抵当権設定登記費用の土地建物別の計算と負担軽減策

抵当権設定登記費用の土地建物計算

土地購入時に4000万円を借りて0.4%で登録免許税を払うと16万円損します

この記事のポイント
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登録免許税の計算方法

土地と建物で抵当権設定時の登録免許税は債権額に対して計算され、不動産の個数は影響しない。住宅用の場合は0.1%に軽減可能

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追加設定登記の活用

土地に設定した抵当権に建物を後から追加する場合、登録免許税は1不動産につき1,500円のみで済む。大幅なコスト削減が可能

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司法書士報酬の相場

抵当権設定登記の司法書士報酬は地域や債権額により3万円~13万円と幅がある。複数の事務所で見積もり比較が重要

抵当権設定登記の登録免許税計算の基本構造

 

抵当権設定登記における登録免許税の計算では、土地と建物の「個数」ではなく「債権額」が基準になります。つまり土地1筆と建物1棟に同時に抵当権を設定しても、登録免許税は債権額×税率で一度計算するだけで済むということです。

原則として税率は0.4%です。

例えば3,000万円の住宅ローンを借りて土地と建物に同時に抵当権を設定する場合、登録免許税は3,000万円×0.4%で12万円となります。不動産が2個あるからといって24万円になることはありません。つまり1つの債権に対して複数の不動産を担保とする共同抵当の場合でも、登録免許税の計算上は不動産の個数を気にする必要がないわけです。

ただし住宅用の不動産で一定の条件を満たす場合には、税率が0.1%に軽減されます。同じ3,000万円の借入でも、軽減税率が適用されれば登録免許税は3万円で済みます。

差額は9万円です。

この軽減措置は取得後1年以内の登記、床面積50平方メートル以上、自己居住用などの要件を満たした場合に適用されます。新築住宅だけでなく中古住宅でも築20年以内(耐火建築物は25年以内)であれば対象です。

法務局の登録免許税計算ガイド(PDF)には、具体的な計算式と税率が記載されています

抵当権設定登記における土地と建物の取り扱い違い

土地と建物を別々のタイミングで取得する場合、抵当権設定登記の費用構造が大きく変わります。

注文住宅でよくあるケースが、まず土地を購入して住宅ローンを組み、その後建物を新築するパターンです。この場合、土地購入時に土地のみに抵当権を設定し、建物完成後に建物を「追加設定」する方法と、土地建物まとめて一本のローンで組む方法があります。

追加設定の場合、登録免許税は大幅に安くなります。

具体的には、既に抵当権が設定されている不動産の登記事項証明書を添付することで、追加する不動産1件につき1,500円の登録免許税で済むのです。例えば土地購入時に5,000万円の抵当権を設定し(登録免許税20万円)、後から建物を追加設定する場合は建物分の登録免許税は1,500円のみです。

一方、土地購入時に5,000万円、建物完成時に2,000万円と別々にローンを組むと、それぞれに登録免許税が発生します。土地分は5,000万円×0.4%=20万円、建物分は2,000万円×0.1%=2万円で、合計22万円です。

さらに司法書士報酬も2回分かかります。

土地建物合わせて7,000万円を一本のローンで組めば、登録免許税は7,000万円×0.1%=7万円で済みます。

差額は15万円です。

ただしこの場合、土地購入時につなぎ融資を利用する必要があり、その金利や手数料も考慮する必要があります。

ポラスグループのローン解説ページでは、土地建物別のローンと一本化の費用比較が詳しく紹介されています

抵当権設定の司法書士報酬と地域差

抵当権設定登記を司法書士に依頼する際の報酬は、自由化されているため事務所によって金額が異なります。

全国平均では、抵当権設定登記の司法書士報酬は3万円から13万円程度が相場です。登記手続きだけでなく、金銭消費貸借契約への立会いや必要書類の収集まで含めて依頼する場合は、報酬が高くなる傾向があります。

地域別に見ると、関東地区の平均は約7万5,000円、中部地区は約6万9,000円、近畿地区は約7万7,000円、中国地区は約6万8,000円となっています。都市部ほど若干高めですが、同じ地域内でも事務所によって2万円以上の差が出ることもあります。

司法書士報酬は債権額によって加算される場合があります。例えば設定金額が5,000万円以上の場合、1,000万円ごとに2,500円程度加算する報酬体系の事務所もあります。

費用を抑えたい場合は、複数の司法書士事務所から見積もりを取ることが有効です。金融機関が指定する司法書士を使う場合もありますが、自分で司法書士を選べるケースでは、報酬の比較検討が可能になります。

報酬以外の実費として、登記事項証明書の取得費用(1通600円)、印鑑証明書の取得費用(1通450円)、登記情報の事前確認費用(1件300円程度)などがかかります。これらは司法書士報酬とは別に請求されることが一般的です。

抵当権設定費用における軽減措置適用の実務ポイント

登録免許税の軽減措置を適用するには、住宅用家屋証明書の取得が必須です。

住宅用家屋証明書は、市区町村の窓口で取得する書類で、発行手数料は1,300円程度です。この証明書を登記申請時に添付することで、抵当権設定の登録免許税が0.4%から0.1%に軽減されます。3,000万円の借入なら9万円の節税効果があるため、1,300円の手数料は十分に元が取れます。

証明書取得の要件として、建物の床面積が50平方メートル以上であること、取得後1年以内に登記すること、自己居住用であることなどが求められます。

中古住宅の場合は築年数の制限もあります。

ただし注意が必要なのは、登記後には軽減措置を受けられないという点です。

登記申請の際に住宅用家屋証明書を添付し忘れた場合、後から税金の還付を受けることはできません。登記完了後に「やっぱり軽減措置を使いたい」と思っても手遅れです。司法書士に依頼する場合は、軽減措置の適用について事前に確認しておくことが重要です。

また、軽減措置は住宅ローンによる抵当権設定にのみ適用されます。事業用の融資や根抵当権の設定には適用されません。根抵当権の場合は、極度額の0.4%が登録免許税として課税されます。

住宅用家屋証明書の取得を司法書士に代行してもらう場合、別途手数料1万円から1万5,000円程度がかかることもあります。自分で市区町村の窓口に行けば手数料1,300円のみで済むため、時間に余裕があれば自分で取得する方が費用を抑えられます。

抵当権設定登記の根抵当権との費用比較

不動産を担保にした融資では、抵当権だけでなく根抵当権という選択肢もあります。

根抵当権は、極度額の範囲内で繰り返し借入と返済ができる担保権です。一度設定すれば追加の借入時に新たな登記が不要なため、複数回の借入を予定している場合は設定登記費用を節約できます。

登録免許税の計算は、根抵当権でも極度額×0.4%で行われます。例えば極度額5,000万円で根抵当権を設定する場合、登録免許税は20万円です。その後、極度額の範囲内で1,000万円借りて返済し、また2,000万円借りるといった取引を繰り返しても、追加の登録免許税は発生しません。

通常の抵当権では、1,000万円借りた時点で4,000円、2,000万円借りた時点で8,000円と、それぞれ登録免許税と司法書士報酬がかかります。借入を3回繰り返すと、登録免許税だけで1万2,000円、司法書士報酬は合計で12万円から15万円程度になります。

一方で根抵当権は、住宅ローン減税や抵当権設定の軽減措置の対象外です。

住宅用の軽減税率0.1%は根抵当権には適用されないため、事業用でない住宅購入の場合は通常の抵当権の方が税負担が少なくなります。また根抵当権は元本確定前であれば債権額が変動するため、不動産を売却する際の抵当権抹消手続きが複雑になることもあります。

不動産業の実務では、顧客が住宅ローンを組む場合は通常の抵当権、事業用融資で継続的な借入が見込まれる場合は根抵当権という使い分けが一般的です。顧客の資金計画に応じて、どちらが適しているか助言することが求められます。

SUUMOの根抵当権解説記事では、抵当権との違いやメリット・デメリットが詳しく説明されています

抵当権の設定・名義人の表示変更・更生の登記マニュアル (不動産登記シリーズ 3)