一棟物件とは区分マンション違い収益投資物件メリットデメリット

一棟物件とは区分マンション投資との違い

表面利回り8%でも損失が出る物件はある

この記事の3つのポイント
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一棟物件の基本

建物全体を所有し複数戸から家賃収入を得る投資手法。区分マンションと比べて収益性と運営自由度が高い

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収益性の特徴

一棟アパートの平均利回りは約8%、物件価格は平均8,859万円。複数戸で空室リスクを分散できる

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注意すべきリスク

初期費用は物件価格の10~20%必要。修繕費や管理コストも高額になるため長期的な資金計画が必須

一棟物件の基本的な定義と仕組み

 

一棟物件とは、アパートやマンションの建物全体を一棟まるごと所有し、複数の部屋を賃貸に出して家賃収入を得る不動産投資手法のことです。たとえば10戸のアパートを購入すれば、その10戸すべてから賃料が発生します。区分マンション投資が1室だけを所有するのに対し、一棟物件では建物と土地の両方を丸ごと保有する形になります。

この投資手法の最大の特徴は、建物全体の所有権を持つため、土地の権利も完全に自分のものになることです。区分マンションの場合、専有面積に応じた土地の共有持分しか持てませんが、一棟物件では建物が建っている土地すべてを所有します。

つまり資産としての価値が高いということですね。

物件価格は数千万円から数億円と高額になりますが、金融機関の融資を活用することで、会社員や個人投資家でも購入が可能です。一棟アパートの場合、物件価格の平均は約8,859万円とされています。自己資金としては物件価格の10~20%、つまり1,000万円から2,000万円程度が目安です。

また、融資を受ける際には「アパートローン」や「プロパーローン」と呼ばれる事業用融資を利用します。住宅ローンとは異なり、物件の収益性や資産価値、投資家の属性などを総合的に審査されます。融資期間は物件の耐用年数や築年数に応じて決まることが多く、木造アパートなら最長30年程度の返済期間が設定されるケースが一般的です。

一棟収益不動産の基礎知識とメリット・リスクの詳細解説はこちら

一棟物件と区分マンションの決定的な違い

一棟物件と区分マンションの最も大きな違いは、運営の自由度と収益の規模にあります。区分マンション投資では、マンションの1室だけを購入して賃貸に出すため、初期費用は数百万円から始められます。一方、一棟物件は建物全体を購入するため、投資額は数千万円以上になりますが、その分だけ収益の規模も大きくなります。

運営面での違いも重要です。区分マンションでは、建物全体の管理や修繕は管理組合が決定するため、オーナー個人の意思だけでは変更できません。たとえば外壁の塗り替えや共用部の改修といった大規模修繕は、管理組合の総会で承認される必要があります。これに対して一棟物件では、修繕の時期や内容、リフォームの仕様、家賃設定などをすべてオーナー自身が決められます。

空室リスクの影響も異なります。区分マンションで1室が空室になると、その間の家賃収入は完全にゼロになります。一方、一棟物件で10戸のうち1戸が空室になっても、残り9戸からの家賃は継続して入ってきます。収入源が複数あることで、リスクが分散されるということですね。

資産価値の面でも違いがあります。区分マンションは建物の価値が下がると、資産全体の価値も大きく下落します。一棟物件の場合、建物が老朽化しても土地の価値は残るため、資産価値の下落が緩やかになる傾向があります。特に都心部や駅近の好立地であれば、土地の価値だけでも相当な資産になります。

売却時の流動性にも差があります。区分マンションは購入希望者が多く、比較的短期間で売却できることが多いです。一棟物件は購入できる投資家層が限られるため、売却に時間がかかる傾向があります。ただし、収益性の高い物件であれば、投資家からの引き合いは強くなります。

一棟物件の収益構造と利回りの目安

一棟物件の収益性を測る指標として、「表面利回り」と「実質利回り」があります。表面利回りは年間の家賃収入を物件価格で割った数値で、一棟アパートの全国平均は約8.00%とされています。一棟マンションの場合は約7.56%が平均値です。区分マンションの平均利回りが3~5%であることを考えると、一棟物件の方が高い収益性を期待できますね。

ただし、表面利回りだけで判断するのは危険です。実質利回りを計算する際には、管理費、修繕積立金、固定資産税、都市計画税、火災保険料、管理会社への委託手数料などの経費を差し引く必要があります。表面利回りが8%でも、諸経費を引くと実質利回りは5~6%程度に下がることも珍しくありません。

物件価格と利回りには地域差があります。首都圏の一棟マンションは平均価格が約1億8,984万円と高額ですが、利回りは7%台と低めです。地方都市では物件価格が5,000万円前後でも、利回りが10%を超える物件も存在します。ただし、地方物件は空室リスクや人口減少のリスクも考慮する必要があります。

収益構造を理解するには、具体的なシミュレーションが有効です。たとえば家賃5万円の部屋が10戸あるアパートなら、満室時の年間家賃収入は600万円です。物件価格が8,000万円なら表面利回りは7.5%。ここから管理費、固定資産税、修繕費などで年間100万円の経費がかかると仮定すると、実質的な年間収益は500万円となります。

融資を受けている場合、ローン返済額も考慮しなければなりません。借入額6,000万円、金利2.5%、返済期間25年の条件なら、月々の返済額は約27万円、年間で約324万円になります。実質収益500万円から返済額324万円を引くと、年間のキャッシュフローは176万円です。このように段階的に計算することで、実際の手取り収益が見えてきます。

一棟アパートの適正利回りと相場の詳しい解説はこちら

一棟物件の購入資金と融資の実態

一棟物件を購入する際、多くの投資家が金融機関の融資を活用します。自己資金だけで数千万円から数億円の物件を購入できる人は限られているためです。融資を受けるには、物件価格の10~20%程度の自己資金(頭金)が必要とされるのが一般的です。たとえば8,000万円の物件なら、800万円から1,600万円の自己資金を用意することになります。

さらに諸費用も自己資金で賄う必要があります。諸費用には、仲介手数料、登記費用、不動産取得税、火災保険料、融資手数料などが含まれ、物件価格の3~5%程度が目安です。8,000万円の物件なら240万円から400万円ほどです。したがって、実際には物件価格の13~25%程度の自己資金が必要になることを覚えておきましょう。

融資の審査では、投資家の年収や勤務先、勤続年数といった属性が重視されます。一般的には年収500万円以上、勤続3年以上が一つの基準とされていますが、これは金融機関によって異なります。また、物件の収益性、立地、築年数、構造なども重要な審査項目です。収益性が高く、駅近で需要のある物件ほど融資が通りやすくなります。

融資期間は物件の耐用年数に大きく影響されます。木造アパートの法定耐用年数は22年、鉄骨造は34年、鉄筋コンクリート造は47年です。多くの金融機関は「耐用年数-築年数」までしか融資を出さないため、築古物件では融資期間が短くなり、月々の返済額が増える傾向があります。

ただし、例外もあります。

複数の金融機関と提携している不動産会社を選ぶことで、融資条件の選択肢が広がります。メガバンク、地方銀行、信用金庫、ノンバンクなど、それぞれ融資基準や金利が異なるため、自分の状況に合った金融機関を見つけることが成功への第一歩です。物件を購入する前に、融資の可能性を確認しておくことをおすすめします。

一棟物件投資を始める前に知るべき不動産業界の現実

一棟物件投資の世界には、初心者が知らない業界の裏側があります。表面利回りが高く見える物件でも、実際には大きな落とし穴が潜んでいることがあります。たとえば、築30年以上の築古物件で利回り12%と表示されている場合、購入後すぐに大規模修繕が必要になり、数百万円の出費が発生するケースもあります。

物件の販売価格には、売主や仲介業者の利益が上乗せされています。特に新築一棟マンションの場合、販売価格の2割から3割が業者の利益や広告費であることも珍しくありません。そのため、購入直後に売却しようとすると、大きく値下がりしてしまうリスクがあります。

これは新築プレミアムと呼ばれる現象です。

サブリース契約にも注意が必要です。「30年一括借り上げ」「空室保証」といった魅力的な言葉で勧誘されることがありますが、契約内容をよく確認しないと後悔することになります。家賃保証額は2年ごとに見直されることが多く、実際には10年後に保証額が大幅に下がるケースもあります。また、オーナー側から契約を解除するのが難しい条項が含まれていることもあります。

不動産業者の中には、物件のリスクを隠して販売する悪質なケースも存在します。たとえば、近隣に新築マンションの建設予定があり、将来的に空室リスクが高まる情報を伝えずに販売する業者もいます。物件を購入する前には、必ず自分自身で周辺環境や賃貸需要を調査することが大切です。

一棟物件の管理会社選びも重要な要素です。管理手数料は一般的に家賃収入の3~5%ですが、会社によってサービス内容が大きく異なります。入居者募集に強い会社、修繕対応が迅速な会社など、それぞれ特色があります。中には管理手数料ゼロを謳う会社もありますが、その場合は他のサービスで費用が発生していないか確認しましょう。

購入後の運営実績は、2棟目以降の融資に大きく影響します。1棟目の物件が黒字経営を維持できていれば、金融機関からの評価が高まり、2棟目、3棟目の購入時に有利な条件で融資を受けられる可能性が高まります。逆に、1棟目で赤字が続くと、規模拡大が難しくなります。最初の一棟の選択が、その後の投資人生を左右するということですね。

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