、都市ガスには本来「無味無臭」という特性があることです。ガス漏れに気づけるよう、わざと「付臭剤」という化学物質を混ぜて、あの独特な臭いをつけています。

これは安全対策の一環ですね。

ガス機器を選ぶ際には、必ず「13A用」や「12A用」など、供給されているガスの種類に合ったものを選ぶ必要があります。間違った機器を設置すると、不完全燃焼や一酸化炭素中毒の危険があるため、入居者への説明時には必ず確認しましょう。

東京ガスネットワークの公式ページで、都市ガスの種類と性状について詳細が確認できます。

都市ガス切替時の注意点と競争力を高める独自戦略

プロパンガスから都市ガスへの切替、あるいは新規に都市ガスを導入する際には、表面的な費用以外にも多くの検討事項があります。不動産業として物件オーナーにアドバイスする立場なら、総合的な視点が必要です。

まず見落としがちなのが、既存のガス機器の互換性問題です。プロパンガス用の給湯器やガスコンロは、都市ガスでは使えません。部品交換で対応できるケースもありますが、多くの場合は機器の買い替えが必要になります。1戸あたり15万〜40万円の追加コストが発生する計算です。

さらに、プロパンガスから切り替える場合は「違約金」の問題があります。プロパンガス会社との契約に無償貸与契約が含まれていた場合、残存期間に応じて違約金が請求されます。10年契約で残り5年の場合、設備費用の半額程度を一括で支払う必要があるケースもあります。

都市ガス会社を選ぶ際のポイントは、2017年4月のガス小売全面自由化により複数社から選べるようになったことです。従来は地域ごとに独占供給でしたが、現在は東京電力や関西電力などの電力会社もガス事業に参入しています。料金プランやセット割引を比較することで、年間数千円から数万円のコスト削減が可能です。

独自の競争力を高める戦略として、都市ガスエリア外の物件では「エコジョーズ」などの高効率給湯器を導入する方法があります。プロパンガスでも燃焼効率を高めることで、従来型より約15%のガス使用量削減が可能です。初期費用は通常型より5万〜8万円高くなりますが、入居者の月々のガス代を抑えられるため、募集時のアピールポイントになります。

もう一つの戦略は、適正価格のプロパンガス会社への切替です。プロパンガス料金消費者協会などの第三者機関を通じて契約すると、不当な値上げを防ぐ「ガス料金見守り保証」が付帯します。これにより入居者のガス代を都市ガス並みに抑えつつ、オーナーは設備無償サービスを受けられる可能性があります。

電気とガスのセット契約も検討価値があります。大手都市ガス会社は電気事業にも参入しており、セット割引で月額数百円の削減が可能です。入居者にとって光熱費全体が抑えられることは、物件選択の重要な判断材料になります。

最後に、都市ガス導入を検討する際は「費用対効果の試算」が不可欠です。引込工事費100万円をかけた場合、入居率向上による増収と空室期間短縮効果で何年で回収できるか計算しましょう。一般的には5〜7年程度で回収できるケースが多いですが、立地や競合物件の状況によって大きく変わります。

プロパンガス料金消費者協会の料金比較ページでは、都市ガスとプロパンガスの詳細な料金比較が確認できます。

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