住宅宿泊事業法届出の手順と必要書類・罰則を完全解説

届出を怠ると100万円以下の罰金も。

不動産業従事者が知っておくべき手続きの流れと注意点を網羅的に解説します。あなたの物件、適切に届出できていますか?

住宅宿泊事業法の届出手続

賃貸物件での届出には大家の承諾書が必須で、これがないと届出を受理されません。

📋 この記事の3ポイント要約
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届出なしの民泊営業は6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金

虚偽の届出や業務廃止命令違反も同様の罰則対象となり、法人の場合も100万円以下の罰金が科せられます。

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賃貸物件は賃貸人の承諾書が必須書類

大家からの転貸承諾がない状態での届出は不可。分譲マンションでは管理規約で民泊が禁止されていないことの確認も必要です。

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2ヶ月ごとの定期報告義務があり虚偽報告は30万円以下の罰金

偶数月の15日までに前2ヶ月分の宿泊実績を報告する必要があり、報告を怠った場合も罰則の対象となります。

住宅宿泊事業法の届出が必要となる条件

 

住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づいて民泊を営む場合、必ず都道府県知事等への届出が必要です。これは宿泊料を受けて住宅に人を宿泊させる事業で、年間の営業日数が180日を超えないものが対象となります。届出をせずに営業を開始すると、違法民泊とみなされ、旅館業法違反として6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金が科される可能性があります。

この届出制度は2018年6月に施行された住宅宿泊事業法によって導入されました。旅館業法の許可制とは異なり、届出制であることが特徴です。ただし、届出制だからといって簡単に始められるわけではありません。必要な書類を揃え、各種法令に適合していることを証明する必要があります。

届出が必要な条件を満たすかどうかは、物件の使用形態によって判断されます。自宅の空き部屋を貸し出す「家主居住型」と、別の物件を貸し出す「家主不在型」の2つの形態があり、それぞれで必要な手続きが異なります。家主不在型の場合は、住宅宿泊管理業者への管理委託が法律で義務付けられているため、より複雑な手続きが必要です。

不動産業従事者として物件オーナーに民泊運営を提案する際には、この届出義務を正確に理解し、適切にアドバイスする必要があります。届出をせずに営業を開始した場合、オーナーだけでなく、不動産業者としての信用も失われるリスクがあるため、慎重な対応が求められます。

届出が必要なのは明白です。

住宅宿泊事業法の届出に必要な書類一覧

住宅宿泊事業の届出には、多数の書類を準備する必要があります。まず基本となるのが「住宅宿泊事業届出書(第一号様式)」です。これは国土交通省のホームページからダウンロードできる標準様式で、事業者の氏名・住所、住宅の所在地、営業日数などを記載します。

法人の場合は登記事項証明書も必要です。

住宅の登記事項証明書は、物件の所有関係を明確にするために必須の書類となります。

法務局で取得でき、費用は600円程度です。

また、住宅の図面も提出が求められます。これには各階の平面図や間取り図が含まれ、宿泊室の面積や設備の配置が分かるものである必要があります。

消防法令適合通知書も重要な添付書類です。これは届出住宅を管轄する消防署に交付申請を行い、消防法令に適合していることを証明する書類となります。消防設備が基準を満たしているかの現地確認が行われるため、事前に必要な消防設備を整えておく必要があります。

無料で交付されます。

賃貸物件で民泊を行う場合は、「賃貸人が承諾したことを証する書類(転貸承諾書)」が必要不可欠です。これは大家が民泊目的での転貸を承諾したことを示す書面で、これがないと届出は受理されません。分譲マンションの場合は、管理規約の写しと、規約で民泊が禁止されていないことを証明する書類が必要です。

管理組合の総会議事録などが該当します。

家主不在型の場合は、住宅宿泊管理業者との管理受託契約書の写しも添付します。この契約書には、委託する業務内容や報酬額などが明記されている必要があります。必要書類の準備には時間がかかるため、早めの準備が重要です。書類の不備があると届出が受理されず、営業開始が遅れることになります。

書類の確認は慎重に行うべきです。

住宅宿泊事業法の届出手続の具体的な流れ

届出手続は、民泊制度運営システムを利用した電子申請が基本となります。このシステムは観光庁が運営しており、24時間いつでもアクセス可能です。まずシステムにアカウントを作成し、ログインして届出書を作成します。届出書の各項目を入力し、必要な書類をPDFなどの電子ファイルとしてアップロードします。

電子申請の場合、届出書を送信した後、都道府県知事等が内容を確認します。書類に不備がなく、形式的な要件を満たしていれば、届出は受理されます。受理されると届出番号が発行され、この番号を使って営業を開始できます。受理までの期間は自治体によって異なりますが、通常は1週間から2週間程度です。

窓口での書面提出も可能ですが、電子申請が推奨されています。書面の場合は、届出書を2部作成し、必要書類の原本または写しを添えて、住宅の所在地を管轄する保健所や自治体の窓口に提出します。受付時間は平日の日中に限られるため、事前に確認が必要です。

届出が受理された後は、標識の掲示が義務付けられています。届出番号や連絡先などを記載した標識を、届出住宅の見やすい場所に掲示する必要があります。標識は国土交通省令で定められた様式に従って作成します。この標識がないと、罰則の対象となる可能性があります。

届出内容に変が生じた場合は、変更届出書を提出する必要があります。住所や連絡先の変更は30日以内、営業日数の変更は事前の届出が必要です。変更届出を怠ると30万円以下の罰金が科される可能性があります。

変更があれば速やかに届出を行ってください。

住宅宿泊事業法違反に対する罰則の詳細

住宅宿泊事業法には、違反行為に対して厳格な罰則規定が設けられています。最も重い罰則は、虚偽の届出をした場合や業務廃止命令に違反した場合で、6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金、あるいはその両方が科せられます。法人の場合も同様に100万円以下の罰金が適用されるため、組織的な違反行為には特に注意が必要です。

届出をせずに民泊営業を行った場合、住宅宿泊事業法違反ではなく、旅館業法違反として処罰されます。旅館業法第3条1項に違反したとして、6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられる可能性があります。無届営業は「違法民泊」として厳しく取り締まられており、近隣住民からの通報などで発覚するケースが増えています。

年間180日を超えて営業した場合も、旅館業法違反となります。住宅宿泊事業法では180日以内の営業が条件となっているため、これを超えると無許可の旅館業とみなされます。また、定期報告を怠った場合や虚偽の報告をした場合には、30万円以下の罰金が科せられます。定期報告は2ヶ月ごとに義務付けられており、偶数月の15日までに前2ヶ月分の宿泊実績を報告する必要があります。

宿泊者名簿の作成・保存義務を怠った場合や、宿泊者に対する説明義務を怠った場合にも、50万円以下の罰金が適用されます。宿泊者名簿は作成日から3年間保存する必要があり、警察から提示を求められた際には即座に提示できる状態で保管しなければなりません。これらの義務違反は行政指導の対象となり、改善されない場合は罰則が適用されます。

業務改善命令に違反した場合や、報告義務に違反した場合にも罰則があります。都道府県知事等は、法令違反や不適切な運営が確認された場合、業務改善命令を出すことができます。この命令に従わない場合、業務停止命令が出され、最終的には業務廃止命令が出される可能性もあります。

罰則は段階的に重くなります。

住宅宿泊事業法届出における不動産業者の役割と注意点

不動産業従事者として、賃貸物件のオーナーや入居者から民泊運営の相談を受けることがあります。この際、住宅宿泊事業法の正確な知識を持って対応することが重要です。特に賃貸物件の場合、賃貸借契約書に民泊利用の可否が明記されているかを確認する必要があります。明記されていない場合でも、無断転貸は契約違反となるため、必ず大家の事前承諾を得る必要があることをアドバイスしてください。

賃貸物件で民泊を行う場合、賃貸人(大家)が転貸を承諾したことを証する書類が届出の必須書類となります。この承諾書は、単に「又貸しを認める」というだけでなく、「住宅宿泊事業に使用することを承諾する」と明確に記載されている必要があります。不動産業者として、この承諾書の作成をサポートすることも役割の一つです。大家側のリスクも説明し、適切な契約内容を提案することが求められます。

分譲マンションの場合、管理規約で民泊が禁止されていないことの確認が必要です。2018年以降、多くのマンション管理組合が管理規約を改正し、民泊を明確に禁止または条件付きで認める規定を設けています。国土交通省が公表している「マンション標準管理規約」では、民泊を禁止する場合の規定例が示されています。物件の売買や賃貸を仲介する際には、この点を事前に確認し、購入者や賃借人に説明することが重要です。

家主不在型の民泊では、住宅宿泊管理業者への管理委託が法律で義務付けられています。不動産業者として、信頼できる管理業者を紹介することも付加価値となります。住宅宿泊管理業者は国土交通省に登録された正規の業者である必要があり、登録番号などを確認することが重要です。管理費用は月額2万円から5万円程度が相場ですが、委託する業務内容によって大きく異なります。

届出手続の代行を行う場合、行政書士資格が必要なケースがあります。単なる情報提供やアドバイスは問題ありませんが、報酬を得て届出書類の作成や申請手続を代行する場合は、行政書士法に抵触する可能性があります。不動産業者として適切な範囲でサポートを行い、必要に応じて専門家を紹介する体制を整えておくことが望ましいでしょう。

専門家との連携が成功の鍵です。

国土交通省の民泊制度ポータルサイトでは、届出に必要な書類の様式や記入例が公開されています。届出手続の詳細な手順を確認する際の公式リファレンスとして活用できます。
観光庁が公開している「住宅宿泊事業法FAQ集」では、届出に関するよくある質問と回答がまとめられています。不動産番号の取扱いや、管理規約の確認方法など、実務上の疑問点を解決するのに役立ちます。

記載例つき 民泊ビジネス運営のための 住宅宿泊事業法と旅館業法のしくみと手続き 事業者必携