監督処分宅建の種類と手続
指示処分違反すると業務停止になります。
監督処分宅建業者への指示処分とは
宅建業法に違反した業者に対して最初に科される処分が指示処分です。これは違反行為の是正や改善を命じる行政命令で、監督処分の中では最も軽いものになります。
指示処分を行えるのは免許権者(国土交通大臣または都道府県知事)と、業務を行っている都道府県の知事の両方です。たとえば東京都知事免許の業者が大阪府で違反行為を行った場合、東京都知事だけでなく大阪府知事も指示処分を科すことができます。
これが処分権限の基本です。
指示処分の対象となる主な事由は、業務に関して取引関係者に損害を与えた場合や与えるおそれが大きい場合、宅建業法違反をした場合、他の法令に違反して宅建業者として不適当と認められた場合などがあります。重要事項説明の記載漏れや報酬額の掲示義務違反などが典型的な事例となります。
指示処分には聴聞が必要ですが、公告は不要です。つまり、指示処分を受けても一般には公表されません。ただし、指示処分に従わない場合は次の業務停止処分の対象となるため、決して軽視できる処分ではありません。
不動産業に従事している場合、この指示処分のリスクを回避するためには、宅建業法の条文をしっかり確認し、業務フローにチェック機能を組み込むことが重要です。契約書や重要事項説明書のダブルチェック体制を構築すれば、多くの違反を未然に防げます。
監督処分宅建業者への業務停止処分の期間
業務停止処分は、1年以内の期間を定めて宅建業の全部または一部を停止させる処分です。指示処分よりも重い制裁で、違反の程度に応じて停止期間が決定されます。
処分権者は指示処分と同じく、免許権者と業務地の知事の両方です。業務停止処分の主な対象事由は、指示処分に違反した場合、業務に関して他の法令に違反し宅建業者として不適当と認められる場合、取引士が事務禁止処分や登録消除処分を受けた場合で宅建業者の責めに帰すべき理由がある場合、営業保証金の不足額の供託を怠った場合、重要事項説明義務に違反した場合などがあります。
業務停止処分を受けると公告されます。公告は都道府県の公報や国の官報に掲載されるため、社会的信用が大きく損なわれる結果となります。業務停止期間中は新規の契約締結が一切できず、既存の契約の履行業務のみ認められます。
東京都の処分基準を例にすると、重要事項説明義務違反であれば1ヶ月から3ヶ月、指示処分違反であれば3ヶ月から6ヶ月といった標準的な期間が設定されています。情状により最長1年まで延長される可能性もあります。
業務停止処分に違反して営業を続けた場合、必ず免許取消処分になります。さらに刑事罰(2年以下の懲役または300万円以下の罰金)の対象にもなります。業務停止中に取引を進めることは絶対に避けるべきです。
監督処分宅建業者への免許取消処分事由
免許取消処分は監督処分の中で最も重い制裁です。免許取消処分ができるのは免許権者のみで、業務地の知事には権限がありません。
免許取消処分には必要的取消と任意的取消の2種類があります。必要的取消とは、該当事由が生じたら必ず免許を取り消さなければならないものです。その事由は不正手段により免許を受けた場合、業務停止処分に違反した場合、業務停止処分事由に該当し情状が特に重い場合、免許を受けてから1年以内に事業を開始しない場合、引き続き1年以上事業を休止した場合の5つです。
任意的取消は免許権者の裁量で取消しの可否を判断できるもので、宅建業者の事務所所在地が確知できない場合がこれに該当します。この場合、都道府県の公報で事実を公告し、公告の日から30日経過しても申出がないときに限り免許取消ができます。
免許取消処分を受けた法人の役員は、聴聞の期日等の公示日前60日以内にその法人の役員であった者も含めて、5年間は新たに宅建業の免許を取得できません。
これを欠格事由といいます。
つまり一人の役員の不正により、他の善良な役員も巻き添えで欠格になるということです。
免許取消を避けるためには、業務停止処分を受けた時点で速やかに業務を停止し、違反行為の是正と再発防止策を徹底することが唯一の方法です。コンプライアンス研修の実施や外部の専門家によるチェック体制の導入も効果的です。
監督処分宅建士への処分の違い
宅建士個人に対する監督処分も3段階あります。指示処分、事務禁止処分、登録消除処分の3つで、宅建業者への処分とは別物です。
宅建士への指示処分は、他社の専任宅建士である旨を不当に表示した場合、名義貸しを許して他人にその名義を使用させた場合、宅建士の事務に関して不正または著しく不当な行為をした場合などが対象です。処分権者は登録をしている都道府県知事のみです。
事務禁止処分は1年以内の期間を定めて宅建士としての事務を禁止する処分です。
指示処分に違反した場合などに科されます。
事務禁止処分を受けた宅建士は、速やかに宅建士証を知事に提出しなければなりません。提出しない場合は10万円以下の過料に処せられます。
登録消除処分は宅建士登録を抹消する最も重い処分です。宅建士登録の欠格要件に該当した場合、不正手段により登録を受けた場合、不正手段により宅建士証の交付を受けた場合、事務禁止処分事由に該当する場合で情状が特に重い場合、事務禁止処分に違反した場合に必ず登録消除されます。
これは義務です。
登録消除された場合は、宅建士証を返納しなければなりません。欠格要件に該当すると5年間は再登録できないため、実質的に宅建士としてのキャリアが断たれることになります。
厳しい処分ですね。
宅建士個人が処分を受けるリスクを避けるには、名義貸しを絶対に行わない、重要事項説明時には必ず宅建士証を提示する、不正確な説明をしないといった基本を徹底することです。当たり前のルールを守るだけで、ほとんどの処分は回避できます。
監督処分宅建での聴聞と公告の手続
監督処分を行う際には、必ず聴聞という手続が必要です。聴聞とは、処分を受ける者に弁明や証拠提出の機会を与える公開の手続です。
聴聞の実施にあたっては、処分権者は聴聞の期日の1週間前までに宅建業者に対して、聴聞の期日および場所などを通知しなければなりません。
同時に聴聞の期日および場所が公示されます。
聴聞の審理は原則として公開により行われます。
すべての監督処分で聴聞が必要です。指示処分、業務停止処分、免許取消処分のすべてで聴聞を行わなければならないという点は重要です。
試験でよく問われるポイントです。
一方、公告は業務停止処分と免許取消処分を行った場合にのみ必要です。指示処分の場合は公告不要という違いがあります。また、宅建士への処分(指示処分、事務禁止処分、登録消除処分)はいずれも公告不要です。
処分を受けた業務地の知事が指示処分や業務停止処分を行った場合は、その知事は免許権者に対して遅滞なく通知しなければなりません。この通知により免許権者は自らの免許業者の状況を把握できます。
通知と公告は別物ですね。
聴聞の手続を経ずに処分を行った場合、その処分は違法となり取り消される可能性があります。適正手続の保障という観点から聴聞は必須です。業者側も聴聞の機会を有効活用して、違反の経緯や改善策を説明すべきです。
国土交通省の宅地建物取引業者に対する監督処分の情報は、ネガティブ情報等検索システムで最近5年分が公開されています。処分を受けた業者名や処分内容、処分理由が確認できるため、同業者の事例を学ぶための参考資料として活用できます。
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