土地区画整理事業の流れを図解で全ステップ解説

土地区画整理事業の流れ:全ステップ完全解説

資産価値が上がると喜んでいたら、換地処分後に数千万円の清算金を請求されて資金繰りが詰む地権者が実在します。

土地区画整理事業の流れ:3つのポイント
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事業の全体像

施行地区の決定から清算金の徴収・交付まで、最短でも5〜6年、公共団体施行では平均8〜9年かかる長期事業です。

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重要な専門用語

減歩・換地・仮換地・保留地・清算金など、不動産取引の現場で必須の用語を正確に理解することで、顧客への説明力が格段に上がります。

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取引上の落とし穴

仮換地指定前の売買は安く叩かれるリスクがあり、換地処分前の取引では従前地の登記で行われるなど、通常の売買と異なる注意点が多数あります。

土地区画整理事業の流れ:基本的な仕組みと全体像

 

土地区画整理事業とは、都市計画法に基づいて、道路・公園などの公共施設を整備しながら、宅地の形状や接道状況を改善する事業です。 わかりやすく言えば「古く入り組んだ市街地を碁盤の目のように整え直す事業」で、戦後の復興から現代の災害復興まで広く活用されています。

参考)土地区画整理事業とは?流れや仕組みをわかりやすく解説 – G…

事業の全体的な流れは以下のとおりです。

参考)土地区画整理事業実施の流れを知りたい。 江戸川区ホームページ

  • 🏗️ 施行地区の決定:区域を確定し、説明会・測量を開始
  • 📝 事業計画の決定・認可:2週間の縦覧期間を設けて公告
  • 🔍 事業の開始:現況測量・建物物件調査・登記調査
  • 🏛️ 土地区画整理審議会の設置:地権者から選挙で選ばれた委員が換地計画などを議決
  • 🔖 仮換地指定:将来の換地予定地を仮に指定し、地権者が利用を開始
  • 🚚 建物移転補償・工事:移転費用は補償されるが、増改築分は全額補償外
  • 📜 換地処分:従前地の権利が正式に換地へ移転。抵当権も新換地に移行
  • 📂 登記:施行者が一括申請。地権者の個別手続きは不要
  • 💴 清算金の徴収・交付:土地の価値の過不足を金銭で調整して事業完了

組合施行なら平均5〜6年、公共団体施行では8〜9年が平均です。 10年以上かかるケースも珍しくありません。 長期間にわたる事業だということですね。city.narita.chiba+1

土地区画整理事業の流れ:減歩・換地・保留地の用語解説

「減歩」とは、地権者が事業のために自分の土地の一部を提供することです。 減歩には2種類あり、公共施設の整備用地に充てる「公共減歩」と、保留地の売却資金に充てる「保留地減歩」があります。

減歩率が大きいほど土地面積は減りますが、1㎡あたりの評価額は上昇する傾向があります。 つまり面積が減っても資産価値が上がるのが原則です。

各用語の整理は以下の表のとおりです。

用語 意味 不動産取引での注意点
従前地 事業前の元の土地 換地処分前の売買では従前地登記で取引される
減歩 土地の一部を事業に提供すること 公共減歩と保留地減歩の2種類がある
仮換地 正式換地前に暫定的に指定された土地 指定後は原則として従前地の使用不可
換地 事業後に再配置された正式な土地 換地処分の公告翌日から従前地とみなされる
保留地 事業資金捻出のために施行者が取得する宅地 売却収入が事業費に充当される
清算金 土地価値の過不足を金銭で調整するお金 数千万円規模になる場合もあり、事前確認が必須

特に不動産業者が実務でよく混乱するのが「仮換地と換地の違い」です。 仮換地指定後は従前地を使用できなくなりますが、登記はまだ従前地のまま維持される、という二重構造になっています。 これは条件が複雑ですね。

土地区画整理事業の流れ:施行者の種類と認可手続き

土地区画整理事業の施行者は、地方公共団体(都道府県・市町村)だけではありません。 個人・土地区画整理組合・会社・都市再生機構など、多様な施行主体が認められています。

施行者別の条件は以下のとおりです。

  • 🧑 個人施行:関係権利者(土地所有者・借地権者など)全員の同意が必要
  • 🤝 土地区画整理組合:宅地所有者および借地権者が7人以上で設立。それぞれ3分の2以上の同意が必要
  • 🏢 会社施行:土地所有者・借地権者の3分の2以上の同意が必要
  • 🏛️ 地方公共団体施行規則と事業計画を定め、都道府県知事または国土交通大臣認可を受けて施行
  • 🇯🇵 国土交通大臣:国の利害に重大な関係があり、特別な事情がある場合にのみ施行

すべてのケースで、知事もしくは国土交通大臣の認可が必要です。 認可後に公告がなされ、その公告日以降から換地処分の公告の日まで、施行地区内での建築行為等に法的な制限がかかります。 この許可の主体は「土地区画整理組合」ではなく「都道府県知事等」である点が実務上の重要ポイントです。takken-success+2

土地区画整理事業の流れ:仮換地指定から換地処分までのステップ

仮換地の指定は、審議会の意見を聴いたうえで行われ、土地の位置・範囲が権利者に通知されます。 通知後は原則として従前の土地は使用できなくなり、仮換地での生活・建築が始まります。token.co+1

仮換地指定後の土地は売買・相続が可能です。 ただし、売買契約書には「従前の土地の住所・面積」を記載し、登記も従前地のもので行う必要があります。 契約書に仮換地の情報を詳細に記載しないとトラブルになりますね。

建物移転補償については、仮換地先に移転するための費用は施行者から補償されます。 しかし、移転に合わせて増改築する場合は全額が補償されるわけではない点に注意が必要です。 増改築費用の自己負担が発生するのは見落とされがちです。

参考)【東建コーポレーション】土地区画整理事業の流れ 区画整理に関…

換地処分が行われると、その翌日から正式に換地が従前地とみなされ、住所(町名・地番)も変更されます。 換地処分に伴う登記は施行者が一括で法務局に申請するため、地権者が個別に登記手続きを行う必要はありません。

土地区画整理事業の流れ:清算金の仕組みと不動産業者が見落とすリスク

清算金は、土地区画整理の前後で生じた土地の価値の過不足を金銭で調整するお金です。 土地の価値の上昇幅がより大きくなった地権者が「徴収(支払い)」、より小さくなった地権者が「交付(受け取り)」となります。

問題は金額規模です。たとえば入間市の事例では、約62ヘクタールの区域に約1,900人の地権者がおり、そのうち約600人から清算金を徴収・約1,300人に交付する計画でした。 一括で清算金を払えない地権者に対しては分割納付を求めるケースもあります。

清算金は数千万円に上ることがあります。 換地処分後に初めて確定するため、事前の想定が難しく、地権者が「想定外の支払い」を迫られるケースがあります。 これは大きなリスクですね。

参考)江戸川区南小岩七丁目土地区画整理:換地処分で資産価値2倍?

不動産業者として顧客対応で意識すべき売買上の注意点は以下のとおりです。

  • 📉 仮換地指定前の売却:最終的な面積・形状・位置が未確定のため、買主側のリスクから安く買い叩かれる可能性がある
  • 📄 換地処分前の売買:契約書は従前地の登記情報で作成。仮換地の情報を明記しないとトラブルが発生しやすい
  • 💰 清算金の帰属売買契約書に清算金の徴収・交付がどちらに帰属するかを明記することが必須
  • 🏦 金融機関への説明:仮換地・換地処分前の土地は抵当権設定の判断が難しく、金融機関側への事前調整が必要

これらのリスクに対応するには、売主・買主ともに施行者(組合・市町村)や不動産鑑定士などの専門家への事前相談が不可欠です。 土地区画整理中の物件を扱う場合は、施行者への確認を一つのルーティンにしておくことが安心です。

国土交通省の土地区画整理事業に関する公式情報は、制度の最新動向確認に役立ちます。

国土交通省:土地区画整理事業の流れ(市街地整備)

江戸川区の詳細な事業フロー(施行区域の決定から清算金の徴収まで全10ステップ)は、実務的な事業手順の理解に役立ちます。

江戸川区:土地区画整理事業実施の流れ(区公式)

土地区画整理事業の流れ:不動産業者だけが気づける建築制限の盲点

土地区画整理事業の施行認可の公告日以後、換地処分の公告の日まで、施行地区内での建築行為等には制限がかかります。 具体的には、建築物の建築だけでなく、土地の形質変更や、重量5トンを超える移動困難な物件の設置等も規制対象です。

参考)土地区画整理法第76条による建築行為等の制限/門真市

この制限は「都道府県知事等の許可」なしには行えません。 不動産業者が現地調査をせずに購入希望者に「建築可能」と説明してしまうと、重大な説明義務違反になります。 この許可取得の手間が売買価格や交渉条件に影響することも覚えておけばOKです。

参考)「土地区画整理事業の流れ」の重要ポイントと解説 – 4ヶ月で…

さらに注意すべき点として、建築制限を無視して建てられた建築物に対しては、施行者がいつでも移転・除却を命じることができます。 これは通常の行政命令と異なり、事業の施行のために必要な時点でいつでも発動できる強力な権限です。 厳しいところですね。

参考)【宅建過去問】(平成16年問22)土地区画整理法 &#821…

また、事業計画の決定自体が「行政処分(処分性あり)」と最高裁が2008年に判断しており(最判平成20年9月10日)、地権者は事業計画決定の段階で取消訴訟を提起できます。 換地処分後では工事が進捗済みで事実上是正困難になるため、問題があれば事業計画決定の段階で争うことが重要です。 法的対応の期限が条件です。

参考)最判平20.9.10:土地区画整理事業計画の決定

土地区画整理法第76条による建築制限の詳細(対象行為・申請手続き等)は、地権者への正確な説明根拠として活用できます。

門真市:土地区画整理法第76条による建築行為等の制限(公式)

土地区画整理: その理論と実際