昭和56年基準と耐震判定
昭和58年2月築なのに旧耐震です。
昭和56年基準の建築確認日が判定の分かれ目になる理由
不動産業界では「昭和56年6月以降の建物なら新耐震」という認識が広まっていますが、実はこの判断には重大な誤解が潜んでいます。新耐震基準と旧耐震基準を分ける境目は、建物が完成した竣工日ではなく、建築確認申請が受理された日付です。この違いを理解していないと、取引後に深刻なトラブルを招く可能性があります。
建築基準法の改正により、1981年(昭和56年)6月1日以降に建築確認を受けた建物には新耐震基準が適用されます。つまり厳密には昭和56年5月31日以前に建築確認が受理されていれば旧耐震基準、6月1日以降であれば新耐震基準ということです。
建物の登記簿謄本や不動産広告に記載されている「新築年月日」や「築年月」は、あくまで建物が完成した日付を示しています。建築確認から竣工までには工事期間が必要で、戸建住宅でも数ヶ月、マンションのような大規模建物では最低でも1年以上のタイムラグが発生します。したがって、昭和58年2月築のマンションであっても、建築確認が昭和56年5月に行われていれば旧耐震基準で建てられているということです。
実際の事例として、広告に昭和58年2月築と記載されていたマンションの建築確認台帳記載事項証明書を取得したところ、建築確認日が昭和56年4月であったため旧耐震基準だと判明したケースがあります。竣工年月日を見ただけでは新耐震だと思い込んでしまい、買主に誤った情報を伝えてしまうリスクが非常に高いのです。
特に注意が必要なのは昭和56年から昭和58年頃に竣工した物件です。この時期は新旧耐震基準のちょうど境目にあたるため、建築確認日を正確に確認しなければ判定できません。判定には建築確認済証、建築確認台帳記載事項証明書、または建築計画概要書などの公的書類が必要となります。これらの書類は物件所在地の市区町村役所、または大規模建築物の場合は都道府県庁で取得可能です。
国土交通省の住宅・建築物の耐震化についてのページでは、昭和56年以前の建物の耐震診断・耐震改修に関する詳細情報が掲載されています。
昭和56年基準と住宅ローン融資審査の関係
旧耐震基準の物件は、買主が住宅ローンを組む際に大きな障壁となります。金融機関は物件の担保価値を評価する際、旧耐震基準の建物には厳しい目を向けており、融資審査が通らない、または融資額が大幅に減額されるケースが頻発しています。
住宅ローン控除の適用条件として、国税庁は「昭和57年(1982年)以降に建築された住宅」または「現行の耐震基準に適合していること」を求めています。つまり昭和56年12月31日以前に建築された住宅の場合、耐震基準適合証明書などの追加書類を提出しなければ住宅ローン控除を受けられません。この控除が使えないことで、買主は10年間で数百万円規模の税制優遇を失うことになります。
金融機関の融資姿勢も厳格化しています。旧耐震基準のマンションや戸建ては、将来の資産価値低下リスクが高いと判断され、担保評価額が新耐震物件と比べて大幅に低く設定されます。その結果、希望する融資額を借りられず、自己資金を大幅に増やさなければ購入できない状況に陥ります。最悪の場合、融資審査自体が否決され、買主が購入を断念せざるを得ないケースも珍しくありません。
鉄筋コンクリート造の法定耐用年数は47年とされており、築50年を超える物件では建物価値がゼロ円と評価されることが多いです。土地の価値だけで融資判断されるため、都市部以外の物件では融資が極めて困難になります。
不動産業従事者として、買主の資金計画に大きな影響を与える可能性があるため、物件紹介の初期段階で耐震基準を正確に伝えておく必要があります。
建築確認日の確認が取引成立の前提条件です。
旧耐震物件の融資問題を事前に把握していれば、買主に対して耐震基準適合証明書の取得を提案する、またはフラット35のような比較的審査基準が異なる住宅ローン商品を案内するといった対応が可能になります。情報提供の遅れが契約解除や損害賠償請求につながるリスクを考えれば、建築確認日の確認作業は必須です。
昭和56年5月31日以前の建物と重要事項説明義務
宅地建物取引業法では、昭和56年5月31日以前に建築確認を受けた建物について、耐震診断の有無とその内容を重要事項説明書に記載し、買主または借主に説明することを義務付けています。この説明義務を怠ると、宅建業法違反となり行政処分の対象になります。
重要事項説明における耐震診断の説明義務は、昭和56年6月1日以降に建築確認を取得した物件には適用されません。しかし境界線上にある物件、つまり昭和56年から昭和58年頃に竣工した建物については、竣工年月日だけでなく建築確認日を必ず確認しなければ、説明義務の有無を判断できないということです。
耐震診断を実施している場合、その診断結果の内容を説明する必要があります。診断結果には地震に対する安全性の評価がⅠ、Ⅱ、Ⅲの3段階で示されており、評価がⅠやⅡの場合でも違法建築物として扱われるわけではありませんが、買主の購入判断に重大な影響を与える情報です。
丁寧に説明が求められます。
耐震診断を実施していない場合でも、「耐震診断は実施されていません」と明確に説明する必要があります。単に記載を省略したり口頭説明を怠ったりすれば、重要事項の説明義務違反として業務停止処分や宅建士証の返納命令などの行政処分を受ける可能性があります。
宅建業者間取引の場合でも、売主業者は取引対象建物が旧耐震基準であれば耐震診断の有無を調査する義務があります。つまり買主が宅建業者であっても、重要事項説明書に耐震診断の情報を記載しなければなりません。業者間取引だからといって手続きを省略できる事項ではないのです。
説明義務違反は罰則の対象です。重要事項説明を怠った場合や虚偽の説明を行った場合、宅建業法47条違反として3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科されることがあります。会社としても業務停止処分を受ければ、営業活動に深刻な影響が出ます。
建築確認日の確認作業を怠り、旧耐震物件を新耐震と誤認して説明義務を果たさなかった場合、買主から損害賠償請求を受けるリスクもあります。契約後に旧耐震だと判明し融資が受けられなくなれば、買主は契約解除や損害賠償を求めてくる可能性が高いです。そうなれば仲介手数料の返還だけでなく、追加の損害賠償金を支払わなければならない事態に発展します。
全日本不動産協会のアスベストや耐震診断の重要事項説明に関するFAQでは、実務上の具体的な取り扱い方法が解説されています。
昭和56年基準と2000年基準の違いを理解する
耐震基準には昭和56年の新耐震基準のほかに、2000年(平成12年)に施行された2000年基準が存在します。特に木造住宅の取引を扱う場合、この2000年基準についても理解しておく必要があります。
2000年基準は、1995年の阪神淡路大震災で新耐震基準の木造住宅にも一定の被害が出たことを受けて制定されました。2000年6月1日以降に建築確認を受けた木造住宅には、接合部の仕様明確化、耐力壁の配置バランス規定、基礎の仕様強化などの詳細な規定が適用されています。
2000年基準では、建物の平面を4分割した上で耐力壁をバランスよく設置する「四分割法によるバランス規定」が導入されました。新耐震基準では床面積あたりに必要な壁量や壁の長さは規定されていましたが、配置バランスまでは求められていませんでした。つまり同じ新耐震基準でも、1981年~2000年に建築確認を受けた木造住宅と、2000年以降に建築確認を受けた木造住宅では耐震性能に差があります。
実際に2016年の熊本地震では、昭和56年6月から平成12年5月までのいわゆる新耐震基準に基づいて建築された木造住宅についても倒壊等の被害が報告されています。2000年基準を満たしている木造住宅の倒壊率が極めて低かったのに対し、1981年~2000年の新耐震木造住宅には一定の被害が見られたのです。
不動産業従事者として木造戸建やアパートを扱う際には、「新耐震だから安全」と安易に説明するのではなく、建築確認日が2000年6月1日より前か後かまで確認することが望ましいです。特に築年数が20年~45年程度の木造住宅は1981年~2000年の間に建築されている可能性が高く、買主から耐震性について質問された場合には2000年基準についても説明できるようにしておくべきです。
2000年基準に適合していない木造住宅でも、耐震診断を実施して現行基準に適合する耐震補強工事を行えば安全性を高めることができます。戸建住宅の場合はマンションと異なり、所有者の判断で耐震補強を実施できるため、買主に対して耐震診断や補強工事の選択肢を提示することで、取引成立につなげられる可能性があります。各自治体では旧耐震基準や2000年基準未満の木造住宅に対して耐震診断費用や耐震改修費用の補助金制度を設けているケースが多いです。
現行の長期優良住宅認定制度では、2025年4月1日以降、木造住宅は壁量計算または許容応力度計算による耐震等級2以上が条件となっています。つまり住宅性能を重視する買主層に対しては、2000年基準適合の有無や耐震等級の情報提供が購入意欲を高める要素になります。
昭和56年基準の調査を効率化する実務手順
不動産取引の現場で建築確認日を効率的に調査するための実務手順を整理しておくことで、取引のスピードアップと正確性の両立が可能になります。
まず物件情報を受け取った時点で、竣工年月日が昭和56年から昭和60年頃の物件については、必ず建築確認日の確認を優先的に行います。この年代の物件は新旧耐震基準の境界線上にあるため、早期確認が必須です。
建築確認日を調べるには、建築確認済証、建築確認台帳記載事項証明書、建築計画概要書のいずれかを取得します。売主が建築確認済証や検査済証を保管していれば、そこに建築確認申請日が記載されているため、最も早く確認できます。書類が見つからない場合は、物件所在地の市区町村役所または都道府県庁の建築指導課などで建築確認台帳記載事項証明書を取得します。手数料は自治体によりますが、通常300円~600円程度です。
建築確認台帳記載事項証明書の取得には、物件の地番または家屋番号が必要です。登記簿謄本を事前に取得しておけば、スムーズに申請できます。窓口での申請のほか、自治体によっては郵送請求やオンライン申請に対応している場合もあります。事前に自治体のホームページで申請方法を確認しておけば、無駄な訪問を避けられます。
大規模なマンションや商業ビルなど、建築確認権限が都道府県にある物件の場合は、市区町村役所では情報が取得できません。建物規模によって管轄が異なるため、不明な場合は市区町村役所に問い合わせて管轄を確認してから証明書を取得する流れになります。
取得した建築確認台帳記載事項証明書には、建築確認番号、確認年月日、工事完了予定年月日などが記載されています。確認年月日が昭和56年6月1日以降であれば新耐震基準、5月31日以前であれば旧耐震基準と判定できます。この情報を物件資料に記録し、重要事項説明書の作成や買主への説明に活用します。
旧耐震基準と判定された場合、次のステップとして耐震診断の実施有無を売主に確認します。耐震診断を実施している場合は診断書のコピーを入手し、診断結果の評価(Ⅰ、Ⅱ、Ⅲのいずれか)を確認します。実施していない場合でも、その旨を重要事項説明書に明記する必要があります。
建築確認日の調査結果は社内でデータベース化しておくことをお勧めします。同じ物件が再度取引対象になった場合や、同じマンションの別の部屋を扱う場合に、過去の調査結果を参照できれば作業効率が大幅に向上します。特にマンションの場合、建築確認日は全住戸共通のため、一度調査すれば同じマンション内の他の部屋にも情報を流用できます。
効率化します。
買主への説明タイミングも重要です。物件案内の初期段階で「こちらの物件は竣工が昭和○年ですので、建築確認日を確認中です」と伝えておけば、後から旧耐震だと判明した場合でも買主の理解を得やすくなります。逆に契約直前になって旧耐震だと伝えれば、買主は「最初から知っていれば検討しなかった」と反発し、トラブルに発展するリスクが高まります。
不動産適正取引推進機構(RETIO)では、耐震基準に関する取引トラブルの判例や実務上の注意点が多数公開されており、実務の参考になります。
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