一般媒介と専任媒介の違い|契約期間・報告義務・成約率の比較

一般媒介と専任媒介の違い

専任媒介契約でも囲い込みリスクは存在します。

この記事の要点
📋

契約の自由度

一般媒介は複数社と契約可能で自由度が高いが、専任媒介は1社のみとの契約で売却活動に集中できる

📊

報告義務と透明性

専任媒介は2週間に1回以上の報告義務があり売却状況を把握しやすいが、一般媒介には報告義務がない

⏱️

成約までの期間

専任媒介は平均212日、一般媒介は平均235日と専任媒介の方が約23日早く成約する傾向がある

一般媒介契約と専任媒介契約の基本的な違い

 

不動産売却における媒介契約には、大きく分けて「一般媒介契約」と「専任媒介契約」の2つの形態が存在します。この2つの契約形態は、不動産業従事者として売主に適切なアドバイスをするために必ず理解しておくべき基礎知識です。

一般媒介契約は、売主が複数の不動産会社と同時に媒介契約を締結できる契約形態を指します。売主は自由に複数の不動産会社に物件の売却を依頼でき、さらに自分で買主を見つける自己発見取引も認められています。

契約の自由度が高い点が最大の特徴です。

専任媒介契約は、売主が特定の1社とのみ媒介契約を締結する形態です。複数の不動産会社への依頼は禁止されますが、自己発見取引は認められています。専任媒介契約を締結した不動産会社は、契約締結後7営業日以内にレインズ(指定流通機構)への物件登録が義務付けられており、2週間に1回以上の業務処理状況の報告義務も負います。

これが基本です。

さらに厳格な「専属専任媒介契約」も存在します。こちらは専任媒介契約と同様に1社のみとの契約ですが、自己発見取引も禁止されています。レインズへの登録期限は5営業日以内、報告義務は1週間に1回以上とより厳しい条件が設定されています。

2025年のレインズデータによると、新規登録物件の取引態様別の割合は、専任媒介が約34%、一般媒介が約21%、売主直販が約34%となっています。専任媒介が最も多く選ばれている媒介契約形態です。

レインズの活用状況データ(不動産流通推進センター)

不動産業従事者として重要なのは、それぞれの契約形態が売主の物件特性や売却希望条件によって向き不向きがあるという点を理解することです。人気エリアの物件なのか、売却を急いでいるのか、最高値での売却を目指すのかによって、最適な媒介契約の種類は変わってきます。

一般媒介契約のレインズ登録義務と実務上の注意点

一般媒介契約には、宅地建物取引業法上のレインズ登録義務がありません。これは専任媒介契約との最も大きな実務上の違いの一つです。

レインズへの登録義務がないということは、不動産会社の判断で物件情報を登録しない選択も可能ということです。実際に、一般媒介契約で依頼を受けた物件をレインズに登録しない不動産会社も存在します。登録しない主な理由は、他社で成約される可能性があり広告費や営業労力が無駄になるリスクを避けるためです。

しかし売主側から見ると、レインズに登録されないことで物件の露出機会が減少し、結果的に売却に時間がかかる可能性があります。

つまり登録しないと不利です。

不動産業従事者として一般媒介契約を締結する際には、売主に対してレインズ登録の有無を事前に明確に説明する必要があります。レインズに登録しない場合、その理由と売却活動への影響を丁寧に伝えることで、後々のトラブルを防ぐことができます。

信頼関係の構築には透明性が不可欠です。

レインズは全国の宅建業者が物件情報を共有するシステムで、2023年の統計ではレインズ経由での成約が全体の約40%を占めているというデータもあります。この数字を見れば、レインズ登録が売却成功に与える影響の大きさが分かるでしょう。

媒介契約制度について(近畿レインズ)

一般媒介契約で複数社に依頼している場合、各社がそれぞれ異なる売却戦略を取ることもあります。ある会社はレインズに登録し、別の会社は自社のみで囲い込むというケースも発生しえます。売主にとっては情報管理が複雑になるため、不動産業従事者として適切なアドバイスが求められる場面です。

一般媒介契約における報告義務の有無とその影響

一般媒介契約には、宅地建物取引業法上の業務処理状況の報告義務がありません。これは専任媒介契約の2週間に1回以上という報告義務と大きく異なる点です。

報告義務がないことで、不動産会社側は売却活動の状況を売主に定期的に伝える法的義務を負いません。問い合わせ件数、内覧の実施状況、広告の反響などの情報が売主に届かないケースも発生します。

売主は販売状況を把握できません。

実務上、報告義務がないからといって全く報告をしない不動産会社ばかりではありません。むしろ積極的に報告してくれる良心的な会社も多く存在します。しかし法的義務がない以上、報告の頻度や内容は各社の裁量に委ねられているのが現実です。

福山市内の中古住宅を対象とした調査データによると、一般媒介契約での平均成約日数は約235日、専任媒介契約では約212日という結果が出ています。一般媒介の方が約23日長い期間がかかっています。この差が生まれる理由の一つが、報告義務の有無による販売状況の可視化の違いです。

媒介契約の違いが成約に与える影響のデータ分析

専任媒介契約では定期的な報告により、問い合わせが少ない場合には価格調整や販売戦略の見直しを早期に行えます。これに対し一般媒介契約では販売状況が不透明なため、適切なタイミングでの価格改定が遅れる傾向があります。結果として販売期間が長期化するリスクが高まります。

不動産業従事者として一般媒介契約を提案する際には、定期的な報告を自主的に行うことを明示し、売主の不安を軽減する工が必要です。報告体制を整えることで一般媒介契約の弱点を補うことができます。

これは実践的な対策です。

一般媒介と専任媒介の成約率と売却価格の実態

成約率のデータを見ると、媒介契約の種類による違いが明確に表れています。レインズのデータによると、専属専任媒介契約の成約率は専任媒介契約よりも約2.5ポイント高く、一般媒介契約の成約率は最も低い水準となっています。

この成約率の差が生じる背景には、不動産会社のモチベーションの違いがあります。専任媒介契約や専属専任媒介契約では、成約すれば確実に仲介手数料を得られるため、広告費や人的リソースを積極的に投入できます。一方、一般媒介契約では他社で成約される可能性があるため、費用対効果を慎重に判断せざるを得ません。

早い者勝ちの側面があります。

売却価格に関する興味深いデータもあります。福山市内の調査では、専任媒介契約の値下げ率が平均12.4%に対し、一般媒介契約は10.6%と約1.8ポイント低い結果となっています。つまり、一般媒介の方が当初価格からの値下げ幅が小さいということです。

この現象は一見すると一般媒介が有利に見えますが、実態は異なります。専任媒介では定期報告により市場の反応を把握しやすく、適切なタイミングで価格調整を行えるため早期成約につながります。一般媒介では報告がないため価格調整のタイミングを逃し、結果的に売却期間が長期化するケースが多いのです。

仮に2000万円の物件であれば、1.8ポイントの差は36万円、2500万円なら45万円の違いとなります。

数字だけ見ると大きいですね。

しかし売却期間が23日長くなることで、その間の固定資産税や管理費、場合によってはローンの利息負担が続きます。早期売却と多少の値下げのどちらが売主にとって有利かは、個別の状況によって判断する必要があります。

これが判断基準です。

不動産業従事者として重要なのは、こうしたデータを基に売主の状況に合わせた提案を行うことです。早期売却を優先するなら専任媒介、時間をかけてでも高値を狙うなら一般媒介という単純な図式ではなく、物件の魅力度や市場環境も含めた総合的な判断が求められます。

一般媒介契約での囲い込みリスクと両手仲介の実態

囲い込みは不動産業界の3大タブーの一つとされる行為です。専任媒介契約や専属専任媒介契約で発生しやすいと一般的に考えられていますが、実は一般媒介契約でも囲い込みのリスクは存在します。

一般媒介契約ではレインズへの登録義務がないため、不動産会社が意図的に物件情報を自社のみで保有し、他社に紹介しないという囲い込みが可能です。複数社と契約していても、各社が同じように囲い込めば結果的に物件の露出は限定されます。

注意が必要です。

両手仲介とは、1つの不動産会社が売主と買主の両方から仲介手数料を受け取る取引形態を指します。片手仲介では売主側から仲介手数料のみを受け取りますが、両手仲介では買主側からも受け取れるため、不動産会社にとっては収益が2倍になります。

例えば5000万円の物件が成約した場合、仲介手数料の上限は「5000万円×3%+6万円+消費税」で171.6万円です。片手仲介なら171.6万円ですが、両手仲介なら343.2万円の収益となります。

この差は大きいです。

大手不動産仲介会社の一部では、両手仲介の比率が50%前後に達しているというデータもあります。これは囲い込みが疑われるレベルの高い数字といえます。本来、市場で適正に流通していれば両手仲介の比率は20~30%程度が自然な水準とされています。

大手不動産会社の両手仲介比率に関する調査記事

一般媒介契約で囲い込みリスクを減らすためには、複数の不動産会社に依頼すると同時に、各社にレインズ登録を依頼し、登録証明書の提出を求めることが有効です。さらに、定期的に各社から活動報告を受け、問い合わせ状況や内覧実績を比較することで、不自然な動きを察知できます。

不動産業従事者として、自社が両手仲介を過度に追求せず、売主の利益を最優先する姿勢を明確にすることが信頼構築につながります。透明性のある取引を心がけることで、長期的な顧客関係を築くことができます。

これは重要な視点です。

一般媒介契約と専任媒介契約の契約期間と更新手続きの違い

専任媒介契約および専属専任媒介契約の契約期間は、宅地建物取引業法により最長3ヶ月と定められています。3ヶ月を超える期間を設定した契約は、法律上自動的に3ヶ月に短縮されます。

これは法定事項です。

契約期間が3ヶ月に制限されている理由は、売主を保護するためです。専任媒介契約では1社のみとの契約となり、その会社が適切な売却活動を行わない場合に売主が不利益を被る可能性があります。そのため定期的に契約を見直す機会を設けることで、売主の選択肢を確保しています。

専任媒介契約の更新は自動更新ではありません。契約期間満了時に売主から更新の申し出がない限り、契約は終了します。更新する場合も、再度3ヶ月以内の期間で契約を結び直す必要があります。

一方、一般媒介契約には法律上の契約期間の制限がありません。理論的には3ヶ月を超える期間での契約も可能です。ただし実務上は、国土交通省が定める標準媒介契約約款に従い、3ヶ月を目安とするケースが大半を占めています。

一般媒介契約では自動更新条項を設けることも法律上は可能とされていますが、標準約款では推奨されていません。売主の意思を定期的に確認するという観点から、専任媒介と同様に3ヶ月ごとの更新が望ましいとされています。

契約期間中の解除に関しても違いがあります。専任媒介契約を売主の都合で一方的に解除する場合、不動産会社が実際に要した広告費用や営業経費の実費を請求される可能性があります。ただし仲介手数料相当額を超える請求は原則として認められません。

専属専任媒介契約では、自己発見取引が禁止されているため、売主が自分で買主を見つけて直接取引した場合、違約金として仲介手数料相当額を請求される可能性があります。

契約違反となります。

一般媒介契約の解除は、基本的に違約金なしで可能です。不動産会社側に売却活動義務が法定されていないため、売主側にも特段の制約がないという考え方です。

ただし実費請求される場合はあります。

不動産業従事者として契約締結時には、契約期間と更新・解除のルールを明確に説明することが重要です。特に専任媒介契約では、3ヶ月という期間内に全力で売却活動を行う姿勢を示し、定期報告を通じて信頼関係を構築することが求められます。


宅建 媒介契約_一般・専任・専属専任