土砂災害警戒区域イエローゾーン建築制限
イエローゾーンでも市街化調整区域なら原則建築不可です。
土砂災害警戒区域イエローゾーンの指定基準と範囲
土砂災害警戒区域(イエローゾーン)の指定基準は、法律で明確に定められています。急傾斜地の崩壊については、傾斜度が30度以上で高さが5メートル以上の区域が対象です。さらに、急傾斜地の上端から水平距離が10メートル以内の区域、下端から急傾斜地の高さの2倍(50メートルを超える場合は50メートル)以内の区域も含まれます。
土石流については、発生のおそれがある渓流において、扇頂部から下流で勾配が2度以上の区域が指定対象となります。土石流は傾斜が緩やかになっても流れ続ける特性があるため、平地に近い場所でも警戒区域に指定されるケースがあります。
つまり傾斜地だけが対象ではないということです。
地すべりについては、地すべり区域およびその周辺で、地すべりによる被害を受けるおそれがある区域が指定されます。これらの基準は、過去の土砂災害による土砂の到達範囲などを勘案して設定されているため、科学的根拠に基づいたものです。
指定基準を理解しておくことは、不動産業務において極めて重要です。なぜなら、基礎調査予定箇所として公表されている土地でも、現地調査の結果、指定基準を満たさず区域指定されないケースがあるためです。顧客に正確な情報を提供するには、単に地図を見るだけでなく、実際の傾斜度や高さなどの具体的な数値を確認する必要があります。
土砂災害警戒区域イエローゾーンにおける建築制限の実態
土砂災害警戒区域(イエローゾーン)では、建築基準法による特別な構造規制は設けられていません。
通常の建築手続きに従って建築が可能です。
これは国土交通省の公式見解でも明確にされており、一般的な住宅や店舗、事務所などを自由に建てることができます。
ただし、市街化調整区域内のイエローゾーンには大きな落とし穴があります。令和4年(2022年)4月1日に施行された改正都市計画法により、市街化調整区域内の既存集落において、計画敷地に災害危険区域等を含む場合、原則として建築許可が下りなくなりました。これまで建築制限が特になかったイエローゾーンが建築不可になったということです。
宮崎市の例では、市街化調整区域内で「安全上及び避難上の対策」を講じる建築計画の場合は、例外的に建築許可の対象としています。しかし、令和6年12月からは土砂災害防止法第7条によるイエローゾーン(土砂災害警戒区域)を除き、建築物を建築できないことになりました。
つまり例外規定が厳格化されているのです。
市街化区域内のイエローゾーンであれば問題ありませんが、市街化調整区域かどうかを確認することが、顧客トラブル回避の第一歩です。都市計画法と土砂災害防止法の両方を理解しておく必要があります。
宮崎市の市街化調整区域内の災害危険区域等における建築制限に関する情報
土砂災害警戒区域イエローゾーンにおける重要事項説明義務
不動産会社は、土地や建物が土砂災害警戒区域内にある場合、契約前に買主へ重要事項説明書を交付し、口頭で説明しなければなりません。これは宅地建物取引業法および土砂災害防止法で義務付けられており、違反すれば業務停止などの行政処分を受ける可能性があります。
重要事項説明書には、「対象不動産は土砂災害警戒区域内に存します」という旨を明記し、「急傾斜地の崩壊等が発生したとき、住民等の生命または身体に危害が生ずるおそれがあると認められる区域です」といった説明を加えます。単に区域内であることを伝えるだけでなく、どのようなリスクがあるのかを具体的に説明することが求められます。
説明義務を怠った場合、契約後に買主から損害賠償請求を受けるリスクがあります。実際に、重要事項説明で土砂災害警戒区域であることを告知しなかったために、訴訟に発展したケースも報告されています。顧客からの信頼を失うだけでなく、金銭的な損失も大きくなります。
重要事項説明では、ハザードマップを提示することも有効です。視覚的に災害リスクを理解してもらうことで、後々のトラブルを防ぐことができます。説明した内容は必ず記録に残し、買主の署名捺印を得ておくことが重要です。
不動産の重要事項説明書における土砂災害防止対策推進法の詳細解説
土砂災害警戒区域イエローゾーンと補助金・減税制度
土砂災害警戒区域(イエローゾーン)内の新築住宅は、現時点では住宅ローン減税の対象となります。2026年(令和10年)以降、住宅ローン減税の対象外となるのは土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)の新築住宅のみです。イエローゾーンは引き続き減税を受けられます。
ただし、住宅関連の補助金制度では、イエローゾーンでも対象外となるケースがあります。子育てグリーン住宅支援事業などの一部の補助金では、災害リスクの高い区域を除外しているためです。補助金ごとに立地要件が異なるため、申請前に必ず確認する必要があります。
レッドゾーン内の新築住宅は、2026年以降、住宅ローン減税の対象外となります。これは最大で数百万円規模の減税メリットを失うことを意味します。顧客が土地購入を検討している場合、イエローゾーンかレッドゾーンかの違いを明確に説明し、将来的な経済的影響を伝えることが重要です。
現在の住宅関連の補助金制度では、災害レッドゾーンの一部は対象外となっています。固定資産税の減額措置でも、一部の危険地域は除外されています。つまり規制は年々厳しくなる傾向にあるということです。
2026年以降のレッドゾーンにおける住宅ローン減税対象外に関する詳細情報
土砂災害警戒区域イエローゾーンの価格相場と資産価値への影響
土砂災害警戒区域(イエローゾーン)に指定された土地の価格は、指定前と比較して下落する傾向にあります。相場としては、周辺の非指定区域の土地と比べて10%から30%程度低くなるケースが多いとされています。ただし、立地条件や利便性が高ければ、価格低下が限定的な場合もあります。
土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)になると、価格への影響はさらに大きくなります。相場の7割程度、つまり30%程度の価格低下が一般的です。建築制限が厳しく、住宅ローン減税も受けられないため、買い手が限られるためです。
イエローゾーン内の不動産を売却する場合、買取業者に依頼すると即座に現金化できますが、価格は市場相場よりも低くなります。一般の買主を探す場合は、災害リスクを十分に説明した上で、価格面でのメリットを訴求する戦略が必要です。災害保険の加入や防災対策の実施状況を説明することで、買主の不安を軽減できます。
資産価値の低下を防ぐには、擁壁の設置や排水設備の整備など、具体的な安全対策を実施することが有効です。ただし、安全な擁壁を設置しても、特別警戒区域の指定が解除されない限り、建築制限は継続します。対策を講じた証拠を残しておくことが重要です。
土砂災害警戒区域レッドゾーンとの違いと顧客対応のポイント
土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)は、イエローゾーンのうち、建築物に損壊が生じ、住民の生命または身体に著しい危害が生じるおそれがある区域です。レッドゾーン内で居室を有する建築物を建てる場合、建築基準法施行令第80条の3に基づく構造規制を受けます。
具体的には、外壁や構造耐力上主要な部分を鉄筋コンクリート造とする必要があります。鉄筋コンクリート造に使用するコンクリートの設計基準強度は、1平方ミリメートルにつき18ニュートン以上であることが求められます。外壁の厚さは15センチメートル以上必要です。
これらの構造規制により、木造住宅を建てることは事実上困難になります。建築コストも大幅に増加するため、レッドゾーン内での新築は経済的にも現実的でないケースが多いです。顧客には、建築可能だが実質的に制約が大きいことを正直に伝える必要があります。
顧客対応では、イエローゾーンとレッドゾーンの違いを視覚的に説明することが効果的です。ハザードマップを使い、黄色と赤色の区域の違い、それぞれの制限内容を表にまとめて提示することで、理解を深めてもらえます。
曖昧な説明は後々のトラブルにつながります。