旧借地権期間の定め堅固非堅固と更新

旧借地権期間の定め

期間の定めない木造建物は60年で消滅しません。

この記事の3ポイント要約
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旧借地権は建物構造で期間が変わる

堅固建物は当初60年・更新30年、非堅固建物は当初30年・更新20年と法定期間が明確に区別されており、現在も多数の物件が旧法適用を受けている

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構造変更で期間トラブルが発生

木造から鉄骨造への建替えで期間が延びる場合、地主との合意が必要で承諾料は更地価格の3~5%が相場となる

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法定更新で自動的に契約が継続

地主が正当事由なく異議を述べなければ自動更新されるため、手続きを忘れても借地権は消滅しない仕組みとなっている

旧借地権期間の基本構造と堅固建物

 

旧借地権の期間は、平成4年7月31日以前に設定された借地契約に適用される制度で、建物の構造によって明確に区分されています。この区分は不動産実務において非常に重要な意味を持ちます。

堅固建物とは、石造、土造、煉瓦造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造、ブロック造などを指します。これらの建物を前提とした借地権の存続期間は、契約で期間を定めた場合は最低30年以上、期間の定めがない場合は60年となります。

つまり堅固建物が前提ですね。

更新後の期間も建物構造で決まります。堅固建物の場合、更新後の存続期間は30年以上と定められており、当事者間で特に合意がなければ法定期間の30年が適用されます。

契約時に建物の種類や構造を明記していない場合、法律上は非堅固建物の所有を目的とするものとみなされます。この点は地主側・借地人側双方にとって重要で、後のトラブルを避けるために契約書で建物構造を明確にしておくべきです。実務上は建築確認申請の図面を添付するケースが多いですね。

旧借地法が適用される物件は、現在でも東京都心部を中心に多数存在しており、相続や売買の際に期間の取り扱いが問題となることがあります。特に期間満了が近づいている物件では、更新料の交渉や建替え計画との兼ね合いで複雑な調整が必要です。

日本地主家主協会の旧借地法に関する詳細解説

旧借地権期間における非堅固建物の扱い

非堅固建物は、堅固建物以外の建物を指し、主に木造建築物がこれに該当します。軽量鉄骨造や組み立て式の建物も非堅固建物として扱われるケースが一般的です。

非堅固建物を前提とした旧借地権の存続期間は、契約で期間を定めた場合は最低20年以上となります。

20年が下限ということですね。

契約時に期間の定めがない場合は、法定期間として30年が適用されます。

更新後の期間は20年以上と定められており、当事者間で合意がなければ20年の法定期間となります。堅固建物の更新期間30年と比較すると10年短く、この違いが借地権の資産価値にも影響を与えます。

実務上注意すべきは、当初木造で建てた建物を鉄骨造に建て替える場合です。建物構造が非堅固から堅固に変わると、期間の基準も変更される可能性があります。この場合、地主との間で条件変更の協議が必要となり、承諾料として更地価格の10%程度を支払うケースもあります。

高額になる可能性があります。

建物の構造判定は、建築基準法上の分類と必ずしも一致しません。鉄骨造でも骨組みの厚さや組み立て方式によって堅固・非堅固の判断が分かれるため、専門家の意見を求めることが重要です。

旧借地権期間の更新と法定更新の仕組み

旧借地権の更新は、契約期間満了時に借地人が継続使用を希望する場合に行われます。更新には合意更新と法定更新の2種類があり、実務上は法定更新によるケースが圧倒的に多いのが実情です。

法定更新とは、契約期間満了時に地主が正当事由を示して異議を述べない限り、自動的に契約が更新される制度です。地主と借地人が更新手続きを忘れていても、建物が土地上に存在し借地人が使用を継続していれば、法律上当然に更新されたものとみなされます。

手続き不要ということですね。

更新後の期間は建物構造で異なります。堅固建物の場合は30年以上、非堅固建物の場合は20年以上と定められており、当事者間で特に合意がなければこの法定期間が適用されます。

更新時には更新料の支払いが慣習となっていますが、法律上の義務ではありません。一般的な相場は、借地権価格の5~10%程度、または更地価格の3~5%程度とされています。仮に更地価格が5,000万円の土地であれば、更新料は150万円から250万円程度となる計算です。

具体的な金額は地主との交渉で決まります。

更新を拒絶できるのは、地主側に「正当事由」がある場合に限られます。正当事由とは、地主自身がその土地を使用する必要性が高く、かつ借地人の不利益を補償する立退料の提供など、総合的に判断されるものです。実務上、地主側からの更新拒絶が認められるケースは極めて限定的です。

旧借地権期間と建替え時の注意点

借地上の建物を建て替える際、旧借地権では特有の注意点があります。建替えには地主の承諾が必要となるケースが多く、承諾を得るために承諾料を支払うのが一般的な慣習です。

建替え承諾料の相場は、全面的な建替えの場合で更地価格の3~5%程度とされています。例えば更地価格が6,000万円の土地であれば、承諾料は180万円から300万円程度となります。この金額は東京23区内の相場で、地方では若干低めとなる傾向があります。

増改築の程度が軽微な場合、承諾料は更地価格の1~3%程度に下がります。屋根の葺き替えや外壁の塗装程度であれば、地主の承諾すら不要とされるケースもあります。ただし契約書に「増改築禁止特約」がある場合は、どんな小さな工事でも地主の承諾が必要です。

特約の有無確認が重要ですね。

建物の構造を変更する建替え、例えば木造から鉄骨造への変更は、借地期間にも影響します。非堅固建物から堅固建物への変更は、実質的に借地条件の変更となるため、通常の建替え承諾料に加えて条件変更承諾料が必要となることがあります。この場合の承諾料は更地価格の10%程度と高額になります。

地主の承諾が得られない場合、借地人は裁判所に「借地非訟事件」として承諾に代わる許可を申し立てることができます。裁判所が許可を出す際には、地主に対する適正な金銭補償額を決定します。この制度により、借地人の建替え権は実質的に保障されているということですね。

建替えに関する協議は、建物が老朽化して取り壊しが必要になる前に、余裕を持って開始すべきです。建替えの承諾を得るまでに数ヶ月から1年程度かかるケースもあるため、計画的な対応が求められます。

借地権の建替え承諾と承諾料に関する実務解説

旧借地権期間を巡る実務トラブルと対策

旧借地権の期間に関するトラブルは、実務上頻繁に発生しています。特に多いのが、契約書に建物構造の記載がないケースです。この場合、法律上は非堅固建物とみなされますが、実際には鉄骨造の建物が建っているケースもあり、期間の解釈で地主と借地人の意見が対立します。

期間の定めがない旧借地権で、当初の期間が満了に近づいている場合、更新の協議をどのタイミングで始めるかも問題となります。期間満了の1年前から協議を開始するのが一般的ですが、地主側が更新を前提としない対応をとるケースもあります。このようなリスクを避けるには早めの接触が基本です。

建物の朽廃(老朽化による使用不能状態)も期間に影響します。旧借地法では建物が朽廃すると借地権が消滅する規定がありましたが、現行の借地借家法ではこの規定は削除されています。ただし旧法適用の借地権では、建物が完全に朽廃した場合に借地権が消滅する可能性があるため注意が必要です。

建物の維持管理が重要ということですね。

相続が発生した際、相続人が旧借地権の期間や更新のルールを理解していないケースもトラブルの原因となります。相続人に対して借地権の内容を正確に伝え、契約書や覚書を確実に引き継ぐことが必要です。特に期間満了が近い場合は、相続前に更新手続きを済ませておくことが望ましいでしょう。

借地権付き建物を売買する際、買主側は旧借地権の期間が残り何年あるかを重視します。残存期間が10年未満の場合、融資が受けにくくなるため、売却価格が大きく下がる可能性があります。仮に残存期間が5年の物件と25年の物件では、同じ建物でも評価額が数百万円単位で変わることもあります。

期間は資産価値に直結します。

地主側からの期間に関する主張にも注意が必要です。一部の地主は「旧借地権は新法に自動的に切り替わる」といった誤った認識を持っているケースがあります。しかし実際には、旧法で設定された借地権は、当事者間で合意して新法に切り替えない限り、旧法が引き続き適用されます。法律の適用を巡る誤解がトラブルを生むということですね。

旧借地法と新法の違いに関する専門家解説

これらのトラブルを回避するには、弁護士や不動産鑑定士など借地権に詳しい専門家への相談が有効です。特に期間満了が近づいている場合や、建替えを検討している場合は、早めに専門家の助言を求めることで、不利な条件での合意を避けることができます。

借地権の期間管理は長期にわたるため、契約書類や覚書、更新時の記録を確実に保管することも重要です。デジタル化してバックアップを取っておくことで、書類の紛失リスクを減らせます。定期的な書類の見直しで、期間満了時期を見逃さないようにしましょう。


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