耐震補強補助金国土交通省の制度と申請の流れ

耐震補強補助金国土交通省の制度

補助金申請は必ず着工前に行うと損をします

この記事の3つのポイント
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国は直接補助せず自治体経由

耐震補強の補助金は国土交通省が制度設計しますが、実際の申請窓口は市区町村です。自治体によって補助率や上限額が大きく異なります。

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申請タイミングが重要

着工前の申請が必須条件で、着工後の申請は原則不可です。耐震診断→補助金申請→承認→工事契約→着工の順序を守る必要があります。

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代理受領制度の活用

施工業者が補助金を代理受領する制度により、顧客は工事費と補助金の差額のみ用意すればよく、初期費用負担が大幅に軽減されます。

耐震補強補助金の国土交通省制度の基本構造

 

国土交通省が制度設計する耐震補強補助金は、実は国が直接交付するものではありません。国土交通省は「住宅・建築物安全ストック形成事業」として制度の枠組みを作り、社会資本整備総合交付金や防災・安全交付金を通じて地方自治体に資金を配分します。つまり、実際に補助金を交付するのは各市区町村なのです。

この仕組みが不動産業従事者にとって重要な理由は、自治体ごとに補助内容が大きく異なるためです。国土交通省の制度では、民間実施の耐震診断や補強設計に対して「国と地方で3分の2」、耐震改修工事に対しては「国と地方で23%から3分の2」という補助率の基準を示していますが、これはあくまで国と自治体を合わせた上限です。

実際には補助金制度がない自治体も存在します。制度がある場合でも、補助率や上限額は自治体の財政状況や耐震化推進の方針によって大きく変わります。例えば、木造住宅の耐震改修で上限120万円の自治体もあれば、上限50万円の自治体もあります。顧客に物件を紹介する際には、その物件が所在する自治体の具体的な補助制度を確認することが必須です。

さらに令和7年度末まで実施される「建築物耐震対策緊急促進事業」では、耐震診断が義務付けられた要緊急安全確認大規模建築物(ホテル・デパート等)や要安全確認計画記載建築物(避難路沿道建築物等)に対して、より手厚い補助が用意されています。要緊急安全確認大規模建築物の耐震改修では工事費の3分の1、要安全確認計画記載建築物では5分の2の補助が受けられます。

国土交通省の住宅・建築物の耐震化について(耐震診断義務付け対象建築物や補助制度の詳細が確認できます)

この制度構造を理解すれば、顧客に対して「国の補助があります」という曖昧な説明ではなく、「この物件の所在地では最大で○○万円の補助が見込めます」という具体的な提案ができるようになります。

耐震補強補助金の対象となる建築物の条件

補助金の対象となる建築物には明確な条件があります。

最も重要な条件は築年数です。

多くの自治体では「昭和56年5月31日以前に建築確認を受けた建物」を対象としています。これは旧耐震基準で建てられた建物を指します。

旧耐震基準とは、1950年から1981年5月まで適用された基準で、震度5強程度の地震に対して倒壊しないことを目標としていました。しかし1981年6月1日以降に施行された新耐震基準では、震度6強から7程度の大地震でも倒壊しないことが求められるようになりました。つまり、昭和56年5月31日以前の建物は現代の安全基準を満たしていない可能性が高いのです。

具体的な対象条件を見ていきましょう。まず、建物の用途として、居住用の住宅が主な対象です。店舗等併用住宅の場合、多くの自治体では建物の2分の1以上が居住用である必要があります。賃貸物件の場合、所有者が申請者となりますが、居住者ではなく所有者が耐震診断を実施する必要があるという条件がある自治体も多いです。

耐震診断の結果も重要な条件です。補助金を受けるためには、まず耐震診断を実施し、耐震性が不足していると判定される必要があります。具体的には、上部構造評点が1.0未満の状態です。上部構造評点1.0以上が耐震基準に適合する状態とされるため、既に基準を満たしている建物は補助対象外となります。

増築した建物の扱いも注意が必要です。昭和56年6月1日以降に増築した場合、増築部分の面積が旧耐震基準部分よりも大きい場合は対象外となることがあります。この判定は複雑なため、建築確認申請書類で確認することが必要です。

さらに自治体によっては、申請者の所得制限や市税の滞納がないことなどの条件を設けているケースもあります。例えば、課税所得金額が507万円未満という条件を設けている自治体も存在します。

不動産業従事者としては、これらの条件を顧客に事前に伝えることで、期待値のコントロールができます。「この物件は昭和55年築なので補助金の対象ですが、まず耐震診断で基準未満という結果が出る必要があります」という説明が正確です。

耐震補強補助金の申請手順と着工前申請の重要性

補助金申請で最も多いトラブルが、工事着工後に申請しようとして断られるケースです。耐震補強の補助金は原則として着工前の申請が必須条件となっています。つまり、補助金申請→自治体の承認→工事契約→着工という順序を厳守する必要があります。

正しい申請手順を詳しく見ていきましょう。

まず第一段階は、自治体窓口への相談です。

ここで対象住宅の要件、申請期間、必要書類、指定事業者の資格要件などを確認します。多くの自治体では年度ごとに予算枠が設定されており、予算消化により年度途中で受付が終了することもあります。

第二段階は耐震診断の実施です。この診断は建築士資格を持つ者や指定確認検査機関など、自治体が認めた有資格者が実施する必要があります。診断結果として上部構造評点が算出され、1.0未満であれば補助対象となります。診断費用自体にも補助が出る自治体が多く、診断費用の3分の2で上限額は自治体により異なります。

第三段階は補強設計です。耐震診断の結果を踏まえて、どのような補強工事を行うかを設計します。この段階で工事費用の見積もりも明確になります。補強設計費用にも補助が出るケースがあります。

第四段階が補助金申請です。ここで重要なのは、工事契約を結ぶ前に申請し、自治体からの交付決定通知を受け取る必要があることです。申請から承認まで約3週間から1ヶ月かかるため、着工希望日の最低でも1ヶ月前には申請内容を確定させておく必要があります。

第五段階は交付決定後の工事契約と着工です。自治体から補助金交付決定通知を受け取った後に初めて、施工業者と正式な工事契約を結び、着工できます。この順序を間違えると補助金が受けられません。

第六段階は工事完了後の実績報告です。工事完了後、施工前・中・後の写真、工事監理報告書、領収書などを添えて完了報告を行います。自治体の検査を受け、適切に工事が行われたことが確認されます。

最終段階が補助金の交付請求と受領です。完了検査に合格すれば、補助金額が確定し、請求後に指定口座に振り込まれます。

この一連の流れで特に注意すべきは、申請タイミングです。「工事を始めてしまってから補助金の存在を知った」という顧客を救済する手段はほとんどありません。不動産業従事者としては、旧耐震基準の物件を扱う際には、必ず取引の初期段階で補助金制度の存在と申請手順を顧客に伝えることが重要です。

地方公共団体における住宅リフォーム支援制度検索サイト(各自治体の具体的な申請手順と必要書類が確認できます)

耐震補強補助金と税制優遇措置の併用

補助金だけでなく税制優遇措置も併用することで、顧客の負担をさらに軽減できます。国土交通省は補助金制度とは別に、所得税控除と固定資産税減額という2つの税制優遇を用意しています。

所得税控除は令和7年12月31日まで適用される制度です。現行の耐震基準に適合させる耐震改修工事を行った場合、工事費用の標準的な額の10%を所得税額から直接控除できます。控除対象となる工事費用の上限は250万円なので、最大で25万円が所得税から差し引かれます。

ただし注意点があります。補助金を受け取った場合、その補助金額を工事費用から差し引いた金額の10%が控除対象となります。例えば、300万円の工事で100万円の補助金を受けた場合、控除対象は200万円(250万円上限内)となり、20万円が所得税から控除されます。

所得税控除を受けるには確定申告が必要です。耐震基準適合証明書、工事請負契約書の写し、補助金決定通知書の写し、住民票の写しなどを添付して申告します。住宅ローン控除との併用はできないため、どちらが有利かを計算する必要があります。

固定資産税の減額措置は令和8年3月31日まで適用されます。耐震改修工事を行った住宅について、翌年度分の固定資産税額が2分の1に減額されます。対象となるのは120平方メートル相当部分までです。特に重要な避難路沿道にある耐震診断義務付け対象の住宅の場合、2年間にわたって2分の1減額されます。

固定資産税減額の適用を受けるには、工事完了後3ヶ月以内に市区町村に申告する必要があります。必要書類は、耐震改修に関する証明書、工事明細書、工事前後の写真などです。

さらに令和8年3月31日までに補助金を受けて耐震改修を行った耐震診断義務付け対象建築物(ホテル・デパート等)については、固定資産税額が2年間2分の1に減額される特例もあります。

これらの税制優遇を具体的な金額で示すと、顧客にとってのメリットが明確になります。例えば、200万円の耐震改修工事で100万円の補助金を受けた場合、所得税控除で10万円、固定資産税減額で仮に年間10万円とすれば、実質的な負担は200万円-100万円-10万円-10万円=80万円となります。この計算を顧客に示すことで、耐震改修への心理的ハードルを下げられます。

耐震補強補助金申請での代理受領制度の活用

顧客の初期費用負担を大幅に軽減する仕組みとして、代理受領制度があります。この制度を理解し顧客に提案することで、成約率を高めることができます。

代理受領制度とは、補助金の受領を施工業者が代理で行う制度です。通常の補助金受領では、顧客がまず工事費用の全額を施工業者に支払い、後日自治体から補助金が振り込まれます。しかし代理受領制度を利用すると、施工業者が自治体から直接補助金を受け取るため、顧客は工事費用と補助金の差額のみを支払えばよくなります。

具体例で見てみましょう。200万円の耐震改修工事で100万円の補助金が出る場合、通常は顧客が200万円を用意して施工業者に支払い、後日100万円が振り込まれます。

つまり一時的に200万円の資金が必要です。

しかし代理受領制度を使えば、顧客は最初から100万円だけ用意すればよく、残りの100万円は施工業者が自治体から直接受け取ります。

この制度が特に有効なのは、高齢者や資金繰りに余裕がない顧客の場合です。「一時的でも200万円は用意できない」という理由で耐震改修を断念するケースが、代理受領制度により実現可能になります。

代理受領制度の利用には施工業者の同意が必要です。すべての自治体で実施されているわけではなく、また利用できる補助金の種類も自治体により異なります。多くの自治体では耐震改修工事、簡易耐震改修工事、耐震シェルター設置工事などで利用できます。

利用手順を見ていきましょう。まず補助金申請時に、代理受領を希望する旨を申請書に記載します。施工業者と「補助金代理受領委任状」を取り交わし、自治体に提出します。工事完了後の補助金交付請求も、施工業者が代理で行います。自治体は補助金を施工業者の口座に直接振り込みます。

不動産業従事者としては、代理受領制度に対応している施工業者のネットワークを持つことが重要です。顧客から「耐震改修を検討しているが資金面が不安」という相談があった際に、「代理受領制度が使える施工業者を紹介できます。初期費用は補助金を引いた額だけで済みます」と提案できれば、大きな差別化になります。

また、代理受領制度を利用する場合でも、申請から承認までの期間や着工前申請の原則は変わりません。制度を利用する場合の全体的なスケジュールを顧客に説明することも重要です。

耐震補強補助金申請における不動産業者の役割と注意点

不動産業従事者として耐震補強補助金を顧客提案に活用する際の役割と注意点を整理します。まず明確にすべきは、不動産業者は補助金申


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