名義変更登記 費用の相場と内訳を徹底解説

名義変更登記の費用と税金の仕組み

贈与の登録免許税は相続の5倍です

この記事のポイント
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費用は2つの要素で構成

登録免許税(国に納める税金)と司法書士報酬(専門家への依頼料)が主な費用です

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原因別で税率が大きく変わる

相続0.4%、贈与2%、売買2%(土地は軽減措置で1.5%)と税率に最大5倍の差があります

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義務化で過料リスクが発生

相続登記は3年以内の申請が義務化され、正当な理由なく放置すると10万円以下の過料対象です

名義変更登記の費用を構成する2つの要素

 

不動産の名義変更登記にかかる費用は、大きく分けて「登録免許税」と「司法書士報酬」の2つで構成されています。顧客から「名義変更にいくらかかるの?」と聞かれた際、この2つを明確に分けて説明できることが、不動産業従事者として信頼を得る第一歩です。

登録免許税は、法務局に登記申請する際に国に納める税金で、不動産の固定資産税評価額に一定の税率をかけて計算します。この税金は司法書士に依頼しても自分で手続きしても金額は変わりません。

つまり必須の実費です。

一方、司法書士報酬は専門家に手続きを代行してもらう際の費用で、相場は5万円から15万円程度となっています。不動産の個数や相続人の数、遺産分割協議書の作成が必要かどうかなど、案件の複雑さによって金額が変動します。報酬は事務所によって異なるため、複数の司法書士事務所から見積もりを取ることを顧客に勧めるのも一つの方法です。

その他の実費として、戸籍謄本や住民票印鑑証明書固定資産評価証明書などの必要書類の取得費用が数千円から1万円程度かかります。これらの書類は役所で1通あたり数百円で取得できますが、相続の場合は複数の戸籍謄本が必要になることが多く、合計で1万円を超えるケースもあるでしょう。

自分で登記手続きをすれば司法書士報酬は不要です。ただし法務局での手続きや書類の準備に時間と労力がかかるため、顧客の状況に応じて自分でやるか専門家に依頼するかを提案できると良いですね。

名義変更登記の原因別の登録免許税率と計算方法

登録免許税の税率は、名義変更の原因によって大きく異なります。不動産業従事者として、この税率の違いを正確に把握しておくことは顧客への適切な説明に不可欠です。

相続による名義変更の場合、登録免許税は固定資産税評価額の0.4%です。例えば評価額2,000万円の不動産であれば、2,000万円×0.4%=8万円が登録免許税となります。

相続は最も税率が低い名義変更原因です。

贈与による名義変更では、税率は2%と相続の5倍になります。同じ2,000万円の不動産を贈与で名義変更すると、2,000万円×2%=40万円の登録免許税がかかる計算です。この大きな差額を知らずに生前贈与を提案すると、顧客に大きな負担をかけることになります。

売買による所有権移転登記も本則税率は2%ですが、土地については令和8年(2026年)3月31日まで軽減措置が適用され、1.5%に軽減されています。ただしこの軽減措置は期間限定のため、適用期限を確認しながら顧客に説明する必要があります。

建物は2%のままです。

財産分与による名義変更も税率は2%です。離婚に伴う不動産の名義変更では、財産分与か贈与かの判断が重要で、適切な原因を選択することで税負担が変わることはありません。ただし不動産取得税や譲渡所得税など別の税金が関係してくる場合があるため、税理士への相談を勧めることも検討しましょう。

固定資産税評価額は、毎年市区町村から送られてくる固定資産税納税通知書に記載されている「評価額」の欄を見れば確認できます。法務局で固定資産評価証明書を取得することでも確認可能です。登記申請の際は、登記する年度の評価額を使用します。

名義変更登記の司法書士報酬の相場と価格差の理由

司法書士に名義変更登記を依頼した場合の報酬相場は、相続登記で5万円から15万円程度、贈与登記で5万円から8万円程度、売買による所有権移転登記で5万円から10万円程度となっています。この相場には幅がありますが、なぜこれほど価格差が生じるのでしょうか。

相場に幅が出る理由です。

まず不動産の個数が影響します。

土地1筆と建物1棟であれば標準的な報酬ですが、土地が複数筆に分かれている場合や建物が複数ある場合は、登記申請件数が増えるため報酬も加算されます。不動産1個につき1万円から3万円程度の加算が一般的です。

相続登記の場合、相続人の数が多いと戸籍の収集や相続関係説明図の作成が複雑になり、報酬が高くなります。また遺産分割協議書の作成が必要な場合も、別途費用が発生することが多く、5千円から2万円程度が相場です。数次相続(相続人が亡くなってさらに相続が発生している状態)が発生している場合は、さらに複雑になるため報酬が15万円を超えることもあるでしょう。

地域による価格差も存在します。都市部の司法書士事務所は人件費や事務所の賃料が高いため報酬も高めに設定されていることが多く、地方では比較的安価な傾向があります。ただし必ずしも高い=良いサービスというわけではないため、複数の事務所から見積もりを取って比較することが重要です。

サービス内容による違いもあります。登記申請だけを依頼する場合と、必要書類の収集から遺産分割協議書の作成まで全てを依頼する場合では、当然報酬が異なります。顧客がどこまで自分で対応できるかを確認し、必要なサービスだけを依頼することで費用を抑えられるでしょう。

報酬は自由化されているため、司法書士事務所によって料金体系が異なります。顧客に司法書士を紹介する際は、事前に報酬の内訳や加算条件を確認し、透明性の高い事務所を選ぶことをお勧めします。

名義変更登記の費用を抑える方法と自分でやる場合の注意点

名義変更登記の費用を抑えたいという顧客の要望は多いものです。不動産業従事者として、費用削減の選択肢を提示しながら、それぞれのメリット・デメリットを説明できることが重要です。

最も大きな節約方法は、自分で登記申請を行うことです。司法書士報酬の5万円から15万円を丸ごと節約できます。必要なのは登録免許税と書類取得費用のみで、合計で数万円程度に抑えられるでしょう。法務局には登記相談窓口があり、手続き方法を無料で教えてもらえます。平日の日中に法務局に行ける時間があり、書類作成や手続きに不安がない顧客には選択肢の一つとして提示できます。

ただし自分でやる場合の注意点があります。書類に不備があると何度も法務局に足を運ぶことになり、時間と交通費がかさみます。相続登記で相続人が多い場合や、遺産分割協議書が必要な場合、数次相続が発生している場合など複雑なケースでは、専門知識がないと正確な書類作成が難しいでしょう。結果的に時間がかかりすぎて、最終的に司法書士に依頼し直すこともあります。

司法書士に依頼する場合でも費用を抑える工夫はあります。必要書類を自分で取得してから司法書士に依頼すれば、書類取得代行費用を節約できます。戸籍謄本や住民票の取得を司法書士に依頼すると、1通あたり数千円の代行手数料がかかることが多いため、自分で役所に行ける場合は自分で取得した方が経済的です。

相続登記については、100万円以下の土地に対する登録免許税の免税措置があります。固定資産税評価額が100万円以下の土地を相続登記する場合、令和9年(2027年)3月31日までは登録免許税が免除されます。この免税措置は1筆ごとに判定されるため、複数の土地がある場合でも各土地が100万円以下であれば適用可能です。地方の山林や農地など評価額の低い土地を相続する顧客には、この制度を案内すると良いですね。

複数の司法書士事務所から見積もりを取ることも重要です。報酬は自由化されているため事務所によって数万円の差が出ることもあります。ただし安さだけで選ぶのではなく、対応の丁寧さや説明の分かりやすさ、アフターフォローの有無なども判断材料として顧客に伝えましょう。

名義変更登記の義務化と過料リスクを顧客に伝える方法

2024年4月1日から相続登記が義務化されたことで、不動産業従事者は顧客に対してこの制度を正確に説明する責任が生じています。義務化の内容と過料のリスクを理解し、適切なタイミングで情報提供することが求められます。

相続登記の義務化は、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に登記申請を行わなければならないという制度です。正当な理由なく期限内に申請しない場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。過料は刑罰ではありませんが、金銭的なペナルティであることに変わりはありません。

重要なポイントは、この義務化が過去の相続にも遡って適用されることです。2024年4月1日より前に発生した相続についても、施行日から3年以内(つまり2027年3月31日まで)に登記申請が必要です。長年放置されていた相続不動産がある顧客には、早めの対応を促す必要があります。

過料が科されるまでの流れを理解しておきましょう。いきなり過料が科されるわけではなく、まず法務局から登記を促す催告書が届きます。この催告に応じて登記申請を行えば、過料は科されない運用になっています。ただし催告を無視し続けた場合は、最終的に裁判所の決定により過料が科される仕組みです。

正当な理由がある場合は過料の対象外です。相続人が極めて多数で戸籍謄本などの収集に時間がかかる場合、遺言の有効性や遺産の範囲で争いがある場合、相続人自身が重病などで手続きができない場合などは、正当な理由として認められる可能性があります。このような事情がある顧客には、事情を法務局に相談することを勧めましょう。

不動産業従事者として、売買や賃貸の相談を受けた際に相続登記が未了であることが判明したら、早めに登記するよう促すことが重要です。相続登記が済んでいない不動産は売却できませんし、担保に入れることもできません。顧客が「いずれやろうと思っている」と先延ばしにしている場合は、義務化と過料のリスクを具体的に説明し、司法書士への相談を勧めることで、顧客の不利益を防げます。

不動産業従事者が知っておくべき名義変更登記の費用説明の実務ポイント

不動産業従事者として顧客に名義変更登記の費用を説明する際、正確な情報提供と誤解を防ぐ伝え方が信頼構築のカギです。実務でよくある質問や誤解されやすいポイントを押さえておきましょう。

顧客から「名義変更にいくらかかる?」と聞かれた際、まず原因を確認することが大切です。相続なのか、贈与なのか、売買なのかで登録免許税が大きく変わります。漠然と「10万円くらい」と答えてしまうと、後で「聞いていた金額と違う」とトラブルになりかねません。固定資産税評価額を確認してから概算を示すか、確認できない場合は「評価額によって変わる」と前置きした上で税率を説明しましょう。

登録免許税と司法書士報酬を分けて説明することも重要です。顧客の中には「名義変更費用=司法書士の儲け」と誤解している人もいます。実際には費用の大半が国に納める登録免許税で、司法書士報酬はその一部に過ぎないことを明確に伝えることで、費用に対する納得感が高まります。

売買による所有権移転登記の場合、登記費用は通常買主が負担しますが、これは慣習であり法律で決まっているわけではありません。売主と買主の合意で負担者を決められるため、契約時に明確にしておくことが重要です。また住宅ローンを利用する場合の抵当権設定登記費用も買主負担が一般的で、借入金額の0.4%の登録免許税に司法書士報酬を加えた金額がかかります。

贈与による名義変更を検討している顧客には、登録免許税だけでなく贈与税や不動産取得税もかかることを必ず伝えましょう。登録免許税が2%と高いだけでなく、贈与税は累進課税で最高55%にもなります。「相続まで待った方が税負担は少ない」という情報を提供することで、顧客の経済的損失を防げます。ただし相続時精算課税制度を使うケースなど例外もあるため、詳細は税理士への相談を勧めることが賢明です。

司法書士を紹介する際は、複数の選択肢を提示することが望ましいです。特定の司法書士だけを勧めると、報酬が高い場合に顧客から「紹介料をもらっているのでは」と疑われることもあります。2、3の事務所を紹介し、顧客自身に選んでもらう形にすることで、透明性が保たれます。

住所変更登記の義務化にも注意が必要です。令和8年(2026年)4月1日から、不動産の所有者が住所や氏名を変更した際は、変更日から2年以内に登記することが義務化されます。正当な理由なく変更登記を怠ると5万円以下の過料の対象です。売買の際に売主の住所が登記簿と異なる場合、売主負担で住所変更登記が必要になるため、事前に確認して費用の説明に含めておきましょう。

費用の説明は書面で渡すことをお勧めします。口頭だけの説明では記憶が曖昧になり、後で「聞いていない」というトラブルの原因になります。登録免許税の税率、司法書士報酬の相場、その他実費の内訳を記載した資料を渡すことで、顧客の理解と納得が深まります。

相続登記の登録免許税の免税措置について詳しく知りたい方は、法務省の公式ページで最新情報を確認できます
相続登記の義務化に関するQ&Aは、法務省の特設ページで詳細な解説が掲載されています

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