持分売却 不動産 同意不要で現金化
専門業者に売却しても3割しか戻らない
持分売却 不動産とは何か
共有持分とは、複数の人が1つの不動産を共同で所有する際の、各所有者が持つ権利の割合を指します。例えば、相続で兄弟3人が実家を均等に相続した場合、それぞれが3分の1ずつの共有持分を持つことになります。登記事項証明書の権利部(甲区)に「持分3分の1」といった形で記載され、法的な所有権の割合が明確化されています。
持分売却とは、この共有持分のみを売却する行為です。不動産全体ではなく、あなたが持つ権利の部分だけを現金化できます。民法第206条では「所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する」と定められており、この原則が共有持分にも適用されます。つまり、他の共有者の同意を得なくても、あなた単独の判断で持分を売却することが法律上認められているのです。
ただし、不動産全体を売却する場合は話が変わります。
共有者全員の同意が必要です。
持分のみの売却と不動産全体の売却は、法的な扱いが全く異なる点に注意が必要です。
持分売却が選ばれる主なケースとしては、相続で共有名義になったが管理や税金の負担を避けたい場合、離婚後に元配偶者との共有関係を解消したい場合、共有者間で意見が対立して話し合いが進まない場合などがあります。共有状態を抜け出したいが、他の共有者が売却に反対しているといった状況で、持分売却は有効な選択肢となります。
持分売却 不動産の相場と計算方法
持分売却の相場は、市場価格よりも大幅に低くなります。買取業者が実務で使用する計算式は「不動産全体の市場価格×持分割合×評価割合(30~50%)」です。評価割合が30~50%に設定されるため、実質的に市場価格の3割から5割程度でしか売却できないのが現実です。
具体例を挙げると、市場価格が5,000万円の不動産で持分が2分の1(2,500万円相当)の場合、売却相場は750万円から1,250万円程度になります。単純計算では2,500万円の価値があるはずが、実際には半分以下、場合によっては3割程度にまで減額されてしまいます。
この大幅な減額には3つの理由があります。第一に、買主の目的達成に手間と時間がかかる点です。多くの買取業者は、持分を購入した後に他の共有者と交渉して全ての持分を集め、リフォームして再販することで利益を得ています。この一連のプロセスには数ヶ月から数年かかることもあり、その間の人件費や交渉費用を見込んで価格を抑えるのです。
第二に、他の共有者とのトラブルリスクがあります。買取業者が新たな共有者となった後、残りの共有者から訴訟を起こされたり、高額な買取請求をされたりする可能性があります。修繕費用や固定資産税の負担を巡って対立が生じることもあり、こうした法的リスクが価格に反映されます。
第三に、買い手が限られている点です。共有持分を購入する主体は専門の買取業者か他の共有者に限られており、一般の不動産市場のように多数の買い手が競争する状況にはなりません。需要が少なければ価格は下がるというのが市場原理です。
市場価格(実勢価格)は、国土交通省の不動産情報ライブラリで調べることができます。
不動産情報ライブラリでは、直近数ヶ月の取引事例を確認できるため、持分売却の査定額を自分で概算する際に役立ちます。
持分売却 不動産の税金と費用
持分売却で利益が出た場合、譲渡所得税が課税されます。譲渡所得は「売却価格−(取得費+譲渡費用)」で計算され、この金額に対して税率がかかります。所有期間が5年を超える場合は長期譲渡所得として約20%(所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%)、5年以下の場合は短期譲渡所得として約39%(所得税30%+住民税9%+復興特別所得税0.63%)の税率が適用されます。
注意すべきは、売却価格が低くても利益が出る可能性がある点です。例えば、相続で取得した持分の場合、取得費は被相続人が購入した当時の金額(減価償却後)となります。相続から数十年経過している場合、取得費が極めて低くなっており、売却価格が市場価格の3割であっても、課税対象となる譲渡所得が発生することがあります。
登録免許税は、持分の名義変更(所有権移転登記)の際に課税される国税です。税率は売却価格の2%(1,000分の20)です。売却価格が500万円の場合、登録免許税は10万円となります。通常、この費用は買主が負担しますが、契約内容によっては売主負担となるケースもあるため、契約前に確認が必要です。
印紙税は売買契約書に貼付する収入印紙の費用です。契約金額に応じて税額が変わり、例えば500万円超1,000万円以下なら1万円、1,000万円超5,000万円以下なら2万円です。契約書を2通作成する場合、売主と買主が1通ずつ印紙税を負担するのが一般的です。
仲介業者を利用する場合は仲介手数料がかかります。法律で定められた上限額は「売却価格×3%+6万円+消費税」です。例えば、1,000万円で売却した場合、仲介手数料の上限は39万6,000円(税込)となります。買取業者に直接売却する場合は仲介手数料は不要ですが、売却価格自体が仲介より低くなる傾向があります。
確定申告も忘れてはいけません。持分売却で譲渡所得が発生した場合、売却した年の翌年2月16日から3月15日までに確定申告を行う必要があります。申告を怠ると無申告加算税や延滞税が課される可能性があるため注意してください。
持分売却 不動産における買取業者と仲介業者の違い
買取業者は、自社で直接持分を買い取る専門業者です。最大のメリットはスピードで、最短数日から数週間で現金化できます。査定から契約、決済までのプロセスが非常にシンプルで、他の共有者との調整も不要です。仲介手数料も発生しないため、手元に残る金額が明確です。
ただし、買取価格は市場価格の30~50%の範囲内でも低めになる傾向があります。買取業者は自らリスクを負って持分を購入するため、その分を価格に反映せざるを得ません。また、買取業者の中には悪質な業者も存在し、契約後に不当な追加費用を請求してきたり、契約不適合責任を売主に押し付けたりするケースが報告されています。
仲介業者は、売り手と買い手の間に立って取引を仲介する業者です。他の買取業者や一般の投資家、隣地の所有者など、より高く買ってくれる可能性のある相手を探してくれます。市場価格の30~50%の範囲内でも、買取業者より高めの価格で売却できる可能性が高まります。
デメリットは時間がかかる点です。買い手が見つかるまでに数ヶ月から半年以上かかることもあり、場合によっては買い手が見つからないリスクもあります。また、仲介手数料が発生するため、最終的な手取り額を事前にしっかり計算しておく必要があります。ただし、最近では仲介手数料無料をうたう業者も増えています。
選択のポイントとしては、急いで現金化したい場合は買取業者、時間に余裕があり少しでも高く売りたい場合は仲介業者が適しています。両方に対応している業者もあるため、まずは相談して自分の状況に合った方法を選ぶのが賢明です。
業者選びの際は、共有持分専門の実績が豊富か、宅地建物取引業の免許を持っているか、弁護士と提携しているか、契約不適合責任の説明が明確か、といった点をチェックしてください。ホームページに担当者の顔写真や具体的な買取事例が掲載されている業者は、透明性が高く信頼できる傾向があります。
持分売却 不動産のトラブル事例と回避策
持分売却後に最も多いトラブルは、買取業者が残された共有者に高額な買取請求や訴訟を起こすケースです。買取業者の多くは、持分を購入した後に他の共有者に対して「私が買い取った持分をあなたに売りますよ」と持ちかけ、市場価格よりも高い金額を要求してきます。これが成立しない場合、共有物分割請求訴訟を起こして強制的に競売にかけることもあります。
ある事例では、相続した実家の持分3分の1を800万円で買取業者に売却した兄がいました。その後、実家に住み続けていた弟に対し、買取業者から「あなたの持分も含めて不動産全体を3,000万円で買い取ってください。応じなければ訴訟を起こします」という通知が届きました。弟は予期せぬ高額請求に困惑し、最終的には弁護士を雇って対応せざるを得なくなり、多額の費用と精神的負担を強いられました。
このようなトラブルを回避するには、売却前に他の共有者に一言伝えておくことが重要です。法律上は同意不要ですが、事前に「自分の持分を売却する予定だ」と伝えることで、後のトラブルを防げます。もし関係が悪化していて直接話せない場合は、内容証明郵便で通知するという方法もあります。
悪質な買取業者を見抜くポイントも押さえておきましょう。査定額の根拠を明確に説明できない業者、契約を急かす業者、契約不適合責任について曖昧な説明をする業者は要注意です。複数の業者に相見積もりを取り、価格だけでなく説明の丁寧さや対応の誠実さを比較してください。
居住者がいる物件の持分売却も注意が必要です。他の共有者が住んでいる場合、買取業者は立ち退き交渉や訴訟のリスクを見込んで、通常よりもさらに低い価格を提示してきます。場合によっては市場価格の20%以下になることもあります。居住者の同意を得てから売却するか、買取価格が極端に低くなることを覚悟する必要があります。
住宅ローンが残っている場合のトラブルも発生しています。持分売却でローンを完済できない場合、金融機関の承諾が得られず売却自体ができません。また、共有者の一方がローンを滞納すると、不動産全体に抵当権が実行され、他の共有者の持分も巻き込まれる可能性があります。ローン残債がある場合は、必ず金融機関に相談してから売却手続きを進めてください。
持分売却 不動産を高く売る独自戦略
持分売却の相場は市場価格の30~50%ですが、戦略次第でこの範囲内の上限に近づけることが可能です。最も効果的なのは、不動産の「弱点」を解消してから売却することです。買取業者が減額する主な理由はリスクですから、そのリスクを減らせば査定額は上がります。
物理的な瑕疵がある場合、修繕することで大幅に査定額が向上します。例えば、雨漏りやシロアリ被害がある物件は、買取業者が修繕費用を見込んで大幅に減額します。専門業者に依頼して事前に修繕しておけば、その分を査定額に反映させることができます。修繕費用が50万円でも、査定額が200万円上がれば十分に元が取れます。
境界が未確定の土地も減額対象です。隣地との境界が確定していない場合、買取業者は測量費用や隣地所有者とのトラブルリスクを考慮して価格を下げます。土地家屋調査士に依頼して確定測量を行い、境界標を設置しておけば、この減額要因を排除できます。測量費用は30万円から80万円程度かかりますが、査定額への影響を考えれば投資価値があります。
相見積もりを取ることも重要です。共有持分の査定には明確な基準がなく、業者によって評価割合が30%から50%まで幅があります。少なくとも3社以上に査定を依頼し、価格だけでなく根拠の説明も比較してください。業者間で価格競争が生まれれば、より有利な条件を引き出せます。
他の共有者に直接売却する方法も検討すべきです。第三者への売却では評価割合による減額がありますが、他の共有者にとっては持分を集約できるメリットがあるため、市場価格×持分割合に近い金額で売却できる可能性があります。関係が良好であれば、まずは共有者に買取意思があるか確認してみてください。
換価分割という選択肢もあります。これは不動産全体を売却して、その代金を持分割合に応じて分配する方法です。共有者全員の同意が必要ですが、評価割合による減額を受けずに済むため、最も高額で現金化できます。相続直後で共有者間の関係がまだ良好な時期であれば、この方法を提案してみる価値があります。
不動産業従事者の方であれば、同業者ネットワークを活用するのも有効です。共有持分を専門に扱う買取業者や、投資家との人脈を持つ仲介業者に相談すれば、一般には出回らない好条件の買い手を見つけられる可能性があります。業界内の信頼関係があれば、取引もスムーズに進みます。
共有持分売却の相場について詳しく解説している専門サイトでは、実際の買取事例や査定額の算出方法が紹介されており、売却前の情報収集に役立ちます。

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