買主側仲介業者選び方と役割手数料リスク

買主側仲介業者の役割と選び方

買主側の仲介手数料が無料だと損をする

この記事の3つのポイント
🏢

買主側業者の基本的な立場

客付業者として買主の利益を優先し、物件探しから契約までをサポートする役割を持つ

💰

仲介手数料の落とし穴

手数料無料は両手仲介で売主優先になりやすく、買主に不利な条件での契約リスクが高まる

⚠️

囲い込みとあんこの実態

両手仲介を狙った囲い込みや、複数業者が介在するあんこ取引で情報が歪む危険性がある

買主側仲介業者と元付業者の役割の違い

不動産取引において、仲介業者には明確な立場の違いがあります。売主側から直接依頼を受けて物件の販売活動を行うのが元付業者(売主側仲介業者)、一方で買主から依頼を受けて希望物件を探し、購入をサポートするのが客付業者(買主側仲介業者)です。この両者は不動産取引において対極の立場にあり、それぞれ依頼者の利益を代弁する役割を担っています。

元付業者は売主から媒介契約を結び、物件をレインズ(不動産流通標準情報システム)に登録して広く買主を募集します。物件の詳細情報を最も把握しており、売主との直接的なやり取りができるため、価格交渉や契約条件の調整をスムーズに進められる立場です。売主にとって「できるだけ高く、有利な条件で売りたい」という意向を実現するために動きます。

対して買主側仲介業者は、買主の「できるだけ安く、良い条件で買いたい」という要望を叶えるために活動します。レインズや自社ネットワークから物件情報を収集し、買主に適した物件を紹介し、購入判断のサポートや価格交渉を代行します。元付業者との間に入って買主の利益を守る立場であり、重要事項説明や契約書の確認においても買主目線でのチェックを行います。

つまり元付業者と客付業者は利益相反の関係です。

不動産取引の実務では、元付業者と客付業者がそれぞれ売主・買主の代理人として交渉を重ね、双方が納得できる条件を見出していきます。この共同仲介という形態が最も透明性が高く、売主・買主双方にとって公平な取引が実現しやすいとされています。業者選びの際には、自分の立場をしっかりと代弁してくれる業者かどうかを見極めることが重要です。

買主側仲介手数料の仕組みと上限額

不動産売買における仲介手数料は、宅地建物取引業法で上限が定められています。買主側仲介業者が受け取れる報酬の上限は、取引額が400万円を超える場合、「売買価格×3%+6万円」に消費税を加えた金額です。例えば3000万円の物件なら、上限は105万6000円となります。

これが原則です。

ただし、実際の取引では手数料が無料になったり、割引されたりするケースも存在します。その背景には「両手仲介」という仕組みがあります。一つの不動産会社が売主と買主の両方を仲介する両手仲介では、売主と買主の双方から仲介手数料を受け取れるため、合計で約211万円の報酬となります。この場合、買主側の手数料を無料にしても売主側から報酬を得られるため、ビジネスとして成立するのです。

しかし、買主側の手数料無料には注意が必要です。仲介業者が売主側からのみ報酬を受け取る場合、どうしても売主の利益を優先した動きになりがちです。価格交渉での妥協を促されたり、物件の不具合について十分な説明がなされなかったり、買主に不利な契約条件を見過ごされる可能性が高まります。中立性が損なわれるリスクがあるということですね。

また、仲介手数料以外の名目で費用を請求されるケースもあります。「コンサルティング料」「調査費用」「書類作成費」といった名目で別途請求されれば、結局は手数料無料のメリットが相殺されてしまいます。手数料無料を謳う業者と契約する際は、その他の費用について事前に詳細な確認が必須です。

さらに、共同仲介の場合は買主が支払う手数料は変わりませんが、売主側・買主側業者間での報酬配分でトラブルになるケースがあります。間に「あんこ業者」と呼ばれる中間業者が入ると、実際に業務を行った買主側業者が受け取る報酬が減少し、サービスの質に影響が出る可能性もあるため注意が必要です。

買主側仲介業者の調査義務と説明責任

買主側仲介業者には、宅地建物取引業法に基づく重要な調査義務と説明責任があります。宅建業法35条に定められた重要事項説明は、買主が契約を締結するかどうかを判断する上で欠かせない情報を提供する義務です。物件の登記情報、法令上の制限、インフラ整備状況、契約解除の条件などを書面で交付し、宅地建物取引士が説明しなければなりません。

これは法的義務です。

さらに、宅建業法47条1項1号では、「契約の締結の可否の判断に重要な影響を及ぼす事項」について故意に事実を告げない、または不実を告げることを禁じています。つまり、法律で列挙された項目以外でも、買主の購入判断に大きく影響する事項については、積極的に調査し説明する義務が課せられているのです。

具体例として、過去の裁判例では以下のような事項について仲介業者の調査・説明義務違反が認められています。近隣に暴力団事務所がある場合、飲食店として利用できない用途制限がある場合、保安林指定により伐採ができない山林である場合などです。これらは重要事項説明書に必ずしも記載が義務付けられていない事項ですが、買主の利益に重大な影響を及ぼすため説明義務があるとされました。

ただし、調査義務の範囲には限界もあります。仲介業者は不動産の専門家として通常行うべき調査を行えば足り、あらゆる事項について無限に調査する義務があるわけではありません。例えば、売主が意図的に隠蔽した重大な欠陥について、通常の調査では発見できなかった場合は、業者の責任が問われないケースもあります。

買主側業者を選ぶ際には、この調査・説明義務をきちんと果たす姿勢があるかを確認しましょう。物件の現地調査をしっかり行うか、役所での法令調査を怠らないか、近隣環境についても情報収集するか、といった点をチェックすることで、信頼できる業者かどうかを見極められます。調査が不十分な業者は、後々のトラブルにつながるリスクが高いためです。

仲介業者の調査・説明義務の詳細については、こちらの法律事務所の解説が参考になります

両手仲介と囲い込みリスクへの対処

不動産取引における両手仲介そのものは違法ではありません。一つの不動産会社が売主と買主の両方を見つけて仲介する形態で、業務量が増える分、双方から報酬を得られる仕組みです。ただし、この両手仲介を狙うあまり、不適切な「囲い込み」を行う業者が存在することが業界の大きな問題となっています。

囲い込みとは、売主から専任媒介契約を受けた業者が、他社からの買主紹介を意図的に拒否する行為です。レインズには物件を登録しながらも、他社から問い合わせがあると「