速算式 宅建の計算方法と実務活用
建物の消費税を抜き忘れると報酬が10%も過大になります
速算式 宅建の基本的な計算ステップ
速算式は宅建試験で毎年1問必ず出題される重要分野です。報酬額の計算は複雑に見えますが、正しい手順を覚えれば確実に得点できる問題となります。
計算の基本は4つのステップで構成されています。まず税金調整を行い、次に特例の適用を確認し、速算式で計算してから最後に消費税を課税する流れです。この順序を間違えると正解にたどり着けません。
計算の4ステップは以下の通りです。
✅ ステップ1:建物の消費税を抜いて税抜価格にする(土地は非課税なのでそのまま)
✅ ステップ2:800万円以下なら空き家特例が使えるか確認する
✅ ステップ3:取引価格の区分に応じた速算式で計算する
✅ ステップ4:算出額に消費税1.1倍(課税事業者)または1.04倍(免税事業者)を乗じる
多くの受験者が間違えるのは、建物の消費税を抜き忘れることです。例えば土地付き建物3,300万円(うち土地1,000万円、建物2,300万円)の場合、建物2,300万円÷1.1=2,090万9,091円として、土地1,000万円と合算した3,090万9,091円で計算します。
この手順を省略すると約10%も過大な報酬計算になります。
実務では契約書に消費税額が明記されていない物件もあるため、売主が課税事業者か免税事業者かを確認する習慣が重要です。個人が売主の中古物件は建物も非課税扱いとなるケースが多く、この場合は消費税調整が不要となります。
速算式 宅建における3つの料率区分
速算式は取引価格を3つの区分に分けて、それぞれ異なる料率で計算する仕組みです。200万円以下、200万円超400万円以下、400万円超の3段階が設定されており、取引価格が上がるほど料率が下がる累進構造になっています。
3つの区分と速算式は以下の通りです。
📌 200万円以下:取引価格×5%
📌 200万円超400万円以下:取引価格×4%+2万円
📌 400万円超:取引価格×3%+6万円
この速算式の「+2万円」や「+6万円」は、本来3段階に分けて計算すべきものを一気に計算するための調整額です。400万円超の物件で「×3%」だけだと不足する分を「+6万円」で補正しています。
つまり+6万円は計算ミスではありません。
覚え方のコツは「5・4・3、2・・・6(?)」とカウントダウンする感覚です。料率は5%から3%へ下がっていくのに、最後だけ6万円と数字が上がるので印象に残ります。視覚的に表を画像として捉えると暗記しやすくなります。
実務で1,000万円の物件を扱う場合、1,000万円×3%+6万円=36万円が報酬上限(税抜)となります。これに消費税1.1倍すると39万6,000円が最終的な上限額です。この計算を5秒以内にできるようになると試験時間に余裕が生まれます。
速算式 宅建で頻出する消費税の二重トラップ
報酬計算で最も失点が多いのが消費税の扱いです。消費税には「物件価格に含まれる消費税」と「報酬に課税する消費税」の2種類があり、この二重構造が混乱の原因となっています。
トラップ1は物件価格に含まれる消費税です。建物価格には消費税が含まれているため、報酬計算の前に必ず税抜価格に戻さなければなりません。例えば建物2,200万円と表示されていても、これは税込価格なので2,200万円÷1.1=2,000万円として計算します。
土地は消費税非課税なのでそのまま使います。
トラップ2は報酬額に課税する消費税です。速算式で算出した金額は税抜の報酬上限なので、実際に受領できる金額は消費税を加えた額になります。課税事業者なら1.1倍、免税事業者なら1.04倍(みなし仕入率による調整)を乗じます。
この2段階の消費税処理を理解していないと、「どこで消費税を抜くのか」「どこで消費税を足すのか」が混乱します。正解は「最初に建物から抜いて、最後に報酬に足す」というサンドイッチ構造です。途中で消費税を足したり引いたりしてはいけません。
平成5年と平成2年の過去問では免税事業者の1.04倍計算が出題されており、課税事業者の1.1倍だけを覚えていると対応できません。近年は出題頻度が低いですが、念のため両方のパターンを押さえておくと安心です。
速算式 宅建の空き家特例と報酬上限
2024年7月の法改正により、低廉な空き家等の報酬特例が大幅に拡充されました。従来は400万円以下の物件が対象で売主から最大18万円(税別)でしたが、現在は800万円以下に拡大され、売主・買主双方から最大30万円(税別)まで受領可能となっています。
この特例は空き家問題の解決を目的として設けられたものです。低額物件では通常の報酬計算だと数万円にしかならず、宅建業者が取り扱いを避ける傾向がありました。特例により現地調査費用と報酬を合わせて30万円(税別)まで請求できるため、業者の積極的な関与が期待されています。
特例適用の3つの条件は以下の通りです。
🔸 税抜800万円以下の宅地・建物の売買または交換であること
🔸 媒介または代理の依頼を受けた取引であること(賃貸は対象外)
🔸 事前に売主・買主へ説明し書面で合意を得ること
注意点は賃貸取引には適用されないことです。あくまで売買・交換の媒介と代理が対象となります。また、「事前の合意」は媒介契約締結時に行う必要があり、報酬請求時の合意では認められません。
実務では400万円の空き家を扱う場合、通常計算なら400万円×4%+2万円=18万円(税別)ですが、特例を使えば30万円(税別)まで請求できます。消費税込みでは33万円となり、従来の19.8万円から約13万円も増額されました。
代理の場合は上限が2倍の66万円(税込)となります。
2025年以降の試験では改正後の「800万円」「30万円」の数字が正解となるため、古いテキストで「400万円」「18万円」と覚えていると誤答になります。最新の数字を確実に記憶することが合格の鍵です。
空き家特例の改正内容と実務への影響はこちらで詳しく解説されています
速算式 宅建の代理と媒介の報酬上限比較
代理と媒介では報酬の上限額が大きく異なります。代理の場合は依頼者から媒介の2倍まで受領できますが、取引全体としての上限は媒介の2倍までという制限があるため注意が必要です。
1,000万円の物件を例にすると、速算式で36万円(税抜)が算定額となります。媒介の場合は売主・買主それぞれから36万円ずつ、合計72万円(税抜)が上限です。代理の場合は依頼者から72万円(税抜)を受領できますが、相手方からも受け取るなら合計で72万円を超えられません。
つまり代理は「一人から2倍もらえる」だけです。
間違いやすいのは「代理だから両方から2倍ずつもらえる」と考えることです。取引全体での上限72万円(税抜)は変わらないため、売主から代理として72万円もらったら買主からは0円、買主から36万円もらうなら売主からも36万円が上限となります。
複数の宅建業者が関わる場合も同じルールが適用されます。業者Aと業者Bがそれぞれ売主・買主の媒介をしても、各業者が受領できるのは36万円ずつで、合計72万円を超えることはできません。これは「1つの取引の報酬上限は2倍まで」という原則があるためです。
民法では双方代理が原則禁止されているため、一つの業者が売主・買主両方の代理を務めることは通常ありません。ただし両者の承諾があれば例外的に認められるケースもあり、その場合でも報酬上限72万円(税抜)の制限は変わりません。
実務で代理契約を結ぶ際は、報酬額と相手方からの受領可能性を明確に説明することが重要です。後から「代理なのに2倍もらえない」とトラブルになるのを防ぐため、契約書面で上限額を明記する習慣をつけましょう。
速算式 宅建の賃貸報酬計算と居住用の特殊ルール
賃貸借の報酬計算は売買とは全く異なる仕組みです。基本は借賃1か月分が上限ですが、居住用建物かそれ以外かで細かいルールが変わるため、この区別を正確に理解する必要があります。
居住用建物(マンション・アパート等)の場合、原則として貸主・借主それぞれから0.5か月分ずつしか受領できません。ただし事前に依頼者の承諾を得ていれば、一方から0.5か月分を超えて受領することも可能です。
この場合も合計1か月分が上限となります。
「事前の承諾」は媒介契約締結時に必要です。
居住用建物以外(店舗・事務所・宅地等)の場合、事前承諾は不要で、貸主・借主からどのような割合で受領しても構いません。合計で借賃1か月分以内という制限だけが適用されます。さらに権利金がある場合は、権利金を売買代金とみなして速算式で計算した額と、借賃1か月分のうち高い方を上限として選択できます。
例えば家賃10万円の居住用アパートなら、承諾なしでは貸主・借主各5万円ずつが上限です。消費税込みで各5.5万円、合計11万円となります。一方が承諾して一方から10万円もらう場合、もう一方からは0円となります。
店舗で家賃20万円、権利金500万円の場合、速算式では500万円×3%+6万円=21万円(税抜)となります。借賃1か月分20万円より高いので、21万円×1.1=23.1万円(税込)が上限です。これは貸主・借主の合計額なので配分は自由に決められます。
2024年改正で追加された「長期空き家等の特例」では、1年以上使用されていない物件の賃貸媒介で借賃2か月分(2.2倍が上限)まで受領可能となりました。この特例は貸主のみから受領でき、借主からは通常通り最大0.5か月分となります。
実務では居住用か事業用かの判断が重要です。契約書の用途欄が「居住」となっていても、実際には事務所として使う場合は居住用建物の制限が適用されないケースもあります。
用途の実態を確認する習慣が必要です。
速算式 宅建の試験対策と頻出パターン分析
宅建試験では報酬計算問題がほぼ毎年1問出題されており、出題パターンはある程度固定されています。過去10年の傾向を分析すると、消費税の扱い、代理と媒介の区別、空き家特例の適用、複数業者が関わるケースの4パターンが繰り返し出題されています。
最も頻出なのは消費税の処理を問うパターンです。建物の消費税を抜き忘れさせる問題、報酬に消費税を加えるのを忘れさせる問題、課税事業者と免税事業者を混同させる問題などが典型的です。これらは計算手順を正確に覚えていれば確実に正解できます。
次に多いのは代理と媒介の上限額の違いを問うパターンです。「代理なら2倍もらえる」という知識だけでは不十分で、「取引全体で2倍が上限」というルールまで理解していないと引っかかります。特に相手方からも受領する場合の計算が頻出です。
空き家特例は2024年改正後の初出題となるため、2025年以降の試験で狙われる可能性が高いです。「800万円以下」「30万円」「売主・買主双方」という新しい数字を正確に覚えているかが問われるでしょう。従来の「400万円」「18万円」と混同しないよう注意が必要です。
試験対策の3つのポイントは以下の通りです。
✏️ 計算手順を型として覚え、問題文の数字を当てはめるだけにする
✏️ 関係図を必ず書いて、各当事者の上限額を図示してから解く
✏️ 過去問を最低5年分、できれば10年分を3周以上繰り返す
時間配分も重要です。報酬計算は時間がかかるため、試験開始直後ではなく、他の問題を先に解いて時間に余裕を作ってから取り組むのが賢明です。焦って計算ミスするより、落ち着いて確実に得点する戦略が合格への近道となります。
計算用紙の使い方も工夫しましょう。取引価格、算定額、消費税込み額を縦に並べて書くと、どの段階で間違えたかが一目で分かります。見直しの際に計算過程を追えるため、ケアレスミスの発見率が上がります。
報酬制限の覚え方と計算方法の完全ガイドはこちらで詳しく解説されています
速算式 宅建の実務応用と顧客説明のコツ
速算式の知識は試験合格だけでなく、実務でも日常的に活用します。顧客から「仲介手数料はいくらですか」と聞かれた際、瞬時に正確な金額を答えられることが信頼獲得につながります。
実務で最も多い質問は「なぜ3%+6万円なのか」という理由です。顧客は「3%だけじゃないの?」と疑問を持つことが多いため、速算式の仕組みを分かりやすく説明するスキルが求められます。説明のコツは「本来は3段階に分けて計算する複雑な方法を、簡単にするための調整額です」と伝えることです。
次に多いのは「税込か税抜か」の質問です。広告やチラシで「3%+6万円」と表示すると、これが税抜であることを理解していない顧客もいます。実際の支払額は消費税込みで「3.3%+6.6万円」相当になることを、見積書や契約書で明示する必要があります。
空き家特例についても説明が必要です。800万円以下の物件で特例を適用する場合、通常より高い報酬を請求することになるため、事前の丁寧な説明と書面での合意が不可欠です。「現地調査に時間がかかる」「周辺環境の確認が必要」など、特例を使う理由を具体的に伝えましょう。
代理契約を結ぶ際は、相手方からも報酬を受領する可能性を説明します。「売主様の代理として最大72万円いただけますが、買主様からも受領する場合は合計で72万円までとなります」と事前に伝えることで、後のトラブルを防げます。
賃貸の場合は居住用か事業用かで説明が変わります。居住用アパートの借主に「通常は0.5か月分ですが、貸主様の承諾があれば1か月分いただくことも可能です」と説明する際は、承諾の有無を確認済みであることを明確にします。
実務で報酬トラブルを避けるポイントは、媒介契約書に報酬額を明記することです。口頭での説明だけでなく、書面で「上限○○万円(税込)」と記載し、顧客の署名をもらいます。後から「聞いていない」「高すぎる」と言われるリスクを減らせます。
法改正の情報は業界紙やセミナーで定期的にアップデートしましょう。2024年の空き家特例改正のように、数字が変わることは今後もあり得ます。古い知識で顧客に説明すると信用を失うため、常に最新情報を把握する習慣が重要です。

