表面利回り計算シュミレーション実践と正確な収益把握法

表面利回り計算シュミレーションと実践手法

表面利回り8%の物件は実質3%台に落ちる

この記事の3ポイント要約
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表面利回りと実質利回りの差は平均2~3%

諸経費を含まない表面利回りは収益性を過大評価してしまい、実際の手残りは大幅に減少します。

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計算シュミレーションツールで即座に試算可能

エクセルやアプリを活用すれば、物件購入前に表面利回りと実質利回りの両方を簡単に算出できます。

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想定利回りと現況利回りの区別が重要

満室想定の数字だけで判断すると、空室リスクを見落とし、収支計画が大きく狂う可能性があります。

表面利回りの計算式と基本的な考え方

 

表面利回りは不動産投資における最も基本的な指標で、物件の収益性を簡易的に判断するために使われます。計算式は「年間家賃収入÷物件価格×100」というシンプルな構造です。たとえば、物件価格3,000万円で月額家賃10万円の物件なら、年間収入は120万円となり、表面利回りは4%という計算になります。

表面利回りが基本です。

不動産業界では「グロス利回り」とも呼ばれるこの指標は、管理費や固定資産税、修繕費などの諸経費を一切考慮していません。そのため物件間の比較や初期スクリーニングには適していますが、実際の収益性を正確に把握するには不十分です。不動産ポータルサイトや広告に掲載される利回りの多くは、この表面利回りを使用しています。

表面利回りには「想定利回り」と「現況利回り」という2つの種類が存在します。想定利回りは満室状態を前提とした計算で、新築物件や空室が多い物件で使われることが多いです。一方、現況利回りは実際の入居状況を反映した数字で、より現実的な収益性を示します。物件情報を見る際は、どちらの利回りが表示されているのかを必ず確認する必要があります。

広告で「利回り10%」と謳われている物件でも、それが想定利回りであれば実際の収入はもっと低くなる可能性が高いです。空室率を20%と見込むなら、実際の表面利回りは8%程度まで下がります。これは年間で数十万円の収入差につながるため、物件選定の段階で想定と現況を区別することが不可欠です。

不動産投資連合隊の収支シミュレーションでは、表面利回りと実質利回りの両方を自動計算できるツールが提供されています。

表面利回りシュミレーションツールの活用方法

表面利回りの計算シュミレーションには、Excelテンプレート、Web上の無料ツール、スマートフォンアプリという3つの主要な選択肢があります。Excelは自由度が高く、独自の条件を追加してカスタマイズできる点が最大の利点です。一方、Webツールやアプリは入力項目が最小限に絞られており、物件情報を入力するだけで瞬時に利回りが算出されます。

つまり即座に試算できるということですね。

具体的な活用シーンとしては、物件の内見前にスマートフォンアプリで表面利回りを計算し、投資対象として検討に値するかを判断する使い方が効率的です。「不動産投資利回り計算アプリ」や「楽待のシミュレーションツール」などは、物件価格と月額家賃を入力するだけで表面利回りが自動計算されます。特に複数物件を比較する際、このような迅速な計算機能は時間短縮に直結します。

Excelでシュミレーションを行う場合は、表面利回りに加えて実質利回りやキャッシュフロー利回りも同時に算出できる点が強みです。たとえば管理費、修繕積立金、固定資産税、火災保険料などの年間諸経費を別のセルに入力しておけば、条件を変更するたびに自動で再計算されます。これにより「管理費が月1万円増えたら利回りはどう変わるか」といったシナリオ分析が容易になります。

ただし、ツールに頼りすぎるリスクも存在します。初期設定された計算式が間違っていたり、空室率の考慮が甘かったりすると、誤った判断につながる恐れがあります。そのためツールを使う場合でも、最終的には手計算で検証する習慣をつけることが推奨されます。特に表面利回りが相場より極端に高い物件は、入力ミスや想定条件の甘さが隠れている可能性があるため注意が必要です。

楽待のキャッシュフローシミュレーターは、50年先までの税引き後キャッシュフローを試算できる高機能ツールとして知られています。

表面利回りと実質利回りの差が生む誤算

表面利回りと実質利回りの差は平均で2~3%程度とされていますが、物件の種類や築年数によってこの差は大きく変動します。区分マンションの場合、管理費と修繕積立金だけで年間数十万円の支出が発生するため、表面利回り5%の物件が実質利回り3%以下になることも珍しくありません。一棟アパートでは、この差がさらに広がり3~4%に達することもあります。

厳しいところですね。

実質利回りの計算式は「(年間家賃収入-年間諸経費)÷(物件価格+購入時諸費用)×100」となります。年間諸経費には管理費、修繕積立金、固定資産税、都市計画税、火災保険料、空室損失などが含まれます。購入時諸費用には不動産取得税、登録免許税、司法書士報酬、仲介手数料、ローン事務手数料などが該当し、これらは物件価格の7~10%程度に達することが一般的です。

具体例を挙げると、物件価格3,000万円、年間家賃収入240万円(表面利回り8%)の一棟アパートがあったとします。年間諸経費が60万円、購入時諸費用が300万円だった場合、実質利回りは「(240万円-60万円)÷(3,000万円+300万円)×100=5.45%」となり、表面利回りより2.55ポイント低くなります。この差は10年間で数百万円の収益差に直結するため、物件選定時に軽視できません。

表面利回りだけを見て投資判断すると、実際の手残りキャッシュフローが想定を大きく下回る事態に陥ります。特に築古物件では修繕費が予想以上にかさむケースが多く、表面利回り12%の物件でも実質利回りが5%程度まで落ち込むことがあります。そのため物件購入前には必ず実質利回りを計算し、ローン返済額を差し引いた後のキャッシュフローがプラスになるかを確認することが重要です。

表面利回りと実質利回りの差についての詳細解説では、具体的なシミュレーション事例とともに両者の違いが説明されています。

表面利回り計算における注意点と落とし穴

表面利回りの計算で最も見落とされがちなのが、空室率の反映です。不動産広告に記載される利回りは満室想定であることが多く、実際には常に数室が空室となる可能性を考慮していません。たとえば10室のアパートで平均空室率が20%なら、実質的な家賃収入は想定の80%に留まります。この場合、表面利回り8%は実質6.4%まで低下することになります。

意外ですね。

もう一つの落とし穴は、家賃下落リスクを計算に含めていない点です。新築時の家賃を基準に利回りを計算しても、築年数の経過とともに家賃は下がるのが一般的です。首都圏のワンルームマンションでは、築10年で家賃が10~15%程度下落するケースが多く見られます。月額10万円の家賃が8万5千円に下がれば、年間収入は18万円減少し、表面利回りも相応に低下します。

高利回り物件には特有のリスクが潜んでいることも理解しておく必要があります。地方の築古物件で表面利回り15%以上といった数字が出ている場合、立地が悪い、建物が老朽化している、入居者が集まりにくいといった問題を抱えている可能性が高いです。実際に購入後、大規模修繕で数百万円の出費が必要になったり、空室が長期化したりして、想定していた利回りを大きく下回るケースが散見されます。

レントロールの数字を鵜呑みにすることも危険です。売主が利回りを高く見せるために、相場より高い家賃を設定している部屋や、親族に安く貸している部屋が混在していることがあります。このような操作された数字で表面利回りを計算すると、購入後に家賃を適正水準に下げざるを得なくなり、収益計画が崩壊します。物件購入前には、周辺の家賃相場を入念に調査し、レントロールの妥当性を検証することが不可欠です。

表面利回り以外の指標を組み合わせた収益性評価

表面利回りだけで物件の良し悪しを判断するのはリスクが高いため、CCR(自己資金配当率)やROI(投資利益率)といった指標も併用することが推奨されます。CCRは「年間キャッシュフロー÷自己資金×100」で計算され、実際に投入した自己資金に対してどれだけの現金収入が得られるかを示します。たとえば自己資金1,000万円で年間キャッシュフロー80万円なら、CCRは8%となります。

結論はCCRも見るべきということです。

ROIは「(年間キャッシュフロー-ローン返済額)÷投資総額×100」で算出され、ローン返済を含めた実質的な投資効率を測る指標です。表面利回りが高くてもローン返済額が大きければ手残りは少なくなるため、ROIを確認することで真の収益性が見えてきます。物件価格5,000万円、自己資金1,500万円、年間キャッシュフロー300万円、年間ローン返済240万円の場合、ROIは「(300万円-240万円)÷5,000万円×100=1.2%」となります。

NOI利回り(純収益利回り)も重要な指標の一つです。NOIは「Net Operating Income」の略で、「年間家賃収入-運営経費」で求められる純収益のことを指します。NOI利回りは「NOI÷物件価格×100」で計算され、ローン返済を除いた物件そのものの収益力を評価できます。表面利回りが12%でも、運営経費が多ければNOI利回りは8%程度まで下がることもあります。

これらの指標を総合的に判断する際は、まず表面利回りで物件をスクリーニングし、次に実質利回りで詳細検討、最終的にCCRとROIで投資判断を行うという段階的なアプローチが効果的です。表面利回り8%以上の物件をリストアップし、実質利回りが5%以上、CCRが10%以上の条件を満たすものだけに絞り込めば、収益性の高い優良物件を効率的に見つけ出せます。

ROI・CCRの計算方法と活用法では、利回り以外の投資指標について詳しく解説されています。

不動産バブル崩壊前夜―週刊東洋経済eビジネス新書No.305